「ドクター。お待たせ‥」
私はルー君に呼び出され、ラボの一室で佇んでいた。近近、ホテルアグスタにて、古美術品のオークションが開かれる。そこにレリックが出品されるという情報が入り、私は娘達に襲撃するよう指示をだし、その後、ルー君に呼び出され、今ここで、ルー君を一人待っていたのだ。
襲撃計画自体はウーノとクアットロに任せている。二人とも情報分析に優れ、私よりもこういう事に適正を持っている。頼もしい事だ。
「かまわないよ。それでルー君?何の用かな?」
「うん。ガリュウ‥?」
と、ルー君が呼び掛けると、音もなくガリュウ君が現れた。
ガリュウ君はルー君が召還した人型の召還獣だ。
こんなナリだが虫らしい。
そういえばどことなく仮面ライダーに似ている気がする。
そして、ガリュウ君はゆっくりと私に、近づいてくる。
彼の、表情からは感情が全く読みとれない。
いや、わかる者にはわかるのかもしれないが、少なくとも私にはさっぱりだった。
感情がわからないというのは不気味なものだ。
彼は声も発さない。
そんな彼に気圧され、私は一歩下がってしまう。
「どうしたの?ドクター?」
「いや、何でも‥」
と、答えようとしたところで、私の肩に手が添えられる。
見ると、ウーノが静かに微笑んでいた。
「ウーノ?何故此所にいるんだい?」
「ルーお嬢様に協力を頼まれまして‥」
「協力?何の協力だい?」
しかし私の問いに応えてくれる者はいなかった。
二人は静かに微笑んでいるだけだ。
なにこれ恐い。
と、私が恐怖を感じていると、
唐突に部屋の扉が吹き飛ばされた。
「ちょっとウーノ姉樣!?私の下着、ドクターの下着と一緒に洗わないでって言ったでしょう?!」
入って来たのはクアットロだった。
娘にそんな事を思われていたとは‥
これが反抗期‥。凹むね。
私はゆっくりと四つん這いになってしまう。
クアットロはそんな私を見て、ばつが悪そうに、目を逸らすと、ウーノに近づいてヒソヒソし始めた。凹むね。これならふつうに聞こえるように話して貰った方がマシだ。いや。ウソだ。泣いちゃうかもしれない。
「ウーノ?そろそろ説明して、くれないかい?」
「すみませんドクター。アグスタの件でルーお嬢様にも協力をお願いしたのですが‥その際、大変魅力的な御提案を頂きまして‥私の一存で了承致しました」
「ふむ。それでその提案とは?」
ウーノが了承したのなら問題は無いのだろうと思ったがルー君の提案とやらに興味を引かれ、私は尋ねる。
「それでは、ルーお嬢様、お願いいたします」
ペコリと一礼してウーノは一歩下がる。
すると、再びルー君とガリュウ君がにじりよってきた。
「な、なにかな?」
私の問いは恐怖でかすれ、震えていた。
「ドクターが欲しいモノをあげる‥恐がらないで‥ガリュウ?」
コクりとガリュウ君がうなずくと、ガリュウ君の身体が光り始めた。そして、光りが治まると、ガリュウ君は消えていた。
「おや?ガリュウ君はどこへ?」
「そこにいるよ」
ルー君が答えると、ウーノがどこからともなく、姿見の鏡を私の前へと置いた。
そこには、漆黒の鎧に包まれた私がいた。
「これは‥?」
「ドクター。欲しいって言ってたでしょ?」
そうか。あの時の‥確かにあの時の青年が身につけていた鎧に似ている。いや、あれを、黒くしたものがこれだ。
「ドクターが欲しがってたから、ウーノに頼んで解析してもらったの。まあ私は当たりはついてたんだけど」
ドヤ顔ルー君頂きました。
「そしたら思ったとおり、あの、鎧は魔力生命体だった」
魔力生命体?あれが?
「わかりやすく言うと、ガリュウと同じモノ。向うにも召還士いるんでしょ?ならあとは簡単。ガリュウに聞いたらできるっていうから、おなじようにしてみたの。気分はどう?単純に今、ガリュウの力がドクターに上乗せされてるから力強くなってる筈だよ」
そう言われてみると、確かに力が、溢れている
力が、追い求めた力が、この手に!。
「ふはは。フーハッハ!ゲフッゲフッ!」
むせる私を余所に、ウーノとクアットロとルー君はアグスタ襲撃計画を立てている。
誰かちょっと背中擦ってくれないかねえ‥。