ゼロの使い魔~ハルケギニア上空、敵機なし!~ 作:疾風海軍陸戦隊
1945年 8月13日
時は第2次世界大戦末期、とある上空で激しい戦闘が行われていた。銃弾が飛びかう中、その中に一機の戦闘機がそれとは別の戦闘機を追っていた。追っている戦闘機の機体は「紫電21型」別名「紫電改」。大日本帝国海軍が作った、局地戦闘機だ。そして追われているのはアメリカ海軍主力戦闘機であるグラマン社製「F6Fヘルキャット」だ。
「くそっ!逃がすかぁ!」
紫電改のパイロットがそう言い、紫電改についている自動空戦フラップを使い、ヘルキャットの内側に潜り込む。そしてその照準器がヘルキャットをとらえた瞬間。パイロットは翼についている20ミリ機関砲の引き金を引く。そして翼からは20ミリ機関砲が火を噴き、20ミリ弾がヘルキャットの胴体にあたり大穴が開きそしてヘルキャットは火を噴きながら落ちていくのだった。
「よしっ!また一機、撃墜!!」
と、パイロットはそう叫ぶ。そのパイロットの顔はまるで少女のように幼げな顔だがその目は血に飢えた狼のごとく鋭い眼力でギラギラと光っていた。
彼に名は宮藤直哉。海軍少尉で今は20機の撃墜記録を持つ若きエースパイロットだ。
『こちら大隊長。宮藤少尉。今どこにいる!これ以上は深追いするな!』
無線から、彼の上官らしき人物の声が聞こえる。するとまた別のヘルキャットが襲い掛かってきた。宮藤はそれに気づくと
「こちら、宮藤。今、ほかの敵戦闘機と交戦中!!」
宮藤と呼ばれたその男は無線で上官にそう報告し無線を切り、また空戦に戻る。相手はヘルキャット。ずんぐりした機体だが格闘戦ができるうえ、しかも頑丈だ。だから油断はできない。そう思い彼は慎重にヘルキャットを落としに行く。20ミリ弾を撃つもヘルキャットはその銃弾をよける。
「こいつ。もしかして熟練か!?」
宮藤がそう言った次の瞬間。
「っ!?」
急にヘルキャットが脚を出したのだ。脚を出したヘルキャットは空気抵抗ができ減速し、彼の背後に回る。そして12・7ミリ機銃、6丁という火力を彼の乗る紫電改に叩き込んだ。
「ぐわっ!!」
敵の銃弾を叩き込まれ激しい衝撃が起きた後、激しい激痛が走る。窓ガラスは割れ、額や足からは血が流れ、翼からは火が噴出し、機体はどんどん降下し始めてきた。
「くそっ!」
宮藤は必死に紫電改のスロットルを上げようとしたが紫電改はそのまま降下する。
「くっ・・・・俺も…ここまでか・・・・」
そう言い彼の頭の中に今までの記憶が流れ込んだ。走馬燈っというやつだ。幼いころよく、近くの河原で友達と遊んだころ。15歳の時、父親が海軍軍人のため士官学校に入れられたこと。そして空を飛ぶ零戦を見てパイロットに憧れ航空隊に志願したこと。そして初陣でのガダルカナルの戦い。そして343航空隊の戦闘301飛行隊「新選組」の部隊に配属されたことなど、様々な記憶が流れ出した。そして彼は戦死したかつての仲間や上官である人たちのことが頭に浮かんだ
「(・・・・菅野隊長・・・・武藤さん・・・・杉田さん・・・・佐々木・・・もうすぐ・・・あなた達に会えますね・・・)」
そう思い、彼は自分の最後を覚悟した。すると目の前に大きな鏡が突如現れた。
「な、なんだっ!?」
彼は驚くが彼の乗る機体はそのままその鏡に吸い込まれるのであった。その間、宮藤はある不思議な光景を見た。その光景は真っ白な空間の通路でその両横には無数の扉がありその真ん中にはデスクワークをしている眼鏡をかけた男が居た。そして自分の乗る紫電改はその男の前で止まっていた。しかも浮いて。そしてその男の机には一枚の書類らしきものがあった。そこには
1945年8月13日 宮藤直哉 大日本帝国海軍少尉
と書かれていた。
「(な、なんだ・・・・・?)」
宮藤は訳が分かんないっという顔をするとその男と目が合う。そして・・・・
「…次」
その男がそう言うと、その書類に何か書いた。すると今まで浮いていた紫電改が急に動き出し墜落時に見えたあの鏡みたいな門へまた吸い込まれる。
「なっ!?」
宮藤が驚く中、紫電改はその鏡に吸い込まれるのであった。そして一人残された眼鏡の男は腕時計を見て
「・・・・次」
というとまた一機の紫電改が現れるのであった。
「あ”ぁ!!なんだここはバカヤロ!!」
場所は変わってここはハルケギニアにあるトリスティン魔法学院。そこの庭には多くの生徒がいた。今日の授業は『使い魔召喚の儀式』。自分の使い魔を召喚するという儀式でこれができないと進級した生徒がやる重要な儀式でもある。
