怖がりと眠い人の話、ねむい

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ねむい

 

 

 

 

 

 

 

私はシマ

 

おばけが嫌いです。

 

 

怖い話を聞くと、ここにもいるんじゃないかとびくびくしてしまう。

暗いところにいると怖くて動けなくなるし、後ろに常に気配を感じてしまう。

と言っても、霊感はこれっぽっちもないが。

それでも、得体の知れないものが自分に鑑賞してくる。ということが恐ろしくてしょうが無い。

 

 

 

そんな私が

 

 

怪談小説を読んでしまった。

 

 

怖いもの見たさで少し読んでしまったのがダメだった。ほんとに怖い。

軽い気持ちで本を開いた数分前の自分を殺したい。

 

 

 

 

案の定怖くて寝れない。

暗い部屋で1人、布団にうずくまっている。

真っ暗な部屋の中は、私以外いないはずなのに、なにかいる気配を感じてしまう。

 

暗い、寒い

 

 

「怖い.....。」

 

 

 

とりあえず人にあいたい、

 

 

 

「ひょ、起きてるかな......。」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

コンコンとドアをノックする。

 

返事はない、寝てしまったのだろうか。

 

 

ここはひょの部屋の前、あの後結局、怖くて一人でいられず、ここに来てしまった。

 

 

暗い廊下にいるのが怖い。もしも向こうからおばけが来たらどうしよう。

 

どうしよう。

急に恐ろしくなって、逃げ込むように部屋に入る。

鍵は開いていた。

 

 

部屋の中は電気は付いておらず、暗い。

 

 

「ひょぉ......起きてる...?」

 

足音を立てずに、ゆっくりとベッドに近付く。

呼びかけたものの、返事はないので寝ているようだ。顔は壁側を向いていて、表情は確認出来ないが。

 

小さく、すうすう と気持ち良さそうな寝息が聞こえてくる。

 

「寝てるよね、そーだよねごめんね。」

 

睡眠を邪魔しちゃたな、と申し訳ない気持ちが溢れてくる。

やっぱり自分の部屋で寝よう。

怖いけれど、これを機におばけを克服できるかもしれない。

 

「じゃあね、おやすみ、ひょ。」

 

とりあえず自分の部屋に戻ろう、明かりを灯して怖くなくなるまで本を読もう。

 

そこまで考えて、ひょのベッドから離れようとしたとき、

 

 

 

ガシッと

 

 

腕を掴まれた

 

 

 

 

「ひぃっ!!!」

 

 

 

 

ひょに

 

 

 

 

「あっ....よかったひょかぁ」

 

おばけかと思った。

びっくりした。死んだと思った。

 

 

 

 

 

 

「だれ」

 

 

 

 

寝起きの少し掠れた声で訪ねてくる。舌っ足らずでとても眠そうだ。目も半開きでうつらうつらとしている。

 

「あっ、えっと、起こしてごめんね?寝てていいよ。」

 

成人男性が、怖くて寝れないから一緒に寝てほしい、なんて言えない。というかむちゃくちゃ恥ずかしい。

 

 

「?だれ」

「あっ....その......」

 

恥ずかしくて名乗れない、シマだって気づいたら笑われちゃうかもしれない。

 

 

 

 

「げ、ぇむ?」

 

 

「え」

 

 

 

 

 

ゲーム

 

ゲームさんと勘違いしてる?

 

 

 

どうしよ

ちょっとこれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

好都合かもしれない。

 

 

 

 

「あっ!そ、そーだぜ!ゲームさんだぜ?うん、私がゲームさんだよ!!今日寒いから一緒に寝せて欲しいと思ってるんだぜ!」

 

とりあえず精一杯、ゲームさんのものまねをする。

 

ゲームさんのふりをすれば

私がひょの布団に入っても、ひょはゲームさんと寝てると勘違いする。

つまり、ひょにバレずに一緒に寝ることが出来る!

 

明日の朝はひょより先に起きたらミッションコンプリート。完全犯罪。バレない。

 

 

ごめんなさい、利用させていただきます......。心の中でゲームさんに謝る。

 

 

「げえむ、む」

 

ひょは完全にゲームさんだと勘違いしてくれてるらしい。私のものまねが似ていたんだろうか。そうに違いない。

 

 

「ひょ、一緒に寝てくれる?」

 

 

「ん。」

 

優しく腕を引かれて布団に入る。

シングルベッドに大の男二人は少し狭い。必然的にひょとぴったりくっついてしまう。

 

 

あったかくてふわふわで恥ずかしい。

 

 

さっきまでの怖い気持ちが嘘のように無くなる。

こんなことで嬉しくなってしまうなんてやっぱり自分は単純だ。

 

 

 

心臓がどきどきする。

 

 

 

カチ、カチ、と時計の音が部屋に響く。

ちらりと、ひょに滅多に見れないレアな寝顔を拝見する。

白い肌とすっと通った鼻筋、長い睫毛は中性的な色気がある。

 

 

作り物のような美しい顔。

 

 

「きれいだよなぁ...。」

 

そっとほっぺたに触れてみる。

 

 

すべすべで、羨ましい。

 

 

 

「ん......。」

 

 

ひょが微かに身動ぎするのを見て、慌てて手を引っ込める。

また起こしてしまったようだ。目が薄く開いて、シマを見る。

 

 

「げーむ?」

 

「あ、いや、気にしないで!

 

 

.....ひゃ!」

 

 

 

突然のくすぐったさ。

ぎゅうと抱き着かれたと思ったのもつかの間。

ひょが自分の首元に顔をうずめている。

 

 

 

 

「げぇむ、さむい?」

 

 

「あっ.......ひょ......」

 

 

 

すごくかわいい、やばい。ひょかわいい。

頭をわしゃわしゃと撫でると、抱きしめる力が強くなる。

 

 

「ふるえてたから、あっためてあげる。」

 

 

ぎゅうぎゅうと密着する。震えていたのは寒さじゃなくて怖さだったのだが。そんなことよりも距離が近すぎて心臓がもたない。

すごく嬉しくて、ひょのやさしさがあったかい。

 

 

 

「ひょありがと」

 

表情がとろけてにへらにへらしまう。私は今、相当な間抜け面をしているだろう。

なんだか嬉しくて、いてもたってもいられない。目の前にある胸の中に頭をぐりぐり押し付けた。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

しばらくして、

 

あったかい。眠くなってきた。

頭がぼーっとしてくる。

ダメだ、とても眠い。

 

 

 

ひどい眠気の中、ひょがゲームさんといつもこんなふうに、一緒に寝てたのかなぁと思うと

少しもやもやした。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「なにこれ.....。」

 

 

 

次の朝、

自分に抱きついて眠る白いもふもふ男に

 

頭を悩ませるひょの姿があった。

 

 

 

 


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