ジムとのデートが終わり、自分の部屋に戻ったフェイトはとりあえず目に入った鏡の前で自分の髪を弄りだす。軽く目にかかり始めた前髪を鬱陶しそうにかきあげながら、
「そろそろ‥切ろう‥かな‥?」
誰にともなく呟いた言葉に答える者は当然誰もいない。
前髪をかき分けながら、フェイトは気付く。
顔がにやけていることに。
「うん‥楽しかった‥な‥」
「前髪‥切ったとしたら‥ジムは、気に入ってくれるだろうか‥」
そう思うと怖くなり、髪を切るのはやめようと思い留まるフェイトであった。
初めての感情に若干の戸惑いを覚えながら、多少の痛みを伴いながらもどこか心地よい鼓動のリズムに手を当てながら、自分の格好を見下ろす。
初めて着る服装で若干不安もあったけど、彼は素敵だと言ってくれた。
その時の事を思い出すと、フェイトはまた自然と口の口角が上がってしまう。
スマホを開き、LINEを機動。
《ティアナ。彼喜んでくれたよ‥ティアナの撰んでくれた服装バッチリだったよ‥ありがとうね‥》
《好感触でした?》
《うん‥素敵ですって言ってくれた(///ω///)♪》
《うわっwwwwwあの子そんな事言うんですねwwwww楽しかったですか?》
《うん‥嬉かった‥し、楽しかったよ(ノ´∀`*)》
《それは良かったですね。》
《それでそれで?何か進展ありましたー?》
《進展って程じゃないんだけど‥今日、彼がね‥家族じゃなくて、一人の男として見て欲しいって‥》
《(≧▽≦)(/▽\)♪(/ω\)キャー》
《それで何て返したんですかー?》
《それがね‥嬉しくて、頭真っ白になっちゃって‥つい生意気だね‥って(´・ω・`)》
《お姉さんぶるフェイト隊長カワユス!》
《失敗しちゃったかなぁ‥?》
LINEの返信を打ち込みながら、気分が落ちこんでくる。せっかく彼が踏み込んでくれたのに、スカしてしまった自分に罪悪感を感じる。
「~~~~」
私はベッドへとポスン!と腰を下ろす。
すると、ポトリと何かが膝に落ちてきた。
見ると、彼がとってくれたぬいぐるみだった。
彼から貰って、嬉しくて抱き締めて、そのまま胸に挟まってたようだ。
私はぬいぐるみを抱き上げると、「フフッ‥」
と、笑みが溢れてしまう。
これを取る為に、必死にチャレンジし続けていた彼の必死な顔が思い浮かぶ。そして、彼と遊んだゲームの数々。
「楽しかった‥な‥」
私はぬいぐるみをゆっくりとベッド脇のサイドテーブルに載せて、座らせる。
ぬいぐるみの頭を指先でチョンと一付き。
「母さん‥私‥好きな人が出来たかも‥とても‥優しい子なんだ‥弱い私をいつも支えてくれて‥母さん‥アリシア‥二人がもしここにいたら、なんて言うかな‥祝福してくれたら‥うれしい‥な‥」
改めて、口に出すと、無性に恥ずかしさが込み上げてきて、室内には誰もいないのに、私は枕に顔を埋め、顔を隠す。そのまま寝転ぶと、それでも修まらない恥ずかしさを誤魔化すように足をバタつかせる。
「~~~!」
そして、声にならない叫びを上げた。
ピコン。とLINEの通知が響き、ティアナかなと思いつつ。画面を見ると、
《今日はとても楽しかったです。ありがとうございました。フェイトさんさえ良ければ、また御一緒出きると、うれしいのですが‥》
‥彼だった。
再び私の顔は一瞬で沸騰し、私はまた、枕にダイブするのだった。
ピコン。
再び通知が響く。今度はティアナだった。
少しガッカリした。
《それで、男として見て、フェイトさんはどうだったんですか?》
どうだった?男として、ジムを‥男として‥