「みなさん今日は使い魔召喚の儀式です。これは二年生に進級した君たちの最初の試験でもあり、貴族として一生を共にする使い魔との神聖な出会いの儀式でもあります」
と、先生らしき眼鏡をかけた男の人が生徒たちに説明をする。その生徒の中少し小柄で桃色の髪をした少女が緊張していた。すると
「楽しみだわ~あなたがどんなすごい使い魔を出すのか」
「ほっといて」
と、赤毛で少し大人びた生徒が皮肉を込めてその少女に言う。すると
「ルイズ。大丈夫よあなたならきっといい使い魔を召喚できるから」
っと、銀と紫が混じったようなポニーテイルの少女がルイズと呼ばれた少女をフォローする
「ありがとナオ。」
ルイズはナオと呼ばれた少女に礼を言う。その後、召喚の儀式が始まり。ほかの生徒は目玉が大きいコウモリや巨大なモグラ、ドラゴンやサラマンダーなどいろんな生物を召喚していた。
「これで全員ですかな?」
と、先生はそう言うと赤毛の生徒が
「いいえ、まだ。ミスヴァリエールとミスユミエールがまだで~す」
と、先生にそう言う。するとみんなくすくすと笑い始める。
「わかりました。では最初にミスヴァリエール。」
「はい!」
ルイズは先生に呼ばれ前に出る。すると
「ゼロのルイズかよ・・・・」
「何を呼びだすんだろ?」
「呼び出せるはずないわよ。ナオならともかくゼロのルイズじゃ爆発するだけで終わりよ・・・」
とひそひそ声でルイズを馬鹿にする。するとルイズは杖を振り上げ
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに、応えなさい!!」
そう言い、ルイズは杖を振り下ろす。しかし何も起こらない・・・
「ふっ・・・やっぱり駄目ね」
「あはは!ゼロのルイズは使い魔も呼べないみたいだな!」
と、ナオや先生を除いてみんなが笑いだす。ルイズはそれを見て悔しそうにうなだれる
「(なんで…なんで私はみんなのようにできないの?)」
そう思った瞬間。
「ミスヴァリエール。あきらめてはいけません。もう一度やってみなさい」
先生が彼女に近寄り優しくそう言う
「ミスターコルベール・・・・・わかりました!」
コルベール先生の言葉にルイズは頷きもう一度チャレンジした。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに、応えなさい!!」
ドゴォォォォン
もう一度唱えた瞬間派手な爆発を起こした。
周りの生徒は、「また失敗か」などと呟いていたが、爆煙が晴れてくると、煙の中に何かがいるのが分かった。
「(やったわ!成功よ!一体何が・・・・って、え?)」
ルイズが嬉しそうに感じたのはこの一瞬だけであった。煙が完全に晴れると、そこにいたのは一人の黒髪の少年であった。ルイズはその少年を引きつった顔で見る。
「おい。あれって人間か?」
「しかもあの服から見て平民よね?」
と生徒たちがひそひそ声で話す中ルイズは少年に近づき
「・・・・アンタ誰?」
と、少年に問いかける。その少年は訳が分からないといった表情で、周りを見ている。
「誰って・・・・平賀 才人」
ルイズの問いかけに、その少年、平賀才人は混乱しながらも答える。
「何処の平民?」
「へ、平民?なんだよそれは?」
才人にはルイズの言葉の意味が判らなかった。才人は何でこうなったか、数分前を思い出してみる。
「(え~と、確か修理に出したパソコンが直ったから、それを取りに行ったんだ。で、その帰りに道の上に光る鏡のようなものがあったんだよな。それで興味が沸いて、鍵を突っ込んだりとかしてみたけど何も起こらなかったんだよ。それで、その鏡に手を入れたらいきなり中に引き込まれて、気付いたらここにいたと・・・)」
才人は、もう一度辺りを見回す。周りには、目の前のルイズと同じように、黒のマントをつけて杖を持った少年少女たちが、たくさんいて、才人を物珍しそうに見ていた。
「あははっ!おいルイズ。それがお前の 神聖で美しく、そして強力な使い魔か?ただの平民じゃないかよ!」
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
ルイズが怒鳴る。
「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」
「流石はゼロのルイズだ!」
と彼女を馬鹿にし笑う生徒たち。
