AS オートマティック・ストラトス   作:嘴広鴻

3 / 31
第3話 ドイツ編 条約違反

 

 

 

――― ラウラ・ボーデヴィッヒ ―――

 

 

 

 私は優秀な兵士だった。

 遺伝強化試験体と生み出され、どんな兵器でも少し学べば扱えるようになったし、年上の男兵士相手にもCQBで勝つこともできた。

 優秀と持て囃され、ついには世界を救った兵器であるISの操縦者にも選出された。ドイツ国内に10機しか配属されていないISの操縦者。戦うための道具として生まれた私にとってそれは最高の栄誉だった。

 IS操縦者に選出されたあとも私は優秀な成績を収め続け、更に強くなるためにISとの適合性向上のために行われたヴォーダン・オージェの移植手術を受けた。

 

 そこで私の人生において、初めて挫折というものを味わった。

 

 ヴォーダン・オージェ。“オーディンの瞳”という意味のそれは、人間の眼球に移植するIS用補佐ナノマシンであり擬似ハイパーセンサーとも言われる。

 ヴォーダン・オージェは脳への視覚信号の伝達速度の飛躍的な高速化と、超高速戦闘下での動体反射を向上を実現し、理論上不適合のリスクはないとされたもののはずだが、私はその理論を覆してヴォーダン・オージェとは適合しなかった。

 移植された左目は今までの赤い瞳から金色の瞳と変わり、目視できない遠距離や視覚野の外をも知覚できるようになるハイパーセンサー機能が制御不能になってしまったため、ISの操縦だけではなくて他の訓練においても基準以下を下回る成績となってしまった。

 

 

 そうして私は“出来損ない”となった。

 

 

 上官から成績不良で叱責され、どんなに頑張っても以前のような成績には戻れなかった。今まで私の後ろにいたはずの同僚が私の前を走っていく。

 戦うために生まれてきたのに戦うことができなくなってしまったら、いったい私はどうすればよいのだろう? いったい私は何のために生まれてきたんだろうか?

 悩んでいた私に向かって上官は新たな命令を下した。出来損ないの私に何が出来るのか不安に感じたが、上官は気にせずにこう言い放った。

 

 

 織斑一夏の身の回りの世話をしろ、と。

 

 

 織斑一夏といえば、世界で唯一ISを動かすことができる男だ。先日の“ASショック”の記者会見はさすがに他人事ではなかったので、部隊全員で見ていたのでよく覚えている。

 あのときにモンド・グロッソ二連覇の織斑千冬が我がドイツ軍の教官として赴任してくることを聞いており、その弟である織斑一夏も一緒に来るような話をしていたが、どうやら上層部の許可が下りたそうだ。

 織斑一夏を含めて行なう訓練はスパルタ形式でいくことは織斑千冬から言われているので、織斑一夏が部隊に慣れるまでの短い間。せいぜい2、3日の間だけ従卒の真似事をすると思えばいいので別に構わなかったのだが、目の前の上官からはくどいくらいに織斑一夏の機嫌を損ねないようにとの注意を受ける。

 

 これからのIS技術発展を考えると織斑一夏はとても重要な人物だそうだ。

 ドイツとしても、織斑一夏の持っている稼働時間35,000時間という凄まじいIS稼動データは是非とも欲しい。

 いくらただ単にISを展開し続けていただけとはいえ、確かにそんなデータは何処の国でも持っていないだろう。それこそIS開発者である篠ノ之束の親友で最初期ISのテスト操縦者でもあったとされるモンド・グロッソ二連覇の織斑千冬ですらそんな長時間の稼動はしていないはずだ。

 

 現にその超長時間稼動が原因かは未だ不明だが、織斑一夏が男性なのにISが使えるのはそれが理由だと現在のところ仮定されている。というより理由が他に考えつかない。

 それにデータの解析次第では女でもIS適正ランクの更なる向上が望めるかもしれない。何しろISに反応しないはずの男が反応するようになったのだから、研究するだけの価値は十二分にある。

 

 ただし同じことをすれば同じデータを得られるのはわかっているのだが、その35,000時間という超長時間が問題となってくる。

 年に直すと4年間。普通の人間ではISを展開させ続けて4年間過ごすということは難しいだろう。おそらく織斑一夏が篠ノ之束からもらったASのように、日常生活に支障のない程度のISにグレードダウンさせるしかない。

 つまり同じデータを得ようとすれば、ドイツ国内にあるIS10機のうち1機を4年間もの間中ずっと他の役に立たない形で使い潰さなければならないのだ。核ミサイルより貴重なISを、である。

 しかも織斑一夏がISを動かせた理由が他にあった場合、IS1機の4年間の時間を無駄にする。

 

