只単にインフェルノに萌えてみただけの単発小説です。

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アーチャーインフェルノが当たり、喜びを込めて書きました。がこれ書き始めたの剣豪七本勝負が配信されてからですよ?
あんまり性格の部分が合わない所がありますが取り敢えずタイトル通りに萌えをイメージしました。
取り敢えずランサーは死にます。すいません。


萌え燃えインフェルノ

これはアニメオタクなマスター、藤丸立香とアーチャーインフェルノの御話。

 

 

 

「あ。お疲れ様、インフェルノ。」

 

 

「お疲れ様です、マスター。して何用でございますか?」

 

 

インフェルノはマスターに呼ばれマイルームに赴いた。すると立香は支給された()()()()()を持ち出した。そしてある映像を流し見せた。

 

 

『もえもえ…きゅん!』

 

 

「…………。」

 

 

「これをやってくれ!」

 

 

映像には西洋の給仕をする女中、所謂メイドと謂われるだろう少女が回転して恥ずかしそうに顔を背けながら胸元に歪な形の輪を、否、それはハートマークと呼ばれる形を両手で現して先の言葉を言っていた。というか映像がくりかえして(ループして)ある。

 

 

「…こ、これを私がやれと!?」

 

 

「うん。」

 

 

インフェルノのは困惑した。何故マスターはこんな事を望むのかが理解できない。そもそもこの行為こそマスターにとって何の得になるのか。と。

そしてこのハート、心臓と呼ばれるだろうがある意味違うだろう。そうきっとそれは"愛"という事だろう。

この愛らしい映像の少女が行う、愛を形にし、振り撒く行為こそ意味があるのだろう。

 

 

「…だけどマスター、私がこれをやって意味などあるのだろうか。」

 

 

それ以前にインフェルノは自身の異形差に卑下の想いを寄せていた。女子とは離れた額に生える角、そして男より力強き腕力。とても好まれる要素がないからだ。

 

 

「…ある!」

 

 

「へっ!?」

 

 

「あるに決まってるんじゃないか!インフェルノにやって欲しい!むしろ、御願いしますやって下さい!不夜キャス直伝の土下座もしてますから!」

 

 

「な…なんと綺麗な土下座…。」

 

 

インフェルノは驚愕した。いや、あまりの必死さに引いた訳でなく、こんなにもマスターが誠心誠意の姿勢、しかも熱く情熱を持った意思(言葉)を受け止めてしまったのだから。

この異形の女子を軽蔑せず接してくれるマスターの期待を裏切るわけには。

やるべきか、やらなくてはならないべきか。だが主に愛を示すというのは如何なものか、義仲様にもやったことないのだぞ!とインフェルノは思考する。

 

 

「…マスター、取り敢えず頭を上げてくだ」

 

 

「やってくれるの!?」

 

 

ああ、不味い。

、と思わせる程、マスターは期待の眼差しに閃いていた。流石に断れないインフェルノはしょうがなくタブレットの映像を真似する事にした。

 

 

「………。」

 

 

『もえもえ…きゅん!』

 

 

いざやろうにも、これは恥ずかしいのではないか。と思うようになり始め、顔が熱くなり始めた。抵抗はありながらもマスターの前でインフェルノは長い髪を揺らし、一回回って両手を胸の前で形を作る。

 

 

「も…もえもえ…きゅん…。」

 

 

「……………。」

 

 

………~~~!!(は、恥ずかしい~~!!)

