将をなんちゃらするならまず馬をなんちゃら。   作:stan

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ちょっと忙しくなりそうなので、頑張って早送り投稿。忙しくなる前に何とか完結させたい所存。


ある兄妹の今昔。

―お兄ちゃん‥

 キャロ‥か?

暗闇の中から俺を呼ぶ声がする。

いくら眼をこらしても、視界は晴れない。けど‥

_――お兄ちゃん‥

キャロ?

やがて、闇の中にシルエットが浮かぶ。

そこに現れたのは、まごうことなき美少女。

まだ、幼さの残る顔立、まだ、染めたばかりのような、明るい茶髪。

 誰だ?キャロじゃない‥

でも、俺は彼女を知っている。

 誰だっけ‥

__また寝惚けてんの?正兄は本当に、だらしないなあ。

その瞬間、記憶の扉が開く。

‥何年振りかな‥「千秋ちゃん」

 

 

◆◆◆

「もう‥正兄‥‥だからバター塗りすぎ‥!」

トーストを齧りながら、千秋ちゃんが眼を吊り上げて、怒ってくる。

「バターたっぷりが美味しさの秘訣なんだよ‥」

「それはわかるけど、カロリーとか油が気になるんだよ!」

「そんな乙女みたいな‥」

 

「乙女だ!」

我慢の限界とばかりに、千秋ちゃんの拳が俺を襲う。

全然痛くないけど。

「もう‥もし、女子力下がって、彼氏とか出来なかったらどうしてくれるの?」

 

「彼氏とか許しません!」

即答する俺に、少々唖然とした千秋ちゃんは、

「まったく。正兄は‥まったく‥」

と、悪態を付きながら、トーストを片付ける作業に戻る、妹様。

「口元、緩んでるぞ?」

俺が的確なツッコミを入れると、テーブルの下から足が飛んできた。

「うるさい!シスコン!」

弁慶の泣きどころを痛打され、俺は悶絶する。

 

◆◆◆

「今週のみったんのダンスかわいかったー♪」

「それな」

「あんこう音頭とか本家よりキレッキレだったよねー♪」

「あれは笑ったなーでもお兄ちゃんは双子山に釘付けだったけど‥」

「あーね。正兄は本当におっぱい星人だねー」

「ただ千秋ちゃん?みったんの真似したいのはわかるけど、スタイリッシュにコンセントに差す遊びは危ないからやめなさい?」

「なんで、知って‥?」

千秋ちゃんは赤面して俯いてしまった。プルプルと羞恥に震えている。

兄→妹の羞恥プレイキタコレ。ウマーー!

これはそそられますな。

「なんでって‥家のいたるところで、コンセントが視界に入る度にやってるじゃん?」

 

「うう‥」

 

「よしよし‥」

更に俯いた妹の頭を撫でてやる。

暫く撫でていると、いつの間にか、千秋ちゃんはこちらを上目遣いで見ていた。

ヤッター!妹の上目遣い戴きましたー!

「千秋ちゃんは可愛いなあ‥」

つい、素直な感想が漏れてしまう。

すると、千秋ちゃんは更にプルプルして、

「正兄のアホーーー!」

と、飛び出して行ってしまった。

「ち、千秋ーーーーー!」

 

 ビコン

そこでスマホが震える。

見ると、

from愛妹3㎝

 

title「今日一緒に帰ろ?」

一秒で了解。いつもの時間に迎えに行く。と返す。

さて。今日もお仕事頑張りますか。

 

◆◆◆

仕事も無事に終わらせ、千秋ちゃんの学校の校門前へと自転車で乗り付ける。

校門前で千秋ちゃんは既に待っていて、こちらに気付くと、嬉しそうに駆け寄ってくる。

「お待たせ‥かな?」

俺が声をかけると、千秋ちゃんはフルフルと首を横に振り

 

「んーん?全然待ってないよ」

 

言うなり、千秋ちゃんは後部座席に跨がる。

「ほいじゃ、正兄号、シュッパーツ!」

「へいへい」

 

