真・恋姫†無双 ご都合主義で萌将伝!   作:AUOジョンソン

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「・・・そういえば、ギルって華琳たち国主にちょいちょい怒られてるよね」「だな。まぁ、大半がエアぶっぱしたりエリシュったり、あとはエヌマったりしてるだけで怒られてるんだけどな」「・・・だけ?」「対界宝具のぶっぱを『だけ』と言い切るから怒られるのだろうな。気付いていないのか」「・・・そのようね」「何度も注意してるんだがな」「・・・こればっかりは擁護できないよ、お兄さん・・・」「げぇっ、国主!?」「しかもそろい踏みと来たか」「・・・南無」「来なさい。今までのお話じゃ足りなかったようね。たっぷりと絞ってあげるわ」「な、やめろ、くっ、精神攻撃は俺に効く!」「じゃあなおさらやらないとね」


それでは、どうぞ。


第七十四話 怒れる国主に

ある日の昼。

もうすっかり春になり、麗らかな日差しを受けてうとうとしつつ読書していると、どたどたどたと激しい足音。

・・・なんだ? と覚醒した俺は立ち上がりかける。――その瞬間、扉が大きな音を立てて開いた。

 

「お兄さんっ!」

 

「お、おう、いらっしゃい」

 

きりっとした表情(桃香が怒ったときくらいにしかしない)をして、つかつかと俺の方へと歩いてくる桃香。

本を閉じた俺の目の前。机をはさんで対面に立った桃香は、思い切り机をバンと叩く。

 

「私は怒っていますっ」

 

「ええと・・・聞こう。何にだ?」

 

「最近のお兄さんは、部隊部隊部隊って、いっつも部隊の人たちと遊んでいます!」

 

「遊んではいない」

 

「遊んでいますっ」

 

俺の言葉に被せるように返してきた桃香に、そこまでか? と今までのことを思い返す。

確か最近は書類整理も落ち着いてきたこともあり、蜀の政務室か俺の私室、あと中庭と後宮をグルグルと回る生活だったはずだ。

午前中は基本的に政務。政務室か私室にいて、政務室では朱里と雛里をはわあわさせて、私室では突撃してくる壱与を構いつつ顔に落書きをしてあげた。

午後からは中庭で訓練を見つつ迦具夜を追い掛け回して「捕まえて~」「待て~、あはは~」をリアルでやるくらいで、後は空いた時間に後宮に行って月とシャオのお腹を撫で回して自動人形に頭叩かれるくらいのものだ。

 

「・・・遊んでるな」

 

傍から見ればそうなるだろうな、と今得心した。

 

「そして、お兄さんには最近足りないものがあると思います」

 

「んー・・・? あ、時間だ!」

 

確かに最近、仕事に趣味に交友関係にと時間が足りないと思っていたんだ、と一人納得。

だが、桃香の考えは違うらしい。首を振って、口を開く。

 

「違います! おっぱい分です!」

 

「・・・は?」

 

「お っ ぱ い 分 で す !」

 

「国主としての自負を持て、劉元徳・・・」

 

たゆん、と胸を反らした桃香が、謎成分をでっち上げるのを聞いて、ため息。

 

「・・・で? その成分が足りないとどうなるんだ?」

 

「小さい子にしか興味わかなくなるんじゃないかな?」

 

「あ、そこは適当なんだ。・・・でも確かに、最近朱里系統の子とばっかり接してるな」

 

「町の人とか、兵士さんとか、後紫苑さんとかから陳情上がってるんだよ。『ウチの娘をお嫁にどうでしょう』って」

 

「国ぐるみでのロリコン認定だと・・・!?」

 

それは大変不味い。

 

「私は一計を案じました。・・・ふふん、これで朱里ちゃんを出し抜くんだからっ」

 

「そこまで自信を持つほどか。聞かせてもらおう。俺のイメージアップ戦略を!」

 

「天の国の言葉は分からないけど・・・。えと、取り合えず今日から私、お兄さんと同棲しますっ」

 

「なんだとっ!? ・・・って、良く考えたら今の状況と余り変わらないだろ」

 

城内とはいえ、一つ屋根の下であることに変わりは無かろう。

 

「全然違うよっ。お兄さんのお部屋で一緒に暮らして、身の回りのお世話をして、大人の女性の素晴らしさを思い出してもらうんだよっ」

 

「・・・身の回りの、世話」

 

ちらり、と自動人形に視線。

首だけこちらに向けた自動人形から、クールに一言、『何?』と念話が来たので、なんでもないと返事。

 

「あーと、うん、まぁ、そういうことなら」

 

「愛紗ちゃんや蓮華ちゃんと鍛えた料理の腕、今こそ見せるとき! だよ!」

 

ふんす、と拳を握って気合を入れる桃香に、まぁまともなものは食べられそうだな、と一安心。

調理の手順を間違えたり、ぼうっとして材料を間違える程度の料理下手なので、ある程度希望は持てる。

さて、『大人の女性の素晴らしさ』とやらを、見せてもらおうじゃないか。

 

