将をなんちゃらするならまず馬をなんちゃら。   作:stan

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ジムVSスカリエッティ。

「アクセルシュート」

 

「シューティングレイ!」

なのはさんの放った魔力弾が螺線を描きながら、戦闘機人のグループに向かう。

彼女達は散開して各々で逃げ出した。その内のサーフィン少女を魔力弾は追尾していく。

「なんで私~~~っ」

サーフィン少女は泣きながらボードを走らせる。

そんな彼女を助けようと、赤毛のショートカットの似非スバルが、魔力弾とサーフィン少女の間に身体を潜り込ませる。

魔力弾に向かってファイティングポーズをとった彼女を1拍遅れて、私の砲撃魔法が襲う。

突然の想定外の攻撃に似非スバルはこちらを睨みつける。

いや、改めて私が砲撃したわけじゃないし。

最初に私が放った砲撃魔法の射線上に勝手に立ちはだかったのはそっちである。

彼女はバカなのかもしれない。

それより、こっちばっか見てると‥

そして彼女を、追尾してきたなのはさんの魔力弾が襲った。

的確に彼女の身体を無数の魔力弾が貫く。

そして、似非スバルはゆっくりとその場に崩れ落ちた。

「ノーヴェ!」

サーフィン少女が慌てて、似非スバルに駆け寄る。

「ノーヴェ姉樣っがっ?!」

同時に悲鳴のような声が途中で遮られるのが聞こえた。

見ると、茶髪のロングの少女の腹に、エリオのストラーダの柄がめり込んでいた。

こちらに駆け寄ろうとしていたのだろう。勢いを止めきれず、彼女はそのまま、前のめりに崩れ落ちた。

エリオにしては上出来である。

さて。私も働かないと。罰ゲームはイヤなのだ。

似非スバルを抱き寄せて心配そうに顔を覗き込んでいるサーフィン少女の背後に音も無く降りたつと、手刀を首スジに落とし、意識を刈り取る。

 

◆◇◆◇◆

私は戦況をじっくり眺めながら、

少なくない満足感を覚えていた。

キャロもエリオもきちんと、指示通りの仕事をしてみせた。敢えて、細かく指示を出さずに任せてみたが、結果は上々。みっちりしごいたし、この程度の相手に遅れを取ることはないと、確信はしていたけど、初めての実戦とあり、やはり不安はあったのだ。何時でも助けにいけるように、待機もしていたが、必要なかったようだ。

少し離れた所では、フェイトちゃんが紫の短髪の女とスピードバトルを繰り広げていたが、リミッター解除してるみたいだし、問題はないだろう。

最早、大勢は決したと言える。

その時、黒い影が遠くで動いた。

―狙いはエリオか。

 

―よっこらショーイチっと。

 

私はゆっくりと身体を浮遊させた。

 

◇◆◇◆

早鐘を打つ鼓動を抑えながら、僕は倒した女性に手錠をかけようと近付く。

初めての実戦だったけど、上手く出来たと思う。

なのはさんとキャロの砲撃に散開した敵の中で、僕が狙ったのは茶髪のロングの少女。気配を殺しつつ、彼女の傍で隙を伺い、

程なくその時は訪れた。

彼女はとりわけ仲間意識が強いようだ。

仲間がやられた瞬間、全くの隙だらけになった。

少し罪悪感を覚えながら、彼女の腹に、ストラーダの柄を吸い込ませる。

柄が、肉に食い込む嫌な感触の後に、彼女は意識を失った。

やった!上手く出来た!キャロ‥見直してくれるかなあ‥

僕、この闘いが終わったら‥ジム兄さんに褒めてもらうんだ‥!

僕はバインドは使えない。

なので、こういう時の為に、手錠を持っている。

これで彼女を拘束して‥

彼女の腕に手錠を掛けようとした瞬間、

ザシュッという足音と共に、黒い影が僕の前に現れた。

その姿は配色以外はジム兄さんに似ていて‥

風にたなびくのは紫の長髪。

違う‥!ジム兄さんじゃない‥!

僕がストラーダを構えるより早く、その影は僕に、拳を突きだした。

速いっ?―かわせないっ!

思わず目を瞑ってしまう‥が、何時まで経っても衝撃は来ない。

ゆっくりと目を開けると、拳は僕の目の前で止まっていた。

いや、正確には手首を掴まれて止められていた。

掴んでいるのは見覚えのある白いバリアジャケット。

なのはさんだ。

なのはさんが助けに来てくれた。安心感半端ない。

「エリオ‥離れてて?」

 

「はいっ!」

僕は即時後ろへと飛び退く。

すると、なのはさんは、それを合図に黒い影に拳を放つ。

―ドカン!―

まるで爆発音のような命中音と共に、黒い影は吹っ飛んでいった。

幾度も地面に激突しながら転がり、やがてだいぶ離れた所で黒い影は漸く止まった。そして尚も立ち上がろうとするが、上手くいかず、倒れ伏した。当然だ。なのはさんのあの打撃を食らって、まだ立ち上がろうとしたことの方が驚きである。

 

「素晴らしい!なんて力だ!圧倒的じゃないか!欲しい!欲しいなあ!その力!フヒッ!」

 

と、気持ち悪く笑いながら、スカリエッティは立ち上がる。目が軽くイッててちょっと怖い。

見ると、流石のなのはさんも少し怯んでいた。そして、スカリエッティはなのはさんに襲い掛かった。

襲い掛かるスカリエッティに向かい、なのはさんが迎撃しようとするが、ガクンと‥なのはさんの体勢が崩れた。見ると、なのはさんの両足を地面から手が生えて掴んでいた。

―いけない!