私はまた顔が熱を持ち、ゆっくりと後ろに倒れていった。男としてのジムを‥私は憎からず思っている。それは最早疑わない。‥だが、女としての私はジムには、どう映っているだろう‥
不安感に
苛まれながら、私はノロノロと、ティアナに返事を返す。
《多分‥好き‥です‥》
《(゚∀゚ 三 ゚∀゚)キターー!》
《って‥多分って何ですかー?!》
《だって、好きとかよくわかんないもん‥》
私は今まで男性とお付き合いしたことはない。
《今まで、好きになった人はいないんですかー?》
《強いて言えば、なのはかな‥》
《知ってた。》
‥《それにね‥ジムが私を女としてどう見ているのかはわからないし‥》
《ていうか男として見て下さいって‥軽く告白っぽ‥いや、何でも(ヾノ・∀・`)です》
《それに‥ジムが好きなのは、キャロだと思うんだよね‥》
《あー‥。あの二人仲良すぎですもんね(´д`
《でも、一線は越えてませんよ多分。だから、先にフェイトさんが越えちゃえば良いんじゃないですかね?》
「ブフッ!?」
予想外のティアナからの返信に私は思わず噴き出す。
《ティ、ティアナは過激だね‥》
《そうですか?今どきこれくらい普通ですよ?》
《そ、そうなんだ‥》
《アイツ多分童貞ですし、男なんて、童貞奪ってやればコロリですよ(*`・ω・)ゞ》
《う、うーん‥》
ジムと‥一線を‥想像してしまって私はまた顔が熱を持ち、枕に倒れ伏した。
血管破けちゃうよ‥
「そうだっ‥」
私は勢い良く身体を起こし、
バッグから新品の手帳と、プリクラを取り出す。
そして、適当に開いた手帳のページに日付を書き、プリクラを綺麗に貼っていく。
雑誌で読んだ知識だけど、こうして思い出を残す風潮があるらしい。
貼ってみると、なるほど。確かに、これは良いかも。プリクラの小さい枠の中には、所狭しと、ぎこちなくポーズを決める二人。
それを見るだけで思い出として、情景が鮮やかに甦る気がした。
そして、この手帳いっぱい迄、プリクラを撮り集めたいと思った。
そして私は出掛ける寸前迄読んでいた。シャーリーから借りた雑誌を手繰り寄せる。今回はゲームセンターにしたけど、他にも行ってみたい所はあるのだ。ジムもまた一緒出来たらうれしいって言ってくれたし、次はどこに行こうかと、ページをめくりながら、思いを馳せる。
次の休みはいつになるかわかんないけど‥と、タメ息をひとつ。明日はスカリエッティとの取引現場に突入予定だ。エリオとキャロも、なのはの訓練を卒業したわけだし、ジムもいるし、戦力的には十分な筈だ。
明日の作戦に思いを馳せていると、再びスマホが、震えた。ティアナだ。
《因みにアイツの何処が好きなんですか?》
《えーっと‥お料理美味しいよ?》
《意外( ; ゜Д゜)胃袋掴まれちゃったんですねw》
《?ストマッククローなんてされてないよ?》
《胃袋掴み(物理)じゃないですからwそんな‥なのはさんじゃあるまいし‥あれ?すいません。来客みたいです》
《こんな時間に?》
その後、何分待っても、既読はつかなかった。
大丈夫だろうか‥なんだか心配になって私はもう一度LINEを送ってみることにした。
《ティアナ?大丈夫?》
《なの‥なのなのなのなのなのナノナノナノナノ》
返信来たけど‥どうしよう。全く大丈夫じゃ無さそう。
ティアナは明日の作戦不参加‥と。
私はとりあえずスマホの電源を落とした。
大阪の地震怖いねー((( ;゚Д゚))次は関東かな((((;゜Д゜)))きっとスバルが、助けに来てくれる筈(///ω///)♪え?なのはさん?作中で大体酷い扱いしてるから、多分スルーされるね(ToT)