東方異血姉   作:エンゼ

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疑問点に突っ込んではいけません...イイネ?


第三十話 終決

 刹那──エレナの両手にレーヴァテインが召喚される。それに大量の魔力が込められ......もはや二本の剣、というよりは二本の長い棒と呼べるレベルになっていた。

 

「...キエロ」

 

 そう呟いた無表情のエレナが紫のほうへ駆ける。しかも魔法を一切使用せずただひたすら走った。

 ...ここでエレナ以外の全ての者は違和感を感じる。

 

 

 ──何故駆けた?他にもっと速くいける手段はあるはずなのに。駆けるにしても何かもっとあるであろうに。

 

 

 戸惑いはしてるが、エレナの一番近くにいたフランがすぐ正気に戻り、エレナの進行を阻止しようとレーヴァテインを召喚して向かう。

 

 

「エレナお姉様!!」

 

 

 双方の剣が混じりあう───しかし、剣の数にしても1対2。さらに込められてる魔力量の違いも生じてフランのレーヴァテインは折れてしまった。

 エレナは無表情のままフランを一瞬見つめ、思い切り蹴飛ばした。

 

「がっ!!...う...」

 

 フランはそのまま倒れてしまった。無表情のままエレナはフランから視線を外す......その時、持っていた二本のレーヴァテインが消滅してしまった。それは誰が見ても自分から消した訳ではないのは明らか。どう見てもさっきの衝突が原因と思えるものであった。

 

「フラン!!」 

 

 とっさにレミリアは叫ぶ...その時、ある疑問が頭を支配した。

 

「(...おかしい...いつもならお姉様のレーヴァテインはあんなに脆くはないはず...まるで、自分の力を上手く操れてないような...見た目フランも致命傷は負ってないようだし...)」

 

 エレナをじっと見据えてレミリアは考える。

 

「(体の動かし方もぎこちない...もしあれが『狂気』なら封印されたから完全じゃないって説明はつく。だけど封印されたはずだ。何故発現した?)」

 

 考え続けていると、ふいにレミリアの肩がポンッと叩かれた。

 

「落ち着きなさいレミィ。あれがなんでまた発現したのかは定かじゃない...けど、やることは一つよ。エレナを落ち着かせるの」

「...そうねパチェ。八雲紫、手伝いなさい」

「.........これはあなた方の問題。私が干渉することではありませんわ。それに他の吸血鬼を始末しなければならないので...では、ここで。お話はまた今度ゆっくりお聞きしますわ」

 

 紫はそう言って自身のスキマに入っていった。

 それを見たレミリアは舌打ちをする...が、すぐにエレナの方に集中した。

 紫が消えたのにも関わらずエレナの収まる気配はない。

 だが、十分に勝機はある。今のエレナは動きがぎこちなく、魔法も満足には使えてない。さらに理性がほぼないときた。

 レミリアは皆の方を向く。

 

「パチェ、こぁはお姉様を拘束する準備を」

「分かってる」

「了解です!」

「美鈴はフランを別の場所に移して治療してあげて」

「分かりました!」

 

 フーッと息を吐いて、グングニルを召喚し、エレナ...いや、『狂気』の方を向く。

 

「さて...何年ぶりかしらね、『狂気』との戦闘なんて」

 

 槍が膨大な魔力を帯びてゆく。それはかつて、レミリアに対してエレナが見せた魔力を込めたグングニルよりも遥かに強いものだった。

 

「さあ...始めましょう!!」

 

 今、双方の力がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずはレミリア。慣れた手付きでグングニルを操り槍先を『狂気』に刺そうとする。これだけを見ると、ただレミリアがエレナを殺そうとしてるように見えるかもしれない...だが、相手は一度レミリアを圧倒した『狂気』。全力でやらなければ殺られる。レミリアはよくそれを理解していたのだ。

『狂気』はそれを簡単にはね除け、拳を作りレミリアの脇腹に殴りかかった。それには少しではあるが魔力が込められてるのが分かる。大方、『身体強化魔法』の一部であろう。

 レミリアはそれをギリギリで交わしつつ、『狂気』から距離を取る。ここまでは互角...いや、若干まだレミリアが優勢かもしれない。そう、まだ(・・)

 

「(『身体強化魔法』が少し発動してた...なら、『狂気』は少しずつではあるけどエレナお姉様に慣れ始めてる...封印も少しずつ解けてる...?)」

 

 気がかりな事はずっと無表情であることだ。以前レミリアと戦闘をした『狂気』はとにかく戦闘狂であった。戦いを楽しんでいた。

 今回は...?まるで作業のように振る舞ってる。封印によってその部分が抑制されてるのか?だが...

 

「っと、そんなことを考える余裕はなさそう...ねっ!!」

 

『狂気』からのイチイバルの矢を飛びながら避ける。それにレミリアは怒りを感じていた。

 なんに対して?...『狂気』がエレナの体を使ってるから?それもあるだろう。だが、主なのはこれだった。

 

「『狂気』の分際でぇ......お姉様の武器を扱うなぁ!!!」

 

 レミリアがグングニルを逆手に持ち、投げの構えを取る。

 

 

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!!」

 

 

 

 グングニルは『狂気』の方へ向けて投げられる。その際、グングニルの後ろから段幕も同時に出ており、勢いでさらに加速している。しかも、狙った相手は刺すまで追う伝説のあるあのグングニルだ。その様子はまるで流れ星。

 正直、レミリアは避けられることを想定としていた。それか何かしら対処をしてくるだろうとも。

 だからこそ予想等出来はしなかった。

 

 

 ────『狂気』であるはずのエレナの体がグングニルの射線上に動いたなんて。

 それは体を大の字にしてグングニルに刺されるのを待ってるかのよう。

 

「どういうこと...っ!?」

 

 そしてレミリアは気付く。その瞳が────青くなってたのを。

 

 

 グシュッ!!!

 

 

 その音と共にエレナは貫かれる。幸い、心臓でなく腹であった...が、致命傷には違いない。そのままエレナは落下した。さっきの無表情とは打って代わり笑顔で。

 

「お姉様!!!!」

 

 グングニルはレミリアの手に戻る...が、レミリアはすぐそれを消し、エレナの方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、紅魔館が幻想郷に入って初めての異変───『吸血鬼異変』が終了したのだった。




いつの間にかUAが10000越えてる...越えてる!?
いつもありがとうございます!!
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