結弦は芹亜と別れ、昨日の廃ビルに来ていた。
廃ビルに到着すると、窓のないビルへ案内を行ってくれていた少女が暇を持て余しているかのように懐中電灯をくるくると回していた。
「すみません、お待たせしました?」
「さっき来たところだから、気にしなくていいわ」
少女にそう答えられ、それが本心か社交辞令かは判断が付かなかったため、それ以上はこちらも気にしないことした。
「そんなことより早くつかまってもらえるかしら」
「・・・」
「どうしたの?そのために来たのではないの?」
「大丈夫ですか?」
「?。何の話?」
「いや、昨日テレポート後に少し具合が悪そうに見えたので」
「・・・問題ないわ」
「そうですか、それなら良かったです」
一瞬間があったため、おそらく本当は何かあるのだろうとは思ったが、本人が言おうとしないことをこれ以上は聞かないことにした。
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「すみません、お待たせしました」
「何、具体的に時間の指定をしていたわけではないだろう」
「そう言って頂けると幸いです」
結弦はやり取り後、緊張を少しでも解くために小さく深呼吸をした。
今までを考えればおそらくそんな結弦の心情は見透かされている。
しかし、例え見透かされていようが、結弦にとって今から
「さて、それでは返事を聞かせてもらおうか」
「・・・ご提案頂いた『観測者』の件ですが、お受けします。ただし・・・」
目の前の人間は一体どこまで理解した上で、どこまでが計算なのか、そして、どこまでどうやったら掌で踊らされるだけの人形を脱出出来るのか、それを知る必要がある。
それためには、相手の思惑を、手持ちのカードを探る必要がある。
故に一度人形に堕ちるのだ。
しかし、ただで堕ちるつもりは無い。
「改めて内容を確認したいのと、
「条件?」
「あれ?一応そちらから持ち掛けられた話ですし、そういったことの出来る立場な気もしますが?」
「こちらは依頼ではなく、提案をしたつもりだったのだが」
「そちらが断った場合は、お互いに対してのメリットが一つ減るだけですよ」
「・・・」
「・・・」
まるで、お互いに探り合うような沈黙が続いていたが・・・
「ひとまず聞くだけ聞こう」
「ありがとうございます」
結弦は内心、一安心していた。
「それで具体的な内容は?」
「その前に確認したいのですが、仕事は内外問わない上で、仕事に対して拒否権及び、選択権もある。そして『観測者』を途中で降りたいと思えば、好きな時に降りられる。で、相違ないですか?」
「ああ、間違いない」
「途中でなかったこととかにしないですよね?」
「心配しないで良い、約束しよう」
(問題はここからだな)
結弦は改めて一呼吸おいてから話すを切り出した。
「さて、では本題の条件ですが、一つ目に
「・・・」
「そちらのカードも見せるとのことですが、証拠が欲しいのですよ。見せてもらうだけで構いません」
「もう一つの条件というのは?」
「別に報酬も頂けるということでしたが、場合によってこちらから提案しても良いですか?」
「全てを聞けるとは限らないが?」
「構いません。そのための選択権であり、拒否権ですよね」
本当は他にもいくつか出したい条件はある。
しかし、先ほどアレイスターが言っていた通り、されたのはあくまでも提案だ。
あまり、条件を出すと向こうが引くことも十分に考えられる。
メリットが1つ減るだけとは言ったが、結弦にとっても願ってもない話である。
しかし、アレイスターにとってもこのタイミングで結弦に提案してきたことには、少なからず
そう踏んでいるからこそ、交渉をしようと考えたのである。
「それで返答は?」
「・・・良いだろう、その条件を飲もう」
「交渉成立ですね」
結弦はアレイスターからの返事を聞き、内心ほっとしていた。
「それで、引き受けたはいいですが、まず何をすれば?」
「今現在、取り急ぎは特にない、依頼をすることがあれば改めて呼ぶ」
「つまり、まだ自由していて良いと?」
「そういうことだ」
「そうですか、
「数日もらおうか、
「そうですね」
そう言い、結弦は男に背を向けようとたが、思い出したかのように向き直し、頭を下げた。
「改めて宜しくお願いしますね」
「ああ、よろしくお願いするよ」
「
そう言い、今度こそ背を向けた。
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あの後すぐに、少女が現れてくれたため、廃ビルに戻ってきていた。
「何度もすみません。ありがとうございます」
「大したことではないわ」
少女はもう用はないという感じで踵を返そうした時
「すみません、お名前聞いてもいいですか?」
「・・・何故?」
「いえ、今後もお世話になることになったので、お名前くらいは聞いておこうかなと」
「そう、でもただ案内するだけでしょ?馴れ合うつもりはないわ」
そう言い残し、今度こそ踵を返し行ってしまった。
結弦は少女が行ってしまったのを見届け、ようやく緊張を解いた。
「ふ~、何とか最低条件はクリアかな」
そう言いながらも、ここからがようやくスタートラインだと言うことは誰よりも自身が自覚していた。
(多分、こっちが出した条件も見透かされてた可能性も高いけど、そうであったとしてもただ掌で踊るつもりは全くないですよ、統括理事長、いや、アレイスター=クロウリーさん)
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結弦が案内人に連れられ戻っていった後に、一人になった部屋の中でアレイスターは思案する。
(多少遅れはしたが、観測者及び【
そう言う、アレイスターは薄い笑みを浮かべているようであった。
(さて、そろそろ
それぞれの思惑を胸に秘め、運命の歯車がゆっくりしかし確実に回り始めていた。
これにて、観測者編終了です。
次回から原作本編に突入します。
まさかのお気に入り登録の増加で驚く日々です。
魁華さんご登録ありがとうございます。
本当に小説家を目指しているわけでもなければ、そういった本も読んだわけでもない人間の駄文に対し感謝しかありません。
今現在はモチベもそれなりにあるため、そこそこのペースで更新も出来てるので、亀更新タグを消しました。
ただ、元々は出来て週1、通常は隔週が妥当かなと思い、始めた執筆なので、あまり期待はしないでください。
少し話の展開がくどかった気がしなくもないですが、大目に見て下さると幸いです。