The Dream Band   作:シベ・リア

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みなさんお久しぶりです!この作品は久しぶりの更新になりましたね。
さてさて、今回から基本人物視点でお送り致します!連載作品全体でこの視点で執筆というのは初めてだったと思いますので、よろしくお願いしますね!

では早速、どうぞ〜!



始まりの音
第1話「出会っちゃった!」


 

 

「行ってきま〜す!」

 

私、戸山香澄!花咲川女子学園に通う高校1年生!Poppin'Partyっていうバンドでギターボーカルをしているの!

今日はポピパの練習の日!CiRCLEっていうライブハウスでするからそこまで走っていくの!だって楽しみなんだもん!あ、ポピパっていうのは私達のバンドのことで、長いからみんなでそう呼んでるんだ!

 

 

あ、CiRCLE見えてきた!みんなもう来てるのかな?

 

 

──カランコロン

 

 

「あ、香澄」

「有咲〜!おはよ〜!」

「って、いきなり抱きつくな〜!」

「ははは……いつも通りだね」

 

CiRCLEに入ったらやっぱりいた!有咲にさーや、おたえにりみりん!みーんな、大事なポピパのメンバー!有咲はキーボードで、さーやはドラム!おたえはリードギターで、りみりんはベース!

 

「あ、みんな〜!」

「あ、まりなさん!おはようございます!」

「おはよう。申し訳ないんだけど先にステージのところで待っててくれるかな?今してる仕事片付けたらそっちに行くから」

「わかりました!」

 

この人はまりなさん!CiRCLEの店長で、ガルパの時からずっとお世話になってるんだ!ガルパっていうのは"ガールズバンドパーティー"の略で、ポピパ以外にもRoselia、Afterglow、Pastel*Palette、ハロー、ハッピーワールド!の5バンドで開催したお祭りなんだ!すっごくキラキラドキドキしたんだよ!

 

「ほら香澄、行くよ」

「うん!」

 

CiRCLEのステージはこのお店の地下にあるの!行く方法は入り口の近くの階段を降りるだけ!ステージで練習……うぅ〜、楽しみ〜!

 

 

前を歩いていた有咲、りみりん、おたえを抜かしてステージエリアの扉の前まで高速移動して、誰もいない部屋の扉を思いっきり開けた。

 

 

────すると……

 

 

ギュイイイイイイン!!!────────

 

 

「っ………!!!」

 

 

凄まじいギターの音が私の中に響いて体が震えた。こんな音……聞いたことない!

 

「なんだよ、これ……」

 

「なんというか、すごいよね……」

 

「っ……!」

 

「この音、どこかで………」

 

ギターを引いてる人の指が見えない……!なんだろう、この人の音、とにかくすごい!!ずっと聞いてたい……!

 

 

 

 

───ジャン!

 

 

「ふぅ……まぁまぁってとこかな」

 

──パチパチパチ……

 

私がその人の音に感動して拍手すると、そのギターを持った人は驚いたようにこっちを向いた。顔は帽子でよくわからないけど男の人みたい!

 

「わぁ……凄かったです!感動しました!」

「ちょっ、香澄っ……!」

「え、あぁ……ありがとうな。えっと、君達は?」

「あ、私達は───」

「───私達、Poppin'Partyって言います!私はリードギターの花園たえです!どうしたらそんなにギターが上手くなれるんですか!?」

「わわっ、おたえ落ち着いて……!」

 

さーやが自己紹介しようとするとおたえが割り込んで早口で自己紹介しちゃった。私も続かないと……!

 

「わ、私は──」

「──知ってるで。ギターボーカルの戸山香澄ちゃん」

「えっ……!?」

「それに、ドラムの山吹沙綾ちゃん、ベースの牛込りみちゃん、そしてキーボードの市ヶ谷有咲ちゃんやよね?」

「は、はい」

「そうですけど……どうして私達のことを?」

「そりゃ知ってるよ。あの"ガールズバンドパーティー"を盛り上げたバンドの1つで、5バンドの中心だったバンドやろ?」

「えぇ〜っ、そこまで〜!?」

 

この人、ポピパのことこんなに知ってたんだ!?でもそれだけポピパが知られるようになったっていうことだから、ちょっと嬉しいなぁ。

 

「それで、なんでそんなにギターが上手なんですか!?」

「ちょっとおたえ……」

「わ、私も知りたいです!」

「おい香澄まで……」

「だって〜!」

「ははははっ、ほんま自分らおもろいな」

「じゃあ……!」

「────でもダメや」

「「えぇ〜〜!?」」

「いや当たり前だろ!」

 

うーん、教えてもらえると思ったのに……なんでダメなんだろう?

