世界を紡ぐために   作:しまらくだ

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申し訳ありません、大変遅くなりました。





クローン

「この中だ」

「ありがとうございます、とミサカはお礼を告げます」

 

ガードマンと一緒にいた御坂美琴は案内より先程までいたはずの部屋に入り、機械の操作を始めた。

その一連を見守りつつ結弦は冷静さを取り戻しつつあった。

 

(御坂さんの訳ない・・・よね?ガードマンと一緒にいるのも変だし、服装も違う。本人の雰囲気も何か違う気がする。となると・・・)

 

ここまで考えると可能性は一つしか思いつかなかった。

 

(『妹達(シスターズ)』。つまりはこの人が御坂さんのクローン・・・)

 

そう結論付けてから結弦は改めて目の前の少女を注視する。

 

(・・・どこから見ても普通の人間にしか見えないな・・・人間のクローンなんだから当たり前と言えば当たり前なのか?)

 

知識としてはクローンというものを理解できている。

山羊などの動物のクローン自体は様々な実験でも使用される事例はみたことがある。

しかし、人間のクローンは現在違法である以上基本見るのは初めてなのだ。

基準がない以上は目の前の少女を基準とするしかないのだ。

 

「おーい、作業はどのくらいかかるんだ?」

 

部屋で作業をしている少女に、外で待機しているガードマンが話しかける。

 

「完全消去まで四二・二八秒、とミサカは正確な時間を報告します」

(データの消去に来たのか)

 

目の前の少女は部屋の機械類から先程美琴と結弦が見ていた『妹達』に関するデータの消去に来たようだった。

考えてみれば当然である。

本当に『妹達』だけで終わらないしろ終わるにしろ『妹達』計画は凍結されたのだ。

違法である人間のクローンを生成していた事が表沙汰なる事はマズい。

故にデータを消しに来たのだろう。

結弦はすでに実験の概要は確認したので、最悪消されても問題ない。

今はそんな事よりも・・・

 

(これでクローンの存在はほぼ確定。しかし、逆に他に()()()()事も濃厚になってきたかな)

 

報告書から見ても『妹達』はここ最近での実験ではない。

それなのに、この場に存在しているのだ。

何か他の用途があると考えるのが自然だろう。

 

「・・・お待たせ致しました。データの消去が完了しました、とミサカは報告します」

「お!終わったか。じゃあ、ついて来てくれ」

 

そうこう考えている間に目的を終えたようで、ガードマンに連れられ、部屋を離れていく姿を見て、結弦は考えるのを一先ずやめ後ろからその姿を追った。

 

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「想定より少々遅くなってしまいましたね、とミサカは夜空を見ながら一人言を呟きます」

(・・・)

 

現在結弦は件の少女について街中を歩いていた。

元々結弦にとってセキュリティでの問題は電子錠だけであった。

侵入の際の行きは美琴がいたために問題はなかったが、別に電子錠さえクリアすれば美琴でなくとも問題ない。

目の前の少女はガードマンからゲストカードを渡されており、目的が終われば施設から出て行く立場のはずだ。

そう考えたのもあり、脱出する美琴にはついて行かずに少女の方についた。

実際結弦は無事施設から出られており、現在に至る訳だが・・・

 

(しかしどうしたものかな。多分まだ存在はバレていないからこのままつければ目の前の少女が本当に『妹達』なのかも含めて、何が目的かを知れる可能性は高い)

 

結弦はすでに実験は『妹達』だけで終わらないとほぼ確信していた。

冷静に考えればそのヒントもあったのだから当然である。

先程美琴と布束砥信(ぬのたばしのぶ)の会話の中でマネーカードを撒く事で()()()()()()()()()()と言っていた。

もし実験がクローンを作る事であるならばそんな事で阻止できるはずもない。

ならば、その先の実験を止めるための行動のはずだ。

結弦としては『妹達』でさえあまり快くは思っていない。

しかしだからと言ってすでに生まれて来たクローンをどうこうしようとは考えていない。

『妹達』というクローン計画を良く思っていないだけで、クローン自体には罪はないと考えている。

だが、それはあくまで結弦の考えであり、学園都市がそんな考えだとは思っていない。

学園都市の闇ならば、目的のためならばクローンはおろか人間ですら切り捨てかねない。

『妹達』にその先にある実験がそんな実験であるなら止めたいし、止めるべきなのだが・・・

 

(そもそも目的を知れたとして()()()()()()()()()()()()()。何よりこのままつけたとしても目的が知れるかも疑わしいところでもある)

 

