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ひったくり事件解決後は何事もなく、結弦は無事スーパーでの買い物を終えていた。
「今日は安い店が近場で良かったな、遠くになると能力使ったりしないと時間が掛かるし、やっぱり楽に越したことはないな」
結弦は学園都市での超能力開発によって
しかし、その能力に頼りすぎるのは良くないと考えており、必要以上に能力を使用する事を避けていた。
故に今日みたいな近場で買い物を済ませられるに越したことはないのである。
「さて・・・」
目的も終え、後は自宅に帰るだけのはずなのだが、帰宅途中の人通りがない道に入った所で足を止め、振り返った。
「
結弦が背後に向けて話しかけたら、スッとスーツの男が姿を現した。
「お気づきとは思いませんでした」
「それはどうも、気づいたのはスーパーを出た辺りからですが、もしかしてもっと前からつけてました?」
「ご想像にお任せします」
「・・・失礼ですが、そもそもあなたはどなたですか?」
「私はただの代理人です、命を受け、お迎えに参りました、ご同行をお願い致します」
「代理人?一体どなたからの命ですか?」
代理人やら命令やらの単語が出てきたため、キナ臭さは感じながらも、とりあえず話を聞いてから判断しようと考え、先を促した結弦だったが、出てきた名前を聞き、軽い気持ちで聞いたことを後悔した。
「学園都市統括理事長である、アレイスター=クロウリーです」
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「それでは私はここで失礼します」
出てきた名前に驚いた結弦だったが、単純な詐欺等で騙すにしては向いていない上にそんな軽い名前でもなかったためにとりあえず男に従い、連れてこられたのは小さな廃ビルの一室だった。
「え?自分はどうすれば?」
「あとはそちらの女性が案内致しますので」
そう言って男がさした先には女性というよりは少女という言葉が似合う人物が立っていた。
少女は髪を後ろに束ねており、冬服の制服に袖を通してなく、上半身裸で、薄いインナーような布を胸の所に巻いているという特徴的な格好をしていた。
少女の格好を確認した上で、直視するのは申し訳なく思い視線を男の方に戻したが、その時にはもう男の姿はなかった。
(これはいよいよキナ臭いな・・・失敗したかな)
ついてきたことに改めて後悔し、今からでも退散しようかと考えていると・・・
「移動するから肩につかまってもらえるかしら?」
「あ、はい」
気づいた時にはどうにも後には引きにくい空気になっていた。
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結弦が少女の肩につかまった次の瞬間には、知らない建物らしき物の中にいた。
(テレポート?白井さんもテレポーターぽかったし、今日はやたら縁があるな)
「じゃあ帰る時にまた来るから」
「え?あ、はい。ありがとうございました」
結弦はあっけにとられながらもお礼を言うため声の方へ向くと、少女は何故か少し具合が悪そうにしていた。
結弦は大丈夫か尋ねようかとも考えたが、次の瞬間には、少女はいなくなってしまった。
一人になったため、改めて現状判断をしようと辺りを見渡していると違和感を感じた。
建物の中だろうとは想像は出来るのだが、窓もドアも廊下も階段も通気口も設けられておらず、密室状態なのだ。
しかしだからこそ納得出来ることがあった。
『窓のないビル』
学園都市第七学区に存在し、学園都市統括理事長がいるとされる建物である。
(しかし、統括理事会、それも理事長直々の呼び出しとは、悪い予感しかしないな~)
『学園都市統括理事会』
学園都市の運営に携わる、トップの十二人で構成されている委員会であり、学園都市のありとあらゆることを掌握している重要な人物達が所属している組織である。
そんな組織延いては学園都市のトップにあたる人物からの呼び出しなのである。
そんな憂鬱な気持ちでいると
「そんな所で立っていないでこちらへ来たらどうだ、
そんな自分を呼ぶ声の方見ると、赤い液体の入った円筒の筒の中に逆さになった人間がいた。
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「それで、理事長直々にどういった御用ですか、そんな悪いことした覚えはありませんが?」
「そんなに警戒しなくてもいい、どちらかというとそちらにも十分なメリットがある話だ」
「メリット?」
「私の目の代わりとして『観測者』なるつもりはないか?」
「『観測者』?」
「そう、見ての通り私はここから
「そこで自分にそのための目になって欲しいと?」
「察しが良くて良いことだ」
