Side: エレナ・スカーレット
「なんだよ...結構やるじゃねぇか...」
「ハァ...ハァ...」
私対リーダー。勝者は...私だ。
いやまぁ苦戦はしたけどね。疲れた...他の吸血鬼とくらべもんにならないね。
今、リーダーの心臓には私のグングニルが刺さってるからいずれ死んじゃうだろうね...これでいいんだよ。
「ハハッ...大口叩いてこの様だ...ま、元より勝つつもりなんてなかったがな」
「...へ?」
「ただ嬢ちゃんと戦りあいたかった...それだけさ」
その瞬間、リーダーの体が消滅し始める。
「それより...嬢ちゃん、お前さんの館は大丈夫かい?」
「...どういうこと?」
「お前さんの反抗がバレたってことさ。今紅魔館には大量の吸血鬼が押し寄せているだろうよ...」
「!!」
...それはまずい!急いで戻らないと...!!
私は紅魔館の方へ全速力で飛ぶ。お願い...間に合って!!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
Side: レミリア・スカーレット
「ねぇ、レミリアお姉様。なんで私達と同じ吸血鬼がここに攻めてきてるの?」
「...分からないわ。でも私達のやることは紅魔館を守ることよ。例え相手が同じ吸血鬼であっても...ね」
そう、私達は今現在は何故かここに攻めてきた吸血鬼達を相手にしてる。
最初こそは幻想郷にいたであろう弱小妖怪ばっかり相手にしてたけれど、だんだんそれが吸血鬼に変わっていったのよね...しかも全員怒り狂ってたし。まぁ私達の敵じゃないんだけれど。
「あーもう、返り血で服が汚れちゃう!折角張り切るためにお気に入りの服着てきたのに!!」
「我慢しなさいフラン...というか、戦うことを知ってたなら汚れてもいい服を着なさいよ」
「だってぇ...」
「はぁ...全くフランったら」
こんな穏やかや会話をしてるものの、状況は全然穏やかじゃない。むしろ会話をしながらやって来た吸血鬼を蹂躙してるって感じね...お父様様々だわ。フランも最近私と『ごっこ』をしてるからある程度戦闘能力向上してるし、上々ね。
「ハッ!油断大敵だぜぇ!?裏切り者よぉ!!」
「!?」
気付けば私の真後ろから急速接近してくる吸血鬼がいた。まずいっ...いきなりじゃ避けれない!
と、その瞬間......その吸血鬼をどこからか来た炎が焼きつくした。あの炎は...
「貴方もね...」
「パチェ!」
流石私の親友ね。信じてたわ。
「それにしてもレミィ、裏切り者ってどういう意味なの?」
「私に聞かないでよ。こっちが聞きたいわ」
確かにこれには乗り気じゃなかったし、だから積極的に幻想郷に攻めずここだけを守るようにしてたけれど...それだけでここまでやられるかしら?
「その答えは私が知っていますわ」
...何者?全く気配を感じなかったわ。しかもこいつ...強い...
「あら、お客さんかしら?ご用は何?」
隙を見せずに、そして態度はへりくだることなく余裕そうに振る舞う。少しでもそんな態度は見せてはならない...そう感じていた。
「...エレナよりも少し背は小さいのね」
「!?」
...え、なんでエレナお姉様のことを...まさか!!
「貴様!!エレナお姉様に何を!!」
「何もしてないわ...ただの友人よ」
...嘘だと思いたいわね...こんな胡散臭そうな妖怪とエレナお姉様が友人?ちょっとエレナお姉様のセンスを疑ってしまうわ。
「まぁいいでしょう...今回は取引に来ました」
「...取引?」
「えぇ」
そう言いながら扇子で顔を隠しながらニヤつく妖怪。全く...何者なのよ?
「申し遅れましたわ...私の名は『八雲紫』。この幻想郷の管理者ですわ」
!管理者...なるほど納得だわ。これほどの強さを持ってるならね。
「私はこの紅魔館の当主の『レミリア・スカーレット』。それで...取引って?」
「...まず、そちらがわの利点としては...ここ、幻想郷への移住を認めましょう」
「!!...いいのかしら?私達吸血鬼は幻想郷を侵略しに来たのよ?」
「それが約束ですから構いませんわ。それに、幻想郷は全てを受け入れるもの」
約束?もしかしてエレナお姉様との?...ますます読めなくなったわ。
「エレナは一ヶ月前、私に話を持ち掛けて来ました」
「!!」
そこから私は...いえ、私達は全てを聞いた。エレナお姉様が最初から移住目的でいたこと。そのために吸血鬼側を裏切って八雲側についていたこと。そして現在、エレナお姉様は幻想郷中の吸血鬼を駆逐していること......
「これが真相よ。さて...どう感じたかしら?」
恐らく八雲紫は失望したとでも思っているんだろう...だけど。
「んー...つまりエレナお姉様は私達のために頑張ってくれてたんだよね?帰ってきたらお礼言わなきゃ!!」
...フランに先に言われてしまったわね。同意見よ。
「エレナは頑張り過ぎよ...暫く休ませなきゃね」
確かに...そろそろお姉様は休んでもいいわね。
「...他の吸血鬼達が少し可哀想ですね...」
美鈴の着眼点は少し可笑しい気がするかもだけれど...まぁ確かにね。
あら、八雲紫が少し驚いてるように見えるわね...少し面白いかも。
「それで、私達に何を求めるのかしら?」
「......そうですわね...一つ貸し、でよろしいかしら?」
「それでいいのかしら?それならそれでお願いするわ...あ、食糧についてなのだけれど──」
こんな感じで色々これからについて話し合っていると...バンッ!!と音とともに勢いよく玄関の扉が開かれた。
「レミリア!!フラン!!皆!!大丈夫!!??」
完全に息が切れてるお姉様が慌てた顔つきで現れた。その目は...あれ、光が無い?しかも濁ってる...?更に赤色?...もしかして...
お姉様は私達の方を見るなり安堵したかと思えば...急に殺意丸出しになった。
え、どういうこと?と思ったけどすぐに分かった。
沢山の吸血鬼との戦闘で私達はかなり返り血を浴びている。その疲れもあって少しだけ、まぁ今のお姉様よりは無いけど息が切れてる。そして無傷の八雲紫...これは...
「...紫さン?うちの家族にナにしてルのデスか?」
「エ、エレナ?これは違うのよ?これは......」
「えぇ分かッテマスよ...はい。お前ダロ?」
駄目だわこれ。完全に正気を失ってる...不味いわね。このままにしておくのはいけない。
「...エレナお嬢様?どうされたのです?」
「美鈴!!今のお姉様に近付いては駄目!!」
そういえば美鈴とフランは事情を詳しく知らなかったわね!後で説明しないと...!
「レミリア・スカーレット!どういうことなのあれ!!」
「説明は後!今は...お姉様を気絶させないと!!」
私とパチェは戦闘体制に入っている。フランも事情は知らないはずだけど本能なのか戦闘体制に入ってるわね。いい子だわ。
さて...待っててね!お姉様!!