深夜。
ハラオウン宅。
フェイトさんに話しがあると家族全員集められて、緊急の家族会議が開かれていた。
その内容は、俺、キャロ、エリオの、機動六課入りの話だった。
俺的には、予想通りの展開なので、たいして驚きもなく、落ち着いて、二人を見回せば、二人はそれぞれに、驚き、不安気な表情をしていた。
いや、キャロは欠伸をして、目をショボショボさせていた。か、可愛いィン!
「大丈夫か?二人とも」
エリオとキャロは、俺の言葉にお互い、見やると、
頷き合って、力強い目でこちらを見てきた。
「私はもちろん。平気。ジム兄が一緒なら、どこでも平気だもん」
「僕も大丈夫です。尊敬するジム兄さんについていきます」
「だそうです。フェイトさん?」
俺は二人に気持ちを聞いてから、フェイトさんへと話しの続きを促す。
「あ、うん‥ジムは本当に揺るがないね‥不安とか無いの?」
「うーん。俺は六課入りはのぞむところでしたし、そこに家族が増えるだけでしょ?心強さはあっても、不安は無いですね」
「「ジム兄‥(さん)」」」
二人が感激の視線を向けてくるが、照れ臭い。
「そ、そっか。やっぱり子供らしくない‥」
フェイトさんが横を向いて、何か言っているが聞き取れなかった。
「ジム兄さんは、本当に凄いです!憧れます!僕もそれくらい、落ち着いて、物事を考えられるようになりたいです!」
エリオが持ち上げてくる。
くすぐったいからやめなさい。
「それで‥ね?」
フェイトさんが言いにくそうに、歯切れ悪く、言葉を続ける。
両手の人差し指を合わせて、つんつんしている。やめてください。萌えるじゃないですか。
「ちょっと‥説明しにくい、大人の事情がありまして‥ジムには、出力リミッターというのをつけさせて、欲しいなぁーって‥」
ああ。なるほど。
そういえば、そういうのがありましたね。
「良いですよ。」
「うん‥そうだよね‥って良いの?!」
「はい。」
「いやいやいやいや。自分でいうのもなんだけど、今の説明‥全く言葉足りてなかったよ?!」
「本当に自分でいうのもなんですね。」
俺は苦笑するしかない。
「ジム‥本当に良いの?」
「フェイトさんが、必要だと判断したんですよね?俺は、フェイトさんを信頼してますから」
「ジム‥」
フェイトさんがキラキラした目で、こちらを見ている。やめてください。萌えてしまいます。
「それでね?明日なんだけど、ジムとキャロには、管理局に来て、正確に魔力、測らせて欲しいんだけど‥」
「わかりました」
「即答過ぎだよっ!?」
「フェイトさんを信r‥」
「わかったよ!?何度も言わないで!嬉しくてにやけちゃうから!」
「キャロもいいか?」
「ジム兄が良いなら、私はモチのロン。」
「なんでもなくいってるけど、兄ちゃん気づいてるからね?エリオの後ろでそっと振り上げた拳をどうするつもりだったんだ?」
「えー?」
とぼけおる。
ハハハ。コヤツメ。
そして、キャロは無慈悲に拳を振り下ろした。
‥‥エリオに。
「いたっ?!ちょっ!?キャロっ!?」
「うわぁ‥」
流れるような体重移動で、キャロはエリオにまたがり、マウントを征す。
そして拳を続け様に振りおろす。
エリオはもがくが、キャロは全く意に介さない。
あのグレイシーばりのグラウンド技術は一体どこで?
「ほらほら。やめなさい」
流石に可哀相だったので、止める。
しかし、時既にお寿司、エリオの顔はボコボコに
なっていた。
「ジム兄さん‥ありがとうございます‥」
ボコボコになりながらも潤んだ目で礼を述べるエリオ。
ちょっと可愛い。いやいや。エリオは男の子‥男の子。萌えてたまるか。
「ほら。キャロちゃん?エリオにごめんなさいしなさい?」
「エリオ君?」
「う、うん‥何?キャロ。」
「許してにゃん♥️」
ポーズつきでどこまでも軽く謝るキャロ。
我が妹ながら、なんてあざとい。
「う、うん。大丈夫だよ?」
そして頬を染めて、簡単に許すエリオ。
ちょっとちょろすぎんよー。
エリオの将来がお兄ちゃん心配だわ。
ん。でも、キャロとくっつくとしたら、問題ないか。
フェイトさんも、頬をヒクヒクしながら、二人を見てる。
「それでは、明日は管理局ですね?」
「ほら、キャロちゃん?もう寝なさい?」
「ふぁ~い‥」
目を擦りながら、ノロノロと立ちあがり、部屋へと歩き出すキャロ。
ふむ。さて、どうなりますやら。
次の日。
俺と、キャロは管理局の、陸戦用仮想シミュレーターで再現された荒地で、なのはさん、シグナムさん、ヴィータさんと相対していた。
は?
