将をなんちゃらするならまず馬をなんちゃら。   作:stan

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ある兄の試練。③ 弟side。

心臓の鼓動が何時もより高く跳ねている。

ジム兄さんは言った。

落ちるなと。僕なんかの力でも必要なんだと。

子供の頃から親は居ず、来る日も来る日も訳の解らない実験の日々だった。

 楽しい事なんかひとつも無かった。

生きている。というより生かされている。という方が正しかった。

そんな僕を外に連れ出してくれたのは、フェイトさん。

外に連れ出して、僕に家族をくれた。

フェイトさんは母親代わりと思ってるみたいだけど、僕的には大きいお姉ちゃんといった感じだ。

人並の生をくれたという意味では確かに母親?に近いかも?

そしてキャロ。

こんな事言ったら多分怒るけど、小さくて可愛い。まるで妹のように思ってる。

多分キャロは自分がお姉ちゃんだと言うと思うけど。

そして、ジム兄さん。

 

 とても優しくて、頼り甲斐があって、強くて‥面倒見も良くて、父親って、こういうものなのかな。なんて‥恥ずかしくて、本人には絶対、言えないけど。

全員‥愛すべき、家族だ。

僕の生きる理由になってくれた。

 

 そんなジム兄さんが僕を頼ってくれた。

こんなにうれしい事があるだろうか。

チームの事を頼まれた日は今までの人生で1番嬉しかった日で‥。

それからはキャロに頼んで、訓練も目一杯頑張ってきた。

 

 ‥だから、ジム兄さん‥見ててください。

僕‥頑張るから‥!

模擬戦開始の合図と共に、路地の入り口からティアナさんが一人で走ってくるのが見えた。

‥ジム兄さんの予想通りだ。

キャロが射撃魔法を放ち、その光線がティアナさんを撃ち抜くと、ティアナさんの姿はかききえた。

その後ろから、スバルさんとギンガさんが走ってくるのが見えた。

キャロに視線を送る。

キャロも視線を合せ、首を振る。

まだ早いということだろう。

入り口の死角では間違い無く、ティアナさんが隙を伺ってる筈だ。

と、キャロから念話が飛んでくる。

 

《後50㍍で同時に仕掛けるよ!》

 

《了解!》

《今回の接敵は本命じゃないから、無理はしないこと!いのちだいじにでいくよ!》

 

《わかってるよ!》

 

そうこうしてるうちに、スバルさん達が迎撃ポイントに差し掛かる。

 

《ゴー!》

 

キャロの合図で二人同時に飛び出る。

すると、僕の方に近かったスバルさんがマッチアップと思ったら、キャロ側のギンガさん迄キャロを無視して、僕に向かってきた。

 ‥ちょっ!?

 

「エリオ覚悟ー!」

 

スバルさんの右ストレートをストラーダで受け流しながらかわすと、すぐにギンガさんの右回し蹴りが向かってくる。

「くっ!」

 

穂先を地面に突き立て、柄の方を抑えて、

ストラーダで何とか受けた。

‥ あれ?

その後もスバルさんとギンガさんの同時攻撃は続く。

何発か、かわしきれずに食らってしまう。

劣勢だ。

でも‥僕は‥不思議な感覚に囚われていた。

世界がスローモーションのように見える。

 

 ーキャロの拳の方が重い!

 

 ーキャロの蹴りの方が鋭い!

 

 ーキャロのコンビネーションの方がエグい!

 

 

 ー見える!

 

 ー僕だってやれるんだ!

二人掛りで押しきれない、スバルさん達二人に焦りの表情が浮かぶ。

《エリオ!退くよ!ティアナさんがだんだん近づいて来てる!》

 

キャロの念話にハッと見れば、ティアナさんのツイテールが岩の陰から覗いていた。

スバルさんが殴り掛かってきている。

 

 ー遅い!

僕はストラーダを地面に突き立て、柄を支点にクルリと回り、スバルさんの拳をかわしながら、カウンターの回し蹴りを当て、ティアナさんの方に蹴り飛ばす。

スバルさんが吹っ飛んだところで、

スバルさんの身体の影になるように退く。

チラリと後ろを見ると、ティアナさんの悔しそうな顔がスバルさんの影から見えた。

退いてる最中に、キャロが並走してきて、

 

「やるじゃん♪」

 

と、声を掛けてくれた。

キャロに褒められたの‥初めてかもしれない。

うれしい‥。

緩む口角を必死に引き締めようと試みるが、

 

「何、ニヤニヤしてんのさ‥」

 

無理ダッター。

 

「だって‥キャロに褒められたの‥初めてだよ?」

 

 最早取り繕うのは諦めて、

緩む口角もそのままに、思った事を口に出した。

 

「そうだっけ‥?‥うん‥少しは‥頼り甲斐出てきたかも‥ね?」

 

と、キャロも苦虫を噛み潰したような表情で更に褒めてくれる。耳が真赤だ。

 

「キャロ‥?照れてる?」

 

「て、照れてねーし!照れたらたいしたもんだし!」

 

と、そっぽを向いてしまった。

なんだ。可愛い所もあるじゃないか。

更に走り続けて、ジム兄さんの姿が見えてくる。

 

「エリオ‥良くやったな‥!」

 

スレ違いざまに、ジム兄さんのそんな言葉が聞こえて。

僕は嬉しくて、顔が熱くなってしまった。

そして思わず両拳を握り締め、走りながらガッツポーズを取ってしまう。

 

「いや‥この反応の差はなんか納得いかないんだけど‥」

 

 と、キャロの呟きが聞こえたけど、意味はわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




後、ひとつでこのシーン終わらすつもりですm(__)m申し訳ない。
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