将をなんちゃらするならまず馬をなんちゃら。   作:stan

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長くなってしまった‥大変かも、知れないけど頑張って読んでやって下さいな。


心の温もり。

台風一過の昼下がり、初夏といえども、その日は風もあり過ごし易い陽気だったので、日頃の仕事の疲れもあってか私は部屋のソファでまどろんでいた。

ウトウトと、自分が眠りに落ちていく感覚。

スーッと、意識を手離す瞬間。

誰かの気配を感じ、私は眼を開ける。

 と、そこにはスーツ姿のジムがいた。

いつになく真面目な表情。

どうしたの?と、声をかけようとするが、声は全く出なかった。

あれ?と、思いながらも、声を出そうとするが、

努力虚しく、口がパクパクするだけだった。

そんな私に気付いてか、気付かないのか、ジムはゆっくり私に近付いて‥ソファに横たわる私の上に覆い被さってきた。

 ―っ!?!?

私はパニックになりながら、なおも声を出そうとするが、一向に声は出ない。

 

その間にもジムはどんどん近付いてきて‥

―ドンドン!

その時、激しいノックのような音が聞こえた。

―ドンドン!

ノックは鳴り止まず、叩き続けられている。

―ドンドン!

だが、ジムは聞こえていないのか、全く意に介さず、表情すら変えず、尚も私に身体を寄せてきて‥

―ドンドン!

そして、その右手を私の乳房へと沈み込ませた。

―っ!?

そのリアルな感触に私は顔が沸騰する。

反射的にジムの右腕を掴むが、

直ぐに抑えつけられてしまう。

その間にもジムの掌によって形を変えていく私の乳房。

その優しい手つきに多少の快楽が遅れてやってくる。

どうしたのだろう。ジムが普段から私の胸をチラチラ見ていたのは気付いていたけど、こんな直接的な行動に出るような子には思えなかったのに。

ジムが求めるのであれば‥私としては吝かではないのだが‥

チラリとジムの顔色を窺う。

しかし、そこには相も変わらず、真面目で感情の読み取れない表情があるだけだった。

―ドンドン!

相も変わらずノックは続いているし‥

こんなの嫌だ‥

どうせなら‥もっとロマンチックに‥

しかし、ジムに抑えつけられている体勢は一向に動かせず、やがて、ジムの手が私の下半身に迄伸びる。

―ダメッ!

そう思った瞬間。

―私はソファから起き上がった。

気づけばジムどころか、周りに人の気配すら無い。

見慣れた、自室である。

 

「‥夢‥か‥」

 

未だリアルな感触の残る自分の胸を見やると、自分の右手が左の乳房を握っていて‥

その手に激しい鼓動が伝わっていた。

―ノックの正体はこれか‥

私は頭が沸騰して、そのまま再び、ズルズルと、ソファに横たわるのだった。

その後は自己嫌悪。

あれが現実だったなら‥私はどうしていただろうか‥

その先を考えて、再び私は頭が熱くなり、居たたまれなくなり、寝返りを打って、ソファから転げ落ちた。

 うう‥痛い‥ジムのせいだ‥

痛みのせいで、少し頭が覚醒し、今日はこの後ジムと出掛ける事を思い出した。

気づけば、寝汗でジットリだ。

取り急ぎ、私はシャワーを浴びようと、バスルームへと向かう。

 

◆◆◆

 

 今日はフェイトさんとお出掛けである。

 

何でも行きたい所があるとかで、お供することになっている。

 

ルンルンと、スキップでも踏みたい気分でフェイトさんの部屋へと向かう。

 

部屋前にて、インターホンを押すと、程無くフェイトさんが顔を出した。バスローブ姿のフェイトさんは俺を見るなり、顔を真赤にしていたがどうしたのだろう。

と、思ったがフェイトさんは風呂上がりのようだと、無理矢理納得した。

上気した肌と濡れたたお髪がとてつもなく艶やかで色っぽい。ふわりと香るシャンプーの甘い薫りが鼻孔を擽り‥ムラムラと‥いやいや‥アホかおれは。今日も差し入れのオカズいただきましたー。

早く、妄想の中でフェイトさんに挿し入れしたい。もう帰って良いですかね?

