Side: エレナ・スカーレット
はい、戦当日です。...まさかあの話から3日後とは誰も想像つくまい...確かにお父様は意外とすぐかもって言ってたけどさぁ!?
「魔力よし...体調よし...うん、大丈夫っぽいな」
通算50回目の準備完了。って訳で私はお父様が来るまで私の部屋で待機中です。
ちなみに私は人間に対して個人的に恨みがある。まぁ人間って言っても限定されてるんだけど。そう、私がここに来る前に私を迫害してた人間達のことだ。意味が分からなくて怖くてただただ逃げ回ってたあの頃。まぁ紅魔館に来てから幸せ過ぎるから...バランス取れてるのかな?いや、取れてないな。うん。
どうでもいいことを考えてたらお父様が来た。ってあれ?ボロボロな服...かすり傷とかある...まさか!!!
「お父様!大丈夫ですか!?まさか人間共に!??」
「いや、違うぞ!これはレミリアとの戦闘によるものだから。落ち着きなさい!」
「あ...そうでしたか。すみません、取り乱しちゃって」
ヤバイな私。ふぅ、落ち着かなきゃ。
「迎えが来た。これから戦が始まるが...絶対帰ってきなさい。負けてもいいから」
「...はい、お父様。ですが負けません。なんたって、貴方の娘なんですから」
決まったぜ...フッ今の私は輝いてるな。これにはお父様もニッコリ...ってあれ??笑われてる?なんで??
「お、お父様?どうしたんですか?」
「いや、お前も洒落たことが言えるのかと思ってな...ククッ...。...コホン、あぁ、頑張ってくれ」
そう言って私は玄関を出る。勿論外は夜だ。
作戦は至ってシンプル。戦を始められる前に叩き潰す、らしい。人間共は日が昇ってから攻めようと考えていて、尚且つ作戦がバレてないと思ってるらしい。そこに奇襲を仕掛けてドカーンってやっちゃうのだ。わぁなんて単純。
迎えに来た他の吸血鬼に私は挨拶をする。
「初めまして。スカーレット家の代表、エレナです。本日はよろしくお願いします」
「おぉ、嬢ちゃんよろしくな!俺はいつの間にかリーダーになっちまったカレスって者よ。まぁカレスでもリーダーでも好きに呼んでくれや」
ある男の吸血鬼が笑顔で迎えてくれた。親しみやすそうだなぁ。怖い人じゃなくて良かった...人じゃないけど。
「あの子...4年くらい前に騒がれてたアレに似てないか?」
「あぁ...噂の外見をそのまま成長させたらあんな感じになるな...」
「まさか...ヴラドさんがわざわざ匿うとは思えんからなぁ...似てるだけじゃないか?」
なんかリーダーの後ろの吸血鬼達が騒いでるな...まさか私のこと!?まぁよく聞こえないからスルーしとこ。
「皆の者よ、すまない。本来は私が出るべきなんだが事情でな...だがこのエレナの実力は保証しよう」
「大丈夫ですぜヴラドさん。絶対勝ちますから。いい結果、期待してて下さいよ?」
そう言うリーダーにお父様は少し気掛かりな表情を浮かべたが、了承した。
「さぁ行くぜお前ら!吸血鬼の意地ってもんを、見してやろうぜ!!」
リーダーの掛け声にその場にいた一同は歓声を上げ、人間の里の方へと飛び立った。
人間の里へと近づいていく毎に、なんか見たことあるような場所ばかりが出てくる。ここ、初めて通るとこのはずなんだけどなぁ...
「見えてきたぜ嬢ちゃん。あれだ」
リーダーが指差す方を見つめる。すると突然、寒気がしてきた。それと同時に息も荒くなっていく。怖い...何故か分かんないけど、めっちゃ怖い...
「お、おい嬢ちゃん?大丈夫か?」
リーダーが心配して、私の頭を撫でてくれた。そしたら若干だが落ち着いた。
「人間と戦闘するのは初めてか?大丈夫だって、俺らより脆いし、意外と呆気ないもんだぜ?」
子供をあやすように優しく語りかけるリーダー。でも多分これ、戦闘への緊張じゃないんだよな...。なんだろこれ。
「リーダー!作戦区域に到着しました!」
とある吸血鬼がリーダーに向かって言う。するとリーダーは先程の表情とは一変し、ザ・リーダーって感じの顔付きになった。
「よぉし、作戦開始だ!それぞれ指定の場所へ向かえ!!」
「「「「「「「「おぉ!!」」」」」」」」
吸血鬼達がそれぞれ違う方向へ飛んでいく。さて、私も行こうかなって時にリーダーから呼び止められた。
「ほれ嬢ちゃん」
そう言って渡されたのは...鈴?
