ボクラ色に染め上げて   作:リッティー

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思い出しながら書くって大変です。
遅れて申し訳ありませんでした。



9.花野中学校

「校長先生ー、すいませーーん」

校長室前。

ここに来たのは、優香も真紀も初めてではない。

 

何度、異世界関連でここに来たのか分からない。

 

共にいるのは、チーム《カラーパルス》の面々だった。

 

 

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少し、時は遡る。

ほぼ一番乗りで教室へと入った花園優香。

しかし、この日は先客がいた。

 

高木悠人と、ライちゃん。

 

「……ライちゃん?」

 

聞いてきっちり2秒後。

 

「……あんた誰よ」

 

逆に質問された。

そして、何故自分のことを知っているのかとも。

それには答えられるが、メンバー全員の前で話した方が良かろうと判断し、ライちゃんの「カモン」シグナルでダイくん、タクト、アヤちゃんの3人を集めてもらった。

 

そして、優香は言った。

 

「あたしは、花園優香。

『あっち』では、フェルだったけどね。

ついでに言っとくと、シェリィはガチであたしの妹。

こっちだと花園真紀。」

 

「フェルちゃーーーん!!!!」

 

ライちゃんが思いっきり抱きついてきた。

痛い。特に左腰。長いことブキ持ってたからか握力凄いことになってる。

「ちょ、ちょま、こっちじゃ『ゆうちゃん』で頼むよライちゃん!」

 

「あいだがっだよーーーー」

 

ライちゃん、涙声で変な風になってる。

ハンカチ後で渡そ。

 

「んで、優香」

後ろから、声。

悠人だ。

「レポート。書いてこい。どっちにしろ政府からお達しがくるしな。あと、校長先生ん所行ってこい。今すぐ。こいつらいつでもここに入れるようにな」

レポート……日記じゃダメなのかなぁ。

などと考えながら、とりあえず、《カラーパルス》の面々を連れて、校長室へと向かった。

 

 

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門田校長先生からは、「またお前か」みたいな顔で見られた。

全く手続きに忙殺されるこちらの身にもなってみろ、と言わんばかりに、ため息が漏れる。

残念だが、こちらだって好きで異世界に行ってるわけではない。

行かされていたり、突発的事故だったりもする。

今回は事故に近い。

それにたった2日しかハイカラシティを体験出来ていないのだ。

まともなレポート、今回は期待しないでください、町役場のおじさん……。

何とか明日中に特別通学証発行を約束させ、明後日水曜日の朝礼で全校発表することになった。

さて、レポートとPV作りだ。

忙しい。

ほぼ月一でこういうことが起こるから、もう慣れている。

 

「失礼しましたーー」

 

 

さて、書類作成を頑張らねば。

 

 

 

 

 

 

教室に帰ると、担任の雪華先生が、待て、と手で制してきた。

さらに口パクで、「ブキは持ってきてるの?」と言ってきた。

カチャリと音がしたと思ったら、ケースからリッターを出すタクト君の姿。持ってきてたんだ……

更に、指示出して、一発、と。

構えて、引き金に指が触れた瞬間、レーザーポインター機能とチャージ機能が働いた。きゅうううっ、と音が鳴り、インクが圧縮される。

ピリッ。

チャージ完了。

それを合図に、「Splattrack」が流れ出す。

 

なるほど、どこかから情報を得た雪華先生、特別生のプレゼン練習にこの場を貸したということらしい。

教室の壁は濡れない。絶妙な距離感で解き放たれたインク弾が着弾し、直後に四匹のイカがその中を泳いでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




異世界移動は花野特有の現象で、政府も町役場も一部マニアも色々知りたいのでしょう。
そのために花園姉妹はレポート提出を余儀なくされているのです。

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