世界を紡ぐために   作:しまらくだ

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実は昨日一度アップしたのですが、重大なミスがあったため、上げ直しです。

申し訳ありません。


魔術師

ジリリリリリ!!

 

「!?」

 

インデックスを()()するためにステイル=マグヌスが手を伸ばそうとしたとき、火災報知器のベルが鳴り始め、次の瞬間スプリンクラーが作動し水の雨が降り始めた。

 

「まさか・・・・」

 

騒ぎを聞きつけ、人が集まって来ると厄介なので、()()()はしてある上に、ベルが鳴ると後々に面倒が増える可能性もあるため、『魔女狩りの王(イノケンティウス)』には警報装置(セキュリティセンサー)に触れないように命令文を書いてある。

となると、上条当麻(かみじょうとうま)が火災報知器のボタンを押したのだろう。

 

「・・・」

 

ステイル=マグヌスは馬鹿馬鹿しくて笑いも起らなかった。

確かに『魔女狩りの王』は炎で構成されている。

しかし、摂氏三〇〇〇度という高熱な炎を用い非常に大きな塊で構成される。

スプリンクラー程度の水で簡単に消える物ではない。

その上、ルーンを用いて魔術である。

つまりはこの程度ではどうにかなるものではないである。

 

「そんなつまらない理由でびしょ濡れされたのか」

 

寧ろ逆に対策所かステイル=マグヌス反感を買っていた。

大した意味のない、ほぼ無意味なことのためにびしょぬにされたである。

腹が立っても当然である。

 

そこで、エレベーターが上がってくる音が聞こえた。

ここで、ステイル=マグヌスには疑問が生じた。

付近には人が来ないように()()()をしている。

ならば一体誰が?

もし、ここに来られるとしたら自身と目の前の少女を除けば元から範囲内いる()()しかいないはずである。

しかし、一人は非常時のために控えているはずだし、もう一人は魔女狩りの王(イノケンティウス)に追われているため、エレベーターを使ってここまで来るなんて余裕はないはずだ。

 

そこまで考えた時、エレベーターの扉が開き、中の人が姿を現す。

そこには、『魔女狩りの王』に追われているはずの上条当麻が立っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「『魔女狩りの王』はどうした?」

 

ステイル=マグヌスは困惑していた。

先程の説明した通り、今降っているスプリンクラー程度でどうにか出来る『魔女狩りの王』ではない。

にもかかわらず、今目の前に歩いてきている少年は一人で歩いて来ているからである。

 

「・・・ったく参ったぜ、アンタすげぇよ。正直ルーンってのがナイフか何かで刻まれてたら勝ち目ゼロだったよ」

「まさか!三〇〇〇度の炎の塊が、こんな程度で鎮火するものか!」

「ばーか!炎じゃねぇよ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

ステイル=マグヌスは思い出す。

『魔女狩りの王』のために学生寮に仕掛けたルーンはコピー用紙だったことを・・・

ステイル=マグヌスは顔を痙攣させながらも叫ぶ。

 

「『魔女狩りの王』!」

 

叫んだ瞬間、上条当麻の背後から、炎の巨神が通路に這い出てきた。

 

「は、はは、あははははは!君ってば戦闘センスの天才だね!だけど経験が足りないかな、コピー用紙ってのはトイレットペーパーじゃないんだよ。たかが水に濡れた程度で、完全に溶けてしまう程弱くはないのさ」

 

余裕と取り戻したステイル=マグヌスは告げる。

 

「殺せ」

 

『魔女狩りの王』は、その腕をハンマーのように振り下ろしたが・・・

 

「邪魔だ」

 

上条当麻は振り返りせずに、右手で薙ぎ払うと、『魔女狩りの王』は今度こそ吹き飛ばされた。

 

「な!?」

 

ステイル=マグヌスは驚きで一瞬心臓が停止していた。

それほどまでに想定外の出来事だったのだ。

 

「馬鹿な!僕のコピー用紙(ルーン)は死んでいないはずなのに・・・」

「インクは?」

 

上条当麻の言葉をすぐに理解出来なかった。

 

「コピー用紙は破れなくても、インクは落ちちまうじゃないか?・・・それでも全て潰すことは出来なかったみたいだけどな」

 

よく周りをみると『魔女狩りの王』の破片がもぞもぞと動いていた。

それが、時間が経つ度にその欠片が減っていき、そして消えた。

 

「い、いのけんてぃうす・・・『魔女狩りの王』」

 

まだ、現実を受け付けられずに叫ぶ。

 

