言い訳はしません。許して下さい。何でもしまむら!
「食べる?」
いきなり横から出てきたお菓子にキーボードを叩く手を止めて、出された腕を視線でたどると、青みがかったショートカットがさわやかな、女性が
人懐っこい笑みを浮かべていた。
「ナカジマ先輩お疲れ様です。もう検診は終わったんですか?」
「うん。これお土産。チョコポット」
「ありがとうございます。いただきます」
一掴みして口の中に頬張ると、サクサクした食感に続いて、チョコの甘味が追いかけてくる。
この人はスバル、ナカジマさん。俺達兄妹が六課に入ってから、席が隣な事もあって、気さくに話し掛けてきてくれる、良き先輩である。
元来、面倒見の良い性格なのだろう。
仕事の事や、六課の事等、色々教えて貰った。
気さくといっても、野球に誘ったりはしてこないけどね。
「あれ?それ私の仕事?」
「そうです。今日は検診と聞いてたので‥余計なお世話かと、思いましたが、」
俺が、申し訳無さそうに頭を下げると、
「ううん。ありがとー。ジム坊大好きー」
と、いきなり抱き締められた。
顔に押し付けられる、双丘に口元が、緩むのを慌てて引き締める。
「こーら。仕事中になにやってんのー」
と、俺の至福の時間は終わりを告げる。
「ああ。ティア。おっつー」
「はいはい。おっつー」
と、声を掛けてきたのは、
ティアナランスター先輩。
「ランスター先輩。すみません」
「別にあんたは悪くないでしょ?悪いのはそこのバカスバル」
少々、ツンデレのきらいがあるが、基本的には優しいお姉さんである。
あと巨乳。あとツインテール。
「これもらうわよ」
と、机に残ってた、チョコポットをかっさらっていく。
「ジムもあんまりこいつ甘やかさないでね」
「はいすいません」
「いやいや、もっと甘やかして良いんだよ?」
ティアナさんの注意に謝る俺を見て、スバルさんが、慌てて会話に割り込んでくる。
「子供に甘えんな」
ティアナさんがツッコムが、スバルさんはそれをかわし、視線を遮るように
どこからか取り出した、扇子を広げる。
と、そこには「もっと甘やかして」と、書いてあった。
それを見た、ティアナさんはチベットスナギツネのような目で、スバルさんを一瞥すると、頭痛を耐えるかのように、頭を手で抑える。
「ナカジマ先輩にはいつもお世話になってますので、少しでも恩返し出来ればと、思いまして‥」
「もーー!ジム坊なんでこんなに可愛いのーー!?」
と、 また頭を引き寄せられ、抱き締められワシワシされる。
まるでペット扱いである。
だがこれが意外に気持ちいい。いや。双丘関係無いよ?
全く無いとは言わないけど。
そんな俺達を見て、ティアナさんは溜息をひとつ吐くと、
「とりあえず、まだ仕事中だからね?」
「「はいっ」」
急いで席に戻り、仕事を再開する。
「あっ。ナカジマ先輩。これ終わりましたんで、確認お願いします」
「「えっ?!」」
何故かティアナさん迄驚いてる。
「まだお昼休みにもなってないのに‥」
「スバル‥あんた。ずっと、検診してなさいよ‥」
「流石にそれはヒドイよ!?ティア~」
「ジム坊。なんでそんなに仕事出きるの?」
「こういう仕事。得意なんですよ」
「そ、そうなんだ。ティアより出きるかも‥?いたっ!」
見ると、ティアナさんがスバルさんのお尻をつねっていた。
「フェイトさんの補佐として、事務仕事は前から手伝ってましたから‥」
「おー。ジム坊が
噂のフェイトさんの秘蔵っ子だったのかー」
え?なにその噂。広まってるんですか。
「っ!?」
えっ。ティアナさんになんか凄い勢いで睨まれたんですが。さっきのチベットスナギツネの方が全然可愛いレベルなんですが。
うーん。ポクポク。ポクポク‥チーン。
あ。そういえば、ティアナさんは執務官志望なんだっけ?