 

「なんでですか?」

 

あ、おたえが聞いてくれた。とりあえず私はうんうんと頷く。

 

「そうやなぁ……」

 

その男の人はうーんという表情をして何かを考えていた。こう見たら教科書に載ってた考える人の像って本物の人間みたい!

 

「───自分の音は自分でしか奏でられん。人から与えられたもので奏でたものは自分のものではなく、その与えた人のものや」

 

「っ……!」

「な、なるほど〜………」

 

な、なるほどそういうことね、完全に理解した!………してないけど。おたえはわかってるのかな?

 

「ねぇおたえ、どういう意味?」

「いやわかんないのかよ!」

「…………」

「………おたえ?」

 

おたえもなにか考えてそう?おたえも分からないのかなぁ〜?

 

「そういう有咲はわかったの?」

「え!?そりゃあ、あれだ………えっと、自分で考えなきゃ意味が無いんだよ……」

「有咲もわかんないんじゃーん!」

「う、うるせー!」

「ははははっ……まぁ、いつかは理解できるさ。君達の活躍、楽しみにしてるで」

 

その男の人はいつの間にか私が有咲と話している間にステージから降りて出口の方に向かっていった。

 

「あ、待って!まだ話が……!」

「名前だってまだ聞いてないです!」

 

おたえと私が声をかけるとその人は扉を開く手を止めてなにか考えてた。

 

「ふっ……ただのCiRCLEの新入社員さ」

 

「……行っちゃったね」

 

みんなポカーンとして出口の方を見つめていた。

 

「"タダノ"さん……?そんなギタリストいたかな?」

「いや、多分名前それじゃないから」

「えぇ〜、名前教えてくれなかったの〜!?」

「でも不思議だね。なんで教えてくれなかったんだろう?」

「なにか理由があるんかな?」

「タダノ……多田野……違う、この人はあんな音じゃない。なら別のタダノさん?」

「……おたえ、あの人はタダノさんじゃないよ」

「え!?じゃあなんていう名前なの!?」

「そ、それは……分からないけど……」

「てか、CiRCLEの新入社員なんだったらまりなさんに聞けばよくね?」

「「あの人CiRCLEの人なの!?」」

「香澄ちゃん、おたえちゃん……」

「お前らな……」

「あはははは……」

 

とにかく、名前を聞かないとスッキリしない!とりあえず追いかけてみよう!

 

「みんなお待たせ〜」

「あっ、まりなさん!?」

「香澄ちゃんどうしたの?そんなに慌てて」

 

私が部屋から出ようとしたらまりなさんが来た。あ、丁度いい!まりなさんに聞いてみよう!

 

「まりなさん!男の新入社員さんの名前ってなんですか!?」

「おたえちゃん!?急にどうしたの?」

「あのさっき、ここで帽子をかぶった男の人が、こう……ズギューーン!ズドーーン!ギュイーーーン!ってギターを弾いてたの!」

「そ、そうなんだ……」

「だからその人の名前が気になって……まりなさん知ってますよね!?」

「え、え〜っと……」

「こらこら2人共、まりなさん困ってるでしょ?」

「「でも〜」」

 

だってあの人のこともっと知りたいんだもん……なんて言ったらまりなさん教えてくれるかな〜?え〜っと……

 

「はぁ……ったくしょうがねーな。まりなさん、全体的に黒いギターを持ってて、キャップ帽をかぶったまりなさんと同じ歳ぐらいで関西弁のギターが上手いCiRCLEの新入社員の男の方ってご存知ですか?」

 

「「有咲……!」」

「有咲ちゃん、優しいね」

「ち、ちげーよ!ただ香澄とおたえがうるさくて、これじゃあいつまで経っても練習出来ないから言ってやっただけだ」

「ふふっ、そういうことにしとく」

「あはははは〜。会っちゃったんだね、あの人に」

 

有咲の詳しい説明に、まりなさんはなんとも言えないような微妙な表情をしていた。なんでそんな顔してるんだろう?

