side:Σ/悠人
マッチングリストは、ほぼ一瞬で一杯になった。
フェルとシェリィのランクは、いつもよりも少ない。
っつーか一桁。「ゑっ」ってつい言ってしまった。
後のメンバーは、「Lovie」こと愛奈と、
「アヤ」、「ダイ」、「ルナ」、「フタバ」だ。
どんなブキで来るんだろうかとワクワクしていた。
この3分間が、衝撃の3分間になるとも知らずに。
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うわっ、全コンビ別れた!
と、フェル/優香は思った。
フェルと同じチームなのは、ルナ、ダイくん、シグマ。
相手は、シェリィ、フタバ、アヤちゃん、ラヴィー。
コンビというのは、フェル&シェリィの姉妹コンビ、ルナ&フタバのフレンドコンビ(合流回数最多とは本人談だ)、ダイくん&アヤちゃんのカラーパルスコンビ、シグマ&ラヴィーの花野町コンビ。
真反対の回転台を見据える妹も、同じことを考えて居るだろう。
今回のバトルステージは、キンメダイ美術館だ。
キンメダイ美術館。
「回転台」というギミックを備えた、どちらかというと新しめのステージだ。
この、「回転台」をイカにして上手く使うか、が大事になる。
今回持ってきたのは、わかばではない。
赤ザップことN-ZAP89。
有り体に言えばアヤちゃんと同じブキだ。
そこからは、怒涛の如く思考と指示が溢れ出す。
スプリンクラーの置き場所は、考えどころだ。
それとトルネードの着地点も。
ルナとシェリィは同じサブスペ、つまりスプラッシュボムとラッシュ。
ダイくんは言わずもがなダイナモテスラ。
ラヴィーは……まさかのバケツ。クイックボムとメインのコンボに注意。スペシャルはトルネード。
シグマは、スペシャル回転率重視のバレルスピナーリミックス、通称バレリミ。スプリンクラー置き場は、彼とは似ない方が良い。
フタバはデュアルスイーパーカスタム、ビーコンとメガホン。
シグマもメガホン持ち。ビーコンは優先的に破壊すること。シェリィのチャージャーの射程に注意……
ということを、試合開始前30秒で確認。
30秒。
長いようで短い、試合開始前の待機時間。
『あっち』では対面が合計10秒ぐらいだから、それよりましだが。
Ready……
GO!!
開戦の号砲が鳴り響いた。
「シグマに合わせて!ダイくん高台で牽制!ルナ、あたしと突撃!」
「フタバ、ビーコン置きまくって。ラヴィーは……まあいいや。アヤちゃん塗りまくって、トルネード大事。キルはあたしが取る。」
指示役はフェル/優香とシェリィ/真紀。
フタバもルナも、初戦で二人の実力を痛いほどわかっていたため、素直に指示に従う。
「突撃!ボムラーーーーーッシュ!!!」
カラカラカラン、とボムの転がる音が鳴る。
ルナだ。
「避ける……ってシグマ!?」
ダイがトルネードの着地マーカーを見て潜伏、回避行動を取る。シグマはおもむろにメガホンレーザーを取り出す。
(合わせろってのはそういうことか、アイツマイペース過ぎだろ)
ジト目でマップを取り出し相手側にトルネードを叩き込むダイ。
その直後、大音響が響き渡る。シグマのメガホンレーザーだ。
ばちゅん、と相手の高台でインクが飛んだ。
シェリィだった。
(うわっ、自分犠牲にしてシェリィと痛み分けかよ、ナイスすぎ!)
その隙にフェルが敵陣に侵入していた。
悠人は、驚愕していた。
(なんだよあの動き)
その理由は単純。
画面内に映るフェルが、本来ならば両手持ちのシューターを片手で持ち、真左にいたラヴィーを撃ち抜いたからだ。他にも、ダイがバク宙スーパージャンプでフタバをキルしてたり、アヤが壁ジャンプしてたり。
ラグかと思うが処理速度は全く落ちてない。
つまり……
ここのテレビを通じて、ガチにハイカラシティと繫がっちゃったとか……
あまりよくない想像をしてしまった。
戦局が、拮抗し始めていた。
スペシャルが応酬し出す。
塗りでは差は付かないが、メガホンレーザーやボムラッシュが移動を妨げ、そこにトルネードを撃ち込んでいく。
地道な攻防の末、ついに牽制役のシェリィが負けた。
トルネード内からの奇襲。
フェルだった。
しかし同時に、ダイとシグマがやられていた。
射程で優位に立つフタバがフェルに攻撃を重ねるが、そこに転がるボムに気づけない。
ルナだ。
フェルがリスキルに走りだし、ラヴィーも敵陣へと走る。
そうして。
混ざり合い、混沌とした戦場に、笛の音が鳴った。
3分間が、終わった。
直後、四つの竜巻が、美術館を揺らした。
「勝った!」
と、フェル。
「負けたー……」
と、シェリィ。
差は、たったの0.1%だった。
シグマとラヴィーが物言わずロビーに出たのに合わせて、全員が第一ロビーへと向かった。
手を振る2人に、またねー、と返して、
6人はそのまま、ロビーで語り続けていた。
やがて、タクトとライがやって来る。
「ただいま、Sに上がったよ」
タクトからの、嬉しい報告。
「おめでとう!」
全員が祝福した。
そんな中、フェルとシェリィは、一つの決意を固めていた。
全てを語る決意を。
何か急転直下ですいません……