あんま覚えてないけど、strikersエピローグで、フェイトさんの執務官補佐になってたような。
フム。ということは、嫉妬されてると見るのが妥当かな。
うーむ。油断した。この間なのはさんに凹られてから、原作キャラとは、良好な関係を構築したいと思っているんだが。
ティアナさんに関しては
漠然とした記憶しかないんだよな。スバルさんとゆるユリしてて、最後はヴァイスさんと結婚して、スバルさんネトラレテるやん!ていう記憶しか無かった。
更に言うなら、ヴァイスさんの妹さんと中の人同じだから、ヴァイスさんは、合法近親相姦したんだな。ヴァイスの兄貴パネエなあ。ということを思ったことしか覚えてない。
と、しょうもないことを考えていると、お昼を告げるチャイムが鳴った。
「「ジム兄(さん)!」」
と、キャロとエリオがやってきた。
「「お昼いこー」」
二人とも、訓練終わりでボロボロである。
「おー」
机の上をちゃっちゃと、片付け、立ち上がる。
「それでは失礼します」
スバルさんとティアナさんに頭を下げ、
キャロとエリオに手を引かれ、食堂へと歩き出す。
と、食堂への道すがら、八神部隊長とすれ違う。
「「「お疲れ様です」」」
キャロ、エリオ共に三人で、敬礼する。
「おー。お疲れさんや。キャロとエリオはどうや?訓練慣れたか?」
「はい‥なんとか」」
二人同時に答えるが、エリオの歯切れが悪い。
八神部隊長はそんな様子に苦笑いすると、
「ジム君。お昼終わったら部隊長室きてくれるか?」
「はい!了解しました!」
「ほななー」
と、ひらひら手を振りながら去っていく八神部隊長。
◆
食堂にて
大盛のナポリタンを丸テーブルの中央に陣取り、それを囲むように三人で席に着く。
エリオとキャロにナポリタンを取り分けてやりながら、エリオに話を振る。
「どうした?エリオ。訓練キツいのか?」
エリオはぺこりと会釈をしながらナポリタンを受取り、答える。
「いえ。キャロに全く勝てなくて‥」
二人は今、ヴィータさんやシグナムさん、フェイトさんに、基本的な戦闘技術を学んだあと、一対1の模擬戦をずっとしているらしい。
それでキャロに凹られ続けているわけか。
兄として、身内贔屓に見てもキャロは強い。
今のエリオが勝てる訳がないのだが、
そこはやはりエリオも男の子。女の子であるキャロに負け続けはくやしいのだろう。まあ、男女というより、完全に同年代だしな。
「そうか。戦績はどんなもんだ?」
エリオは顔を伏せると、
「今日は50戦50敗です‥」
「ごじゅっ‥」
あまりといえばあまりな、結果に俺は掛ける言葉を失う。
「エリオ君は、真っ直ぐ過ぎだよ。もっと、フェイントとかも意識しないと」
キャロがどや顔で、語り出す。
やめてさしあげろ。
それアドバイスしてるつもりかもしれないけど、
死体蹴りだからね?
罰代わりにキャロの分にはピーマンを多めにのせてやる。
「ぱよっ!?」
俺から渡された皿に鎮座しているピーマンの山を見て、キャロが青褪める。
そして、ピーマンの山をまるごと、フォークで、エリオの皿に移す。
「こら。キャロ。」
「ぱよ~?」
こやつめ。あからさまに目を逸らしおってからに。
エリオは苦笑いしながら、ピーマンにフォークを突き刺す。
「そういえばエリオ。少し背伸びたんじゃないか?」
俺の問い掛けにキャロの動きがピタリと、止まる。
「えへへ。はい。少しだけ。いっつ!?」
はにかみながら答えるエリオ。
だが急にエリオが悲鳴をあげる。
見ると、テーブルの下でエリオの足をキャロが踏んでいた。
「キャロ。食事中は静かにしなさい」
「ぱよっ」
俺の言葉に椅子に座り直して、何事も無かったように食事を再開する。
と、いつの間にか、大盛のナポリタンは無くなっていた。お、俺の昼メシ‥全部エリオにやっちまったようだ。不覚。
はやてさんに呼ばれてたな。新しいの注文する時間はないかな。
仕方ない。
「それじゃ。俺は行くな。午後も訓練頑張れよ」
「うん(はい)」
二人とも笑顔で手を振ってくれる。
さて。なんの用事だろうね。
期限の近い仕事は無かった筈だけど。
「あ。キャロ。デバイス待機モードに戻しとけよ?」
「ぱよっ?!」
待機モードに戻すのを忘れてたキャロはワタワタと慌て出す。その様子にくっくっと笑いを溢しながら、俺は歩き出す。
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「ジムです。参りました」
部隊長室をノックして、声をかける。
すぐに返事は帰ってきた。
「おー。入りー」
ドアをくぐり、中へと入ると、
はやてさんは、自分の机でお弁当を広げていた。
「やあやあ。よう来てくれたな。こんな格好ですまん。」
そう言いながらも弁当からお惣菜をぱくつくはやてさんは、少し頬を染めながら、こちらに謝罪する。
「いえ。こちらこそ間が悪くてすみません。出直しましょうか?」
「いや。かまへん。すまんけど、時間なくてな
このままお話しさせてもらうけど堪忍な?」
八神司令はお忙しい方だ。
このタイミングで食事をとらなければ、食事抜きになってしまうのだろう。
女性の食事に興奮する層は一定数いるらしいが、
自分は断じて違う。かといって不快になる事もない。八神部隊長は見目麗しい部類の女性だし、
そんな女性のいつもと違う一面を見る事は嬉しくもあった。八神部隊長が構わないのなら、俺が許否する理由は無かった。私は一向に構わんっ!