 

 

インフェルノは顔を赤くしつつ無言で俯いた。生前に自身の主であり夫の木曾義仲とは愛し合った。が今の主である少年にこんな未来文化の愛情表現で、尚且つちゃんとできているか不明な為、照れからの主の無言にてインフェルノの羞恥ボルテージは上がる一方であった。場に静寂が数秒続いた時、立香は立ち上がりインフェルノの両肩に手を置く。

 

 

「……マスター、どうでし」

 

「インフェルノ、あのさ…。」

 

「…?」

 

インフェルノは急に言葉を遮ったマスターの様子が少し可笑しく感じた。やっぱり不釣り合いだったのだろうか、と思考に過った。

 

「まぁ最初だから、ちょっと恥ずかしいよね。ちょっと無理を押し付けちゃったよ。御免ね。」

 

そして来たのは少し力んだ柔らかい笑みといきなりの謝罪の言葉。それはインフェルノを気遣って出てきた言葉だろうが、インフェルノにとって異形なる自分ではやはり不釣り合いだったのだろうとネガティブな想いが比例し、顔の熱が引き、表情も暗くなる………が。

 

 

「だからさ。もう一回、全力でやって?」

 

顔の熱が浮上した。自分の(マスター)が何を言っているか分からない。理解する程に顔の熱が上昇する。

 

「な、な、なななななな、なっ!?」

 

インフェルノは言葉を発しようとするが声が上擦り言葉が出ない。一旦息を飲み込んで落ち着かせる。

 

「何を言っているかマスターは!?」

 

顔を真っ赤にしてそう叫んだ。鏡があれば先程よりも顔が赤くなってるのが分かるだろう。恥ずかしいと分かって言っている故に再びと言われれば流石にインフェルノは無理だった。

 

「それではマスター!失礼します!」

 

インフェルノは立香に一度御辞儀をしては突っぱねるように部屋を後にしようとした。

 

「待って!」

 

立香は直ぐにインフェルノの手を掴んだ。インフェルノは止まるが立香に顔を向けない。

 

「離して頂きたいマスター!」

 

振りほどこうとするが今振りほどけば勢いのあまり立香を部屋の壁へぶつけてしまいかねない故にインフェルノは我慢した。が立香は手を離さない。

 

「お願いだよインフェルノ。さっきやって恥ずかしいのは百も承知だよ。でももう一度だけ…。」

 

「マスター、いい加減に!」

 

流石にしつこいこのマスターに対して苛つきを感じ始めた。インフェルノは正に鬼の表情をして立香の方を振り向く。

 

「インフェルノの可愛くやる所を見たい。駄目かな…?」

 

真っ直ぐ、立香とインフェルノの視線が合わさる。インフェルノは一瞬たじろぐが此処できっぱりNO言うべきだろう。だがその真っ直ぐで懇願する目を見てインフェルノは迷った。

 

「……はぁ、後一回ですよ。」

 

「!ありがとうインフェルノ!」

 

数十秒後、インフェルノはため息を吐き、折れた。その言葉に立香は見て分かるほどの喜びを露にした。これにはインフェルノも許してしまう自身の甘さを内心嘆く。

 

「でも恥ずかしさがあるだろうから手伝うよ。」

 

「えっ。」

 

まさか、マスターも一緒にやってくれるのか。とインフェルノは思い、先程とは違う恥ずかしさがあった。が立香の掲げる右手により裏切られた。

 

「…ー令呪を持ってインフェルノに命じる、萌え萌えきゅんを全力で可愛く御願いします!」

 

「なっ!?」

 

何やってんですかこのマスター。と全力で叫ぼうとした時、魔力(命令)がインフェルノの霊器に流れ込み、体が自然に動き出した。

 

「萌え萌え~…きゅん!!」

 

2回転からの満面笑顔で胸元にハートを作って放つインフェルノ。溢れだした魔力からか、それとも恥ずかしさのあまりに退去か霊体化したいのか金色のエフェクトが出ている。暫くするとインフェルノは顔を赤いリンゴか、はたまた完熟したトマトのように全体を赤く、うっすら目元に涙が浮き出ている。

 

 

「!!!(もう嫌!)」

 

「良かったよ!インフェルノ、凄い可愛かった!」

 

「!…もう金輪際は御免被るぞマスター。」

 

当のマスターは御満悦だった。インフェルノもマスターの喜ぶ姿を見れば内心は嬉しかった。が恥ずかしさは抜けきれず心拍が落ち着かなかった。

 