「あのヴラドさんが認めてたから無いとは思うが...一応な。それは俺のお手製の鈴だ。鳴らしたらこの戦に参加してる全ての吸血鬼に伝わる。危なくなったら鳴らせ。すぐ駆け付けてやるからよ」
「...いいんですか?」
「勿論だぜ?俺も嬢ちゃんのことは気に入った!どんな生まれであれ嬢ちゃんは嬢ちゃんだからな。あと、人間の言葉に惑わされるなよ?それじゃ、またな!」
そう言って飛んでいくリーダー。...?どんな生まれであれ...?引っ掛かるなぁ...まぁとりあえず作戦区域に向かおっと。
私はそのまま作戦区域に向かって飛んだ。
Side: レミリア・スカーレット
「どういうことですかお父様!!」
今、私はお父様にあることについて問い詰めている。
それは、お姉様が戦場に行く、というものだ。
「いやなレミリア。あいつは自分から行くと言った。しかも帰ってくるとまで言ったんだ。私としてはエレナを信じたい」
「お父様、私が知らないとでも思ってたんですか!?お姉様が行った場所は、
そう言われて怯むお父様。まさか私が知っているとは思わなかっただろう。
「レミリア...知っていたのか...」
「あそこは未だにお姉様を殺そうとしている!死んでるのが確認されるまで続くことは火を見るより明らか!それを知ってて何故!お父様はお姉様を行かせたのですか!」
私には分からない。仕事が忙しいのは分かる。お母様も出られない。じゃあ何故私じゃないのか!!
お姉様より私が弱いから?お姉様が養子だから?絶対に違う!私は実力も付けてきたし、お父様はお姉様をちゃんと愛してくれている!だから分からない!何でお父様がお姉様を行かせたのかが!!
「落ち着きなさい。レミリア」
「これで落ち着いてってどういうこと!?お姉様が死んじゃうんだよ!?」
「落ち着きなさい!」
「ッ!...はい」
スッと凍りつくような目付きで私は怯んでしまった。でも興奮は収まらない。
「エレナは...自分の過去と向き合う必要がある。今までさりげなく教えようとしてきた。だが無意識にエレナは避け続けてきた。だから今回の戦に出した。過去を知ってもらうためにな...」
「でも...お姉様がそれで死んじゃったら...私!」
「レミリア、エレナの実力をお前も良く知っているだろう。エレナなら大丈夫だ。絶対にな」
断言するお父様。確かにお姉様は強い。今までもお父様との訓練で勝てそうなものはいくつもあった。だけどまだ不安だ。私のお姉様はただ一人だけなんだから。
「...レミリア、お母様のところに行きなさい。すまないが私は仕事があるんでね」
「...はい、お父様」
私はお父様の部屋を出た。そして壁に寄りかかってしゃがみこみ、私は祈る。
「お姉様...どうか...!」
Side: エレナ・スカーレット
ここだ。私は音を出来るだけ立てずにその場所へおりたった。周りに人の気配はない。
「まだ寒気は収まんないけど...大丈夫だよね」
「フッフッフッ...ようやく見つけましたよぉ。呪いの悪魔ァ!!」
声のする方向を向く。すると、周りの景色が森から町へ変わった。
「なるほど...幻覚か」
「ほほぉ、見抜けるようになったのですねぇ...」
相手は1人で、手品帽子みたいなのを被っていてスーツ姿だ。変な柄だけど。
「私は貴女を殺す為に雇われた者でございます。さぁ、私の幻覚に溺れるがいい!!」
「へぇ、私以外の術師かぁ...面白いね。さぁ、やろうか!」
術師vs術師。戦いの火蓋が落とされた。
...寒気は未だ健在だから早めに終わらせたいなぁ...。
訳が分からないとかありましたら是非感想とかでお知らせ下さい。分かりやすく訂正を出来たらしたいと思います。