僕はストラーダで突進の構えに入る。

が、僕が突進するより早く、なのはさんは足を蹴りあげた。

―そう。掴まれている手ごと、足を蹴りあげたのだ。

すると、地面から水色の髪の女が出てきた。いや。引っ張り上げられたのだ。そこからの女の判断は早かった。なのはさんの足を解放すると、素早くまた地面へと潜る。

見慣れない敵のスキルに流石のなのはさんも驚きを隠さない。

そして、少しだけ判断を迷ったようだった。

その迷いの間にもスカリエッティはなのはさんの頭上に到達していて、その腕を振り下ろす。

なのはさんは回避の素振りすら見せない。

まさか、気付いてない?!いや、なのはさんに限ってそんなことあるはずが‥

だが、僕は次の瞬間、解答を得た。

振り下ろされたスカリエッティの腕はなのはさんには届かなかった。

いや、正確には、止められていたのだ。

最早見慣れた、白い鎧。

「ジム兄さん!」

そう。ジム兄さんがなのはさんとスカリエッティの間に立ちはだかっていた。

ジム兄さんは軽々と、盾でスカリエッティの腕を押し除けると、左腕でぶん回しのラリアットのような打撃。スカリエッティはなす統べなく再び吹っ飛んでいった。

ジム兄さんはそのまま追撃へと向かう。

後に残されたなのはさんは心無しか、顔が赤く見えた。

◆◇◆◇

私はボケーっと遠ざかる白い背中を眺めていた。

ジム君が戦闘の様子を伺っているのは気づいていた。

だから多分助けてくれると思って、敢えてピンチになってみた。

予想通り、彼は助けてくれた。

だが、予想外の事も起きていた。

彼が私とスカリエッティの間に立ちはだかった時、彼の予想以上に広い背中に気づいてしまった。

激しく高鳴る動悸に抗いようもなく、私は立ち尽くすしか無かった。

そこに、相手を片付けたのかフェイトちゃんがやって来た。

「なのは。お疲れ様。‥」

 

「フェイトちゃんもお疲れ様」

相変わらず落着く声。私の好きな声。

私は自分の気持ちの揺れがばれないように、慌てて話題を探す。

「そ、そっちは終わったの?」

「?うん‥バインドで無力化してきたよ‥」

「それよりなのは‥?」

 

「にゃ‥にゃに?!」

噛みまみた。

「‥?また、強くなったんじゃない?リミッター‥解除してないよね?」

「え?あ、あー。優秀な教え子達と毎日模擬戦してるからね♪」

「そ、そっか‥ジムともしてるの?」

「ぴぇっ!?し、して‥?にゃ、にゃにを?」

「‥?だから模擬戦を‥」

「あ、あー模擬戦ね。うん。してるよ。まだまだ負けないけど、だいぶ私に匹敵するようになってきたからね♪おかげで楽しくて♪」

 

「そっか‥お手柔らかにね‥」

 

「ぴぇっ!?」

お手柔らかにねって、なんでフェイトちゃんいきなり宣戦布告‥?ハッ?!

まさか、既に気付かれ‥?

私はぐるぐると思考が回り、よくわからなくなっていた。

「あれ‥?なんかおかしくない‥?」

「ぴぇっ!?」

「な、ナナナナナナ何が?!なのは‥何もおかしくないよ?」

 

「‥?いや‥あれ‥」

と、フェイトちゃんが指差す方向にはジム君とスカリエッティが激しく肉弾戦をしていた。

私は勘違いに気づいて、顔が沸騰してしまう。

改めて良く見ると、なるほど。確かに少しおかしい。

「スカリエッティの動きが、少し違和感あるね‥」

「でしょ?まあ、スカリエッティが肉弾戦に強いなんて情報無かったし、闘い馴れてないってだけなのかもしれないけどね‥」

 

◆◇◆◇

闘いながら、違和感が確信に変わる。

始めは、その姿に驚きもしたが、闇黒聖闘士なの?と、双子を警戒して辺りの小宇宙を探ったが、他に潜んでいる相手はいなそうである。

何よりスカリエッティからは全く小宇宙を感じない。聖闘士じゃないなら、何も問題は無い。

どういう原理の鎧か知らないが、スカリエッティ自身の能力は底上げされてるように見える。

いや、元のスカリエッティの実力知らんけど、

何より、スカリエッティの纏っているものは、俺の聖衣、つまり、フリードと、同じ由来のモノのように思えた。

じゃあ、何に違和感を感じているのかというと、

時々、本当に一瞬、一瞬だけだがスカリエッティの動きが、いちいち止まるのだ。

先程のなのはさんと、俺の攻撃でどこか痛めたか?

