ホントは昨日出来てたけど、ジムのフェイトへのシーンが上手くまとまらなくて、一晩寝かしてみたけどやっぱりまとまらないのでもう出すことにしました。
明後日14時~フェイトさんのアポイント取っといたよ♪
頑張れ少年。
お姉さんのワンポイントアドバイス♪
たまには攻めの刺激を与えた方が愛は育つもんだぜ。
以上がシャリオ姐さんからのメールである。
男前過ぎない?
姐さんじゃなくて兄貴と呼びたくなるんだけど‥
明後日か‥。
明日美容院でも行こうかな‥。
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2日後。
空は快晴。
もう8月も終わり、秋と呼ばれる暦へさしかかり、気温も大部涼しくなった。
俺は以前、フェイトさんから戴いたネイビーストライプのスーツに身を包み、部屋を出る。
隊舎入り口に14時ジャストに付く。
暫し、待つと、
フェイトさんがブレーキ音とタイヤのスリップ音を響かせながら、愛車を横付けする。
「お待たせ♪」
サングラスを軽く上げながら声を掛けてくる。
‥やだ。相変わらずイケメソ‥。
フェイトさんは黒のトップスに白地に茶のチェックがカジュアルな秋の装いのロングのワンピ。
腰横に縦に入る細いスリットから覗く白い太腿が大陽を反射して眩しい。今日は髪を結わず、ストレートに下ろしている。
俺は何とか太腿から視線を剥がし、クルマに乗り込む。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
‥き、気不味い‥。
ケンカしてたわけでもないのだが‥暫く避けられていた影響からか、何を話せばいいのかわからない‥。
「‥っ‥っ‥」
それはフェイトさんも同じようで、先程から何か話そうとしては、止めるのを繰り返している。
ここは俺から話を振るべきなんだろうな。
えっと‥えーっと‥
「き、今日はどちらに行くんですか?」
「!‥うん‥海沿いに新しくシーフードのレストランがopenしたらしいんだ‥そこに行ってみたくて‥」
意を決して話し掛けたら、
滅茶滅茶嬉しそうな顔で教えてくれた。
可愛い。
てかチョイスがやはりイケメソなんだけど‥。
「そうですか♪楽しみです♪」
「そう‥良かった♪」
そう言ってフェイトさんは漸く笑顔を見せてくれた。
そしてチラチラと、此方を見ている。
「‥?」
目で何か?と問い掛けると、
少し顔を赤らめて、
「服‥着て来てくれたんだね‥」
‥ああ。なるほど。
「はい‥こんな上等のスーツ戴いてしまってすみません‥」
と、フェイトさんは首を横にフルフル振る。それに合わせて胸も一緒にブルブル震えている。
‥こいつ‥動くぞ‥!
「ううん‥思った通り、良く似合ってる‥格好いいよ‥」
「あ、ありがとうございます‥」
ストレートな褒め言葉に顔が熱くなる。
「こんな上等なスーツだとまだ着られてる感が有りそうで恥ずかしいです‥」
「そんなこと‥ない!」
と、急に俺の手はフェイトさんの手に握られる。
「ちゃんと‥似合ってる‥!格好いい‥よ!」
と、真剣な眼差しで諭されてしまい、更に顔が熱を持つ。
めっちゃ口説かれてる?
普通逆じゃない?
「あ、ありがとうございます‥」
しどろもどろでなんとかお礼を絞り出す。
と、フェイトさんもハッと、手を離し、
「ご、ごめん‥」
「いえ‥全然‥」
と、お互い、真赤で俯いてしまう。
え?フェイトさん運転中だろって?
いつもニコニコ安心のバルディッシュさん自動運転です。
そんなこんなで、なんとも甘ったるい車内のまま、目的地へと、車は走るのであった。
もう既に御腹いっぱいなんですが。
「髪切った?」
「は、はい‥昨日‥」
サングラスも相まってタモさんかな?と、錯覚していると、
「そっか‥今日の為に‥準備してくれたのかな‥?‥」
「え?は、はい‥一応‥」
「クスッ‥格好いいよ‥」
なんて、熱っぽく褒めて下さる。
ホント誰よこのイケメソ。俺のフェイトさんどこ行った?
