ゼロの使い魔~ハルケギニア上空、敵機なし!~ 作:疾風海軍陸戦隊
虚無の曜日にトリエスティンの城下街へ買い物に来た直哉とナオ。日用必需品を買い終え、次は護身用の武器を買いに武器屋に向かうとそこにはルイズと才人がいた。
「あれ?才人?なんでここに?」
「え?ルイズが剣を買ってくれることになっったんだよ。宮藤さんは?」
「俺も大体似たような物だ。まあ、武器の他にナオが日用品を買ってくれるてな」
「へ~いいな。宮藤さんのご主人様は。俺のご主人様とは大違い」
「何が言いたいのサイト?」
「べつに~」
と、ジト目で睨むルイズに才人は目をそらして口笛を吹いて誤魔化す
「まあまあ、才人。武器買ってくれるだけでもまだマシと思わないと」
「それはそうだけど・・・・・・」
と、そう言うとコホンと咳払いが聞こえその声の方へ顔を向けるとその武器屋の店主らしき人が立っていた。
「話の途中で悪いんだけど貴族様。この店にはやましいものはないぜ。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をちけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」
と、手をこまねきそう言う。どうやら俺たちを不正とか不法なものを取り締まる役人と勘違いしている。するとルイズは腕を組み
「客よ」
とそう言うと
「こりゃおったまげた。貴族が剣を!おったまげた!」
「どうして?」
「いえ、若奥様方。教会の坊主は聖具をふる、兵隊は剣をふる、貴族は杖をふる、そして陛下はバルコニーからお手をおふりになる。と相場はきまっておりますんで」
「使うのは私じゃないわ。使い魔よ」
「忘れておりました。昨今は貴族の使い魔も剣をふるようで」
主人は、商売っ気たっぷりにお愛想を言った。客には愛想よくまさに商人だな。それから、全員に目配せをして、視線を才人や俺に戻し、じろじろと眺めた。
「剣をお使いになるのは、このお二人方で?」
主人は、剣を使う人物を言い当てた。まあ、それもそうだろう。この中にいるのは俺と才人、ルイズにナオの4人。そのうち二人は貴族の証であるマントをしている。消去法で行けば俺と才人になるのが当たり前だ。店主の言葉にルイズは頷き
「そうよ。私は武器のことなんかわからないから。適当に選んで頂戴」
主人はいそいそと奥の倉庫に消えた。そして店主は4人に聞こえないように呟いた。
「・・・・こりゃ、鴨がネギしょってやってきたわい。せいぜい、高く売りつけるとしよう」
と、にやりと笑い、一本の細い剣を取り、才人たちのもとに戻って来た。
「これなんかいかがですか?軽くてスピードも速いレイピアですよ?昨今は宮廷の貴族の方々の間で下僕に剣を持たすのがはやっておりましてね。その際にお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」
と、そう言いレイピアをルイズたちに見せるが、ルイズはそのレイピアを見るが
「細すぎて折れそうね・・・・・もっと大きくて太いのがいいわ」
「お言葉ですが貴族のお嬢様。この御仁にはそのサイズがよろしいかと?」
と、店主はそう言うと、ルイズは
「いいからさっさと太くて大きい剣を持ってきなさいよ!」
「いや、しかし・・・・・」
と店主はかたくなにそう言うが、
「ダーリンにはそんな細い剣は似合わないわよ店長さん?」
「・・・ん?あれ?キュルケ?」
いつの間に店に入っていたのか振り返るとそこにはキュルケとタバサがいた。そして
「あら、偶然ねダーリン!!」
とキュルケは才人に抱き着きタバサは興味なさげにいつものように本を読んでいた。そしてそれを見たルイズは
「キュルケ!いきなり出てきて、なに人の使い魔に抱きついてるのよ!」
と、けんか腰でそう言うのだが
「あ~ら、店内で声張り上げちゃって。貴族とあろうものが恥さらしな」
キュルケも迎え撃つ気満々でルイズを挑発すると
「ちょっと二人ともやめなさいよ。お店の人に迷惑が掛かるでしょ?」
今にも魔法ぶっ放しそうなところをナオが仲裁に入り、ナオが間に入ったところで何とか収まった。そしてキュルケはコホンと咳ばらいをし、店主の方へ近づき
「ダーリンを見た目で判断してもらちゃ困るわね。ダーリンは、剣で青銅のゴーレムを軽々と切り裂く腕前を持っているわ。それとも何かしら?あなた貴族である私たちが嘘をついているとでも?」
「いえ、いえ、決してそんなことはなく・・・・」
「だったら、この店の中で一番の技物を持ってきてちょうだいな。ねえ、お・ね・が・い」