それとも、単に肉弾戦に慣れてないだけか?

もしくは両方か。

俺はとりあえず、思考に決着を付け、倒しに行くことにした。

先ずは牽制の、右ジャブ。

「ぶべっ!?」

あっさり入ってしまった。

増悪に燃やした目をこちらに向け、スカリエッティが反撃しようとした時、また、一瞬、動きが止まった。

その隙の間に俺はバックステップで離れる。

だが、スカリエッティは追いかけて来ない。

怪訝に思い、見ていると、

「もー!これ邪魔!動きにくい!」

何を思ったか、鎧を脱ぎ始めた。

 

―ぇぇええ‥?

手早く、スカリエッティはすっぽんぽんになり、

俺を指差しながら吼えた。

「待たせたね!さあ!掛かって来るが良い!」

掛かって来るが良いとか言われても‥

そのプランプランしたもの仕舞えや。

男のそれ見ても、戦意減衰しかしねえよ。

って、デカイな‥!

まさか、あれ‥通常時なの?有事の際にはどうなっちゃうの?

くそ‥やられた!男としての、敗北感に俺がうちひしがれていると。

さっさと、あの目障りな対空砲塔を破壊しよう。そうしよう。

―だが、聖衣を着てない人間を攻撃するなど、聖闘士としてあるまじき行為‥。

「さあ‥どうしたね‥?」

スカリエッティが両手を拡げて、近付いてくる。

ブラブラすんな。

リザドのミスティかお前は。

だが残念ながら、ここは洞窟。太陽さんの

逆光援護は期待出来ない。

「さあ‥さあ‥」

にじり寄ってくるスカリエッティ。

正直逃げたい。

え?これ、俺が相手しなきゃ駄目?

―致し方無い。

ならば俺も‥!

 

そして俺は‥聖衣と服を脱ぎ捨てた。

「何でやねんっ!?」

 

「元気ですかっ!?」

そんな俺に、フェイトさんの強烈なツッコミ(延髄切り)が炸裂した。

そして、それから‥俺とスカリエッティはフェイトさんに正座で説教されていた。

下がゴツゴツしてて、大変足が痛い。

「女の子の前で‥軽々しく脱ぐなんて‥君達は変態さんなのかな‥?」

「「だってこいつが‥」」

俺とスカリエッティが同時にお互いを指差し、呟く。

「「ああん!?」」

そして俺達はメンチを切り合う。

そんな俺達を見て、フェイトさんはタメ息をひとつ。

 

「どうする?なのは‥?」

「気が済む迄やらせたら良いと思うの♪」

フェイトさんに意見を求められたなのはさんは、何故かワクワクしながら、そう答えた。

「筋肉と、筋肉のぶつかり合い!まるで、骨と骨がぶつかり合うような、リアルな音を聴かせて欲しいの♪」

「さあ‥ハリーハリー!」

なのはさんに急かされて、ノロノロと、俺とスカリエッティは立ち上がると。ろロックアップで

ガッツリと組み合う。

「レイジングハート‥REC●」

《allright!master!》

「はやてちゃんに良いお土産が出来たの♪」

「何でこんなことに‥」

 

「お前のせいだろうが!」

 

「「ああん?!」」

スカリエッティの呟きに律義に突っ込み、俺達はまたメンチを切り合う。

お互いに押し合いながら、手首を極めようと、手首を手繰り寄せては、いなし。寄せてはいなしの繰り返し。らちがあかん。

股の間に隙を見出だし、そこに、腕を差し込もうとするも、躊躇する。だって、触れちゃうじゃん。仕方無く右太股を取り、持ち上げて、バランスを崩してやる。

それでもスカリエッティは抵抗を、やめない。

俺は頭をスカリエッティの右脇に挿し込み、自分の右腕をスカリエッティの首に巻きつかせ、軽く絞めてやる。首が締まり、スカリエッティが苦しげに、腕をさまよわせる。その腕を右腕で掴み、股の間に持っていき左腕で掴み直す。

―終わりだ。

俺はそのままスカリエッティを持ち上げ、裏投げの要領で、後ろに頭から落とした。

「がっ‥はっ‥!」

完璧だ。

俺はすっくと立ち上り、昏倒したスカリエッティを見下ろすと、両腕を天に突き上げ、雄叫びをあげた。

 ―全裸で。

「ウォウォー!」

そんな俺をレイジングハートが赤ランプを点灯させながら、録画していた。

 

ちょっ‥撮っちゃらめえーー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




描写が難しい‥最後ジムの決めた技がいまいちイメージ出来なかった人は、リフトクラッチエクスプロイダーで、ググってみてくださいな(。>д<)
すまぬ‥表現力不足で‥すまぬ(ToT)
うあああぁん!疲れたもおぉぉん!
なのはさんどころか、この六課‥全員‥凶悪‥っ!スカリエッティ一家は泣いて良い。
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