あれから、しばらくポイント稼ぎに明け暮れ、現在14時30分。
『この試合に勝てば念願のパブロを手に入れられる』という所まで来た。同時に始めたはずなのに、あたしと妹とはランクが2も違ったけど。無論、あたしの方が上だ。理由は、たぶんブキの差。
ナワバリバトル第一ロビー、控室A-2。
昼からタクトとライちゃんがガチマッチに行ってしまった為、あたし、シェリィ、ダイくん、アヤちゃん、フタバ(デュアルスイーパーカスタム使い)、ルナ(ノブァブラスターネオ使い)と共に、最後の2人を待っている。
さっきまではルナのフレンドだという人達が一緒にやってくれたのだが、他の人から呼び出しがかかったらしく、前回を最後に部屋から退出していた。
「遅い」
一番最初にしびれを切らしたのはフタバだった。
もうかれこれ2分待っている。
早く塗りたいらしい。
あたしは、イカ型のスマホをズボンのポケットから取り出し、フレンドリストを呼び出していた。
リストには、今まで対戦したほとんどの人の名前が載っている。
《カラーパルス》の面々は勿論のこと、レヴィン、ベリー、フタバ、ルナ、リーナ、リコ、その他諸々。
しかし、『こちら』に来て以来、まだ戦ってない、既存のフレンドが2人いる。
リストの下。
シグマ、そしてラヴィー。
『あちら』、つまりあたし達にとっての帰るべき場所で、グループ通話機能を使いながらタッグマッチしたのも1度や2度じゃない。
中学から帰る時、今日はナワバトやろう、とか語ったものだ。
シグマの正体は、あたしのクラスの男子、高木悠人。
ラヴィーは、近所の商店街に家を構える、日野愛奈。
どちらも、花園優香、花園真紀双方の、親友だ。
フレンドリストの、2人の欄に光るのは、「ナワバリバトル第一ロビー認証完了」の文字。
ここからA-2の部屋に来るかは分からないけど……
来たら来たで、全力で相手する。
こちら側から出せる、全力で。
うぃん、と、自動ドアが開いた。
2人のプレイヤーが、中に入って来る。
その佇まい、その装備は、間違いなかった。
シグマとラヴィーだった。
「ねぇ……フェル、あの人、なんて呼べばいい?」
フタバが聞いてきた。あの人とはシグマの事だ。
シグマもラヴィーも、厳密にはカタカナ表記ではない。
シグマは「Σ」だし、ラヴィーは、「Lovie」だ。
フェルとシェリィはカタカナだけど。
名前を呼ぶことも、連携の一つになる。
だからこそ、プレイヤーネームというのは大事だ。
読み方をフタバ、ルナ、アヤちゃんダイくんに伝えると、
「シグマ、そしてラヴィーか。よろしく!」
代表してダイくんが言った。
コクリと、シグマとラヴィーは頷いた。
一言も喋らないのを訝しんでるような、納得してなさそうな面持ちで、ルナが、よろしくねー、と言って、転送装置へと歩んでいった。
バトルはまた次回。
イカスツリーの中のロビー
ナワバリバトル編
第一から第三まであり、8人入りの控室はA-1,A-2と続いてA-5からB-1と続き、E-5まであるので、5×5×3×8=600人が控室で同時に待てる最大数となる。ナワバリバトルロビーは、結構な確率で満杯近い。試合中であれば他の組が待てるため、2分待つことは普通はしない。
フタバがしびれを切らしたのもそれが理由である。