・・・

 

「・・・これが、桃香の思う『素晴らしい女性』のやることなんだな?」

 

「はうっ!? 冷たい目で見られて興奮できるのは壱与ちゃんみたいな特殊な子だけだよっ!?」

 

「いや、まさか料理の腕が上達どころか壊滅的に戻ってればこうもなるだろ」

 

今まで桃香に出された料理の中で、見たことが無い料理なので、きっと新しく手を出したメニューなのだろう。

・・・だが、今習っている料理さえまともに作れないのに、新しい領域に手を出せばどうなるか。・・・それが、目の前の惨状である。

 

「うぅ・・・ナイショで練習して、びっくりさせようと思ったのにぃ・・・」

 

「桃香、それはな・・・人並みに料理が出来るようになってからの領域だぞ」

 

がっくりと肩を落とす桃香を尻目に、取り合えず箸を取る。

ひょいぱくと一口食べてみるが・・・うん、食べられなくは無いな。

 

「まぁ、壊滅的に美味しくないだけだ。食べられないこと無いから、二人で取り合えず処理するぞ」

 

「うぅ、はぁい」

 

しばらく、二人でもさもさと処分。

 

「・・・あ、これかけるとマシになるな」

 

「えっ、ほんと? えいえいっ。・・・はむ」

 

「どうだ?」

 

「・・・ホントだ。これなら食べられそ」

 

少しだけ顔を綻ばせた桃香が、ぱくぱくと食べるスピードを少し上げる。

 

「・・・今のやり取り、ちょっと夫婦っぽかった」

 

「何だいきなり」

 

「えへへ。なんとなく。こういう空気、良いなって。私たちのぺぇす、だよねっ」

 

「ん。覚えてたのか」

 

「もちろんっ。あ、そうそう。後で愛紗ちゃんも来るから」

 

「・・・桃香と同じ理由で?」

 

「同じ理由で」

 

こくん、と首肯。・・・マジか。

まぁ、最近時間合わなくてちょっと立ち話くらいしかしてないしなぁ。

愛紗の料理の腕前も見ておくとするかな。

晩御飯も食べ終わり、二人で食器を洗い、片付ける。

 

「ええと、ご飯食べたから、ちょっと休憩だねっ。愛紗ちゃんが来たら、お風呂いこっ」

 

「愛紗は晩飯食べてくるのか?」

 

「みたいだよ。『遅くなるので、先にお二人で済ませておいてください』って言われたもん」

 

「そっか。・・・なにするかなー」

 

「いつもは何してるの? こういうとき」

 

「本読むか散歩するか誰かの頬を揉んでる」

 

「・・・ほっぺた?」

 

「ああ」

 

「・・・わ、私のは、どうかな?」

 

んっ、と目を瞑って顔を突き出してくるので、鼻頭をつまんであげた。

 

「み゙ゅっ!?」

 

「うん、可愛い可愛い」

 

「・・・鼻をつまんだ女の子にかける言葉じゃないよぅ」

 

そう不満を漏らしながらも、可愛いといわれて少しは嬉しいのか、にへら、とだらしの無い笑顔を浮かべる桃香。

・・・こういう、無意識に癒しの雰囲気を醸し出せるのが、彼女の魅力の一つなのだろう。なんというか、桃香とならしばらく鼻をつまんであげるだけで時間を潰せる自信がある。

 

「全くもう。お兄さんは意地悪なんだから」

 

ぽふん、と浮かしかけた腰を、再び椅子に戻す桃香。

それと同時くらいに、ドアをノックする音。

 

「愛紗ちゃんかな? ・・・はーいっ」

 

ぱたぱたと扉を開けに小走りになる桃香。

首だけ向けていると、開いた扉の向こうには、想像通り愛紗が。

 

「こんばんわ、桃香様。・・・ギル殿も」

 

「こんばんわーっ。早かったね!」

 

「ええ。作業が速く終わったもので。・・・それに、今夜の事はずっと楽しみにしていたことですので・・・」

 

「えへへっ。だよねーっ」

 

もじもじと恥らう愛紗。・・・凄いな、潰れて形を変えている・・・!?

 

「それじゃ、お風呂いこっか、お兄さんっ」

 

「ん、おう。いきなりだな。休まなくて大丈夫か、愛紗」

 

「はっ。特に疲れも感じておりませんし・・・ギル殿がもう少し休憩してから、というのならお待ちしますが・・・」

 

「あ、いや、俺は大丈夫。さっきからずっとだらだらしてたから、休憩は足りてるよ」

 

「聞いてよ愛紗ちゃんっ。お兄さんったら、さっき私の鼻をつまんで遊んでたんだよー?」

 

「は、鼻、ですか?」

 

「うんっ。こうやって」

 

そう言って、桃香は愛紗の鼻を軽くつまむ。

いきなりのことに愛紗は驚くが、戸惑いつつもその手を払うことは無いようだ。

仲が良い故のスキンシップだなぁ。

 

「とうかひゃまっ・・・!?」

 