 これではドイツ軍だけでなく、他の国の軍だろうと研究機関であろうと二の足を踏むのは当然だ。

 それなら織斑一夏に対して適当な便宜を図るだけで稼動データをもらえるとなるなら、そちらを選ぶのは当然のことだった。現に織斑一夏が訓練で使用するISはフランスのデュノア社から、無改造ではあるがラファール・リヴァイヴの貸し出しを受けることになっているらしい。

 もし訓練機すらドイツから貸すことになっていたら織斑一夏の受け入れをもうちょっと軍の方も渋っていただろうが、織斑一夏が“ASショック”の記者会見で「量産機を貸してくれたら、男性IS操縦者のデータを優先的に渡す」と発言したことによって貸し出し希望が殺到したようだった。

 そこで世界各国で第三世代ISを開発している中、開発が遅々として進んでいないと噂されているデュノア社がなりふり構わない形で貸し出しを実現させた。もちろん他に申し出たところを押し退けるだけの織斑一夏への支援を約束させられたらしいが。

 

 ちなみに遅れてやってくる篠ノ之束の妹である篠ノ之箒には日本政府から打鉄が貸し出されることが決まっているらしい。

 さすがの平和ボケした日本でも、篠ノ之束に関する重要人物を二人とも他国の首輪付きにはしたくないようで結論が早く出たとのことだ。

 

 

 そしてドイツ軍は織斑一夏の「“優先的”に渡す」という言葉を大変気にしている。

 何故なら“優先的に渡される”ところがあるなら、“優先的に渡されない”ところがあるからだ。

 

 諜報部によると記者会見での態度から織斑一夏は自分が重要人物であることを自覚しており、それを効果的に扱うことができるぐらいの知能を持っているだろうと見ている。おそらく優先的に渡されなかったところが文句をつけても、優先的に渡されたところを味方につけて対応をするぐらいはするだろうと。

 そこで我が国としては、まず織斑一夏との友好関係を築き上げてその人柄を観察し、それから対応策をとっていく考えだ。

 何しろ我が軍で数ヶ月の訓練を行なうので時間はたくさんある。急いてはことを仕損じる、ということで他国にはないこのアドヴァンテージを安全に有効利用するのが当面の指標だ。

 

 そんな重要人物の従卒を出来損ないの私がしていいのかとも思ったのだが、織斑一夏がブログ上で『ハニートラップ超怖い』と発言したことによって、なまじ妙齢の女性を近づけることは危険だと判断した。

 おそらく織斑一夏による牽制だと考えているので、誤解されるようなことをしただけでも危険だと上層部は判断した。それなら男の従卒をつけようにも、一緒に訓練をするIS部隊という部隊特性を考えると好ましくない。そこでハニートラップに一番向いていないであろう私に白羽の矢を立てられた。

 

 

 

 ところで“はにーとらっぷ”とは何だろうか? ワイヤートラップのようなトラップの一種か?

 確かにいくら出来損ないの私でも、重要人物と言われている人物に対して致死性トラップをかけたりすることはしないんだが、それは他の隊員でも同じではないだろうか?

 

 

「ハニートラップを知らないんですか?」

「ハッ、不勉強で申しわけありません! 今までの教育や訓練では学んだことのないトラップ術であります!

 もし対象に対して知らずにハニートラップを仕掛けるわけには参りませんので、ただちに修得を開始いたします」

「え? 14歳の女の子にハニトラ習得強要するなんて、バレたら私がセクハラで訴えられるじゃないですか。

 ……いえ、いいんです。ボーデヴィッヒ中尉。ハニートラップは元々現在の貴官では行なえない技術ですので、付け焼刃での勉強は逆に害になると思いま…………日本人はロリコンでHENTAIだと聞いていますが、彼の若さなら大人の女性に目が向きますよね?

 ン゛ン゛ッ! 失礼。やはり勉強しなくていいです。ハイ」

 

 

 目の前にいる上官は軍人というより、私が生まれた研究所の研究員のような雰囲気を醸し出している。それもそのはず。彼はISを専門とする技術士官だ。階級は大佐。

 ヴォーダン・オージェを私達に移植するのを決めたのも、この上官だったな。

 

 

「先にも言いましたが、彼は自分が重要人物であることを嫌になるぐらいに自覚しているようです。何しろ彼は自分のブログでかなり好き勝手な発言をしています。

 ちなみに3時間前に更新されたときの発言は『そういえばドイツで訓練している間に家に空き巣でも入られたら困るなぁ』でした。諜報部の話では、ただちに日本警察が24時間体制での織斑宅警備を始めたそうです。

 明らかに分かってて発言してますね、彼」

 

 

 そのブログなら私も織斑一夏が有名になってから見た。確か“one summer days”というブログだったか。

 織斑一夏の趣味は写真のようで、今までの過去の更新では自らの素性を明かすことなくIS関連の事柄も一つも載せず、日本の街並みや風景写真、他に夜空の写真などが掲載されていただけだった。

 それが“ASショック”直後に「他人にバラされる前に自分からバラす」と言って、自らの素性を公開した。本人的にはずっと写真一本でやっていきたかったらしいが。

 