「それでお話しとは?」
「うん。座ってええよ?」
「はい。失礼します」
と、俺は少し離れた椅子に腰を下ろす。
本人が構わないとはいえ、あまり食事を近くで凝視するもんじゃないだろ。
「仕事はもう慣れたか?」
「そうですね。先輩方もみなさん良い人で良くしてもらってます」
「さよか‥けどキャロとエリオの分も、合わせて三人分は大変ちゃうか?」
「いえ。もう慣れましたし」
そう。キャロとエリオの訓練の時間をつくる為、俺はキャロとエリオの分の事務仕事も引き受けたのだった。でも八神部隊長が知っていたとは、驚きである。この人はおちゃらけてるようで、本当によく見ている。肩代わりの件はなのはさんとフェイトさんといった、直属の上司には報告しているが、お二方が司令に報告したという話は聞いていなかった。もしかして怒られるのだろうか。
と、俺が不安になっていると、
「お説教やないで?」
と、クスリとひとつ微笑んではやてさんは話し出す。
「六課の事どう思った?」
「え?」
発せられた言葉はとてもじゃないが想定外で。
俺が言葉に詰まっていると、
「忌憚なく頼むわ」
「そうですね。実務‥現場の実働部隊は問題無いと思います。‥が、反面、裏方、事務が酷すぎますね。実務未経験の方が多く見受けられます。
むしろ、今までよく回っていたなと、そんな感想です」
ひと息に言ってから、無言で俯くはやてさんに不安になる。言い過ぎただろうか。
だが、嘘偽りない気持ちである。
配属したばかりの時、表計算ソフトを1セルずつ手打ちしているのを見た時は目眩がした。
何であの作業スピードで今まで回っていたのか謎過ぎる。きっとはやてさんやフェイトさんが奮闘していたのだろう。事実、今は俺は残業して、六課全員分の仕事を確認して、終わらせている。
初日が終わった時はとんでもないブラック企業に来てしまったと絶望したものだ。
マジでフェイトさんいなかったら300回は辞めてるね。
「せやねん。現場の人材集めるの必死になってたら、裏方が素人だらけになってしもてん‥」
その後、事務方が集まらない理由も聞いたが酷すぎる。絶対魔王には教えられない。
「残業もしてくれてるみたいやけど無理してないか?」
「バレてましたか‥」
バツの悪い思いで頭をかく。
「正直有り難いっちゃ有り難いんやがな‥」
と、憂いに染まった顔を伏せるはやてさん。
「今週いっぱい頑張れば、多分事務系統は正常化します。目つぶって頂けませんか?」
と、はやてさんは愕然とした顔を上げる。
「あの量の仕事をこの短期間で処理したんか‥」
確かに配属当初は既に、事務系統はパンクしており、日々の急ぎの仕事を優先してなんとかこなすだけの自転車操業状態だった。だが実際は日々の仕事量自体はそんなに多くなかったのだ。実務、パトロールや訓練に時間を取られ、慣れない事務仕事を後回しにしていただけで、事務スキル持ちがまともにやれば、
そこまで、時間は掛かるモノではなかったのだ。
実際俺自身の訓練、フェイトさんとのデート‥いや、パトロールがなければ、もう終わっていただろう事は記しておく。
「本当に子供とは思えんな‥」
「お褒めに預かり光栄です」
「わかった‥一応ウチからの特別指令てことにしとくわ‥残業頼む」
「はい!承知しました」
敬礼と共に、俺が答えると、はやてさんは満足気に首肯くと、
「おおきにな‥」
ボソリと一言お礼を言ったはやてさんに問題ないという気持ちで笑いかけると、はやてさんは頬を染めて、目を逸らすのであった。
さて。指令を頂けた事だし頑張りますか。
今迄は内密で残業してたから、バレないようにコソコソしてたから、効率悪かったのだ。
内密といっても、なのはさんやフェイトさんにはバレてたから、暗黙の了解を貰ってた認識だったけどね。一応他の六課メンバーにはバレてない筈だが。
読んで頂きありがとうございます。
注意。この六課の設定は私の勝手な妄想です。
本来の六課は事務系統は問題なく回っていたと思います(笑)お目こぼしよろしくお願いいたしますm(__)m若手のFWばかり集めたとしたら、こんな展開もあり得たんじゃないかという妄想です。
後書きで説明は寒いですね(´д`|||)次はもう少し早く投稿できるように頑張ります。