ちょっと理解が追いつかないんですが。
「えっと。魔力を測るのでは?」
「せやで。戦闘における魔力を測りたいんや」
なーるほど♪
って納得できるかアアアア!?
「いや、それなら、この前と同じ、ガジェット相手で良くないですか?」
「そんなeasyモードのデータなんていらんねん♪」
だからって、難易度ルナティックはおかしくないですかね?
「あははー楽しみにしてたんだあ♪」
無邪気に笑う魔王様。
悪魔め‥!
「ふっ‥相当出来るらしいな‥?遠慮はいらん!本気でかかってこい!」
シグナムさんもヤル気満々である。
「お前の命の保障は出来ん。我が身の未熟‥許してくれるか?」
もうやだこのひと。
嫌です。許しません。
俺がげんなりとフェイトさんを見ると、フェイトさんは両手を胸の前で合わせて、ペコペコと頭を下げていた。
いや、胸を強調して、上下に揺らしていた。
やめてください。萌えてしまいます。
仕方ない。その双丘に免じて、本気でやりますかね!
「キャロ?」
「なーに?ジム兄?」
欠伸を噛み潰しながら、返事をするキャロ。
あ、こいつ。飽きてるわ。
「この三人、はっきり言って、強いぞ。」
「関係ないよ。私とジム兄の愛の前では、」
我が妹が頼もし過ぎる件。
「パルちゃん呼べるのか?」
暴走してから、パルちゃん全然見てないんだけど?
「多分ね‥」
多分て‥
「大丈夫。だって、ジム兄と一緒だもん。キャロちゃんは今、猛烈に愛に溢れているのです‥」
そうか。ならいいんだが。呼べなくなったかとお兄ちゃん心配してたんだよ?
「遠慮はしない!全力で行くぞ!」
俺の叫びに合わせて、キャロの魔力が膨れ上がる。「パアアアアrrrrrrrrルちゃああああん!」
フウウウrrrrrリイイドオオオオ!」
そして、キャロは大人バージョンへ。
俺はドラゴンの聖衣を纏った。
「こ、これは‥」
「はやてちゃん!二人ともSSおーばーですぅ!」
はやてさんがなんか、悪役みたいな呟きをしてる。そこにリィンツヴァイさんがナニかしんこくそうに報告する。
「はは‥ホンマにあの時、全然本気じゃなかったんやな‥もう笑うしかないわ‥」
シグナムさんが剣の柄を握り、前傾姿勢をとる。
居合い?狙いはキャロか。
シグナムさんの殺気が膨れ上がる。
キャロは未だに眠そうにしている。
あいつ、完全にナメテやがる。
仕方ない。お兄ちゃんが頑張りますか。
シグナムさんの剣が抜かれる。
ちっ。俺はキャロの前へと身を踊らせた。
ガキイイイン!
金属と金属がぶつかる音が響く。
間一髪、俺のドラゴンの盾は、シグナムの剣を防いでいた。
俺の盾に剣を弾かれ、シグナムさんが目を見開く。
「その盾‥」
シグナムさんの呟きに俺は答える。
「ドラゴンの盾に防げないモノはない‥」
「この盾を砕きたくば、己の剣が砕けるのを覚悟されよ?」盾を掲げて見せながら、
無駄にカッコつけてみる。
すると、フッとシグナムさんは優しく微笑んだ。
なんか嬉しそうである。
この人、こういうノリ好きそうだもんね。
ふと、視界の端に、なのはさんが目に入る。
魔力バレルを展開して、砲撃か!狙いはキャロのようだ。
「させるかっ!?」
俺はなのはさんへと、飛び掛かる。
ワイドプロテクション!》
なのはさんを障壁が包む。
「聖闘士の闘法は原子の破壊」
俺の拳は易易と、障壁を突き破る。
《アクセル!》
なのはさんへと拳が届くかと思った瞬間、なのはさんの姿がかききえる。
そして一瞬にして、俺から50m程離れた所へと、移動していた。
俺はドラゴンの星座を身体でなぞる。
小宇宙が膨れ上がる。
なのはさんはヽ(; ビクッとこちらを見て、こちらの一挙手一投足も見逃すまいと、睨んでいる。
こええ。防御力下がっちゃいそう。
だが、これでいい。意識を俺に集中させるのがこちらの狙いなのだから。
「すっごい‥!」
「高町!」
シグナムさんが叫ぶ。
でももう遅い。
そこは、キャロの射程距離だ。
なのはさんが
警告を受けて、キャロに気付く。
だが、キャロはなのはさんの後ろに陣取っている。身体をキャロの方へと向ける、そのアクションの遅れだけで、キャロには十分だ。
「愛の!鉄拳パーンチ!」
だが、俺達は甘かった。
魔王は魔王だったのだ。
魔王には百戦錬磨の経験があったのだ。
なのはさんは、キャロに振り向くことなく、その場で回避行動をとった。
そして、かわすことで、キャロ自身の動きで、自分の正面へと、来させる。結果、なのはさんの正面で、キャロは無防備な姿を晒していた。
攻撃を見ないでかわすとか、どんな達人だよ。あなた、作品間違えてますよ?これ魔法少女モノじゃないんですか?