「んふふ。お兄さんの気持ち、ちょっと分かるかも」

 

にっこりと笑って愛紗を開放し、一人でたたっと小走りに先を行く桃香。

 

「二人ともっ、はーやーくーっ!」

 

「・・・大人の女性なんたらは何処行ったんだろうな」

 

「? ・・・なんですか、それは?」

 

忘れてくれ、と愛紗に答え、その手を引いてさっさと追いつくために歩き出す。

 

「あーっ、愛紗ちゃんだけずるーい!」

 

「桃香はもう少しつつしみとか大人しさとかが必要かもな」

 

「・・・かもしれませんね」

 

恥ずかしさで顔を真っ赤にしている愛紗が、頬を膨らませながらこちらにかけてくる桃香を見て微笑む。

 

「私はこっち!」

 

こちらに戻ってきた桃香が、ぎゅむ、と俺の腕に抱きつく。

・・・やはり、桃香程の大きさの持ち主だと、この体勢の破壊力は半端じゃないな。

 

「で、では・・・私は、こちらで・・・」

 

そんな桃香に触発されたのか、愛紗もぎゅ、と俺の腕に。

これぞ両手に花。前にこれをやったまま一刀に「うらやましいだろう」といったら、背後に華琳がいて執拗に脛を蹴られた覚えがある。

蹴り自体は全く痛くなかったが、それよりも心が痛かったので全力で謝っておいた。・・・が、更に蹴りが熾烈になっただけであった。何故だ。

 

「ね、ね、お風呂にお兄さん使用中の札つけて、ゆっくりしようねっ」

 

「えー。最近風呂でやりすぎだって侍女隊から言われてるんだよなぁ」

 

主に湯船に浮かぶアレについてだと思うが。お湯につかると固まるからなぁ。排水溝も詰まるんだぞ。

・・・ちなみに、侍女隊から『やりすぎだ』といわれたのは、怒られたわけではない。ただ、本当にただそう言われただけだ。

そのときに手に持っていた液体の入った容器については、何も聞かないでおいたけど。

 

「そういえば、前にお風呂入ったとき、お兄さんの身体を私の体で洗ってあげたんだっ」

 

「なっ。そ、そんな行為が・・・」

 

「それでね、今日は二人いるし・・・こう、前と後ろとか、右と左とか・・・色々できるよねっ」

 

「なるほど・・・」

 

なるほどじゃない。なんというか、こういうときの二人は朱里と雛里に通じるところがあるよな。

一人が暴走して、もう一人がつられて流されるところとか。

 

「じゃあ、俺は愛紗の髪でも洗おうかな」

 

「わっ、私の、ですかっ!?」

 

「あ、でも綺麗な黒髪だもんな。あんまり人に触られるのも嫌か」

 

「いえっ! そのようなことは! 確かに人から褒められることもありますが・・・その、ギル殿に触れていただけるのは、とても嬉しく、思います」

 

「愛いやつめーこのこのー」

 

「わ、私はっ!? 私はどうかなっ!?」

 

はいはいっ、と空いた手で挙手しながら、俺の前にぴょんこぴょんこアピールし始める桃香。

最近こういうときはオチ担当だからなー、と思いながら、桃香の髪を掬ってみる。

 

「もちろん、桃香の髪も好きだぞ。顔埋めると良い匂いするしな」

 

「うずめっ!? そ、そんなことしてたの、お兄さん!?」

 

「寝てる間にな。桃香は大体甘い匂いするから、匂い嗅ぐのは好きだぞ?」

 

「うぅ・・・う、嬉しいような、恥ずかしいようなぁ・・・。っていうか、寝てる間にしなくても・・・起きてる間でも、全然良いんだよ?」

 

「何言ってるんだよ。眠って油断してるときに悪戯してやるのが良いんだろ。な、愛紗?」

 

「えっ、私ですか!? ・・・いえ、確かに桃香様は眠っているとき完全に油断したようなお顔をしていますが・・・」

 

急に話を振られて焦った愛紗が、顎に手を当ててそんなことを言い始める。

・・・桃香はホント、寝てるときは一切警戒しないからなぁ。愛紗の苦労も分かるというもの。

 

「鈴々と三人で旅をしているときも、敵襲を受けたときに鈴々ですら飛び起きたのに、桃香様は幾ら揺すっても起きず・・・抱えて走ったこともありました」

 

「はうっ!? あ、アレは謝ったよっ!?」

 

「・・・三度されれば、流石に鈴々も怒りますよ」

 

「・・・ごめんなさぁい・・・」

 

しゅん、と項垂れてしまう桃香。・・・あー、一度じゃないんだ。

それは俺もフォローできんな、と頭を撫でようとして、両手が塞がっていることに気付く。

・・・流石に自動人形に撫でてもらうわけにもいかんな、と断念。

 

「ま、今はそんなことしても問題ないくらいには安全だろ。身の回りを守ってくれる人も沢山いるわけだし」

 

「そだねっ。最近は自動人形さんにお願いして警備立って貰って・・・あ・・・」

 

「・・・ほう?」

 