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「こんにちは‥予約してたハラオウンですが?」
「ハラオウン樣‥2名樣ですね?御待ち致しておりました‥」
フェイトさんが店内に入り、名前を告げると、初老の紳士ウェイターが俺達を案内してくれた。
通されたテーブルにて、老ウェイターは少し奥側のイスの前で俺にウィンクしてみせる。
‥なるほど。
直ぐに察し、そのイスを引き、フェイトさんをエスコートする。
座らせてから、俺自身も左側からイスへと腰をを下ろす。
高級そうなレストランである。マナーにはそこまで自信はないのだが‥フェイトさんは流石に堂々としている。
‥えっと‥確か手はテーブルの上に置くんだよな‥。
人心地着いた所でソムリエさんが現れた。
「いらっしゃいませ‥食前酒にシャンパーニュは如何ですか?」
と、問い掛けてくるが、俺には判断出来ない。
情けないけど‥今日俺はホストではなくゲストなのだ。
だから、ソムリエさん。こっちみんな。
そこに慌てたように先程の老ウェイターがやって来て、ソムリエに何事か耳打した。
「失礼致しました‥こちらワインリストでございます。」
と、フェイトさんにワインリストを見せる。
フェイトさんは適当に2~3種選んだようで、直ぐにウェイターはフェイトさんに最敬礼して去っていく。
‥ああ。なるほど。フェイトさんが予め、予約した時に、言い含めていたのだろう。
‥俺に恥をかかせないように
情けない‥。
やはり、俺はまだまだ子供なのだ。
と、落ち込んでいる俺にフェイトさんが声を掛ける。
「私‥マナーあんまり得意じゃないけど、笑わないでね?」
‥そんなわけない。
気後れしている俺に気を使ってくださっているのだ。
「‥だから‥さ?今日はマナーとか気にしないで、お料理を楽しもう?」
「はい‥!」
そんな不安気な顔で気を遣われたら、例え空元気でも絞り出すしかない。
フェイトさんが、楽しませようとしてくれている。それだけで俺は嬉しくなるのだ。
男の面子。なんて二の次、三の次でいい。
ここで、不貞腐れて、雰囲気を暗くする方が男として情けない。
「料理‥楽しみですね?」
何とか無難な話題を絞り出す。
「うん‥そうだね‥ジムの料理の方が美味しいと思うけどね♪」
等と真面目な顔で切り返されてしまい、俺の顔はまた熱くなる。
「そんなことありませんて‥」
「あっ♪ジム‥照れてる♪」
今日のフェイトさんはそこはかとなくSである。
お世辞だとわかっているが、あまり‥謙遜し過ぎるのも‥かと思い、どうしたものかと頭を悩ませていると、先程のソムリエがワイン片手にやって来た。
ナイスだ。
さっきの失態は帳消しにしといたる。
「お待たせ致しました―」
なんかながったるいワインの説明を聞き流し、
恭しく注がれたワインを軽く揺らしてみる。
説明長いよ!何やってんの!
蘊蓄を語り終え、漸く満足したソムリエはごゆっくり‥等と宣い、去っていく。
漸くといった感じでフェイトさんとグラスを掲げ合い、お互い真っ直ぐ目を合わせて
「「乾杯」」
もちろんグラスはぶつけないよ。
まあグラスぶつけるのマナー違反にしてるの日本だけらしいけどね。
「美味しいね‥」
「ですね‥私は余りワインは嗜みませんが、これは美味しいです♪」
と、答えた途端、フェイトさんの頬が膨らんだ。
最近見慣れたシルエットである。
あちゃー。ここは、素直に美味しいだけで良かったか‥。
余計な保険が失礼だったかな。と、戦々恐々としていると、
「何でいまさら、畏まるの?」
「は?」
「敬悟‥!今更畏まる関係じゃないでしょ?」
‥おっと。予想外の事だった。
「いや、でも流石に‥フェイトさんは私の保護者であり、上司であり、何より年上ですから‥」
俺の弁解を聞きながら、フェイトさんのほっぺが更に膨れていく。
その内破裂しちゃうんじゃないかな。
「公的な場なら兎も角‥今はプライベートだよ‥?今は二人っきり‥だよ?」
あかん。そんな潤んだ目で見られたら‥さ。
速攻でダム決壊である。
俺の心の堤防、フェイトさんの涙に対しての許容量低すぎぃ。
俺は覚悟を決めて、ワイングラスを一気に飲み干し。
「美味いな‥フェイト‥」
等とキリッと言ってみる。
「‥っ!うんっ!」
名前呼捨てにされただけでそんな嬉しそうな顔せんといて。可愛い過ぎるよ。
これは最早テロだよ。
まるで可愛さの‥総合デパートや!