「ではマスター。私は自室に戻る故、失礼を……。」

 

そそくさと逃げ去るようにマイルームから出ようとしたインフェルノはふと見た()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に気付き固まった。

 

「あっやば…!?」

 

立香も気づくがインフェルノは常人では見切れぬ速さでタブレットを奪い取り録画した物を観た。

 

『萌え萌え~きゅん!』

 

「……。」

 

「あわあわあわ…。」

 

無言のインフェルノ、焦る立香。場には緊張感が漂っていた。その中で動けたのは一人。

 

「…………。」

 

流れるようにタブレットを操作して他のフォルダを閲覧していくインフェルノ、まるで浮気のバレた夫のような状態だ『ますたぁ、呼びました?』まだ出番じゃないんで出ないで下さい。『分かりましたベッドニモグリコム。』

 

そしてインフェルノは手を止めて立香の方を向いた。

 

「…マスター。」

 

「は、はい…。」

 

インフェルノの威圧感で立香はたじろぐ。これからどんな質問攻めに合うのか、と脳裏に過った。

 

「…暗証番号は何ですか。」

 

インフェルノはいつもの綺麗な笑みでタブレットを向けて訊いてきた。

 

「(ああ、タブレットの中の全部消す気だ。)」

 

画面の表示はタブレットを初期化(フォーマット)画面で暗証番号が必要な状態になっている。

 

「私も大切な備品を壊そうなどとは思いません、マスターの協力によって解決できる事ですので…暗証番号は?」

 

「それ脅迫だよね!?」

 

インフェルノの持つタブレットが小さくピキッと音がした。このままではタブレットがもたない。が立香は口を接ぐんだ。何故なら…

 

 

カルデア(うち)の可愛い後輩や色っぽい鬼や源氏系お母さんやヤンデレ姫や依存系暗殺者やツンデレ竜魔女や(エトセトラ…の萌えキュン動画が詰まっているんだ!!

 

「……。」

 

「……マスター。」

 

インフェルノは俯き肩に力が入る。いよいよタブレットが往生すると思い立香は焦る。

 

「い、インフェルノ、あのさ」

 

「………。」

 

「え…。」

 

インフェルノは立香に抱き付いた。突然の事で立香は戸惑った。

 

「インフェルノ…?」

 

「マスターは……私を苛めて楽しいか…。」

 

「!?」

 

インフェルノは抱き付きながら声を上擦りながら言った。立香から顔が見えないくらいに俯いている為、どんな表情をしているか伺えない。声の様子から悲しみの感情が含まれている。

だが立香の直感は告げる、これは芝居だと。

泣き脅しで暗証番号を言わせるつもりだと。

だから立香は我慢した。負けてはならぬ、負けてはならぬ、と。

 

「…失望したぞ、マスター。あなたは違うと、裏切らぬと信じていたのに。」

 

インフェルノは顔を上げ、涙が瞳に溜まり、感情を露にして堪るかと、そしてそれ以上に許しを懇願するような顔で立香を見つめた。

 

「ぐぉっ!?」

 

これには立香の良心に重い衝撃を与えた。生前の彼女の生涯(逸話)を知っているからこそ、その裏切りという言葉に、何よりどう見ても立香が悪いと。自覚している分、心に響いた。今、立香の心は大きく傾くが此処で耐え救いの道(データの)を模索するか、今の絆が大事か迷った。

 

「…そうか、また戦闘の際は呼んでくれ。」

 

インフェルノはタブレットをテーブルに置いて俯きながら立香を背に出ていく。

 

立香の直感が囁く、()()()()()()()()

 

「まっ、待って!」

 

 

 

 

「…これでよし、すまないマスター。」

 

「…あ、あははは。いいんだよ。」

 

インフェルノの手元には初期化完了したタブレットが、当の立香はまるで燃え尽きたように白くベッドに項垂れていた。

 