少なくとも今までアレイスターに隠されていたのであろう計画である。

部分的には見えてきた今であっても、アレイスターからはともかく学園都市全体が情報開示したとはとても思えない。

ならば、何かしら対策がされている可能性も十分にある。

更に言えば、情報開示をしたのであろうアレイスターにしても、今まで通りの行動をしていてはいつまでたっても()()()()である。

 

(虎穴に入らずんば虎子を得ずとも言うけど・・・自分が出来る行動なんてたかが知れてる。どう動こうが想定の範囲ないではあるだろうけど、そろそろ地道に小さな抵抗をしていく事にしますかね)

 

そうして、結弦は今日の所は帰路につくことした。

 

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「別の道を取ると言っても、問題は今が夏休み中だってことだよな~」

 

翌日、結弦はとある建物の前に来ており、その建物には風紀委員(ジャッジメント)九一支部と書かれていた。

ここに来たのは情報収集のためだ。

というのが、今回の事の詳細知るために昨日見たクローンではなく布束砥信、何か事情を知っているらしい彼女を当たってみる事にしたためである。

 

(確実に会う手段がないのが問題だよな。あまり巻き込みたくはなかったけど、仕方ないか。これ以上後手に回るのは避けたい所だし、自身の手持ちがない以上使える手札は使うか。幸い今回は自分個人での動きだから向こうにかかるリスクも低いだろう)

 

 

長点上機学園はエリート思考も非常に高く、そのためにセキュリティも非常に強固な物であり、一部では軍事施設にも引けを取らないとまで言われている。

現状手札が少ない結弦ではそんな学校の生徒について調べるのは難しい。

故に風紀委員の情報網を利用させてもらおうと考えたのだ。

結弦が建物の中に入って行きドアをノックするとすぐに返事と共にドアが開いた。

 

「お~来たか。まぁ入れ」

「急に悪いな、古鉄」

 

中から出てきたの昨日も会った風紀委員の古鉄だった。

 

「気にするな、昨日の今日で情報提供が貰えるなら有難い限りだ」

 

今回のこの件に関してはアレイスターからの依頼ではないため、そちらを頼る手もないわけではないが、学園都市の闇が関わって来る事であまりアレイスターを頼るのは得策とは思えない。

何よりアレイスターに借りになるような事柄は避けるべきだと考えていた。

今欲しい情報はあくまでいち学生の居場所なのだから風紀委員で事足りると考えた訳である。

 

「今日はお前一人?」

「いや、あと一人いるが今は出てる」

 

中に通された結弦はソファーに座るように促され、しばらく待っているとお茶を出される。

 

「よかったのに」

「そういう訳にもいかないだろう。で、早速で悪いがマネーカードをばらまいている人物を見たってのは?」

 

マネーカードがばらまいて件。

結弦がこの場に来る前に古鉄に伝えたのはその件だった。

風紀委員が動くほどの事柄になっているのであれば、十分に価値がある情報である。

その犯人を見たと言えば協力を促せると考えたのだ。

友人を利用するようで申し訳ない気持ちはあったが、互いに利益があるのだから許して貰おうと心の中で言い聞かせていた。

 

「実は・・・」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「それではご注文が決まりましたらお呼び下さい」

 

ウェイトレスはメニューを渡し、席から離れて行った。

 

「注文は()()()()が来てからの方が良いか?」

「まぁ、すぐ来ると思うしそれでも良いんじゃいない、任せるよ」

 

結弦は古鉄と一緒にファミレスに来ていた。

と言うのも・・・

 

「いらっしゃいませ~」

 

店員達のその声に反応し、入口に目を向けると二人と待ち合わせしている人物の姿があった。

 

「布束さん。こっちです」

 

名前を呼ばれ布束が席へと近づいてくる。

 

「sorry、待たせたかしら?」

「いや、今来たところなんで大丈夫です」

 

形式的とも取れる挨拶と注文を済ませ、一呼吸置き古鉄が本題に切り出す。

 

「さて、布束砥信さん。急にお呼び出しして申し訳ありません。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が、近頃話題になっているマネーカードの件を確認させていただきたいのですが・・・」

 

古鉄が言った通り、呼び出したのは古鉄であるが、実は直接連絡したのは別の人物であった。

元々風紀委員が学園都市に住む学生達によって構成される治安組織である。

ならば、長点上機学園の生徒で風紀委員を行っている学生もいる。

風紀委員というネットワークの中でそこを利用したのである。

当の本人は何やら都合が合わないとのことでこの場にはいないのだが・・・

 

「・・・why、どこでそれを?」

「こいつから聞きました」

 