 

「しかも『いろいろありましたがこのブログは続けていきます。もしこのブログが潰れたら外圧があったと思ってください』とまで“ASショック”直後に発言しています。これでは好き勝手言わせるのを止めるのは無理です。

 もちろん基地内での写真撮影の禁止や、軍規に引っ掛かる恐れがある発言をしないことについては納得している…………というより、既に織斑千冬を通して『やっちゃいけないことを教えてください』と聞かれていますので、そのことについても答えるように。

 何というか狡すっからい“ルールは守るがルール内では好き勝手暴れる”タイプのようです。ま、あまりお馬鹿さん過ぎるとソッチの方が困りますから、取引できる程度に頭がいいのは不幸中の幸いでしょう。

 というわけで、織斑一夏の世話をよろしくお願いします」

 

 

 敬礼をして部屋から退出する。

 織斑一夏、世界唯一の男性IS操縦者……か。

 

 

 …………どうして。どうして私はISに乗れなくなったのに、どうして私が出来損ないとなったのに、どうしてソイツがISに乗れるんだ……っ。

 

 

 私だってあの件がなかったら“出来損ない”になんか…………いや、待てよ。

 大佐が言っていたように、織斑一夏のIS稼動データの解析次第では更なるIS適正の向上が望める。そうなれば私は“出来損ない”じゃなくなるかもしれない。

 これはチャンスだ。私が私であるために、何としても織斑一夏のIS稼動データを手に入れよう。

 

 かといって強硬手段は避ける。ドイツ上層部が織斑一夏とは友好関係を結んで、正規の手段で取引を行なおうとしているのだから、私が稼動データを盗んだりしてそれがバレたらそれこそ反逆と同義だ。それに私は軍人だ。命令には従う。

 だから私は織斑一夏の歓心を買い、ドイツに協力させようという気にさせなければならないんだ。

 

 しかしそれをどうすればいいのだろうか? …………そうだ! 同じ部隊のクラリッサ・ハルフォーフが日本文化に詳しいと聞いている。彼女に助力を求めよう。

 食堂でも日本の“少女マンガ”というものについて熱弁をふるっていたし。

 私はあまり部隊の連中とは話したことはないが、これは私だけでなくドイツ軍全体の利益に、そして何より私たちIS操縦者の利益に繋がることだからきっと協力してくれるだろう!

 

 “ASショック”から今まで数日に渡る身体検査を行なっているらしいが、織斑一夏が来るまであまり時間はない。

 早速ハルフォーフに日本の男子中学生が喜ぶことを聞きに行こう!

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 大佐に殴られた。

 技術士官が故に格闘技も習っていない素人同然のパンチだったので、別に痛くもなんともなかったが。

 

 しかし解せぬ。

 ただハルフォーフの助言通りに「織斑一夏のことを“お兄ちゃん”と呼ぼうと考えております!」と言っただけなのに。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 ハルフォーフが一晩中グラウンドを走っていた。

 “お兄ちゃん”について「ハルフォーフから教えてもらった」と大佐に言ったのがマズかったのだろうか?

 

 悪い気がしたので朝方にスポーツドリンクとタオルを差し入れして謝ったのだが、白い歯を朝日に光らせて「大丈夫だ。問題ない」とGJしながらやけにスッキリした顔で言われた。

 まあ、本人が大丈夫というなら大丈夫なんだろう。それと名前で呼べと言われたので、今度からクラリッサと彼女のことを呼ぶことにする。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 クラリッサから“ハニートラップ”なるものについて教わることになった。

 どうやら不安に思った大佐が「絶対にこの類のものはしないように!」と、誤解防止のために行なうように指示したらしい。

 

 クラリッサが「大丈夫。むしろ体型的に需要があります!」とやけにヤル気マンマンだったのが気になったが望むところだ。

 私は“出来損ない”なんかじゃない。“ハニートラップ”を完璧に会得して、それを証明してみせよう。

 クラリッサも応援してくれている。クラリッサが言うにはまずは性教育というものから行なうらしい。教材は偶然クラリッサが持っていたからちょうどいい。彼女の期待に応えるためにも、私はやり遂げてみせる!

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 ……………………。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 ……お、おしべとめしべが…………無理、あんなの無理。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「織斑一夏です。しばらくの間ですが、よろしくお願いします」

「ラ、ラララウラ・ボーデヴィッヒ中尉であります! ……失礼しました、ラウラ・ボーデヴィッヒ中尉でありましゅっ!」

「よ、よろしくお願いします……?」

 

 

 不審者を見る目付きで見られた。

 くっ、二度に渡って自己紹介に失敗するとは。

 

 結局ハニートラップの習得は無理だった。というかクラリッサによる“少女マンガで学ぶ性教育”を受ける過程で男に近づくのも苦手になってきた。大佐に近づくのも難しいほどに。

 日本の女子高生は何であんなことができるんだ!?