あ、愛紗の目が光った。

失言したな、桃香。自動人形貸し出しの件については、愛紗にはナイショのはずだったのに。

・・・しーらね。

 

「桃香様? 幾ら自動人形に休息が必要ないと言っても、それを賄っているのはギル殿の魔力。・・・私利私欲で使っていいものではありませんよ?」

 

「あわわわ、えっと、ち、違うのっ! ・・・何が違うのか自分でも説明できないけど、違うのっ!」

 

「一番悪手を選ぶな、桃香は。地雷原でタップダンスするより的確に地雷踏み抜くね」

 

だがまぁ、一応フォローはしてやろう、と口を開く。

 

「まぁまぁ愛紗。桃香も国主って立場なんだし、愛紗とかの将を除いたら、自動人形ほど信頼のおける護衛もいないだろ」

 

「・・・むぅ。確かにそうですが」

 

「それに、内緒にしてたのは俺も同じだし。怒られるなら、俺も桃香と一緒に怒られるからさ。桃香ばかり責めないでやってくれよ」

 

「・・・お、お兄さぁん・・・」

 

キラキラとした瞳でこちらを見上げ、腕どころか横っ腹に抱きついてくる桃香。

・・・凄く仔犬を思い浮かべる懐きようだが、取り合えず片手が開いたので撫でておく。

 

「くぅん」

 

「・・・まぁ、確かにそうですね。桃香様ばかりを責めるのもお門違いというもの・・・申し訳ありません」

 

「気にしてないよー。愛紗ちゃんが私のこと案じてくれてるって言うのは、いっつも感じてるからっ」

 

にっこりと笑い、愛紗にそう答える桃香。・・・さすが人徳の王。こういうところにカリスマがあるのだろう。

 

「そう言っていただけると幸いです。・・・っと、着いたようですね」

 

愛紗も柔らかく微笑むと、浴場の入り口に到着した。

そこで愛紗がいったん離れ、札を取って帰ってきた。

 

「誰もいないようです。・・・これ、掛けてきますね」

 

「ああ、頼む」

 

そう言って、『ギル入浴中』の札をかける愛紗。

俺はその間、桃香に引っ張られて更衣室へ。

人が居ないのは、時間が中途半端だからだろうか。がらんとした更衣室を見ると、なんだか少し物悲しいが。

 

「んしょっと。・・・あっ、あんまり見ないでねっ? ちょっと恥ずかしいんだから・・・」

 

「そういわれると凝視する性格だと知ってて言ってるだろ」

 

「えへへ、ちょっとだけ。あ、そういえば聞いてっ。ちょっとだけ痩せたのっ!」

 

「え、本当か? そりゃ凄い」

 

「・・・桃香様を飽きさせずに運動させるのには骨が折れましたが」

 

見てみて、と服を脱いで裸体を見せてくる桃香の腰周りを確認していると、背後から愛紗のため息交じりの一言が。

・・・確かに、苦労するだろうなぁ。

 

「だけど、結果に結びついてるのを見ると凄いと思うな」

 

「ええ、確かにそうですね。桃香様も流石に危機感を持っていたようですので」

 

だろうなぁ。今年入ってから、あんまり運動せずに食べまくりだったからな。

同じくらい食べているのに全く体重の変わらない恋見たいなのもいるが、まぁアレは特殊な例だ。

ちなみに俺も大量に食べようが暴飲暴食しようが全て魔力に変換できるので太ることは無い。

前にそれを桃香に言ったらぽかぽか殴られたのだが。

 

「・・・でもでも、愛紗ちゃんには敵わないよぉ」

 

「あー、それは比べるだけ無駄だろう」

 

「だよねぇ」

 

はふぅ、とため息混じりに愛紗を・・・もっと言えば愛紗の腰周りを見つめる桃香。

そして自分の脇腹辺りをつまんで再びため息。

 

「ま、愛紗の出るところ出て引っ込んでるところは引っ込んでるメリハリのある身体も好きだけど、桃香見たいに健康的な肉付きであれば全く気にしないから。な? 元気出せよ」

 

「うぅ、ありがとぉ。でも、これからはちょっと気をつけるね」

 

「褒められると、やはり恥ずかしいですね・・・。ですが、桃香様良く仰いました。言うほど太りやすい体質でも無いようですから、間食を控え、運動を少しずつでも続けていけば、体形維持は難しくないでしょう」

 

俺と愛紗、二人から太鼓判を貰ったからか、桃香は少し嬉しそうに頷いた。

うんうん、良いことだ。

 

「あ、ほらほら、愛紗ちゃんも脱ぎなよっ。お兄さんと先言ってるからねっ」

 

「あ、おい、桃香っ」

 

「えっ、あ、桃香様っ!?」

 

背後でわたわたと焦りながら脱ぎ始める愛紗を尻目に、俺と桃香は一足先に浴場へ入る。

 

「えへへー。いっちばん乗りー!」

 

「はぁ。・・・まぁ良いや。取り合えず身体流すか」

 

「はーいっ。私にお任せだよっ」

 