そう言いながら古鉄に刺されたため、結弦は軽く会釈して返す。

 

「昨日あの場にいた件は言いましたよね?その過程というか原因を見てたので。現在ちょっとした問題になっている事はこの古鉄から聞いてたので、余計に心配だったんですよ」

 

結弦は布束に対し、補足説明をする。

決して嘘は付いていないし、矛盾点等も生じないはずである。

 

「・・・ok、それで具体的な内容は?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「今日はお忙しいところありがとうございました」

「元はと言えば私が撒いた種でしょ?問題ないわ」

「そう思うのでしたら今後は控えて下さいよ」

 

三人が話し合いを終え、ファミレスを出た頃にはもう夕方になっていた。

 

「・・・そうね、研究者として言えば少し不満がないと言えば嘘になるけれど、今後は自粛するわ」

 

結果から言えば、()()()()()との事だった。

布束は専門とする生物学的精神医学の分野における精神面での変化を確かめるために、マネーカードをばらまいた上での人々の反応及び経過の観察を行っていたとの説明をされた。

彼女は研究者として名を挙げた学生の一人だ。

しかし、マネーカードをきっかけに暴力沙汰にまで発展しているとなれば考える必要があると思ったのだろう。

研究者という人種上研究の妨げなる事は許容されない可能性考えていたが、その辺りの事も考えられる常識は考慮出来るようであった。

 

「では、風紀委員各所への報告があるので俺はこの辺で。もしかしたらもう一度くらい事情聴取あるかもしれないので頭に入れといて下さい」

「・・・面倒ね。however、仕方ないわね」

「空目もありがとな」

 

古鉄はそう言い残し行ってしまったため、結弦と布束だけがその場に残る。

 

「「・・・」」

 

少しの間沈黙が続いたが・・・

 

「why、火事の事を言わなかったの?」

「特に言う必要を感じなかっただけです・・・って言うのもありますが、もう一つの理由が本題なのが若干いやな所ですね」

「もう一つの理由?」

「ええ。この後もう少し時間ありますか?」

「・・・何でかしら?」

「実はもう一つ訪ねたい事があります」

「?」

 

布束は結弦の目的が掴めず首を傾げていた。

結弦はそんな布束の目を見据えはっきりと告げた。

 

「『妹達』についてです」

 

結弦の発言を聞き布束は目に見えて驚いていた。

 

「あなた一体どこでそれを・・・もしかして御坂美琴?but・・・」

「自分が知っている事や経緯はお話します。その代わりに布束さんが知っている事を訪ねたいんですよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

結弦と布束は人気のない公園に来ていた。

先程までファミレスにいた以上再び入るのは不自然だし、もう夕方である。

本人達が気を配ればそうそう他人に聞かれる事もないからだ。

 

「それであなたはどこで()()()の事を?」

「知ったのは昨日()()()()()()()()()()()ですよ」

「why、どういう事?」

「答えはこれです」

 

結弦は右人さし指立て、光源を作り出した。

 

「専門じゃなくても、あなたならこれで分かりますよね?」

「・・・光・・・もしかして初めからいたの?」

「ご明察です。あの場で嘘をついたのは気まずかったからですね」

「・・・」

「どうかしました?」

 

布束は何かを考えているようであったため、どうしたのかと思い確認を取る。

 

「あなたが最初からいたのであれば御坂美琴との会話で実験に関する事を断片的に聞いていたというのは分かるわ。but、それでは本題である『妹達』の説明がつかない」

「・・・自分の能力は正式名称は【光源操作(トリックライト)】と言います。その本質は光そのものの操作です。つまりは自分に当たっている等の制限はありません。流石に距離的な限界はありますがね。ってここまで言えば考えられる可能性がありませんか」

 

結弦はそう問いかける。

布束は再び考えて数秒の後・・・

 

「surely、私が燃やした資料を見た?」

「ご明察です」

 

結弦は布束に笑みを浮かべながらそう返しながらも・・・

 

(良かった。どうやら()()は成功みたいだな)

 

内心安堵していた。

というのは結弦は燃やした資料の内容など見ていないからだ。

布束に説明した通り、能力を用いれば内容を見ること自体は可能だ。

そこは決して嘘ではない。

しかし、あの場ではそんな事をする前に資料を燃やされており、内容を見ることなく終わったのだ。

故に賭けに出たのだ。

燃やされた資料に『妹達』の事が書かれていたという賭けに・・・

結弦の中で()()()()()()()()()()()()は考えてはいたのだが、この方法が総合的に勝算が見込める上で、リスクが少ないと判断したのだった。

 