 

 従卒の役目も外されるかと思ったが「今回に限っては好都合。これなら間違いは起こらないでしょう」との大佐の言葉でそのまま続けることになった。

 出来損ないでもいい、役目を降ろさせてくれ! と言いたがったが、それを言いにいくのも無理だった。

 

 

 そして現在、織斑一夏の出迎えをしている。

 実際に見る織斑一夏はクラリッサの持ってた少女マンガの登場人物が着てたのと同じような学ランを着ており、それに諜報部の調査通りに同年代に比べて鍛えているのがわかる身体つきをしている。袖から先の手だけを見てもなかなかの筋肉がついているのが見えるし、握手したときに掌にはタコができているのがわかった。

 ……手を握るときは凄く緊張したが、それぐらいはさすがにわかる。

 

 諜報部の調査では、4年前までは剣道を篠ノ之束の実家にある道場で学んでおり、その道場が閉鎖されてからは他に剣道道場がなかったので剣道は自主練習だけになったが、それからは新たに空手と柔道を始めたらしい。

 真面目に鍛錬をしているらしく、去年の男子中学生の体育大会ではかなり良い成績を収めたそうだ。

 それに加えて学校でもトップクラスの成績を誇り、日本全国模試でも良好な成績を収めている。

 

 まるでクラリッサの持ってた少女マンガの登場人物に出てくる文武両道の体現者のようだ。

 

 

「えーと、ボーデヴィッヒ中尉? 凄いのは私の姉であって、私自体はただASを持っていただけの普通の中学生です。

 上層部の方に何か言われているのかはわかりませんが、普通に訓練兵として扱っていただけたらと思います」

「ハッ、失礼しました! それでは宿舎の方にご案内いたします!」

「お願いします。荷物は自分で持ちますので」

 

 

 織斑一夏を先導して宿舎まで移動する。

 女性ばかりが住んでいる宿舎に子供とはいえ男を泊まらせることについての異議はあったが、同部屋人が姉の織斑千冬なので問題は起こらないだろうし、それ以上にこの姉弟をわざと離れさせる方が余計な誤解を生むとの判断だ。

 

 

 それにしても男を先導しながら一緒に歩くなんて、頭がフットーしそうだよぉっっ!

 

 

 くっ、せめて織斑千冬が一緒にいてくれたら良かったのに!

 今日、到着した織斑姉弟は基地指令に挨拶したあと、織斑千冬は訓練計画を他の教官と話し合うために別行動することになった。そこで私が呼び出されて織斑一夏を宿舎に案内することになったのだが……。

 

 しかし誘拐未遂事件があったばかりだろうに!

 いくらドイツ軍基地内部だからといって襲われた弟を放っておく姉がいるのか!?

 

 

「それでは当基地内での注意事項をお伝えします。

 申しわけありませんがメモなどの記録自体残すことを避け、頭の中だけに残すようにしてください」

「まあ、IS部隊がある重要な基地ですからね。そのぐらいは当然ですか。

 わかりました。お願いします」

 

 

 真剣な顔をして口頭での注意事項を聞いている織斑一夏。

 必然的に私も織斑一夏の顔を直視することになるが、確かに彼は織斑千冬とは姉弟だな。男女の違いがあるとはいえ全体的な雰囲気が似ている。

 織斑一夏が来ることを知った隊の皆は可愛い顔をしている子がくると喜んでいたが、どちらかというと姉と同じ精悍な顔をしていると思う。

 

 

「……以上であります。他に何か質問はございますか?」

「そうですね。それでは私と一緒に訓練することになる人たちがどういう人たちなのか、知っていれば教えていただけますか?」

 

 

 た、隊の皆のことを聞いてどうするつもりだ!?

 皆に何かしたらそのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!!

 

 

「……ハッ、共に訓練を受けるのは部隊名“シュヴァルツ・ハーゼ”。

 私の所属する部隊でもあり、ドイツ国内に配備されているIS10機のうち3機を配属されている特殊部隊です」

「え? ボーデヴィッヒ中尉もですか? 女性にこんな聞くことは失礼ですが、中尉の年齢はおいくつですか?」

「…………っ!?」

 

 

 私に興味を持たれた!?

 し、しかしクラリッサや隊の皆を守るためには私が犠牲になるしかない!