「・・・はいはい。じゃあこれ、頼むな」

 

桃香に石鹸を渡すと、タオルで泡立て、俺の背中を洗い始める。

時たま漏れる色っぽい声に苦笑しつつされるがままになっていると、ひたひたと足音。

どうやら愛紗が追いついたようだ。

 

「・・・はぁ。桃香様のいきなりの行動には慣れたと思いましたが・・・」

 

「はは、お疲れ」

 

タオルで前を隠しながら、全く、とため息をつく愛紗。

シャワーで軽く自分の体を流して、桃香と同じくタオルを泡立たせ始める。

 

「あ、愛紗ちゃんっ。背中は終わったから、そっちの腕をお願いねっ」

 

「ええ、分かりました。・・・ええと、し、失礼・・・します?」

 

「そんな緊張しなくても。気楽にやってくれよ」

 

「は、はっ!」

 

がっしと俺の腕を掴んで持ち上げると、ごしごしと力強く洗い始める愛紗。

・・・このくらいが一番丁度いいかもな。華雄ほど強すぎず、壱与ほど弱すぎない。

桃香も同じように洗い始め、なんだか偉い人になったようだ、とふと思う。

美女二人に左右から体を洗われていては、そう思うのも仕方ないだろう。

ふとした瞬間に小さく声を漏らす二人に段々興奮しながらも、まだ早い、と耐える。

 

「そのぐらいでいいぞ」

 

「そかな。大丈夫?」

 

「まぁ・・・泡だらけにはなりましたが」

 

愛紗が言うとおり、確かに泡だらけだ。ちょっと面白いかもしれん。

 

「じゃあ、次は桃香かな」

 

「ふぇっ!? わ、私っ!?」

 

「愛紗、捕まえろっ」

 

「はっ。・・・お覚悟っ」

 

「ちょ、ちょっと待って! 愛紗ちゃんは私の妹なのにっ」

 

「この状態でどちらに味方するかと問われれば、少し迷いますがギル殿ですっ!」

 

「裏切り者ーっ!」

 

じたばたと桃香が暴れるが、俺と愛紗を跳ね除けられず、風呂椅子に座らされる。

諦めたのか、うぅ、と声を漏らしてがっくりと項垂れた。

 

「・・・変なところは触らないでね? ・・・あ、フリじゃないんだよ!?」

 

「何だ、そうなのか」

 

「残念ですね」

 

「愛紗ちゃんがお兄さんに毒され始めてるよっ!」

 

泣きまねをする桃香を、ため息をつきながら泡立てたタオルで洗い始める愛紗。

 

「全く。妹が折角体を流してあげようと言うのです。素直に受け取ってください」

 

「今の流れでそれは無理が無いかなー・・・? あ、でもでも、愛紗ちゃんに身体洗ってもらうのは嬉しいかもー」

 

「・・・こうして一緒に入浴するのも、久方振りのことですからね」

 

・・・ふむ。義理とはいえ姉妹の団欒を邪魔するのもな。

自分の頭を洗って、ささっと流す。

男にしては長いほうだと思うが、まぁここの女性陣よりは短いからな。余り時間は掛からない。

 

「あっ、そういえばお兄さん、私と愛紗ちゃんの髪、洗ってくれるんだよね?」

 

「あー、そんなこと言ったな。・・・よっし、愛紗、石鹸」

 

「どうぞ。あ、先に桃香様を洗ってあげてください」

 

その間に自分の体を洗うつもりなのだろう。俺に石鹸を手渡し、愛紗は桃香の隣に腰を下ろした。

よし、と自分の手で泡を立て、いつもの角のようなお団子も無くなった綺麗な髪に手を潜らせる。

 

「わひゃっ。な、なんだろ。変な感じー」

 

「はは、だよなー」

 

人に洗われるというのは相当くすぐったいものだ。

俺も色んな子に色々洗われたりしたが、全部最初はくすぐったく思うものだ。

 

「痒いところは無いかー?」

 

「んー、大丈夫だよー」

 

人の頭を洗うときにはこの確認は必須だろう。人生の中で言って見たい台詞トップ10の中には入るよな。

 

「・・・よっと」

 

「? 何やってるの、お兄さん?」

 

この風呂場には現代の銭湯と同じく体を流すためのシャワーと、鏡がついている。

・・・だが、桃香はいまだにシャンプーハットが必要なレベルで頭を洗うのが苦手なため、泡が入らないようにと絶対に目を開けない。

それを良い事に髪の毛で遊んでみたり。

 

「・・・昇天マックスペガサス盛り」

 

「? ・・・ギル殿、何を呟いて・・・ん、ふぶっ!?」

 

隣で体を洗っていた愛紗が、俺の呟きに反応して桃香を見て、噴出す。

髪の毛を泡で固定し、円錐状になるように盛り付ける。ところどころに泡をくっつけてデコレーション。

愛紗は先ほど噴出してから顔を背けて小刻みに震え続けているし、桃香は目を開けられないので現状に気付けない。

その後もこねこねと髪を弄くり、存分に愛紗の腹筋を鍛えながら、最後に泡を落としていく。

 