と、俺がKO寸前になっていると、
漸く料理が運ばれてきた。
所狭しと並べられていく料理の数々に圧倒される。
色彩鮮やに盛り付けられた美しい料理の数々に、
ゴクリと喉が鳴ってしまう。
鼻をくすぐる繊細な魚介独特の薫りに食欲のスイッチが否応なしにonにされる。
その美しい料理に二人して三嘆し、喝采をあげる。
どこぞの社長ばりに粉砕玉砕大喝采と高笑いを上げたりはしない。
流れるような所作で料理を口に運ぶフェイトさんに見蕩れながら、フェイトさんの所作をなぞりつつ、俺も食事を進める。
フェイトさんがふつくし過ぎて、料理の味とかさっぱりわかりませんでした。
「美味しいね‥♪」
「うん‥料理も美味しいけど、ちょっと見てみて?」
「うん?」
俺につられて、フェイトさんも横を見る。
そこは大きな窓からオーシャンビューが広がっていた。
そして、丁度水平線に夕日が沈んでいく所だった。青い海を茜色に染め上げながら役目を終えて行く夕日を眺めながら、俺達は暫し手を止めて、その光景に見蕩れていた。
「素敵‥」
フェイトさんが感嘆の言葉を漏らす。
「フェイト‥今日はここに連れてきてくれてありがとう‥俺‥この風景‥一生忘れない‥」
「うん‥私も忘れない‥!」
そう言ったフェイトさんは夕日に照らされているせいか、いつもより顔が紅くなっていた。
そんなこんなで、食事も無事に終わり、
車で帰ろうというところで、
フェイトさんが唐突に切り出した。
「‥ねえ?‥もう少しだけ‥付き合ってくれない‥?」
「もちろん構わないけど?」
「ありがとう‥」
程無く車は海沿いの通りに止まり、
「ここから砂浜に降りれるんだ‥ちょっと‥ジムと散歩したいな‥って‥ダメ‥かな?」
上目遣いは反則です。一も二もなく首肯して、俺とフェイトさんは砂浜に下りる。
流石に日没後とあって、もう人気はない。
もう8月も終わりとはいえ、昼間はまだまだ海水浴客で賑わっていたのだろう。
まるで祭りの後のような、砂浜に微笑みが溢れる。
日は沒したが、まだまだ明るい。しかし、流石に、海からの潮風には少し肌寒さを感じる。
フェイトさんは大丈夫だろうか?と、チラリと見ると、フェイトさんは俯いて、何かを考えていた。
が、やがて意を決したように顔を上げると、
ずんずんと俺に近付き、
「腕‥借りるね‥」
と、俺の答えも待たず、俺の腕に自分の腕を絡ませてきた。
「あ‥あああ、歩きづらいから!」
と、顔を真赤にして、言い訳を言い出すフェイトさん。
確かに、フェイトさんの靴はパンプスである。
なら何故砂浜散歩なんだと小一時間‥(ry
が、そんな事はどうでもいい。
今はこの腕に当たる至福の感触に気持ちを集中させたい。
フェイトさんの方が背高いのでいまいち格好付かないまま、夕焼けの砂浜を二人で歩く。
「‥ねえ?」
「うん?」
「今‥楽しい?」
歩く度に腕に伝わるやらかい感触をめっさ楽しんでますが?
「はい!」
俺は勢い込んで答える。
「‥良かった‥!」
と、花がひらくように笑顔を見せるフェイトさん。
そこで俺はずっと気になっていた事を聞いてみることにした。
「フェイトは‥楽しんでる‥?」
フェイトさんはいつもこうして俺やキャロを気遣ってくれる。‥でもフェイトさんは‥?
フェイトさん自身は楽しんでいるのだろうか?