 

「ジム?何してるの?早く入りなよ‥」

 

 

デスヨネー‥

俺は涙を呑んで、フェイトさんの部屋へと入るのだった。

「ごめん‥着替えてくるから適当に寛いでいて‥」

と、フェイトさんは隣の部屋へと消える。

少し早く来すぎただろうか‥

と、時間を確認すると、約束の時間5分前である。

フェイトさんにしては珍しい事もあるものだ。

 

やはり、少し疲れているのではないだろうか‥

 

この間も仕事持ち帰ってたみたいだし。

確かに事務仕事は格段に楽になった筈だが、

訓練をしていた為とはいえ、遅れて事務仕事に合流したエリオとキャロが、スムーズに職場に馴染めるように、かなり気を回していたみたいだし。

まるで母親である。

もう少し、俺に任せてくれてもいいんだけどな‥もっと俺に頼って良いのよ!

まあこんなこと言っても、多分「ジムには十分助けられてるよ‥」なんて言ってくれるだけだろうけど。まだまだフェイトさんにとっては、俺もキャロやエリオと同じく子供で、庇護対照なのだ。それがたまらなく悔しい。

大人から子供をやり直すってもどかしい‥

無論、周りの期待や責任のハードルも自然と下がるし、

人生経験を積んだ状態からスタートだから、勉強の仕方や時間の使い方。人付き合いの仕方を理解した状態で学べる機会が、増えるのはすこぶる有り難い。ただ一人前に見てもらえないのがもどかしいのだ。子供がいくら好きだと言おうが家族の、情愛として見られてしまう。

いや、不安な事がもうひとつある。

 フェイトさんて‥鈍くね?

同じ職場で働くようになってから、フェイトさんに何人かの男性局員が誘いをかけてるのを目撃している。ぶっちゃけフェイトさんはモテる。そりゃそうだ。ハラオウン家と繋りがあり、器量良し、気立良し。そして自身も新進気鋭の敏腕執務官。何だその完璧超人。モテないわけがない。だが本人にはその自覚は全く無い。

自分を卑下している節がある。

男女の機微もわかってなさそうだし、何れ悪い男に引っ掛かるかもしれない。

其処で俺の出番である。

俺はフェイトさんにアプローチを掛けてきた男共を逐一なのはさんに報告した。

すると、あら不思議。

翌日には隊舎のゴミ捨て場に頭から埋まった状態で、八墓村よろしく面白い格好でその男共が発見されるのだ。勿論死んではいないよ?

そして、その後、フェイトさんにアプローチを掛ける者は減少した。

―結論。フェイトさんがモテないのはどう考えてもなのはさんが悪い。

 俺も何れ埋められるんだろうか‥

もっと小宇宙をたかめなきゃ(深刻)

と、そんな事を考えている間に、フェイトさんが戻ってきた。

コーヒーをテーブルに置いて、俺の隣に腰を下ろす。フェイトさんは黒Tシャツに黒パンツ。

すこぶるカジュアルである。

俺はというと、目的地聞いてないので適当にTシャツにイージーパンツである。フェイトさんが黒系好きなので、落ち着いた色合いでまとめてはいるが‥。念のためジャケットは用意してきてあるけど。

ひょっとしたら、そんな俺の服装に合わせてくれたのかもしれない。

俺は失敗したかなと‥苦々しい想いで、コーヒーを一口、含み咽を潤す。何故かコーヒーは冷めていた。そしてソーサーへとカップを置くと、フェイトさんがタイミングを見計らっていたかのように、俺の膝に頭を載せて来た。

ファっ?!

 

俺の膝の上でこちらを見上げるほんのり赤みがかった虹彩の瞳と目が合う。

なにか?みたいな、何でもないことのような表情してるけど、俺気づいてますからね?

頬にほんのり赤みが差してること。

俺でなきゃ見逃しちゃうね。

そんな照れを誤魔化してるフェイトさんが可愛すぎて辛い。

動悸がヤバい。心不全を疑うレベル。

そんな中お互いしばし、みつめあう。

と、フェイトさんがポツリと口を開いた。

「ごろにゃー‥」

 がフッ‥

危うく喀血するところだったぜ。

フェイニャン爆誕である(俺の膝の上で)。

 ごろごろ‥

と、まるで猫のように、俺の膝に頭を擦り付けるフェイニャン。あ~癒されるんじゃあ~。心がフェイフェイしてしまう。フェイフェイダヨー。

なんて暴力的なα波。

問答無用のヒーリングが俺を襲う。

あれ?動悸がヤバい。藥も過ぎれば毒になる。とはこの事か。

フェイニャンは俺の心臓に痛恨の一撃を与えながらも、なおも、甘え続けている。

 俺はせめて一太刀とばかりに、そっとフェイニャンの頭を撫でる。

‥と、フェイニャンの顔がまるで、ボフン!という効果音が鳴ったかのように、真赤に染まった。

 