「・・・」
とりあえず要件を聞き、結弦は状況を考えていた。
唐突のことで要件整理をして考え纏めたいのだ。
確かに目の前の人間は
「2つ・・・いや3つ質問があります」
「なんだ?」
「1つ、なぜ自分に?」
「主な理由は3つある、1つは君の能力【
【
結弦が持つ超能力で本質は光の操作である。
汎用性は高く、光を自在に操ることにより、波長、波形等の操作によって、レーザーを作り凶器化させることや屈折率を操ることで自分の幻影や相手から見えなくしたりすることが可能とする。
ひったくり事件の際に消えたように見えたのは正にこれである。
「情報は集めてほしいが、あまり表だった行動は避けてもらいたい、そのために適しているということだ」
「・・・音は出ますよ?」
「それはやり方次第だろう」
「2つ目は?」
「超能力開発には、
「素養格付?」
「超能力者は予めどの程度成長が見込めるかが判明している、そのリストと考えれば良い」
「な!?」
「それにより、君は
「・・・」
「その成長を促すためと考えてもらってかまわない」
結弦はアレイスターの話に聞き驚いていた。
自分が超能力者になり得るということにも少なからず驚いたが、何よりも驚いていたのは素養格付の方である。
もし、そんな物が実在するのであれば、最終的に低レベルで終わってしまう学生の教育には力を入れず、高レベルに到達出来る学生に注力するという構図が出来上がってしまう。
つまり、能力者間の差が余計に広がってしまう。
それだけではない、仮に最終的に
学園都市に来る学生の中には超能力に憧れてくる者も少なくない。
にも関わらずその夢を大人達の都合で潰えさせ得るのだ。
「そんなこと自分に教えて大丈夫何ですか?」
「少しはこちらのカードも見せないと、信用も出来ないだろう?口外しない約束はしてもらうがな」
結弦はこの事実を受け入れられないと思ったが、だからと言って対応策がすぐに思い浮かぶはずもなく、今は目の前のことに集中することにした。
「・・・あと1つは?」
「君の性格、いや、性質といえば分かるのではないか」
「それも知った上での勧誘とは、随分いい性格してますね」
結弦はここまでの会話の中で目の前人間は見た目に反さず、不気味で底が知れないという感想と共に畏怖していた。
おそらくこの人は敵わないと、
「2つ目に、多分ですけど学園都市内部のことであれば、その役目
「その根拠はなんだ?」
「もし内部で必要なら、勧誘するのが今更過ぎる上に、自分のことをよく存じているようでしたので、まぁ、前任者がいた可能性も否定できませんが、仮に前任者や同じ役目の方が複数人いたとしても少々効率が悪そうなので、だったらもっと
「想像以上に頭が回るようだ」
「褒め言葉と受け取っておきます。ということは引き受けた場合学園都市外部が中心ですか?」
「いや、双方お願いするつもりだ、外部はもちろん、内部にしても私以外の目線と言うのは有意義なものだ、そして何よりそちらとしても
「・・・」
結弦は目の前の人間は、全てを知った上で話を持ち掛けていることを改めて実感していた。
その上で自分のことを利用しようとしているのだと・・・
「それであと1つの質問というのは?」
「あぁ、
「備えあれば患いなしというだろう」
結弦はこのアレイスターの答えを聞き、やっと同じ人間として付け入る隙を見つけた気がした。
「私の代わりといっても強制はしない、この場はもちろん、話を引き受けた場合でも、『観測者』としての仕事も含め拒否権及び、選択権もある、もし、『観測者』を途中で降りたいと思えば、好きな時に降りてもらっても構わない、基本ギブアンドテイクと考えればいい」
「ギブアンドテイクな割には基本的には同じ情報を共有するわけですから、こちらが弱い気もしますが?」
「無論、報酬も別に用意する」
「随分太っ腹な上に緩いですね、裏に何かあるんですか、もしくは
「どうだろうな」
「否定はしないのですね」
お互いの間に不穏な空気が一瞬流れたが、何事もなかったのように結弦は話を続けた。
「少し考えたいので、明日お返事しても良いですか?」
「かまわない」
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その後、テレポーターの少女に外に案内してもらい(帰りも体調のことを聞く前に行ってしまった)、今度こそ帰路についていた。
「『観測者』か・・・」
本日あったことを思い返しながら帰宅していた結弦であったが・・
「とりあえず・・・・疲れたから、明日改めて考えよう」
今日所は休むことにした。
まさか1人でもお気に入り兼評価をして下さる方がいるとは、驚きとともに、感激しています。
てりさん、ありがとうございます。
(評価してくださった方がいたから亀更新が出来なくなったなんて言えない・・・)