中年ハンターと新人ハンター達が頑張るようです。 作:Borubo
ある日のこと
村の外れで10歳ぐらいの男の子がしゃがんで泣いていた。そこに若い女性が話しかけた。モンスターの牙をペンダントのように首から下げて、薄いピンク色の髪をポニーテールにしている、可愛い女性だ。
「君、どうかしたのかい?」女性は防具と背中に銃槍を背負っており、ハンターのようだ。男の子は声を絞り出す。
「お父さんが死んじゃったの…」女性は男の子の近くでしゃがみこみ目線を合わせるようにする。
「お父さんが?かわいそうに…でもここにいたらお母さん心配してるんじゃないかな?」穏やかな声で話す女性。「お母さんはいないよ。」「そうなの…」女性は考える。そして
「君…名前は?」
男の子は泣きじゃくる。
「ファラク…ブローニング…」
「ファラクね。私はモナ・アーヴィング。ファラク君。私の家に来なよ。」
そう言ってモナはファラクの手を引いて歩き始めた。
モナの家にて
「落ち着いた?」
「うん………」
「ブローニングさんの子だったんだね…」ファラクブローニングの父、
アブナーブローニングは今日、リオレウスとの戦闘で命を落とした。
アブナーは人当たりも良く面倒見もいい男だった。早くに母親を病気で亡くして以来、ファラクを男手一つで育ててきた。
モナもよく狩りで助けられた存在だった。
「無理なら話さなくていいんだけど、お母さんとか親戚とか…」
「わかんない。俺はお母さんに会ったことない…親戚も…」
「そうかい……よし。私が君を引き取ろう」
「…引き取る?」
「うん。引き取る。だって行くところもないんだろう?」ほっとけないしなぁとモナは心の中で付け足した。
「うん……有り難う…」
「いいさいいさ。私のことは気軽にモナ様って呼んでくれてもいいんだよ?」場の空気を和らげるためかモナはふざける。
「モナ様…」
まじめに答えるファラク
どうやらそれがツボにはまったらしく笑い転げるモナ。
「アハハハ!!真面目に答えた!!面白いねーファラクは!」
「な、何がおかしいんだよぉ!」
それからはモナとファラクの二人の生活が始まった。この時、モナは16歳。ハンターになりたてだ。ファラクは10歳。ケンカしたこともあったが、笑いあったりすることも多い、仲のいい姉弟のように見えただろう。
駆け出しとはいえモナはハンター。何日も帰らない日もある。時には傷だらけで部屋に運び込まれてきたこともあった。ファラクのためにもいち早く昇格して行く必要があったのだ。
ファラクはそんな時は一人でご飯を作ったり家事をしていた。
ファラクはモナへ恋心を抱いていた。
14歳の時、ファラクは近所の女の子から告白された。ファラクはそのことをモナに話した。
「……….って言われたんだけど、どうすればいいのかな」
「ファラク告白されたんだー。中々隅に置けない奴よのー君も」うりうりーとファラクの脇腹を肘で小突きまくるモナ。
「なー!もう!モナに聞いた俺がバカだった!」照れ隠しをするファラク。実際は答えなど聞いていなかった。自分はモナが好きなのだ。ほかの娘とは付き合いたくない。
「ごめんごめん。でも、16になったら働ける年齢じゃないか。ここで付き合うってことは結婚するかもしれないじゃない?ファラクは将来何になりたいんだい?」
「ハンター」
即答だった。
「俺は…ハンターになりたい」
「ハンター・・・」モナは一瞬面食い、復唱するように言う。「なんでハンターなんだい?」「モナの手伝いをしたい」
「私の……………」
「うん」
モナは考えた。ハンターはとても過酷な仕事だ。腕が良くないと金も入らないし、腕が良ければ良いほど難しいクエストに行かざるを得ないこともあり、命を落とす可能性は増えるばかり、そんな危険な仕事、ファラクにはやって欲しくないというのが本音だった。モナは生まれた時から両親がいない。孤児院で生活していたが、
16になれば自分で働いて食べて行かなくてはならない。学のないモナは売春をするか、ハンターになるかの二択しかなかったのである。モナは売春を選ばなかった。周りの女の子達は皆売春を選んだ。自分の時とは違い、ファラクは道を選べる。ハンターになる必要などないはずだ。
「有り難う……でも、ファラクは自分のやりたい仕事を選んでもいいんだよ?私は大丈夫さ」
「でも俺は……」もっとモナと一緒にいたいと言いかけて、こう言い換えた。
「やっぱりハンターになりたいんだ。」
「そうかい………大変だよ?告白してきた娘とは会えなくなるかもだよ?」
「うん。いいんだ。どうせ断るつもりだったし」
「どうせって……それでなんの武器を使いたいんだい?」
「ガンランス」
「そりゃまた驚いた。」
「モナの話を聞く限りでは一番つよそう」
「強いよぉ。ガンランスは」