「・・・ぷはっ。・・・ね、ね、何で愛紗ちゃん笑ってたの・・・?」

 

「ん? ・・・いや、まぁ、ほら、俺が凄い変な顔してたから」

 

「何それホントっ!? み、見せてっ!?」

 

「絶対に嫌だ。変顔見せるか能力全て神様に剥奪されるかだったら後者を選ぶ」

 

「全てを捨てる覚悟で変顔見せたのっ!?」

 

なにそれずるい、と騒ぐ桃香の髪をまとめ、タオルで固定する。

湯船に入るとき、髪の長い女性のやることの一つだ。髪を湯船に着ける訳にもいかないからな。公衆浴場だし。

 

「・・・やけに手馴れてるね、お兄さん。私たちのほかに髪が長くて良くお兄さんと一緒に・・・あ、卑弥呼さんだ」

 

「お、正解。良く分かったな」

 

頭の上に電球でも灯ったんじゃないかというくらい見事な推理だ。

 

「えへへ。凄い? 凄い?」

 

「凄い凄い。じゃ、俺は愛紗の髪も洗っちゃうから、先に浸かってなよ」

 

「はーいっ。早く来てねーっ」

 

「走るなー。転ぶぞー」

 

小走りになった桃香を注意して、愛紗の後ろに。

 

「・・・さっきはよほどツボに入ったみたいだな」

 

「え、ええ。ギル殿の仰っていた言葉の意味はほぼ良く分かりませんでしたが・・・何故かおかしくて」

 

「愛紗の髪だと質が良すぎて固定できんな」

 

「やらなくていいですっ!」

 

愛紗は桃香と違って目を開けていられる子だからな。

自分の髪の毛がシュールなギャグになったらもう、笑いが止まらなくなるのだろう。

 

「冗談だって。ほら、ちゃんとそっち向いてろー」

 

「・・・やらなくていいですからね?」

 

「分かってるって。ほら、洗うぞー」

 

再び石鹸を泡立て、愛紗の髪を持ち上げながら洗い始める。

・・・長い。それに綺麗だな。さすがは美髪公。

 

「ん・・・とても心地よいものですね。人に洗ってもらったことは・・・鈴々くらいにしかないですが」

 

「鈴々に良く自分の髪任せられたな・・・」

 

「・・・アレでも女です。ある程度の身嗜みや、女として矜持は持っている・・・と油断した私が愚かだったのです」

 

「ああ、失敗したのか」

 

深く頷く愛紗。テンションの落差が分かるな。

 

「まぁ、そうは言っても経験不足から来るものでしたし、枝毛ごと周りの毛も抜いたり、髪の毛を絡ませたりするくらいでしたから」

 

「・・・お疲れ様」

 

「そう言っていただけると・・・嬉しいです」

 

会話をしながら順調に髪を洗い、泡を流す。

桃香と同じように髪を纏めて・・・タオルで固定。

 

「うん、どうかな。髪の毛絡まったりしてない?」

 

「ありがとうございます。大丈夫ですよ。問題ありません」

 

「桃香も首を長くして待ってるだろうし、そろそろ行こうか」

 

「はいっ」

 

きちんとタオルで前を隠しながら、愛紗は桃香のいる湯船へ向かう。

ここの風呂は露天風呂のようになっていて、今の季節は花が綺麗に見られるようになっている。

 

「おっそーい、二人ともー」

 

「悪いな。あんまり怒るなよ。皺になるぞ」

 

「ならないもんっ」

 

「申し訳ありません。私の髪が長い為に・・・」

 

「それは全然気にしてないよっ。髪は女の子の命っ! だからねっ」

 

「ふふ。ありがとうございます」

 

湯船に浸かると、自然と二人に挟まれるような順に。右手に愛紗、左手に桃香だ。

 

「ふわぁ・・・やっぱりお花が綺麗だねぇ」

 

「もう春になるからな。冬の雪見も良かったんだけどな」

 

「でも冬は寒いもん。髪の毛が凍っちゃうよ」

 

「そんなにか? ・・・うぅむ、そのあたりの対策も取らないとなぁ」

 

「今みたいにお湯が安定供給されてなかったら、多分暴動が起きてたよ、あれは」

 

「なんとも恐ろしい」

 

その時のことを思い出したのか、桃香の顔が少し青くなる。

・・・まぁ、風呂に入っているのですぐに紅潮するのだが。

 

「そういえば、愛紗ちゃんもようやく慣れたみたいだね」

 

「? 何に、でしょうか・・・?」

 

「裸だよー。最初の頃はお兄さんの裸見るだけでも倒れてたし、自分の身体見せるのも躊躇してたじゃない」

 

「っ! そ、それはっ、その、ええと・・・ま、まぁ、幾度も見せ合った仲ですし・・・」

 

「ふーん? ・・・愛紗ちゃん、意外とえっち?」

 

桃香の爆弾発言に、愛紗が立ち上がりかけながら反論する。

 