「…マスターよ、今後は隠し撮りなどせぬように。」

 

「………。」

 

インフェルノの言葉が届いているか分からないが立香は無言だった。

 

「…もしマスターが望むならば、その…またやって…やらなくもなく…。」

 

あまりの意気消沈振りを見かねてか、インフェルノも小さく囁く位の声で言った。本人は少なからず抵抗がなく顔を赤らめた。

 

「マジで!?」

 

当の立香はまるで地獄耳の如く、それを聞き取り飛び起きた。

これにはインフェルノもドン引く所があった。

 

「取り敢えず今日はもう致しません故、失礼しまっ!!」

 

「…おんや金時、動いたらアカンえ。」

 

「…うるせぇ酒呑、寄ってくんな…!」

 

「…ちょっと二人ともそんな動かないで。」

 

「…皆さん静かに、バレちゃいますよ…!」

 

「…そう言われてもだな魔酒!もうもたな」

 

「「「「「うわっ!!」」」」」

 

「「………………。」」

 

突然マイルームのシャワールームからこそこそ話で聞こえる声から扉が開け、5人組が倒れ込んだ。

その5人とは上から坂田金時、酒呑童子、宮本武蔵、マシュ・キリエライト、茨木童子であった。

立香とインフェルノは無言で5人組を見つめていた。立香は()()()()()()()()5人を見て、この先の危険な予感に冷や汗を流し始めた。対してインフェルノは嵐の前の静けさだった。これではマズイと立香は思い始めた。

 

「あのさ、インフェル」

 

「マスターは黙ってて下さい!」

 

殺気が増し睨み付ける怒声は、それはもう角が生えた(生えてる)怒りの母だったと後に語る。

 

「…………はい。」

 

これには立香も押し黙るしかなかった。

 

「……それで皆様は()()から其処に居ましたか?」

 

「あのインフェルノさん、決して先輩が悪いんじゃ」

 

「そうや、マスターはんが今から可愛らしいものを見せようかて、うちらを呼んでこの部屋で待ってたんやで。()()()()、可愛らしかったわ~。」

 

「!!?(えぇぇぇぇぇぇぇ!!?)」

 

「!?酒呑さん!?」

 

「え、ちょっ!?」

 

「おい、酒呑!!」

 

「………そうか。」

 

マシュが語ろうとすると酒呑童子遮り、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()かのように言い、その先の事を楽しもうとしていた。立香は声にならぬ悲鳴を上げた。マシュと武蔵は事実無根な事に困惑し、その魂胆を見抜いた金時は焦った。

そしてインフェルノは…

 

「…え…。」

 

立香の襟首を掴んで扉へ移動し始めた。立香は青ざめながらも訊かねばならなかった。

 

「あの~、インフェルノ…。どちらへ…?」

 

「…マスター、これからも特異点を修復するためシュミレーターにて…鬼ごっこなど如何…かと。」

 

振り向いて立香を笑顔で見る目が養豚場の豚とはよく言うが、あれは…獲物を狙う狩人の眼だった。と。

 

「待って!知らなかっぐえっ!?」

 

「………。」

 

立香が弁解しようとするが襟首を引っ張られ言葉が遮られた。インフェルノは真っ直ぐに無言でズルズルと立香を引っ張っていく。弁解の言葉さえ受け付けてくれない。

 

「マシュ!助けて~!」

 

「先輩!待ってくだひゃい~。ありぇ~?ろりぇつが~?」

 

「がっ!?」

 

「…あはは。」

 

「おい酒呑!」

 

「邪魔はさせんぞ小僧!」

 

「もう分かっててやってんの!?」

 

立香がマシュに助けを求めようとしたがマシュはいきなり呂律が回らなくなりペタりと座り込んだ。その後ろでは酒呑童子が酒を霧状にしたものを出している。金時と武蔵は茨木童子の知らぬが酒呑の邪魔はさせまいとその相手をさせられていた。