「竜撃砲とか砲撃とか?」
「その通りさ!わかってるねー」
「よく言ってるじゃん」
ハンターになるにはハンター試験を合格しなければならない。16歳からハンターになるには16歳より以前から訓練が必要なのだ。
その年から
ファラクはモナから指導を受けていた。
「銃槍を扱うには上半身の筋肉だけでなく、脚の筋肉が必要だよ!!もっと跳ぶんだ!」
今やっているのはバウンディングと呼ばれ、指定された距離をとにかく少ない歩数で到達する練習メニューだ。ハンターをやっていくには、戦闘力、環境知識、体力が必要だ。特に戦闘力は重要だ。
「ガンランスはこう持って…そうそうそんな感じさ」
「うん」
「砲撃は結構反動凄いからフォームを綺麗に……」
「このモンスターの特徴は……」
そんな生活をすること約二年。遂にハンター試験の日である。
テストで試されるのは戦闘力のみ。ジャギィとジャギィノスの群れの討伐。
これが出来なければハンターにはなれない。が、これだけではやっていくことはできない。
「行ってこい。ファラク」
「行ってくるよ」
ファラクは集会所へと向かう。
結局モナには自分の思いは伝えられていない。
モナはファラクの背中を見届けた後につぶやく。
「二年であんなに大きくなるなんて……出会った時とはえらい違いだ」
ファラクの丈はモナよりも大きくなっていた。
「この付近に、ジャギィの群れがある。ドスジャギィは居ない…筈だ。いたらお前が考えろ。ジャギィとジャギィノス、合計7頭を狩猟してこい!遠くから監視用のアイルーを付いていかせるからな!」
地図を見せながら説明する教官。
「はい!」
ファラクは砂漠へと向かった。
「よし、ここら辺か」地図を再確認し、ジャギィ達がいると思われる比較的暑くない荒野となっている場所を目指す。
暫く歩いていると遠くで紫色の生物が動いて居た。ジャギィ達だ。
ファラクが近づくと向こうも気づいたようで、此方へ向かって走ってきた。
「ジャギィ….デカすぎだろ」
向かってきたのはドスジャギィだったのだ。ジャギィ達の群れのリーダーだ。お前が考えろと言った教官の言葉を思い出す。ジャギィを狩るならばそのリーダーのドスジャギィとの敵対は免れない。やるしかないとアイアンガンランスを構える。
ドスジャギィの嚙みつこうとする顎を盾で受け止める。盾の大きさ的に嚙み付けず牙と金属が擦れてガガガと不快な音を立てる。「んのぉ!」銃槍をドスジャギィの腹部に突き刺す。
モンスターは痛みに鈍い。まだ気にしてはいなさそうだ。
「まだまだ!」突き刺した銃身から一気に球を全弾放出する。
「ゲアア!」悲痛な叫びを上げるドスジャギィ。いける!と思った時、不意に横からの衝撃に吹っ飛ばされる。
ジャギィの雌。ジャギィノスがタックルを仕掛けてきたのだ。
ジャギィノスはジャギィよりも図体がでかい。
そして、ジャギィは群れで「狩り」をするのだ。起き上がったファラクは辺りを数頭のジャギィとジャギィノスに囲まれているのを見る。正面からはドスジャギィそれ以外からはジャギィ達。四面楚歌である。
今の装備はチェーン装備。ドスジャギィの攻撃はやばいが、後のやつらの攻撃は軽減してくれる。そう信じよう。ここは一か八か…ドスジャギィはタックルをする構えになる。
ここだ! ファラクは竜撃砲を撃つ準備をする。銃身が青く光り始める。
ドスジャギィの方が断然早くタックルを仕掛けた。それをファラクは盾で受け止めるがどんどん押されていく。
周りのジャギィ達がファラクに噛み付く。チェーン装備の形が変わっていくのがわかる。左腕に痛みが走る。どうやらジャギィノスの牙が防具を貫通したようだ。
しかし、ファラクは耐える。耐えて耐えて…バックステップで強引にジャギィ達の前に立つ。そして
「来たぜ…竜撃砲!!」
銃槍が火を噴き、爆発する。
ファラクの周りにはゴロゴロと黒いものが落ちていた。
それは黒く焦げたジャギィ達だった。ドスジャギィも顔を真っ黒にされ息絶えていた。
「ひぃふぅみぃ…よし、これでクリアだな」
集会所
「おお!戻ったか!で、どうだ?」
教官はアイルーに聞く。「合格ですにゃ。ジャギィどころか、ドスジャギィも狩猟しましたにゃこの人」
「なんと!初めての狩りでか!これは素晴らしい!君をハンターとして認めよう!書類を書くからこっちにきたまえ!」
こうして、ファラクはハンターになったのであった。
その日はお祝いだった。
「ハンター合格おめでとう!」
「…ッありがとう」ボソボソというファラク。
「照れるなよー。まさか初日でドスジャギィを倒しちゃうなんてねー。君には才能があるんじゃないかい?」
くふふと笑うモナ。
「そんなことないよ。モナに比べたら俺は全然…」
「謙遜するなって!まぁ取り敢えず今日は食べよう!」
「…うん!」