「さて、と」

 

上条当麻が一歩一歩近づいてきているのを自覚し、炎剣を出そうと唱えるがどこか覇気がない。

 

そして、上条当麻は駆ける。

決意を込め、強く握られた右こぶし。

一人の少女のための一撃が炸裂した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

警報ベルが鳴っているため、近いうち人が集まって来る。

その時、血だらけの少女までいたら大騒ぎになる。

インデックスが学園都市の住人あればまだ問題ないが、彼女は外の住人で、そんな人間が入院したとなれば、おそらくすぐに情報が漏れる。

そうなれば、敵にまた追われる。

そのため、上条当麻はインデックスを担いで学生寮を離れようようとしていた。

 

「・・・」

 

倒れている魔術師のことも一瞬目に入ったが、相手は組織だ。

次の敵が来たら面倒な上、そもそも二人を担いで降りるのは難しいため、そのまま置いて降りることにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

結弦は降りて行った上条当麻の後ろ姿を見届け、倒れている魔術師は自分が運ぼうかと振り返った時、人影が降りてきた。

 

日本人の女性だった。

ステイル=マグヌスが非常に長身だったため、すぐ後に見ても気づきにくいが、日本人の女性平均からすれば十分に長身だろう。

腰まで届く黒髪のポニーテールに日本刀を持っていた。

 

(仲間の魔術師だよね?)

 

「まさか、やられるとは思いませんでした」

 

そう言いながら、ステイル=マグヌス傍で屈んだ。

 

「しかし、あの少年は一体?」

「【幻想殺し(イマジンブレイカー)】って言うそうですよ。あの右手」

「!?」

 

魔術師は驚いた様子で、警戒も強めたようであったが、結弦は続けた。

 

「落ち着いて考えれば、組織で動いている以上当たり前ですね。非常時に備えてたんですよね?」

「・・・」

「違いました?」

「あなたは?」

「すみません、空目結弦(うつめゆづる)と言います。詳しくは言えませんが、ちょっと事情があり、一部始終を見てた者です」

 

いきなり姿を現せば警戒されるのも当然なため、出来る限り敵対するつもりがないことが伝わるように話しかける。

『観測者』である以上、姿を見せるか悩んだが、相手は今回の依頼外の人物な上、学園都市外の人物である。

()()()()()()()()()()()()()()()は少しでも情報が欲しい。

それにアレイスターが自分にこの依頼をした以上、この程度はおそらく()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と予想した。

それを確かめる意味でも話しかけたのだが、どうやら想定内だったようだ。

 

「あなた()()()()()()()()?」

「え?」

()()()を使っていたはずですが・・・」

()()()?」

 

結弦が相手の発言の意味がイマイチ分からないでいると、魔術師の視線が結弦の胸元に向かっていた。

 

「それは・・・・」

「このネックレスですか?」

 

魔術師が指したのは、今回の依頼の前報酬として貰った天然樹脂であった。

実は貰った天然樹脂の入っていた箱の中には首に掛けられるようチェーンのついたケースも一緒に入っていたため、ケースに入れ、ネックレスとして持ち歩いていた。

 

「・・・霊装ですか・・・」

「れいそう?」

「いえ、あなたそれをどこで?」

「・・・人から貰いました」

「・・・」

 

魔術師は何やら納得したのか、少しばかり警戒が薄くなった気がした。

 

「学園都市の住人のようですが、なんの用ですか?」

「いえ、魔術師に初めてお会いしたので色々と詳しいことが聞けたらと思ったのですが・・・難しそうですね」

「・・・そうですね、敵という印象は受けませんし魔術師でもないようですが、だからこそ信用出来ない部分もあるので」

 

そう言いながら、魔術師はステイル=マグヌスを担いだ。

 

「せめて1つだけ良いですか?」

 

結弦がそう言うと魔術師は行こうとしていた足を止めた。

聞く耳を持たないわけではないようだ。

 

「彼女、インデックスさんでしたっけ?すぐに追うんですか?」

「・・・」

 

魔術師は答えるべきか悩んだのか、少しの間の後・・・

 

「いえ、少し様子を見ます。事を大きくしたくはありませんし、我々も彼女を傷つけたい訳ではありませんから」

 

おそらく、忠告も含まれているのだろう。

他者に口外するなという・・・

 

「そうですか」

 

結弦がそう言うと、そのまま魔術師はどこかはどこかへ行ってしまった。

 

行ってしまった方向を眺めつつ、思案する。

 