 

 

「貴方と同じ14歳です。私は遺伝強化試験体として生まれ、それからこの軍に所属して優秀な軍人になるために訓練を重ねております」

「14歳で軍人? ……どこかのIS研究所所属で中尉待遇で軍に出向してるとかじゃなくて?」

 

 

 今まで私は同じ隊の皆と馴れ合うことはしてこなかった。私にとって他の隊員は成績を競い合う敵であり、仲間ではないと思っていたからだ。

 そうしてついた仇名は“ドイツの冷氷”。それでも私はよかった。優秀な成績さえ出していたら上官がよくやったと評価してくれたからだ。

 そんな私だったから、ヴォーダン・オージェの移植手術に失敗してオチコボレになったら、上官たちは誰も見向きしてくれなくなった。

 

 しかし今回のことでクラリッサに任務の困難さを相談したところ、他の隊の皆も協力してくれたんだ。出来損ないでオチコボレの私にだ。

 そして協力してくれたことに対して感謝を伝えたところ「仲間だから助けるのは当たり前」と言ってくれた。

 

 

 隊の皆は敵じゃない。仲間なんだ。

 それを気づけなかった私が自分の馬鹿さ加減に涙を流していたら、クラリッサが抱きしめてくれて他の皆も慰めてくれた。

 

 このとき初めて私は本当の意味での隊の一員になれたのだと思う。皆が私を守ってくれた。だから私も隊の皆を守る!

 だから織斑一夏の関心を私だけに留めなければ!

 私の今までの短い人生で織斑一夏の関心を買えるかはわからないけど私の全てを話す。だから隊の皆に手を出すのは止めてくれ!

 

 

 

 

 

「――――というわけで、この度の短い間ですが私が貴方の従卒となりました!」

「そこまでヘビーなことまでは聞いていなかったんですが……あの、国軍所属ということは、ある程度の情報公開をしていますよね。シュヴァルツ・ハーゼが一般に公開されている情報が載っているサイトがあったら教えてください。

 それともう一つ質問いいんですか?」

 

 

 でもあの少女マンガみたいにされるのはやっぱり怖い!

 やめて! 私に乱暴する気でしょう? 少女マンガみたいに! 少女マンガみたいに!

 

 

 

 

 

「15歳以下の少年兵って普通に“ジュネーヴ諸条約違反”では?」

 

 

 

 

 

 …………え、何その条約?

 

 

 

 

 

――― 織斑千冬 ―――

 

 

 

『ドイツ軍基地に到着。軍規に関わることが多くなってきますので、これからはこのブログを今までのように更新できませんのをご了承ください。

 それと訓練受けるところに同い年の14歳兵士がいたんだけど、これってジュネーヴ諸条約や児童の権利に関する条約に違反している少年兵ではなかろうか?

 ドイツ軍のサイトを見てもバッチリとそのことが隠さずにそのまま載っているし、試験管ベビーとか望んでもいない移植手術するとかドイツ軍引くわ。

 こんなに俺とドイツ人で意識の差があるとは思わなかった……!』

 

 

 

 

 

「貴方達が普通に情報公開していることを改めてブログに載せただけなので、弟は何も悪いことはしていないと思うのだが?

 それに私としてもISの教官ならともかく、国際条約違反の少年兵の教官というのは勘弁して欲しい」

「いえ、弟殿もブリュンヒルデ殿も勘違いをなされているのかと……」

「これじゃ、俺……ドイツに協力したくなくなっちまうよ」

 

 

 一夏の奴は先日の“ASショック”といい、騒ぎをまた起こしおって。

 ドイツ軍基地内の応接室を借りて、私と一夏、それに件のボーデヴィッヒ中尉とIS部隊責任者の大佐の四者面談を行なっている。

 議題は一夏がブログに載せた発言に対してだ。ドイツとしては勘違いとして修正を望んでいるらしいが……。

 

 まあ、先日の“ASショック”は一夏が事前に束にASを頼んでいなければ一夏が誘拐されていたかもしれないから仕方がないし、これも黙っていてはいけない事柄だから仕方がないか。

 確かに私としても犯罪の片棒を担ぐのはゴメンだ。

 

 

「ボーデヴィッヒ中尉は軍人というわけではなく、弟殿が考えた通りにIS研究所からの出向員です。あくまで中尉待遇の民間人ですな。

 数少ないISですので、ドイツに利益をもたらすであろう団体と軍が協力してISの技術開発を行なっているだけです。

 何故かボーデヴィッヒ中尉は勘違いしていたようですが、あくまで勘違いですので弟殿のブログの修正をお願いしたいのです」

「そ、そんな……っ、私は確かに今まで軍人として……」

「確かに、ボーデヴィッヒ中尉が民間人になれば、当面の問題を回避できるでしょうけど、根本的な解決にはなりませんよね?」

 

 

 トカゲの尻尾きりか。好かんな。どうせ他国から追求があったときはそう言って茶を濁そうと思っていたのだろう。

 どうせ他国もIS分野で優位に立とうと多かれ少なかれ悪どいことをしているだろうから、公にはその言い訳をしておいて「どうせお互い様でしょう」と水面下で話をつけるつもりだったのだろうが、現在世界的に注目を集めている一夏がこんな発言をしたことによって事態が変わった。

 

 