 

「もう!インフェルノ!ちょっと待っ!?」

 

「…何か、用ですか?」

 

扉を開け、立香と共にマイルームから出ようとしたのを見て金時が茨木童子の相手をしている間に呼び止めようとした途端、武蔵の首もとにインフェルノが薙刀を当て睨み付けた。

 

「………いや、此ればかりはマスターも半分悪いから御ゆっくりどうぞ。」

 

「武蔵ちゃん!?」

 

「……。」

 

インフェルノはそのまま立香と共にマイルームから消えた。

 

「たすけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

と遠くで立香の声が聞こえた気がした。そんな気がした。

 

「おい!何で止めなかった!」

 

じたばたする茨木童子を押さえ込んだ金時は酒呑童子に襲われかけてながら、ボ~と突っ立っている武蔵に怒鳴った。武蔵は頬を掻きながら金時に振り向き…

 

「あの子、振り向き様に一瞬見えた照れ顔が可愛かった。」

 

と言った。これには金時は溜め息をを吐き、酒呑童子はケラケラ笑い、茨木童子はもがいている。

 

「しぇんぱぁい~、どこれすか~…。」

 

後輩(マシュ)は酔っていた。

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……ひぃ!?」

 

「いや待て待て待てー!?」

 

「何で俺らまで~!?」

 

「つべこべ言わず逃げろ!!」

 

斬りかかる薙刀、飛び交う矢から生存本能を死ぬ気で最大に発揮させ避けまくる、藤丸立香。…と光の御子3名。連行中、スカサハに担がれた腑抜け3名を託され序でに鍛えて欲しいと頼まれた。ハンデとして槍無しでやれとの事だ、死ぬ気で。

 

「「「何でだ!?」」」

 

因みに『死んでは困る故、峰打ちで討ち取ろう。』と矛盾に近い事を言って、マスターはダヴィンチちゃん特製の当たったら強い衝撃波を放つ矢で仕留める。そして3人は『マスターを護りつつ、自身を護れ。』と伝え矢を射ている。槍で攻撃した場合、スカサハも参戦すると戦闘待機していた。つまり…お前らから先に殺るという事だった。

 

「がふっ…。」

 

「槍ニキィィィィィ!!」

 

「幸運は一番低い奴が矢に刺されて死んだぞ!?」

 

「ガチで殺しにきてるぞ、あの女!?」

 

壁が一つ

 

「ぐっ…くそっ…。」

 

「プロトニキィィィィィ!!」

 

「集中的に狙ってやがるな!」

 

また一つ…

 

「くそ、先に行けマスター!」

 

「キャスニキ!?」

 

「此処で俺が食い止めてやるよ。」

 

「…止まって良いのですか?」

 

そしてまた一つ、マスターを守る壁が崩れていく。一人、二人とクーフーリンを討ち取ったインフェルノは立ち止まったキャスターのクーフーリンに急速で接近していく。

 

「槍が駄目なら、ルーン魔術でも食らいな!ーアンサズー!」

 

クーフーリンの杖から炎の塊がインフェルノに向かっていく。それをインフェルノは紙一重に避け、そのまま前進する。されどクーフーリンは炎の塊を何発もほぼ同一のスピードで放つ。クーフーリンは炎で誘導しながら、避けられぬ炎の塊の壁をインフェルノに当てる。がインフェルノは薙刀を構え、炎の塊を凪ぎ払って前進する。

とうとうクーフーリンの目と鼻の先まで近付き薙刀を振りかぶる。

 

「仕舞いだ…。」

 

「ああ…そうだな!」

 

「ッ!!」

 

インフェルノの足元にルーンの術式が浮かび、爆発的な炎が舞い上がった。インフェルノは炎に飲まれた。

 

「へっ、甘かったな。」

 

「そうだな。」

 

「何っ!?ッ!」

 