「と、桃香様に言われたくはありません!」

 

「なっ、そ、それは聞き捨てならないよっ!? 痴女扱いはひじょーにふほんいなんだからねっ」

 

「朱里の真似をしたって誤魔化せませんからねっ。聞きましたよ、ギル殿と共に入浴し、その、む、胸でお背中を流したと!」

 

「んえっ!? ど、何処からその情報を・・・あっ、お、お兄さん! 何でニヤニヤしてるのかなっ!?」

 

俺を挟んで口論していた二人の間で笑いを浮かべていたのを見られ、桃香に詰め寄られる。

 

「いや、なに、可愛らしく口論している二人を見ていたら、自然とな」

 

「・・・それにしてはねちっこい笑顔を浮かべてるよね?」

 

・・・あ、ちなみに愛紗に漏らしたのは俺じゃない。俺もさっき思いついたのだが、多分壱与だろう。

俺関係のことは『見てる』と言ってたからな。それを誰か・・・愛紗本人でなくとも、近い人間に話したのだろう。

それが広まって・・・というのは、とてもありえそうな話だ。

 

「元からこういう笑顔を浮かべる男だろ、俺は」

 

「そんなことは無いよっ! もっとこう、爽やかで、見惚れる様な・・・って、何言わせるのっ、もうっ」

 

「・・・愛紗、助けてくれ」

 

「・・・まぁ、桃香様も乙女ですから」

 

愛紗からの助け舟はなさそうだ。自力で何とかしろということか。

というか、今ナチュラルに『も』と言ったが、無意識に自分も乙女だというのが出てきたのだろうか。

それならばとても良いことだ。

 

「・・・ん?」

 

「? どうかしましたか、ギル殿」

 

何かしらの気配を感じて、背後・・・浴場の入り口に振り返ると、その行動に疑問を持った愛紗が首をかしげて尋ねてくる。

 

「いや・・・誰か来るな」

 

「お兄さんが入ってるって言う札は下げてるからー・・・まぁ、そのあたり『分かってる』人でしょ?」

 

ならいいじゃない。と桃香が呟く。

気配は脱衣所からこちらに向かっているようだ。からら、と扉が開くと、そこには恋の姿が。

・・・ああ、だから誰だかわからなかったのか。恋は野生動物に近いところがあるからな。気配を溶け込ませるのが自然なので、違和感は感じても個人の特定までは出来ないのだ。

これが月とかならば、足音のリズムだけで分かったりするのだが・・・精進が足りないということかな。

 

「・・・ギル。いた」

 

「恋では無いか・・・ああ、待った待った。先に体を流してからでないとな。・・・ギル殿、少し恋の面倒を見てきます」

 

「ん、ああ、悪いな」

 

「いえ」

 

愛紗は恋を甘やかすことに関してはねねに次ぐからな。お菓子をあげたりご飯をあげたり。

今だって、こちらに来てそのまま湯船に入ろうとした恋を止めてわざわざ体を流しに言ったし。・・・俺がいないときはちゃんと身体洗うらしいけど。あれ? 俺のせい?

 

「・・・恋、一人で洗える」

 

「まぁまぁ。いつもは面倒がってすぐに泡を流すだろう? きちんと洗わねば、汚れも取れないからな」

 

「・・・なら。お願い」

 

「うむ、頼まれよう」

 

手で石鹸を泡立て、恋の髪や身体を洗っていく愛紗。

その様子をニコニコと見ているのは、湯船に浸かっている桃香である。

 

「・・・愛紗ちゃん、最近鈴々ちゃんが『一人で洗えるのだ!』ってやらせてくれないんだー、って愚痴ってたの」

 

「何で今その話を・・・」

 

「えへへ。鈴々ちゃんも、ちゃんと『女の子』してるなー、って言うのと、愛紗ちゃんはいいお母さんになるよねー、って話」

 

「確かに・・・ああ、確かに、いいお母さんになるな」

 

いかにも楽しそうに恋を泡だらけにしていく愛紗をみながら、桃香と二人して笑う。

世話好きというかなんというか、世話をすることを面倒だと思わず、楽しめている愛紗は、なるほどと納得できる程度には母性に溢れているのだろう。

 

「楽しそうで何よりかなーって。・・・あっ、わ、私もっ、その・・・子供できたら、ちゃんとお世話するんだからねっ!?」

 

「別に疑ってはいないさ」

 

今のところ、月の出産が間近だからなぁ。華佗にもちょいちょい後宮に詰めてもらってるし、自動人形にもある程度の対応は教えてあるが。

俺も時間が空けばお見舞い位には行っているが、ほんと、ドキドキするよなぁ、なんか。

 

「・・・ギル、お待たせ」

 

「ん? ・・・って、恋。もう洗い終わったのか?」

 

ぽやぽやと思考を深めている間に、体を洗い終わったらしい恋が湯船に降りてくる。

ちゃぽちゃぽと湯船の中を動き、俺の真正面に座る。

 

「珍しいな。恋がギル殿の隣に行かないとは」

 