「ミ、ミスターコルベール!」
「なんだね?」
「あ、あのもう一度召喚させてください!」
ルイズは先生に言うが
「それはできない」
「え!?なんでですか!?」
「この儀式はメイジとして一生を決める神聖なものやり直すなど儀式に対する冒とくですぞ。君が好むと好まざるに関わらず、彼を使い魔にするしかない。彼は君に使い魔に決まったのです」
と、先生が言うがルイズは納得できないのか
「でも!平民を使い魔にするなんて、聞いたことがありません!」
「平民であろうとなかろうと例外は認められません。儀式を続けなさい」
と、先生に言われルイズはしぶしぶその少年、平賀才人を使い魔にすることに決めるのだった。そしてルイズはその少年に近づき
「感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから!」
そう言い、わけがわからんという顔をした才人を無視し
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
と、そう言い彼女は才人と口づけをしたのだった。
「な、何するんだ!・・・ぐっ!」
いきなり口づけをさされ才人は動揺し彼女にそう言うと急に手の方に激痛が走る。
「か、体がっ!あ、熱い!」
「すぐ終わるわよ!『使い魔のルーン』が刻まれているだけだから、すぐ済むわよ!」
才人の悲鳴にルイズが苛立たしそうな声で言った。才人にとってルイズの言っていることは訳が分からない。痛みが治まると左手の甲に何かの文字が刻まれていた。すると彼女らの教師であるコルベールがその文字を見る。
「ふむ・・・・・珍しいルーンだな」
「な、何なんだよアンタら!?」
才人は怒鳴る。
「ああ、すまないね。まだ、あと一人いるんだ。詳しいことは、ミス・ヴァリエールに聞いてくれたまえ。では、ミス・ユミエール!」
「はい!」
コルベールがナオの名を呼ぶと、ナオは返事をし先生の前に出る
「な、なあ・・・・」
「何よ。平民」
と、才人がルイズに話しかけるとルイズは不機嫌そうに言う
「あの子。一体何してるんだ魔法の杖みたいなの持ってるけど?」
と、才人はルイズにそう言うと
「はぁ?だから使い魔の召喚よ。さっきから言ってるじゃない。いいからこれからナオがやるから見てなさい!」
「ナオ?」
「ナオ・フェメール・ド・ユミエール。私の従姉よ。勉強もできる優等生だけどそんなことは鼻に掛けないでほかの奴らとは違って魔法ができない私を馬鹿にしない優しい子よ」
「ふ~ん・・・・」
そう言いルイズに才人はナオがいる方を見るのだった。するとナオは杖をあげて
「我が名はナオ・フェメール・ド・ユミエール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ!」
彼女がそう言い杖を振り下ろす。しかしさっきのルイズ同様何も起きなかった。
「何も起きない?」
「どういうことだ?あのユリエールが失敗?」
「まさか。ゼロのルイズじゃないんだぜ?」
と、生徒たちはそう話し合う
「珍しいわね・・・・・ルイズならともかくあのナオが失敗するなんて・・・・・ん?どうしたのタバサ?」
赤毛の女はすぐ隣にいた短い青い髪をした少女に訊くが
「・・・・・・上」
と、上を見上げてそう言うタバサと呼ばれた少女。
「上?」
と、赤毛の女が上を見上げるとはるか上の空に、光る鏡のような召喚のゲートが現れた。それを見た生徒たちは
「な、なんだ・・・上か・・・」
と、ほっとしたような声を出す。するとその光の鏡の中から何かのうめき声のような轟音が響いていく
「・・・・来る」
ナオがそう言った瞬間。そのゲートから赤い丸の国籍マークをした暗緑色の物体が激しい轟音と共に飛び出てきたのだった。
「(あ、あれが・・・・私の使い魔・・・)」
ナオはその飛行物を見てそう呟くのであった。
「な、なにあれ!?ドラゴンか!?」
「いや、あんなドラゴン見たことないぞ!?」
「すごい声だっ!?」
と、生徒たちは見たこともない空飛ぶものに騒ぎ出す。しかしその中、才人は目を丸くしてその空を飛ぶ物体を見る。彼はそれのことを知っている。昔、自分の祖父が写真で見せてくれたものだ
「あ、あれは・・・・紫電改!」
そして、その物体の名を大声で叫ぶのだった。そしてその紫電改の中では
「いてて・・・・・なんだっ!?なぁーにが起きやがった!!」
一人のパイロット宮藤直哉が額から血を流しそう言うのだった・・・・