「試験管ベビーとか遺伝強化試験体というのはいい。生まれで差別するつもりはないし、それについてはもう昔に決着がついていたのだろう」

「ええ、はい。それについては決着がついています。これは絶対です。

 昔、遺伝関連の研究を暴走させた研究所がありましてそういう研究をしていたのですが、研究が発覚してすぐにときの政府が研究所の廃止。責任者の処罰を行なっております。現在のドイツではそういう人の尊厳を傷付けるような研究はしておりません。

 ボーデヴィッヒ中尉はその研究所生まれなのですが、遺伝強化試験体ということから同年代の子供より優れた身体能力と知能を持っています。しかし逆にそれが同年代の子供たちの中に馴染めないと判断されたのです。

 それなのにまさか助け出しておいて、どこかの孤児院に放り出してハイ、終わり……ということは人道的観念上、我が国としてもできなかったわけでありまして。そこで彼女の才能を充分に発揮できる居場所の提供に力を貸したというわけです」

「でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない」

 

 

 うん。確かにこれはかなり前にニュースで見た覚えがある。あまり新聞やTVも見なかった子供の私でも覚えているぐらい世界的に騒いでいたはずだ。

 ボーデヴィッヒより年下の遺伝強化試験体が存在しないということは、間違いなくその研究は終わっているのだろう。

 

 ……もしくはボーデヴィッヒで完成した、から終わったのかもしれないがな。

 

 

「しかし“本人の望まぬ移植手術”というのは如何なものかと思うが?」

「いえいえ、それも勘違い……というよりニュアンス違いです。

 確かに当時のボーデヴィッヒ中尉が「私がやります!」と、彼女から志願したわけではありません。というか、そもそもヴォーダン・オージェは当時のドイツ軍の最新機密でしたので、一介の中尉待遇では自分から知ることはできなかったでしょう。

 かといって私たちが強制したわけではありません。こういう技術があるということを彼女に教えて「やらないか」と聞いたところ、彼女からも「こんなこと初めてだけどいいんです……私……ヴォーダン・オージェみたいな新技術好きですから……」とより良い返事をもらいました。

 彼女から望んだわけではない、と言われれば「はい」と答えにくいのは確かかもしれませんが、それでも“本人の望まぬ移植手術”と言われれば「いいえ」と答えます。

 そうでしょう? ボーデヴィッヒ中尉?」

「はい、それについては大佐の仰るとおりです。

 私としてもヴォーダン・オージェで強くなれるなら、否はありませんでした」

「でも、それも原因の解決にはなりませんよね?」

 

 

 部下が上官の“提案”を断る? 軍でそんなことできるとは思えんな。

 しかも見るからに軍内部で純粋培養されたボーデヴィッヒを見る限り、多少は思うことがあっても受け入れていただろう。

 

 どう考えても責任逃れにしか感じれん。それに例えそうだとしてもだ。

 

 

「だとしても“出来損ない”呼ばわりはどういうことなんだ?

 確かにそのヴォーダン・オージェの移植失敗でボーデヴィッヒの成績は過去に比べて著しく落ちたようだが、それはボーデヴィッヒのせいではなくヴォーダン・オージェの移植失敗のせいだろう。

 ヴォーダン・オージェの移植は理論上不適合などのリスクはないとのことらしいが、事実ボーデヴィッヒには適合しなかった。しかしこれもボーデヴィッヒのせいではなく、理論が間違っていたか見通しの甘かった貴官のせいだと思うのだが?」

「……う……そ、それはですねぇ……」

「言い訳は墓穴を掘る連鎖を生むだけですよ、大佐」

 

 

 一夏はとりあえず黙っていろ。

 

 正直、試験管ベビーだの本人の望まぬ移植手術はどうでもいい。

 だが理論上不適合などのリスクはない手術が失敗した。だけど理論的に不適合などありえないので私は悪くない。悪いのは被験者の方だ……だと?

 現に起きた事態に目を背け、自分にとって都合のいい答えだけを見る。理屈倒れの言いそうな馬鹿げたセリフだな。

 

 ……せめて口止めぐらいはしておけ、と思わないでもないが、ボーデヴィッヒを見る限り本当に世間を知らずに軍で純粋培養された少女のようだ。暗黙の了解を彼女に期待するのは難しいぐらいに。

 おそらく自分が口に出したことがここまで大事になるとは思っていなかったんだろう。

 

 

 

 

 

「真面目な話、そういう人が責任者ならドイツ軍に協力するのは怖いんですけど」

「私としても弟をそんなところに預けるのはゴメンだ」

「……そ、それはです「ボーデヴィッヒ中尉はここかっ!?」……!? ハ、ハインリヒ中佐!?」

 

 

 一夏が協力しないとなるとドイツとしても困るだろう。そこをついてせめてボーデヴィッヒに謝罪だけでもさせようと思ったのだが、いきなり乱入者が現れた。

 ドイツ軍の軍服を着た壮年の男性で、目の前の技術士官とは違って本物の軍人といった迫力を持っている。ボーデヴィッヒと同じく片目を眼帯で覆っているが……誰だ?