「・・・さっきまで愛紗がいたから。恋は・・・こっち」

 

愛紗の手を引っ張って先ほどと同じ場所、俺の隣に誘導したあと、恋はそのまま正面にいる俺のところへ近づいてきた。

・・・いつもみたいに背中でも預けてくるのだろうか、と思ったのだが、対面のまま俺の伸ばした脚を跨ぐようにのしかかってきた。

俺が湯船の縁に背中を預けているからか、俺にしなだれかかる体勢の恋も、そんなに辛くないのだろう。

・・・だが。だがしかし。俺の胸に押し付けられるようにふにゅりと形を変える二つの胸器・・・じゃない、凶器は俺が辛い。何が辛いって海綿体が辛い。

 

「・・・おっきくなってきた。・・・ギル、大きいのも大丈夫みたい。・・・よかった」

 

「え、何それ。俺恋にもロリコン認定されかけてたの?」

 

「? ろりこんが何かは分からないけど・・・最近、ふくちょとかひみとかいよばっかり構ってるって言ってた」

 

「恋・・・不安になる気持ちも分かるぞ。ギル殿は本当に、目を離すと小柄な娘のところにばかり行くからな・・・」

 

「だから、お兄さんにこうやってっ・・・大きいのも良いんだよーって教えてあげてるの!」

 

「・・・恋も、教えてあげる。・・・桃香、どうしたら」

 

片手で俺のアレを弄ってくる恋が、どうしよう、と目線で訴えかける。

・・・そういえば恋がこっち関係で知識を深めたというのは感じたことが無いな。

ねねとか朱里経由で艶本を見て中途半端に理解するだけで。

 

「えっ!? え、えーっと・・・あっ、胸で挟んであげるといいって聞いたよっ!」

 

「・・・おっぱい。それなら、恋も出来る。・・・すうっ」

 

桃香の言葉に、何を思ったか恋は大きく息を吸うと、ちゃぽん、と潜水した。

・・・おいおい、普通そういうのは俺を縁に座らせて・・・ああいや、溺れる前に救い上げないと!

 

「ちょっ、恋っ、お前何して・・・強いっ!? 何この力! 何処から出て来てんのっ!?」

 

潜水している恋をあげようとするが、かなり強い力で抵抗されている。

っていうか、人が入った湯船の中で潜るんじゃないっ。お湯は常に循環させてるけど、完全に綺麗じゃないんだぞっ。

 

「・・・はぁ。仕方ありませんね。桃香様、そちらの手を押さえていてください」

 

「ええっ!? わ、私に出来るかなぁ・・・えいっ」

 

「は? ちょ、二人とも何を・・・」

 

「お許しください、ギル殿。これも恋の健気な努力を実らせようとしているだけなのです」

 

「ご、強引に振りほどいてもいいけど、そ、そしたら私、ええと、な、泣く、かも・・・」

 

「卑怯すぎる・・・!」

 

愛紗はがっちりロックしてきているし、桃香は乱暴に振りほどいたら確かに泣きそうだ。

二人の行動に戸惑っているうちに、恋は水面下でぱふぱふし始めてるし! 

・・・ああ、もうっ!

 

「・・・恋が終わったら、ちゃんと部屋でやるからな」

 

「その言葉を待ってたよ、お兄さんっ」

 

「そ、そのための準備も、出来ておりますので・・・」

 

・・・あ、ちなみに、恋の潜水の記録は十分。俺が我慢できずに出してしまったのと、ほぼ同時であったと言っておこう。凄まじい心肺能力だ。

 

・・・




――本日の特集は、歴史に登場する謎の人物についての特集となる。
皆様もご存知の通り、古くは邪馬台国より、この謎の人物は存在しているようだ。最近発見された、卑弥呼の手記。日記のようなこの冊子には、何故か『ギル』と言う存在が度々登場する。確実に日本名ではないこの人物。そもそも、この『卑弥呼の日記』も何故かひらがなやカタカナが混在していて、本当に卑弥呼のものかも怪しいといわれている。しかし、検査で物質を分析した結果、実際に卑弥呼が存命の時代に使われたものだと発覚し、物議を醸している。そして、曹操の記録、ジャンヌ・ダルクの日記にもこの『ギル』と言う人物は登場しているようだ。初めてこの人物が出てきたのは、三国志真っ只中の中国大陸と言われている。少し時間をずらして邪馬台国、その後西に向かい、海を渡って再び戦国時代の日本へと戻ってきているようだ。細かいことは依然分かっていないが、世界を何週も巡っていたり、何か『不思議な力』を行使している様な記述も、ところどころで見られる。そして、その中でもう一人謎の人物が浮かび上がった、。『月の姫』と呼ばれる――

「・・・ん? なんだ、こんな時間に。はーい、今出ます・・・よ・・・?」「・・・こんばんわ、いきなりですけど、ごめんなさいね。・・・天の羽衣」



「・・・っと、寝てたのか? うわ、そういえば記事何も書いてないぞ! マズイマズイ! 急がないとなー」


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