 まだだ。まだ終らんよ。

俺は続けて、フェイニャンの顎の下に指を這わし、優しく掻くように撫でる。

すると、フェイニャンは一瞬、驚愕に眼を見開くと、やがて、気持ち良さそうに、眼を閉じた。

尚も、頭と顎に同時攻撃を加えていると、

やがて、フェイトさんの息が荒くなってきた。

太股を、もぞもぞと動かしながら、こちらを濡れた瞳で見上げてきた。

 

やり過ぎただろうか‥

てか、よく考えなくても、これ、上司にセクハラ‥やべえ‥埋められる‥なのはさんに‥

そんな事を考えながらも、頭と顎へのアプローチを止めない自分はアホなのだろうか。

だってフェイトさんが甘えてくださってるんだぜ?それならできうる限り、癒してあげたいやん。

 

「ジム‥」

 

フェイトさんが声を掛けてくる。

遂に私刑宣告か‥

 俺が覚悟を決めていると、

 

「撫でるの上手いね‥」

 

続いた言葉は予想したものとは違っていて。

 

「気持ち良かったですか‥?」

 

「うん‥なんか‥胸が凄く暖かくなった」

 

「それは良かった‥フェイトさんはたまには俺にも甘えて下さい」

 

「甘える‥私が‥?ジムに‥?」

 

「はい‥頼りないかも知れないですが‥精一杯‥支えてみせますから‥」

 

どう伝えれば自分の想いが正確に伝わるか、

さっぱりわからず、俺は

下手に言葉を選ばずただ真摯に言葉を、心を伝える事に注力した。

 

姉弟としてでなく‥

 

 

 

 

 

一組の男女として、在りたいんだと。

 

 

 

「そっか‥ありがとう‥」

 

フェイトさんの目を見つめて、吐き出した言葉を聞いて、フェイトさんは少しの沈黙の後、

優しく微笑みながら、そう返してくれた。

◆◆◆

汗を手早くシャワーで洗い流し、

バスルームに出て、バスタオルで身体を拭いている最中にインターホンが鳴り響いた。

わっもう来ちゃった?!

見れば約束の時間5分前。

どうやら思っていたより眠っていたみたいだ。

夢見のせいで、時間を確認せず御風呂に入った事を反省しつつ、とりあえずバスローブを羽織り、ドアの除き穴から外を窺う。

魚眼レンズに少し緊張した様子のジムが立っていた。

ジムなら良いか‥と、ドアを開けて出迎える。

いざジムと正対すると、先程の夢がフラッシュバックして顔が沸騰してしまった。

私は赤くなってるであろう顔を隠すように、髪の毛を拭く。

其処でジムがチラチラと私の身体を見ているのがわかった。

見れば、バスローブが少しはだけてしまっている。

私は急に恥ずかしくなり、中に入るよう促して、私自身もとりあえず中へと退散する。

とりあえず何か着よう‥

何故だか、今日はジムの視線が、無性に恥ずかしい。

 変なの。

いつもはこんなに気にならないのに‥やはり、夢見のせいだろうか。

とりあえずあんな夢を見たなんて言えるわけもない。

私はそそくさと、隣の部屋へと向い、服を選ぶ。

 

 ちょっと態度悪かったかな‥ジム‥怒ってないと良いけど‥

そういえば、コーヒーすら出してない‥

いくら家族とはいえ、私ったらなんて失礼なことを‥

オロオロしながら、とりあえずクローゼットを開けて、服を選ぶ。

今日はジムに服をプレゼントしようと思っていたのだ。とある理由で、近々必要になるであろう正装用のスーツを買ってあげようと思っていて、私の旧知の仕立屋さんに、その内必要になるだろうと、既に頼んでいたそれを受け取りにいくのだ。

 ジム‥喜んでくれるかな‥?