 

 

「どちら様ですか?」

「ム、君が織斑一夏君か。……なるほど、TVで見たよりイイ面構えをしているな。

 失礼した。私はドイツ空軍に所属しているハインリヒという。階級は中佐だ」

「ア、IS嫌いの貴方がいったい何の用ですか!? 今忙しいので「喧しいわ! ドイツ軍の栄誉を汚しおって!!」……じょ、上官に向かって。いくら昔は貴方の部下だったとはいえ、今は私の方が階級は上です! そんな口の利き「喧しいと言っておるだろう!!」ヘブッ!?」

 

 

 お、大佐が殴られた。

 イイ気味だが、話がまったくわからん。

 

 

「ボーデヴィッヒ、誰だ? 知っているなら話せ」

「ハッ! ハインリヒ中佐はお話通りにドイツ空軍の中佐であります! …………その、IS嫌いとして有名な」

「その通りだ。ブリュンヒルデ殿の前で言うのはアレだが、ISが嫌いで近寄りも知ろうともせんかった。理由はだいたい想像できるだろう?」

「……まあな」

「よく聞く話ですね」

 

 

 ISが登場してから、軍の主役はISとなった。

 予算もISが優先されるようになり、特に飛行型パワードスーツであるISにお株を奪われる形となった空軍は煮え湯を飲んでいるという。

 

 もちろんISは地球を救ったということで表立って悪口を言うものは少ないが、それでも内心忸怩たるものを持っている者はいるだろう。

 ハインリヒ中佐はそういう人物だということだが……。

 

 

「今回の件は軍上層部が多大な関心を持っている! そこで私がこの件についての調査することをもぎ取……命令されたのだ!」

「……っ、貴方は! 貴方はそこまでISが嫌いなのですか!? わかっているはずです。ISの研究が遅れれば我が国は他国の後塵を拝す!

 それなのにこの件を空軍の力を強めるために利用しようというのですか!?」

「見損なうな、馬鹿者めっ! …………ラウラ・ボーデヴィッヒ中尉」

「!? ……ハ、ハッ、なんでしょうか!?」

 

 

「すまなかった」

 

 

 と言いながら、ハインリヒ中佐はボーデヴィッヒに深々と頭を下げる。中佐が中尉に向かってここまでの謝罪をするだと?

「なんだか俺たちが蚊帳の外にほっぽり出されたみたいな感じがする」

 一夏の言う通りだな。…………とりあえず様子を見守るか。

 

 

「あ、頭をお上げください、中佐殿!」

「……私は古い人間だ。それは他人に言われるし、自分でもそう思っている。

 ISが嫌いなのは空軍の力を奪っていくこともあったが、何よりも“婦女子を戦場に送り込むなど言語道断”という自らの考えにそぐわなかったからだ。これもブリュンヒルデ殿の前で言うことではないのかもしれんがな」

 

 

 私は軍人というわけでないし、別に好き好んで戦場にでようとは思っていないのだが……ハインリヒ中佐がこれから良いことを言うっぽいから黙っておこう。

 それに再びアクシズに取り付くのと戦場にでるのだったら、後者の方がまだマシな気がするし。

 

 

「だから女性を戦場に送り込むISが嫌いだった。女性が戦場に送り込まれるのを見るのが嫌でISと関わろうとしてこなかった。

 だがしかし……っ、だがしかし目を背けていた結果がボーデヴィッヒ中尉のような子供が軍に利用されることだった。もし私が最初からISのことを注視していたら、絶対にそんなことをさせなかったのに……っ!」

「ちゅ、中佐殿……」

「確かに今の時代では“女性を戦場に送り込むなど言語道断”というのは古臭くて、時代にそぐわない思想なのだろう。それは認める。

 だがしかしっ! “子供を戦場に送り込むなど言語道断”ということは間違っておらん!!

 我ら軍の使命は国家と国民、そして何よりも未来の担い手である子供を守っていくことだ! 子供が戦場に出る事は……っ、例えそれだけは時代がいくら変わろうと認める事はできん!!」

 

 

 ……どうやらハインリヒ中佐は頭が固いところはあるものの、尊敬に値する人物のようだな。

 確かにそうだ。私だって一夏と同じくらいの子供が戦場にでるだなんて認めるわけにはいかん。

 

 確かに世界各地で未だ紛争が続くところがあって、少年兵が生まれ続けているというのが現状だろう。

 それなのに平和な日本で生まれた苦労を知らない私の現実を見ない戯言だとしても、ハインリヒ中佐の言う通りに認めるわけにはいかない。

 

 

 涙を流すボーデヴィッヒ。かといって事態を完璧に理解しているわけではないだろうが、ただハインリヒ中佐が本心で言ってくれたことだけはわかっているのだろう。

 そして入ってきた憲兵らしき軍人に外に連れ出される大佐。一夏がボーデヴィッヒから聞いた話の感じでは、ボーデヴィッヒは良い仲間に恵まれていたようだが、これからは良い上官にも恵まれるようだな。