「山田ちゃんじゃーねー!」

と、複数人のJKが声を掛けてくる。

「んー。また明日ねー♪」

と、千秋ちゃんは返事を返すと、思いっきり、首に抱きついてきた。

 

後ろでキャーと黄色い声が上がったが気にせず、ペダルを強く踏み込む。

「良いのか?」

校門から少し離れたところで、千秋ちゃんに声をかける。

「何が?」

「こんなに甘えんぼうなとこみせて、からかわれたりしないか?」

「別に平気かなーそんな事するようなヤツはハナから友達認定してないし‥」

おおう。我が妹ながらドライな事で。

「それよかちゃんと誰のモノかアピールしとかないと‥そっちの方がめんどくさそうだしねー」

「はい?」

「わかんなくていいよー」

ぼやかされてしまった。考えてもわからなそうなので、別の事に思考を向ける。

因みに千秋ちゃんは変わらず俺に抱き付いたままだ。

しかし、‥全くと言っていいほどに背中にナニも当たらない。

風通し良すぎて風邪ひきそう。

千秋ちゃんは可愛くて、頭脳明晰、人当りも良い、俺の妹なのが信じられないくらいの完璧美少女なのだが、何故か、胸は生えてこない。

毎日豆乳飲んでるのにね‥

 

「おい‥正兄‥今何考えた‥」

 

突然、首に巻きついた腕に力が篭り、首が締め付けられる。

「べ、別に‥何‥も‥」

 

「カッハァ‥嘘ヲツケ‥!」

 

地獄の底から響いてくるかのような声色に俺は思わず戦慄する。

「吐かないと、このまま落とすぞ‥」

 

「危ないから‥ところで千秋ちゃん胸もげた?」

 

「ギルティ‥!」

そこで俺の意識は途切れた。

 

◆◆◆

次に目を開けると、真っ暗だった。

遠くに、風景が見える。

そこにいたのは、ピッコロ大魔王にすがりついて泣いている千秋ちゃん。

声は全く聞こえない。

ああ。嫌だな。1番見たく無いものを見てしまった。愛する妹の泣き顔なんて、一生見たくなかった。俺は思わず、顔を背けた。

 

 

 

◆◆◆

 

次に目が覚めると、またもや辺りは真っ暗だった。

「知ってる天井だ‥」

そう。ここはフェイトさん宅だ。

隣に温もりを感じ、見やると、そこには、キャロが寄り添うように寝ていた。

 

「‥ムニャムニャ‥お兄ちゃん‥ギルティ‥」

 

不意に飛び出した寝言に俺はドキッとする。

「ハハ‥まさかね‥」

「千秋ちゃん‥」

ふとついて出た言葉に、キャロがもぞもぞと身体を捩る。

そこで俺は気づく。自分が泣いていることに。

何故、こんなにも、悲しいのか、こんなにも寂しいのか。それすらわからない俺には涙を止める術は無かった。

脳裏に浮かぶのは、千秋の泣き顔。

あんの‥堕神‥ウマイ事やってくれなかったのかよ‥!そう。夢で千秋がすがりついていたピッコロ大魔王はあの堕神じゃないか。

俺が転生してから、何がどうなったのか‥

当然俺にわかるわけがなかった。

と、不意に俺の頭に手が宛がわれる。

見ると、いつの間にかキャロが起きて、俺の頭を撫でていた。

「正兄‥よしよし‥」

俺はギョッとして、キャロから身体を離す。

すると、キャロは悪戯っぽい笑みを浮かべて、

「あーあ。バレちゃった‥」

と、のたまうのだった。

「千秋‥ちゃん‥なのか‥?」

「やっと気付いたの?‥正兄‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サブタイのこれじゃない感。お気付きですか?いつの間にかまたつけはじめていることに。(笑)でも、やっぱつけない方が良いかもと後悔してみたり。SSって難しいですね(´д`|||)
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