いや、フェイトさんは俺達家族以外にも、常に気を遣っているように見える。
元犯罪者とレッテルを貼られ、
必要以上に自分を律して窮屈に生きているように見える。
俺はそれが心配なのだ。
問われたフェイトさんは少したじろいで、
「もちろん‥!楽しんでるよ‥!」
ウソだ。そんな屈託ある笑顔なんて見たくない。
「ねえフェイト?貴女はもう十分苦しんだ筈だ‥そろそろ‥自分の為に‥生きても良いんじゃないかな‥?」
「‥自分の為?」
心底解らないという顔で聞き返すフェイトさん。
誰もがこの世に生を受けたなら、自分の為に生きている筈なのに。
この人はそんな当たり前の事すらわからなくなってしまっているのか‥。
「では、貴女は何のために生きているのですか?」
「私、私は自分の持つこの魔法という力で、私みたいな想いをする子供を一人でも減らす為に‥そんな社会を作る為に‥生きているよ‥」
‥立派な考えだ。
俺が今から伝えようとしている事は、嫌われないだろうか‥?ある意味、今のフェイトの生き方を否定する事にもなる。
恐い。フェイトに嫌われるかもしれない。そう思うと、とても恐い。
でも‥それ以上にフェイトには自分の為に生きて欲しい。
これは俺のわがままだけど‥!
それでも、願わくば、想いよ、伝われ‥!
「少し、友達の話をします‥」
「え?うん‥」
「昔‥一人の男が居ました‥男は周りに気を遣う事に長けていました‥。」
「来る日も来る日も周りに気を遣って生きていました‥その結果‥男は心を病みました‥」
「え‥」
「そして男は気を遣っていた周りから切り捨てられました‥」
「そんな‥」
「人が生きる上で百人の人と出逢ったとします‥大抵その内99人は、自分と無関係に生きる人達です」
「例え自分が死んでも悲しんでもくれない人‥でも‥一人はいる筈なんです‥自分の悲しみを我が事のように一緒に悲しんでくれる人が‥」
「社会の為にと言いますが、その社会を構成するのは大半が99人の無関係な他人です‥」
「俺は‥100人の中の‥その一人と出会う為に‥もしくは、誰かにとっての、その一人になるために生きて行きたい‥それが‥自分の為に生きるってことじゃないですかね‥?」
「うん‥それって‥ジムの話しなの‥?」
「ち、ちちちがいますよ!友達の話です!」
「クスッ‥そっか‥そういうことにしとくね」
顔が凄い熱いけど夕日のせいだな。うん。
「‥うん‥ありがとう‥ジム‥私も‥その一人と出逢えるよう‥その一人になれるよう‥生きてみるよ‥」
「まあ‥もう出逢ってるかもしれないけどね♪」
と、フェイトさんは腕に更に胸を押し付けてくる。
その感触にあたふたする俺を横目にフェイトさんは尚も先へと歩き続ける。
◆◆◆
「ふふ‥」
ジムの気持ち‥伝わったよ♪勇気を出して踏み込んでくれたこと♪
耳障りの良い言葉を並べるわけでなく、
嫌われるかもしれない恐怖を乗り越えて、純粋に私の事を案じて掛けてくれた言葉‥それは‥家族の証。うん。この高鳴る鼓動と、しらぬ間に緩んだ口角が答えなんだろう。
顔が酷く熱いけど、夕日のせいなんだからねっ!
私は赤くなっているであろう顔を誤魔化すように
ジムの腕を引っ張りながら先へと歩き続けた。
そんな私は気付けば抱き締められていた。
夕日の名残りも消え、辺りは薄暗くなっていた。
そのせいか風も少し冷たい。
だけど、ジムに抱き締められている今は身体‥いや、心迄も暖かった。
私を抱き締めながら尚もジムは言葉を続ける。
「そうしなければいけないという気持ちに囚われていませんか‥?例えばエリオ‥エリオはフェイトにこれ以上なく感謝してる筈だ」
「でも‥これから先もずっと‥フェイトが縛られる事を望んじゃいない‥俺が‥伝えたいのは‥貴女は‥もう、そんな事しなくても、価値のある魅力的な一人の女性だってことだ‥!」
私に叩き付けるように耳元で叫んだジムの言葉に
私は‥心が軽くなるのを感じていた。
そうかもしれない。
私は今迄、贖罪の為と、理由をつけて、誰かの為に‥生きる事で、自分の価値を見出だしていたのかもしれない。
母さんに存在を否定されたあの時から、ずっと‥。
自然と涙が目蓋から溢れた。
目を瞑り、ジムへと顔を向けると、程無く唇に暖かい感触が触れた。
二度目の口付けは‥潮風のせいか、しょっぱかった。一度目は血の味だっけ。
レモン味のキスとやらはどうやら都市伝説である。
そんな事を考えながら、寄せては返す波の音をBGMに、私達はより深く唇を貪りあった。
読んで戴きありがとうございます。これにてストックはめでたく空に(笑)次はいつも通り日曜迄に頑張る所存。
そしてまたシコシコストック溜め頑張ろう。