 

 

 

 

 

「お話はわかりました。それではドイツ軍としては具体的にこれからどうなされるおつもりですか?」

「これからIS部隊の責任者は私となる。この件で傷はついてしまったが、私の全力を尽くして健全な部隊にすることを誓おう」

「そうですか。ハインリヒ中佐も大変ですね。私に出来ることがあったら言ってください。もちろん私のブログの修正は行ないますし、他に協力できることがあったら協力します。

 どうやら悪いのはあの大佐さんだけのようですしね。ええ、あの人だけのようです。私が言うのもアレですが、悲しんだり苦労する人は少なければ少ない方がいいですね」

「……協力に感謝する」

 

 

 汚い裏取引を見た。一夏もドイツ軍もあの大佐に全部おっ被せるつもりだ。

 

 

「ではボーデヴィッヒ中尉はどうなるのですか。私がボーデヴィッヒ中尉から聞いた話では、軍と同じ部隊の皆さんに愛着を持っているようですが」

「大佐が用意した研究所から出向している中尉という肩書きは本当にあるので、部隊に残りたいというなら本人の意思を尊重しよう。もちろん普通の生活を望むならそれでいい。

 例えどちらを選んだとしても私が全力で実現させてみせる。だが、私としては子供らしく普通の生活に戻って……いや、普通の生活を送って欲しいとは思うがな。

 ボーデヴィッヒ中尉はどちらがいいかね?」

「っ……め、命令とあらば……如何なる命令でも拝命いたします」

「それはいかん。いかんぞ、ボーデヴィッヒ中尉。

 確かに軍隊では上官の命令は絶対だ。だが今回ばかりは君自身が選ぶのだ」

「私……自身が……?」

「ボーデヴィッヒ中尉……いや、ボーデヴィッヒさん。今すぐ答えをだすんじゃなくて、ゆっくり考えてから答えをだしてもいいんじゃないかな。どうせその制御不能になっているヴォーダン・オージェの訓練もしなければならないんだし、その間に今までの自分を見つめ直すのもいい。

 それに難しく考えなくてもいいんじゃないかな。部隊の皆と一緒にいたいかどうかぐらい考えればいいさ」

「ウム、その通りだ。

 確かに今までの君の人生はドイツ軍が強制した様なものだった。だが、仲間と一緒に過ごしたかけがえのない時間は、あくまで君と仲間だけのものだ」

「……仲間……部隊の皆……皆…………ぃです……」

 

 

 泣きながら小さな声を絞り出すボーデヴィッヒ。

 泣き顔だけ見るなら年齢相応。いや、年齢よりも大分幼く見えるな。

 

 

「……聞こえんぞ、ボーデヴィッヒ中尉」

「……ぃたいです……」

「聞こえん!もっと大きな声で!」

「私はっ! 部隊の皆と……仲間と一緒にいたいですっ!!」

「よし、よく言った! ならば私がそれを全力で応援しよう!!

 ……ブリュンヒルデ殿、貴女のお力もお借りしたいが、よろしいかな」

 

 

 ……フッ、まるで茶番のようだが、良いものが見れたようだな。

 そこまで期待されたならば、私も全力を持ってそれに応えようではないか。

 

 “出来損ない”? 上等だ。その“出来損ない”のボーデヴィッヒを“シュヴァルツ・ハーゼ”最強に鍛え上げてやる! 今までそんなことをほざいた軍上層部が驚くぐらいにな!

 それと一夏も箒もまとめて鍛え上げてやろう!

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「フム、しかしこうなるといつまでもISに頼りきりというわけにはいくまい。

 空軍技術部から上申されていた高機動装備の開発の後押しをするか……」

「(……なんかヤな予感が……)」

 

 

 

 

 

 







 イ、イイハナシダナー?



 …………ちゃうんや(震え声)
 ちゃうんや。本当は当初の予定では

「15歳以下の少年兵は“ジュネーヴ諸条約違反”!(キリッ」
「素敵、抱いて!」

 みたいな“さすがオリ主!”の感じで、ラウラを一夏に惚れさせようとしたんや。


 だけどクラリッサをだした瞬間から明後日の方向に捻じ曲がっていったんや。いつもの1.5倍の文字数まで長くなったんや。


 ラウラが汚染されたのはクラリッサのせいなんや。勝手にクラリッサが暴走していったんや。IS学園に入学するころにはラウラも落ち着いてるはずなんや。
 それにラウラが一夏を恨むことはないし、IS学園入学前からラウラが部隊の皆と仲良くなってるという良い結果になってるんや。



 …………なんでこうまで暴走したかなぁ?

 あ、ハインリヒ中佐はただのオリキャラですよ。【パンツじゃなくても恥ずかしい】装備は出ないですよ。ホントホント。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。