 

「ま、仕方ないか……いい?あの人はね───」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

───帰り道。

 

私達は練習の前にまりなさんから聞いたこと、そして"あの人"のことについて話した。

 

なんたってあの人は………!

 

「まさかあの人が響木雷光さんだったなんて……」

 

「香澄、誰か知らなかったでしょ?」

 

「ま、まぁ………」

 

 

 

───数時間前

 

 

 

 

「あの人はね、響木雷光さんなのよ」

「へ〜響木雷光さんか〜」

 

 

それを聞いたあと少しの間沈黙が続いた。

 

 

「「「えぇ〜〜〜!?」」」

 

そしたらおたえ、さーや、りみりんが急に大声を出した。

 

「わっ、びっくりした!そんなに有名な人なのか?」

「有咲知らないの!?」

「あのね有咲ちゃん。響木雷光さんはね、むっちゃ有名なギタリストなんやよ」

「バンドをしてる人ならみんな知ってるって言われてるバンドの元ギタリストなんだよ」

「そうだよ、有咲」

「………そういう香澄は知ってるのかよ?」

「…………………………知りません」

 

だってしょうがないじゃん!私だって最近バンド始めたんだもん!

 

「なんで知らないかな〜?私が教えてあげる!」

「「うっ……!」」

 

おたえの威圧感に私と有咲はビクッと震えてしまった。こんなおたえ……見たことない。

 

「響木雷光さん、風林火山というバンドの元ギター。風林火山はバンドをしている人ならみんな知ってると言われている超有名バンドだったの。でもある日突然雷光さんがバンドを脱退した。色々噂はあるけどバンドの方向性の違いだろうって言われてる。その後、雷光さんは表舞台からは姿を消して何をしているのか分からなかったんだ。まさかCiRCLEにいたなんて……」

 

「な、なるほど。よくわかったよ」

「おたえ、凄く詳しいんだね〜」

「当たり前だよ〜。だってファンなんだもん!」

 

でもおたえの気持ち、わかる気がする。

あの会場に、そして体に響くような音、私も弾いてみたいし!

 

「はいはい、話はここまで!練習を始めましょう!」

 

 

まりなさんの一言で、私達のステージ練習が始まった。

 

 

 

──そして現在。

 

 

「でも雷光さんって人のギター凄かったよね〜!私、感動しちゃった!」

「確かに。あれはただもんじゃなかった」

「そしたらさ、今から(うち)に来て風林火山の曲聞いてみる?」

「いいの!?じゃあ家に帰って準備してから行くね!」

「準備ってなんの?別にこのまま行ってもよくね?」

「だっておたえの家にお泊まりするんでしょ?」

「しねーよ!」

「本当!?私は何泊でもいいよ!」

「やったー!」

 

じゃあ早速帰ったらお泊まりの準備だね!えっと、パジャマとか歯ブラシとか!そう言えばおたえの家にお泊まりするのって、SPACEのオーディションの前日以来なのかな?

 

「折角だし、みんなも泊まっていく?」

「わぁ……いいの?」

「ふふっ、じゃあお言葉に甘えて」

「有咲は?」

「み、みんなが行くなら仕方ねーな!」

 

よーし、これで全員お泊まりけってーい!楽しみだなぁ〜!