(れいそうね・・・魔術側の物かな。なんでそんな物を持ってるのか、多分教えてもらえないだろうな)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、間もなくして学生寮に人が集まって来ていた。

おそらく、()()()という物は解かれたのだろう。

上条当麻(かみじょうとうま)は人目につかない場所へ少女を運んだ後に、どうしたら良いか尋ねた所、どうやら傷を治す手段はあるらしい。

しかし、彼の【幻想殺し】に関わらず、()()()()()()()()()使()()()()()()()

魔術は超能力と違い才能のない人間が使えるように出来た物だから、才能を目覚めさせる教育を受けた者には使えないと・・・

 

「ちくしょう、ここは学生の街で学生は全員超能力開発を受けてるんだぞ・・・」

 

と、そこで気づく。

才能を目覚めさせる教育を受けた者に使えないなら、()()()()()()()()()()なら良いことに。

 

「おい、魔術ってのは才能がない人間なら誰でも使えるんだったな?」

 

そう少女に確認を取り、目的地へと駆けて行った。

 

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(さっきのやり取りから先生等を当たるんだとは思ったけど、あの人本当に先生だったんだな)

 

結弦は場の違いな感想を抱きながら事の顛末を見届けていた。

上条当麻が向かったのはとあるアパートだった。

そこまでは良かったのだが、そのアパートから出てきたのは、小学生にも見える()()だった。

結弦自身は、彼女の事自体は既に知っている。

上条当麻の学校で教鞭を振るっていた人である。

しかし、どこから見ても教師に見えないのである。

そんな事を頭の片隅で考えていたが、今はそれ所ではないため、すぐに気持ちを切り替えた。

 

「先生、俺救急車読んで来ます。先生はこの子の話を良く聞いて、お願いを聞いて・・・とにかく絶対意識が飛ばないように。この子この通り宗教やってるんでよろしくです」

 

それを聞くと先生と言われたいる女性はコクコクと頷いていた。

その後、自身にもなにか出来ることがないか訪ねていたが、【幻想殺し】があると帰って邪魔をしてしまうとのことで上条当麻は救急車を呼んで来る旨を伝え部屋から出て行った。

 

(この状況なら対象側は特に何もなさそうだし、こちらを見届けた方が良いかな)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(魔術って超能力より便利な気がするな)

 

それが、一部始終を見た結弦が抱いた素直な感想だった。

上条当麻が部屋を出て行った後、インデックスが指示した通りに何やら準備を終えると、部屋のなかで()使()なるものを出現させたかと思えば、その後には彼女の傷は一先ずふさがっているようであった。

 

(基本的には誰でも使える上に、おそらく使用能力の数が()()に限られないときた)

 

超能力は基本的に一人一つの能力とされており、多重能力者(デュアルスキル)は理論上不可能とされている。

しかし、魔術にはそれがないように見えたのである。

 

(さて・・・)

 

結弦は、これから調べていかなければならない事を頭の中で思い浮かべながら携帯を取り出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「一体どうした?」

 

学園都市の窓のないビルでアレイスターは電話を受けていた。

 

「どこまで計算ですか?」

「何の事だ?」

「・・・どこまでが本音なんだか」

 

結弦はダメ元で聞いてもみたが、予想通りはぐらかされたため、これ以上は無駄だと考え、自分で本題に入ることにした。

 

「少し依頼から離れたいので、その連絡です。依頼内容上問題ないですよね?」

「ああ、問題ない」

「再開するタイミングは連絡頂けると有難いのですが・・・」

「そういう依頼だ、問題ない」

「・・・信用して大丈夫なんですよね?」

「その点は信用してもらって問題ない」

「・・・」

「信用出来なくとも、どのみちこちらのタイミングは仕事をしてもらう」

「そうですね、ではお願いします」

 

そう言い通話は終わった。

 

「信用していいさ、【光源操作(トリックライト)】にはある程度情報を与えなければならないからな」

 

その呟きだけが、建物内に響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の改変についての説明を

人払い→原作限りでは、人払いを使ってなかった可能性もありますが、使ってた方が自然な気もするので、使っていた設定にしてます。

神裂について→当麻はインデックスしか運んでなさそうでしたが、ステイルが学園都市に捕まってるわけがないので、監視役がいた方が自然だと思いました。ステイルが言っていた二人は当麻と神裂のことで結弦は含まれていません

かそくしまーすさん、たこやき食べたいさん登録ありがとうございます。

やっと神裂登場ですね。
しかし、膨れること確定ですね、申し訳ありません。
あんまりぐだりたくはないのですが・・・
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