それなりに良い所ではあるので、タイドアップな格好で行こうと思っていたのだが‥

私は先程見たジムの格好を思い出す。Tシャツにイージーパンツ。一応ジャケットは持ってきてたみたいだが、色味的には問題ないがすこぶるカジュアルである。

でも私が行き先を教えてなかったわけだし‥仕方ない。

旧知の所だし、多少は目を瞑ってくれる筈。

私が合わせよう。

私は手に持っていたドレスシャツとネクタイをクローゼットに戻し、黒のTシャツと黒のパンツを手に取る。

これで私もジャケット羽織ればいいか‥

 ん?で もこれって‥良く考えなくても‥

どう見てもペアルックです。本当にありがとう御座いました‥。

少し恥ずかしいかもしれない‥

どうしよう‥

ああ‥でも‥これ以上ジムを待たせるわけにも‥

うーん。腰にデニムでも巻いて、首からニットでも下げよう。

焦った頭で私は適当にコーデを決めて、ドアを開けた。

ジムはソファに坐り、姿勢良く、何だか難しい顔をしていた。

何か考え事をしているのか、こちらには気づいていない。私は手早くキッチンでコーヒーを入れると、ジムのもとへと急ぐ。

戻ると、ジムは全く微動だにせずただ前を見つめていた。

何を考えているのか‥その、真面目な表情からは感情は読み取れなくて、あんな顔のジム見たこと‥いや、あの顔‥何処かで‥。

そして、夢が再びフラッシュバックされる。

 

 顔が熱い。

鼓動が早い。

どうしよう‥近付いたら‥夢が、正夢になったりして‥いやいや‥アホかフェイト。

私はいつからこんなに頭が悪くなってしまったのか。

そんな事あるわけないと頭ではわかっているのだ。

なのに、私の足は一向に踏み出してくれない。

手に持つコーヒーカップがソーサーの上で震えて小さく音を立てる。

 

 

 

彼が気づいてしまうかも‥等とよくわからない心配をしてしまう私はもう駄目かもしれない。

私は何時からこんな風になってしまったのか。

 

 わかってる。この間のデートの時からだ。

彼に男として見てほしいと言われて、

その時は誤魔化したが、私自身はもう彼を家族としてでなく、一人の男として見始めていたのだ。

その結果。この前のオフに彼が私の部屋へと遊びに来た時、お酒を飲みながら、ソファで彼と密着し、彼の男を感じ‥その結果が今日の夢なのだろう。

 

 最初から子供らしくない子だった‥

 学ぶ事が好きで、どんどん私に教えを乞い、

私の知識を吸収していった。

 料理や家事も自分から始め、いつの間にか私よりも上達していた。

 私の仕事も率先して手伝ってくれたし、キャロやエリオの面倒もいつも、見てくれていた。

 気遣いの部分では私も学ぶ事が多かった。

隊舎に入り、彼が別々に暮らすようになった時はとても寂しく感じた。

私は自分で思っていた以上に彼を頼りにしていたのだ。

 姉弟のように振舞いながらも、彼もそのように振る舞ってくれていたけれど‥心の内では、彼に甘えていた部分も多分にあった気がする。

 スーツを贈ろうと思い立ち、密かに彼のサイズを計り、その大きさに驚愕したものだ。

 自分ではとっくにわかっていたのだ。

彼はもう私の比護は必要ないのだと。

身体は大きく成長し、戦闘面ではなのはに肉薄する程になり、事務方面では六課に於いて掛け替えのないポジションになっており‥

考え方も老成しているというか‥常に落ち着いて、自分を持っており‥キャロやエリオに私以上に慕われ‥あっ‥ちょっと泣きそう‥

そこまで考えると、少し悔しさも出てきて‥

というか‥私だけわたわたしてない?

ジムを少しでも慌てさせたい。なんていう悪戯心が芽生えて‥

私はシャーリーから借りた雑誌に丁度良さげな方法があったことを思い出し。

実行することにした。

不思議と、足の重さは消えていた。

それどころかジムの反応が楽しみで私はさっきまでの葛藤も忘れて、ワクワクしていた。

コーヒーをテーブルに置くと、ジムが漸くこちらに気づいたようで、こちらに軽く会釈する。

とりあえず私は自然にジムの隣に腰を下ろす。

ジムは少し驚きながら此方を見ていたが、

私は気にしない。

ジムがとりあえずといった感じで、コーヒーを一口。

 

 ここだ。

そして、ジムがカップをソーサーへと戻す。

そのタイミングで、私はジムの膝に頭を置いた

 