「well?何が目的?」

「目的ですか・・・」

「その事を教える代わりに教えてもらいたいのではなかったの?」

「そうですね。彼女達は何者ですか?っていうよりは実験って何ですか?」

「・・・」

「【妹達】自体は【超電磁砲】こと御坂美琴さん、というか超能力者(レベル5)の量産が目的である事は知っています。でもそれだけではないですよね?」

「根拠は?」

「それだけだと昨日あなたが御坂さんと話した時の死角を潰す意味があるとは思えない。そもそもクローン自体に思う事はありますが、それだけなら実験自体を止めようとする意味が研究者としての立場上あまりないと思いますから」

「・・・それ以上のものが潜んでいたとして、あなたはどうするつもり?」

「内容にもよりますが、多分実験を止めにかかると思います」

「それならやめておきなさい。会話を聞いていたなら知っているでしょ?御坂美琴、超能力者でもどうにもならないと言ったはずよ。あなたどんなに良く見積もっても大能力者(レベル4)が限界でしょ。たかだかその程度の()()()が首を突っ込んでどうにかなるレベルの話ではないわ」

「でも、あなたはどうにかしたいとは思ってるんですよね?それなら多少なりたとえ一%未満でも解決の確率を上げる手札を増やすのは悪くはないと思いますが・・・」

「現実問題どうにか出来るとは思ってないわ。ただ、私の気持ちを晴らしたいだけよ」

 

そう言い布束は背を向けた。

 

「こちらが教えた事に対する見返りを頂いてませんが?」

「そうね。but、教えてくれたらこちらも教えるとは言っていないわ。それで納得できないなら、忠告が見返りと思っておきなさい」

 

そう言い残し布束は歩を進め始めた。

 

(やっぱり『観測者』という立場を利用すべきだったかな?)

 

結弦がもう一つアプローチ方法として考えたのが、実は『観測者(それ)』だった。

『観測者』は統括理事長(アレイスター)に直接繋がっている存在である。

しかし、表立っていない存在であろう事から信じてもらえるかの問題があり、仮に信じてもらえても結弦がそうであると証明する手段がない。

そもそも、他人に話した場合にアレイスターが流石に黙っていない可能性だってある。

そう考えた場合、あまりにリスクが高い。

 

「全く立場上の制限が多いな」

 

そう愚痴をこぼしながら布束の背を見送っていた。

 

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布束を見送り、一人になった結弦は今後どうしようかと考えていた。

 

(さて、これで自分が()()()使える有効な手札はもうない気がするけど、このまま引き下がる訳にもいかないし、なによりほっといたらいけない案件だと思うし・・・)

 

結弦はその場で考えをまとめ、そして・・

 

(まぁ、仕方ないパトロール作戦かな。多分自分の想像通りであれば、()()()()()()()()()()()()と思うし、あまり頼ってこれ以上後手に回りたくはなかったんだけど、置いて行かれるよりはマシとみる事にしますか)

 

 




本当に大変遅くなり申し訳ありませんでした。
リアルでいろいろ変化があり、執筆どころではありませんでした。
本当はもう少し先まで書くつもりでしたが、さらに遅くなってしまいますし、自分の未熟さで相当長くなりそうだったのでここで区切りました。
リアルの関係上少なくとも今年いっぱいは月一くらいになるかも知れませんので、気長に待っていただけると幸いです。

ここからは雑談を・・・
三期観て地味に一番の印象が、「幻想殺しの音変わった?」でしたww
そして、超電磁砲三期に一方通行アニメ化と急にいろいろ賑わって来ましたね。
超電磁砲と一方通行の執筆については前に活動報告で書いた通りの予定ですが、超電磁砲は原作の次の話が自分が聞いていた物と違うっぽいので、出来ればやろうとは思ってます。
ただ、実はあの時系列の話は構想上実は少し不都合があるかもなんですが、そもそもそれまで執筆を継続しているかも分かりませんし。

ここまでのこの小説はあまりオリジナリティーがないとは思いますが、いくら基本原作沿いでもこのままのつもりは当然ないです。
あるタイミングからきちんと結弦が本編にも関わって行く構想はしてますが、今はそのための伏線作り等をしている状態です。
それをしっかりしたいのもあり、旧約の初めからしっかり書きたいってのもあったので。
しかし、構想だけが溜まっていっていてどうにかはしたいとは考えていますが、なかなか難しい現状です。

ペースが遅く申し訳ありませんが、自分のペースで書いていきたいと考えていますので、どうぞご理解の方をよろしくお願いします。
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