炎の中から横凪ぎで薙刀がクーフーリンに迫り、杖で受け止めた。とても重い一撃にクーフーリンは怯みそうになったが続いての斜め上からの薙刀を紙一重で避け、距離を取った。

其処に居たのは炎に包まれながらも薙刀を構え直すインフェルノのだった。

 

「おいおい、ハンデ有りすぎしゃねぇか?」

 

「…私も弓のみとまでいかなくなりました。であれば本気で向かわなければ失礼でしょう。逆境こそがケルトの本領を発揮するとスカサハ殿から伺っています。」

 

「いや聞いたことねぇよそんな事!?つか年mっ…師匠何言ってるの!?」

 

「アーチャーよ、構うことない。全力で消せ(宝具の使用を許可する)!」

 

「師匠このやろうぅぅぅぅ!!」

 

「では…参ります!」

 

インフェルノはクーフーリンに弾丸の如く近づき薙刀を振るう。クーフーリンも自棄になりながら杖を槍のように構え、一撃一撃が重い猛攻を退きながら受け流す。

 

「…退いてるばかりでは勝てませんよ?」

 

「そりゃどうも!ありがと…さん!」

 

「なっ!?」

 

クーフーリンは一番重い攻撃を見極め、少ない動きで斜め下からの薙刀を弾き上げる。薙刀に釣られ大きく隙を見せるインフェルノにクーフーリンが杖を構えた。

 

「ほら食らいな!ーアンサズー!」

 

クーフーリンが放つ炎の塊は真っ直ぐインフェルノの顔面にぶち当たった。顔に受けたインフェルノはゆらりとふらつき持っていた薙刀を()()()()離し地に下ろした。

 

「まぁ油断はなかったが、甘かったな。まだやれるだろ?」

 

「………そうですね。」

 

「…!」

 

インフェルノは大きくふらついた瞬間、左足を引き低く構え左手の薙刀をクーフーリンの顎にめがけ突き上げた。クーフーリンは頭を仰け反らせて避け、左手で薙刀の鍔下を掴んだ。

 

「おいおい、こんな分かりやすい突きで良いのか?このままだと自分の獲物を奪っちまうよ(差し出すようなものだぞ)ぉッ!?」

 

薙刀を引く力を感じたクーフーリンは取られないようにと掴んでいた。がインフェルノは空いてる右手でクーフーリンの首回りの服を掴みかかった。クーフーリンは避けようと判断する頃にはインフェルノは服を掴んでいた。

 

「ならば持っていて頂こう。」

 

クーフーリンは薙刀を離し振りほどこうとしたがインフェルノは体重を掛けてクーフーリンを後ろに揺さぶり、薙刀を離して左手をクーフーリンの服を掴み、一気に引き…

 

「吹っ飛べ!」

 

「うおっ!?(なんだこの馬鹿力!?)」

 

クーフーリンを投げ飛ばした。そう、斜め上に投げ飛ばしたのだ。人の、しかも自分より背が低い女性に投げ飛ばされるなどクーフーリン本人は思ってもみなく、自身を投げ飛ばす怪力に驚愕する。それは正にと言えよう…鬼の力。

 

「ー私に力を!旭日の輝きを!!真言、聖観世音菩薩(オン・アロリキヤ・ソワカ)!!」

 

「あっ!?待て待て待て待て!?あーーーーーー…!!」

 

即座に弓を構えて宝具を放つ。クーフーリンへと飛んで行く矢は真っ直ぐ飛び、避けられぬ矢はクーフーリンにぶつかり、今も想い続ける今亡き主を、我夫への愛の象徴である太陽の如き爆発を起こした。

 

「ふむ、死んだなセタンタ。」

 

「この人でなし!!キャスニキィィーー!?」

 

スカサハはその光景を眺め、立香は振り向かず言っておかなきゃならない叫びを上げた。

 

「…自身の心配をすべきかと。」

 

「ひぃ!…うわぁ!?」

 

