ワルツにのってみんなでおどろう!
さあ!夢の世界へ!
少女はランランランと歌を口ずさみながら歩いています。
お気に入りの赤いお洋服にパンとぶどう酒を入れたかごをもって森の動物たちとピクニック。
少女はいつも楽しそう。
少女の歌う歌にみんな集まって輪になってワルツを踊ります。
お腹がすいたらみんなが持ち寄った森の果物と少女のかごのパンとぶどう酒でお昼を食べます。
鳥もキツネもたぬきもうさぎもいのししも…、ほがらかな少女を森のみんなは大好きです。
楽しくみんなと過ごしている少女を木陰からじっと見つめている誰かがいます。
誰かに気づいた少女は彼も輪に入るように声をかけます。
「おおかみさん、おおかみさん、あなたも一緒に踊ろうよ!」
そんな少女におおかみは牙をむこうとします。
「何を言うんだい?お嬢ちゃん。俺はおおかみ…お前ら全員食ってやる!」
はらぺこおおかみはそうやってみんなをおどかします。
森の仲間たちはおおかみの怖さを知っているのでみんな散り散りに逃げようとします。
ただひとり、少女だけがおおかみにむかって歩いていきます。
「おおかみさん!一緒に踊ろ!」
少女はおおかみの手をとってワルツのステップを踏みます。
おおかみもつられてステップを踏み出します。
少女のステップはおおかみを導き二人のステップを囲んでみんなのワルツの輪ができあがります。
おおかみは不思議な感覚になります。
俺…
どうして…
こんなに…
イライラしてるんだろ…
おおかみは疑問を持ちながらも少女のステップに惹かれついにはおおかみも少女のことが大好きになっていきます。
「さあ、お腹がすいたね!ごはんにしよう!」
少女がそういうとみんなワルツをやめて少女のところに集まってきます。
でもやっぱりおおかみはその中に入っていきません。
おおかみは気づいてしまったのです。
自分の存在の哀しさに…。
少女も森のみんなもそんなおおかみの哀しみを知りません。
ただ、一緒にワルツをおどった仲間としてその輪に招き入れようとします。
しかしおおかみは横に一度だけ首をふってその場を立ち去ります。
そんなおおかみに少女は声をかけます。
「おおかみさん!また、一緒に踊ろうね!」
おおかみは一度だけふりかえりこくんとうなづいて去っていきます。
その日から少女も森のみんなも誰一人としてこの森でおおかみを見た者はいません。
少女はそんなおおかみの気持ちを知らず、約束の日を待ち続けました。
森の動物たちと一緒に…。