 

「じゃあ、帰って準備したらおたえの家に集合ね!」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

───夜。

 

 

「風林火山ってバンド、凄いんだね〜!」

「当たり前だよ。特にここのギターソロがいいの」

「…………うん、確かに!」

「ていうか、なんでその雷光って人だけが脱退したわけ?聞いてる限り仲良さそうに見えるけど?」

「確かに。なんで雷光さんは脱退しちゃったの?」

「実はよくわかってないんだ〜」

「りみりんの言う通り。でも何かしらのトラブルはあったんだと思うよ」

 

脱退の理由がよくわかってないって、それこそよくわからない話だよね〜。あれからおたえはずっと風林火山の音楽を聞いてる。本当に好きなんだなぁ〜。

 

「でもよくあるのって……女の人の取り合いとか?」

「「えぇ〜!?」」

「いや、それはねーだろ……」

「でもそういうバンド時々いるよ?」

「マジか!?」

「確かに。1人が女の人で残り数人が男の人のバンドとかよくあるよね」

「あと、女優の人と浮気してニュースになって解散したバンドもあったよね」

 

おたえもさーやもりみりんも詳しいなぁ〜。

あ、このお菓子美味しい。

 

「でもそんな有名な人が"The Dream Band"の企画担当者なんてびっくりだよな。そんなに有名な人だとは思わなかったよ」

 

「そうだね〜」

 

そうか〜。あのキラキラドキドキする企画の担当者がそんな凄いギタリストの人なんだね〜。

 

 

 

少しの間、沈黙が続いた……

 

 

 

「………え?」

 

「「「えぇ〜〜!?」」」

 

「うわっ!?急にどうした?」

「いやだって……有咲、さっきの話本当!?」

「さっきの話?」

「雷光さんがあの企画の担当者って話!」

「だってチラシにも書いてるだろ?ほら」

 

有咲がThe Dream Bandのチラシをおたえに手渡すと、私達はおたえに引っ付いてチラシの下の方を見た。

 

企画担当者、響木雷光………

 

「あった!」

「本当だ……!」

「有咲ちゃんの言う通りだね。本当に書いてる」

「き、気付かなかった……」

「みんな気付いてなかったんだな……そこに驚いたよ」

「なんだか今日はみんなずっと驚きっぱなしだね」

「あ、確かに」

 

私とさーやがおかしくて笑い出すと、みんなで笑い合った。みんなの顔、キラキラドキドキしてる!

 

The Dream Band……楽しみだなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

────その夜、夢の中で花園たえはCiRCLEで出会った響木雷光が言っていた"ある言葉"を思い出した。

 

 

『───自分の音は自分でしか奏でられん。人から与えられたもので奏でたものは自分のものではなく、その与えた人のものや……』

 

 

その言葉はたえがギタリストとして1番尊敬している雷光の有名な言葉だ。

それはある雑誌のインタビューの際、記者の『雷光さんはギターが凄くお上手ですが、誰かに教えて貰っていたんですか?』という質問に対して発した言葉の中にあった。

 

『いいえ、私は独学ですよ』

 

『えぇ!?独学であそこまで上手くなれるんですか!?失礼ですが、私はてっきり誰か上手な方に教わったからかと……』

 

『ははっ、よく言われます。自分の音は自分でしか奏でられません。人から与えられたもので奏でたものは自分のものではなく、その与えた人のものになるんです。そう考えた私は誰にも教わらず、基礎から独学でギターの技術を磨いてこの音を手に入れました。それが今ではみなさんに評価してもらえてとても嬉しいです』

 

『で、では、この雑誌を読んでいるギタリスト、そしてこれからギターを始めようとしている読者に一言お願い致します』

 

『わかりました。これから始めている人も、もう始めている人も、ギターで"自分の音"を手に入れたいのならば他人からは教わらず、自分の力で手に入れてください。そしたらきっと素晴らしいギタリストになることでしょう』

 

『ありがとうございます。では続いての質問に────』

 

 

 

その言葉に感銘を受けたたえは練習に練習を重ねて、雷光が言っていた自分の音というものを目指した。それを目指すのはただ上手くなりたいからだけではない。

 

 

 

────ギターを愛しているからである。

 

 

 





ありがとうございました!
やっぱり人物視点より三人称の方が慣れているからか、なかなか書きにくかったです(笑)は〜い、頑張って慣れま〜す。
さてさて今回はポピパと雷光さんの出会いでしたが、おたえ、沙綾、りみりんの3人は何かと知ってそうですよね?実はこの話のサブタイトルを考えるのが1番悩みましたね(汗)
それではまた次回お会い致しましょう!
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