 どうだ?と言わんばかりにそのままジムを見上げる。

が、ここで予想外の、事態が私に起こる。

この体勢‥とても恥ずかしい。

だが、悪戯をしかけといて、自分でダメージを、受けているなんて、ジムにバレるわけにはいかない。お姉ちゃんにも意地があるのだ。

 

私は必死に平静を保つ。

執務官の経験で身に付けた。ポーカーフェイスを発動である。

私じゃなければ、バレてるだろうね。

 

 

尋常じゃないレベルで顔が熱い。

 えっと‥このあとは確か‥

 

「ごろにゃー‥」

私は羞恥を抑え込み‥何とか科白を、吐いた‥

瞬間。ジムが小さくむせた。

よしよし‥効いてる効いてる。

ごろごろ‥更に私は畳み込む。

最早自棄である。時間がたてば経つほど恥ずかしくなる。私はジムの膝に顔を擦り付ける。

 やってしまった‥

とてつもない羞恥が、私を襲う。

心臓の鼓動がヤバい。心不全を疑うレベル。

そんな羞恥に私が、蝕まれていると‥

暖かい大きな手が私の頭に置かれた。

そして優しく撫で始める。

その瞬間私の胸中に広がったのは、何とも言えない暖かい温もり。

だが、ジムの攻勢は止まらない。

更にもう一本の手が私の顎の下にそっと添えられ‥

ど、同時攻撃だと?!でも‥これ‥気持ち‥ぃ‥

ひとさし指と中指が優しくそれぞれ別々の生き物のように動き、掻くように撫でる。

始めはビックリしてしまったが‥その動きが心地よくて、‥私は目を閉じる。

目を閉じると、余計に感覚が研ぎ澄まされ‥触れている部分から安心が得られるようで。

頭と顎の下のジムの手の暖かさが伝わってきて‥

誰かに身を委ねる‥ということの心地よさを私はこの日初めて知ったのだ。

 これが‥甘える‥ということなのか‥

それはとても甘美で、まるで麻薬のように私の身体を溶かしていった。

心臓の鼓動は落ち着くどころか、更に早鐘を打ち。

不思議だ。ジムに触れてると、心が落ち着くのに、ドキドキする。

下腹部に疼きを覚え、私は身を捩る。

何故か少し息がきれている。やはり心不全だろうか。

これ以上は危険だ。

私はジムを見上げて、声を掛ける。

「ジム‥」

彼は答えず、目で続きを問いかける。

「撫でるの上手いね」

 

「気持ち良かったですか?」

ジムに問い返されて、私は考える。

うん。胸が、、ポカポカ暖かい。

母さんに否定されて、ぽっかり開いていた寂しさが‥ジムの優しさで埋められたみたいだ。

心の奥底にずっと刺さっていた刺が、抜けたような‥暖かさで満たされていた。

「うん。なんか‥胸が凄く暖かくなった‥」

出てきた言葉は本心からの言葉。

お姉ちゃんの意地とか最早どうでも良かった。

甘えるということを知ってしまった私はもうお姉ちゃんではいられないかもしれない。

「それは良かった‥フェイトさんはたまには俺にも甘えて下さい‥

「甘える‥私が‥?ジムに‥?」

ジムから帰ってきた言葉は私が、望んでいた答えで‥そっか‥私‥ジムには甘えて良いんだ‥

「はい‥頼りないかも――から」

言葉はたどたどしかったけれど、ジムの気持ちが、一語一句から伝わってきて‥私はずっと、ドキドキしていた。

「姉弟としてではなく―一組の男女として在りたいんだ―」

と、ジムが言葉を言い終わると‥

私はゆっくり目を、閉じて、言われた言葉を反芻する。

胸には再び暖かさが、溢れてる。

きっと今私嬉しいんだと思う。

だって‥私今笑ってるから‥

「そっか‥ありがとう‥」

れだけ何とか返すと、私の瞳からは涙が、溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んで頂きありがとうございます。
二つに、分けようかなとも、思ったのですが、なんかテンポ悪くなりそうだったので‥無理矢理書ききりました。なげえよ。っていう批判はあえて受け入れます。お気づきの方いるでしょうが、これ‥当初の最終回案です(笑)まだもうちょい続くんじゃ‥申し訳ないけど、もう少しこの駄作にお付き合いよろしくお願いいたしますm(__)mそれではまた来週m(__)m
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