と、色気たっぷりの言葉で店主に言い寄ると、店主は鼻の下を伸ばし
「へ、ヘイ・・・・すぐにお持ちします」
店主は、ペコリと頭を下げると、また奥に消えた。今度は立派な剣を油布で拭きながら、主人は現れた。
「これなんかいかがです?」
見た目は見事な剣だった。1.5メイルはあろうかという黄金に輝いた剣だった。柄は両手で扱えるように長く、立派な拵えで、ところどころに宝石が散りばめられ、鏡のように諸刃の剣が光っている。一見すれば見るからに切れそうな、頑丈そうな剣であった。
「店一番の業物でさ。これ以上のものはどこを探しても見つかりやせんぜ」
ニコニコと愛想笑いを浮かべ才人に渡すと
「うわぁ~すごいなまるでゲームに出てくる勇者が持っていそうな剣だな」
才人もその剣を気に入ったのか、目をキラキラさせて言う
「すばらしい剣だわ」
「そうね。その剣こそ、私の使い魔にふさわしい剣よ」
キュルケもそう言いい、ルイズも満足しているみたいだ。
「確かにあの剣きれいだね直哉」
とナオは隣にいる俺にそう言うが、
「才人。ちょっとその剣貸してくれないか?」
と俺は一歩進みサイトに今持っているその剣を渡すように言う
「え?別にいいけど?」
と、才人は俺にその剣を渡し、俺はその剣をじっと見る。そして、
「・・・・・・ダメだな。これはとんでもない鈍らだよ」
「「え?」」
俺の言葉が意外だったのかみんな驚いたように目を見開き、それを聞いたキュルケは
「ちょっと、何言ってるの?こんなに素晴らしい剣を」
「そうです!ぜコイツを鍛えたのは、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿で。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断でさ。ごらんなさい、ここにその名が刻まれているでしょう?」
と、キュルケがそう言い、同じく店主もそう言って柄に刻まれた文字を指差した。だが俺はこの件の本質を見抜いていた
「その剣を作ったのがどんな有名人かは知らないけどさ。この剣。確かに重いが、刃の部分が丸まって切れ味は無いに等しいし、それに少し刃の部分を叩いてみたが中身はスカスカだ。よくて家で飾る程度の剣だな。これは」
「宮藤さん。剣とか武器のこと詳しいのか?」
「軍人だからな武器の知識はあるし、軍の士官学校で嫌って言うほど習わされたからな。この店にはいろんな武器があるが、この剣だけは何というか武器としての威圧と言うのがないな」
「そうか・・・・」
才人は俺の話を聞いて考えると
「おでれーた、おでれーた。小僧、おめ見る目あるな」
『っ!?』
と、急にどこからか声がし、俺を含めみんな驚く。そして店主だけがなぜが頭を抱えていた
「どこから聞こえるんだ?」
と、才人がそう言う中、俺は店の出口当たりに置いてある樽の方へ行くとその樽の中にはいくつもの剣があった。そして
「おい、ここだ。ここ」
とその武器の中、一つだけカタカタと鍔を鳴らしているのが見えた。俺はその剣を取る。その剣はところどころ錆びていた
「こいつか・・・」
「・・・・・もしかしてその剣が喋ってるのか宮藤さん?」
「それって、インテリジェンスソード?」
と、才人の疑問にルイズが答えると、店主が
「やいデル公!商売の邪魔すんじゃねえ!」
と、その剣に向かって怒鳴るがその剣はまるで笑っているかのようにカタカタと鍔を鳴らし
「けけけ・・・商売の邪魔って、この若造はそのなまくらを見破ってたじゃねえか。・・・・ほ~う。若造、おめ、何度も修羅場を潜って来たみてえだな。その歳でてーしたもんだ」
と、そう言う中俺はその剣をじっくり見る。そして
「才人。その剣にしろ。年季は入って錆があるところがあるが、刃は奇麗で切れ味もいいはずだ。そっちの鈍らよりはいいと思うぞ?」
「確かに喋る剣って言うのもいいよなあ」
とそう言い才人は俺からその剣を受け取ると
「おでれーた!おめ、『使い手』か!?」
才人に向かって、その剣は言った。
「『使い手』?」
「自分の実力も知らないのか?まあいい、てめ、俺を買ってけ」
「ああ、いいぜ。俺は平賀 才人だ」
「俺はデルフリンガー様だ。『使い手』ならデルフでいいぞ兄弟!」
「よし、よろしくなデルフ」
才人はルイズの方を見て、
「ルイズ、俺これにする」
「え~~~?そんなのにするの?もっと綺麗で喋らないのにしなさいよ」
「いいじゃんかよ。喋る剣なんて面白いじゃないか。宮藤さんも問題ないだろ?