聞こえない程の小声で澄んだ殺意ある嘆きを立香が耳にした瞬間、追うように立香の駆けた直後の道にダウィンチ特性衝撃矢が当たり、立香を背後から吹っ飛ばした。

 

「死ぬって!…あだっ!?」

 

体全身で地面に倒れ痛がった。だが痛がっている暇は無いと立ち上がる。が…

 

「ひぃっ!?」

 

「仕舞いです、マスター…。」

 

いつ薙刀を手に?と考えてるのもアホらしくなり、首元に伝わる薙刀の刃の冷たさを感じながら、降伏の両手を上げた。

 

「まず私に言うべき事はありましょう…?」

 

まるで子供を叱りつけるような声色で問うインフェルノに何を問われているか理解した立香は、顔が見えずビクビクしながらも声を絞り出して応えた。

 

「…ご、ごめん。」

 

「…ならば動かずに居てください。」

 

「(何で!?)」

 

首に沿えた薙刀が離れて立香は安心したが、背後から一歩、一歩と近付いてくる足音に再び緊張しはじめた。

 

「(ヤバい、ヤバい、どうしたら良い!?絶対に衝撃矢を当てられる!ちょっとでも触れたら吹っ飛ぶ位痛いってダヴィンチちゃんが言ってた!嫌だまだ死にたくない!どうやって切り抜けたら!!)」

 

立香は焦る。回りがスローに感じようが作者が焦らして苦しめようが何とかして打開策を考える。だがその時間は背後の足音が止まると同時になくなった。立香は覚悟を決めて、今正に来るだろう痛みを待った。

 

「…はい、許します。」

 

「…えっ…。」

 

立香が感じたのは強い衝撃の痛みではなく、頭を撫でられる()の暖かさだった。

 

「貴方はちゃんと謝りました。ならば私は許します。もし別の事を言っていたら容赦なく矢を当てていたでしょう。」

 

頭を撫でる力加減は、まるで母親が子に優しさを伝える、慈母ように優しく、しっかりと立香の頭を撫でる。

当の立香は呆然として、その間にもインフェルノは語り出す。

 

「確かに私達は英霊、この娯楽多き現代に魅了されのめり込む輩もいましょう。かく言う私も()()()という物を気に入っています。その…たまにはあの様な真似事も別に良いでしょう。」

 

するとインフェルノはまだ頭を撫でながら、あの様な…萌え萌えきゅん!の事だろうか、視線を反らし顔を赤らめる。微笑みから手を止め真剣な表情を出す。

 

「ですが、あまり娯楽を他人(ヒト)に押し付けぬよう。我々英霊が、特に()()という縛りを利用して怒らせてしまえば取り返しのつかない事になるのです。それについては承知しておりますか?」

 

「…うん、調子に乗りすぎた。御免…。」

 

「そうですか、分かりました。」

 

インフェルノは立香の頭から手を下ろし、焼け焦げたクーフーリンの方に向かいながら立香に振り向く。その姿を見つめながら立香は思う。

 

「…インフェルノ。」

 

「?どうしましたマスター、早くクーフーリン殿を起こして戻りましょう。」

 

「…いや、さ。」

 

言葉を濁す立香の顔がやけに真剣みを帯びている。何か想いがあるのだろうか。インフェルノはマスターの言葉を待つ。そして立香が顔を上げて右腕をインフェルノに突き出す。

 

「…未亡人の照れ顔って最高だよね!」

 

満面の笑みで親指を立てる(グッジョブ)する。

 

「………。」

 

立香の頭に流星(ゲンコツ)が落ちた。

 

 

 

 

 

「俺ら、死に損じゃねぇ…か?」

 

「言うんじゃ…ねぇ…。」

 

「………。」(焼け焦げ)

 

「やれやれ、この体たらくか。」

 

 

 

 




膝枕シーンを書こうと思いましたがちょっと思い付かなかった。

薙刀が2つある状況があったので一文直しました。

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