魔砲少女とかもう良いですから。
だが、甘かったのは俺だけだったのだ。
キャロは、鉄拳パンチが、かわされたと悟るやいなや、その場で急停止し、しゃがんだ。
なのはさんからは消えたように見えたかもしれない。常識ではありえない動き。
ダッシュして、パンチをかわされて、その場でとどまって、しゃがむなんて芸当出来るやつ、聞いたこともない。
「とにかく‥すっごい‥はぁ~とふるぅ~パーンチ!」
そして、キャロの全魔力を込めたジャンピングアッパーが、
地面すれすれを這うように、繰り出された拳が、なのはさんを足元から巻き込むようにヒットした。
天高く打ち上げられた、なのはさんを見て、
俺に、安堵はなかった。
倒した?
魔王を?
そんなわけない。
何回やっても何回やってもなのはさんは倒せないのだ。
「廬山‥龍‥飛翔!」
逡巡の末、俺が撰んだのは、追撃。
自分の全身を拳へと変え、なのはさんへと、突撃する。
「アイゼン!」
突如響いた、声にハッとする。
しまった。よりにって、攻撃特化のこの人を忘れるとは、
「ラケーテン!ハンマー!」ハンマー型のデバイス、アイゼンの片面から魔力をジェットのように吹き出し、その勢いで、ハンマー投げのように高速回転しながら、こちらへ飛んできたのは、鉄槌の騎士ヴィータ。
「にゃのはは落とさせねえ!」
そして、俺とアイゼンが激突する。
とんでもない衝撃に意識が飛びそうになるが、なんとかこらえて踏ん張る。
つらぬけえええ!
更に小宇宙を爆発させると、少しだけ、アイゼンを破壊するわけにはいかないので、俺はあくまで、突破力だけで拮抗する。すると、アイゼンを少しだけ押し返した。
「なめるなあああ!」
だが、結局は押しきられ、俺はかっとばされた。
地面に頭から突っ込む。ヴィータさんは魔力も腎力も並々ならぬモノを持ってるのだ。
だが、痛くない。聖衣、旧モデルだからね♪
ダサさと引き換えに、頭の防御は岩壁なのだ。
ヴィータさんはそのまま、落ちていくなのはさんを抱き留めた。
なのはさんは気を失ってるようだ。
キャロ恐るべし。
魔王に勝つとか、ウチの妹が怖すぎるんですが、
まあ、前に戦った時も、俺は手も足もでなかったしね。
あの時より、更に強くなってるようだ。
俺もしっかり修業しないとな。
「そこまで!」
はやてさんが声を上げて、戦闘を止める。
「どうや?シグナム?」
「この若さで‥末恐ろしいですね」
「せやな‥しっかり鍛え上げてな♪」
「ハッ!」
と、シグナムさんははやてさんに敬礼する。
「ヴィータもな?」
「はやてが言うなら‥」
ヴィータさんは若干不機嫌そうだ。
ヴィータさん、何気になのはさん大好きだもんね。俺が追撃したのがキニイラナイのかもしれない。ヴィータさんとは仲良くしたいんだけどな。
お、俺はロリじゃねえ!
「よろしくお願いします」
俺はペコリと頭を下げる。
「‥おう。その‥悪かったな‥最後の、大丈夫だったか?
なるほど。怒ってたんじゃなくて、心配してくれてたのか。
「リィン?データはバッチリか?」
「はい。後で計算してリミッターの計画書作製しますね」
「うん。よろしゅうな」
「あ、ジム君とキャロちゃん、近いうちに、魔道師ランクの昇格試験受けてな?」
「えー?」
「実力あるのに低ランクにとどまってると、色々問題あるんや‥すまんが頼む」
「給料上げるから」
「「やります」」
俺とキャロの返事が被る。
フェイトさんも、何故か苦笑いしている。
と、そこで、なのはさんが目を覚ました。
「いやー。参ったの‥」
「ジム君もキャロも強いね~」
言葉とは裏原に表情はとてもイキイキしてらっしゃる。
戦闘狂め。
あ、そうだ。ついでに、修業してくか。
「シャーリーさんはいますか?」
「呼ばれて飛び出て、ジャジャジャーン」
と、突然現れた。
「この前言ってた件、お願いしたいんですけど‥」
「あーはいはい。調整できてるよー」
と、シャーリーさんが虚空をパチパチ指で弾くと、辺りの風景が変り、
デカイ滝が現れた。
「こんなんでどう?」
「バッチリです。ありがとうございます」
「フェイトさん。キャロ。俺、ちょっと修業していくんで、先に帰ってて下さい」
そして、俺は滝へと、飛び込む。
仮想だけど、水はしっかり冷たかった。
読んで頂きありがとうございます。
それでは、また明日‥いや、1日お休みもらいます(笑)ということで、明後日またお会いしましょう(///ω///)♪