「あ、それなら大丈夫だ」
俺が頷く中、ルイズはぶつくさ文句を言っていたが、下手ななまくらを買うよりも安全そうだったので、それを買うことした。
「あれ、おいくら?」
「あれなら100で結構でさ」
「安いじゃない」
「こっちにしてみりゃ、厄介払いみたいなもんでさ」
店主の言葉にルイズはため息をつき金額を払う。
「まいど」
剣を取り、鞘に納めると才人に手渡した。
「どうしても煩いと思ったら、こうやって鞘に入れれば大人しくなりまさあ」
才人はデルフリンガーを受け取った。
「思ったより安く済んだわね」
ルイズが呟くとナオが
「次は直哉の武器ね。直哉どれがいいの?スペック的にはどういうのがいいの?」
「う~ん・・・・・そうだな・・・・・・・」
とナオに言われをレは店の中をぐるりと見渡す。どれもいい武器に見えるが、なんていうかみんな西洋ものばっかりだ。まあそれもそうか、第一、日本刀のような業物があるわけが・・・・・・
「・・・・・ん?」
俺は急に乱雑に剣が積み上げられている棚の上を見て、急に立ち止まる。その剣の中に一本の剣があった。俺はその剣を取ると店主が
「ああ、それかい?なんでも異国の剣みたいなんだけどな。刃はレイピアより薄いし、曲がっているし。どう見たって鈍らの剣だよ」
と、笑う中、才人は俺の所へ来て
「宮藤さん。これって・・・・・・」
「ああ、どう見ても刀だな」
サイトの言葉に俺は頷く。そして俺はその刀を鞘から抜き眺める。反り返った不思議な剣。極薄の刃。その刃には、美術品としての価値もあるという程、美しい波紋。まさしく日本刀である。しかもその刀身には所々に三日月の様な美しい刃文が輝いていた。
「(三日月の刃文・・・・・・まさか!?)」
「直哉?どうしたの?」
とぼうぜんとしている俺にナオガ覗き込むように聞くと俺は
「すまない店主。木槌と杭。それと綺麗な布を貸してくれ」
「え?は、はい・・・」
と、そう言い店主はいったん奥へ行き、、要求された物を渡す。そして俺は、口にハンカチを咥え、そしてその刀を分解した。
「直哉!?」
「ちょっと何しているのよあんたは!?」
いきなりの行動にナオとルイズが驚くが俺はそれを無視して刀を分解し、そして分解が終わった時その刀は一本の刃となっていた。そして俺は刀の中心に刻まれた銘を見る
「(やっぱりこれは)・・・・・む・・・むね・・・ちか?・・・・・・・・宗近?」
ポツリと呟き、急にハっとなってもう一度、その刀身を見る。その刃の下半には、刃縁に添って、随所に美しい三日月の紋様があった。そんな刃文を持つ刀はたった一つしかない
「・・・・・三日月宗近」
そう、今俺が持っている刀はかつて天下五剣の一つと言われた名刀、三日月宗近であった・・・・・