「ずいぶんとまぁひでぇことするもんだな」
男はフードを脱ぐと頭を掻きながらそう言う。
キャスターと呼ばれた男は軽やかに跳んでこちらに来る。
この男もサーヴァントらしいが、ランサー達とは違い殺意が一切感じられなかった。
不思議に思って見ている私の視線を感じ取ったのかキャスターはこちらを見て話し掛けてくる。
「マスターならもっとシャキッとしな、嬢ちゃん!」
「えっ?あ、す、すいません?」
キャスターからの突然のお説教。
少し面喰らったが、とりあえず謝っておく。
キャスターに頭を下げていると、マシュが帰ってきた。
それを確認するとキャスターはよしっといった感じに喋り始める。
「じゃあ、サーヴァントの嬢ちゃんも戻ってきたし自己紹介でもさせてもらうとするか」
「サーヴァントキャスター。故あって奴らとは敵対中でね。敵の敵は味方ってワケじゃないが今は信頼してもらっていい」
キャスターは持っていた杖でこちらを指してくる。
「仮契約だが、あんたのサーヴァントになってやるよ」
その言葉に偽りはなさそうだったが、一応マシュの方を見てみる。
マシュも信じていいと思ったのか首を縦に振る。キャスターの事を信じることにした私達は、考えを伝える代わりとして自己紹介をした。
「藤丸立香です。よろしくお願いします」
「マシュ・キリエライトです。よろしくお願いします」
「おう。よろしくなっ!」
笑顔で答えるキャスター。
しかし、すぐに真剣な顔になる。
「そんじゃあ自己紹介も済んだ事ですし、奴さんをやっつけるとしますか」
見ると、ランサーは驚いた顔でキャスターを見つめていたがすぐに顔を引き締め構えをとる。
マシュと戦っている時には一度も見せなかった構え。
ここからが、本気という事だろう。
「さて、それじゃあ作戦は任せたぜ?マスター」
作戦と言われ必死に考える。
キャスターということは要はゲームでは魔法つかいの立ち位置。
彼の実力は知らないが、恐らく前衛で戦うのは苦手だろう。
そしてマシュは前衛で戦うタイプ。
ならば、答えは一つしかない。
「・・・マシュは前衛でキャスターを守りつつ戦って、キャスターはとにかく後ろで攻撃!」
「了解!」
「了解だ!」
キャスターが指を横に振ると空中に文字らしきものが写し出される。
アルファベットにも似たそれは次々に火の玉になり、ランサーに向かって飛んでいく。
さっきの火の玉もああやって出していたのだろうか。
それはさておき、火の玉は地面にぶつかると大きな爆発を起こした。
ランサーは避けるために近くの電柱まで跳びそのままの勢いでキャスターに切りかかってきた。
「マシュ!」
「やぁあ!」
再び金属音が響く。
ランサーの槍は弾かれ自身も大きく体勢が崩れる。
「今です!」
「任せな!」
「馬鹿な・・!こんな事が・・・!」
ランサーの足元から火の手が上がる。
そのまま、黒焦げとなり消えてしまった。
ようやく戦いがおわったのだ。
「はぁ・・・はぁ・・勝った・・」
「おう、お疲れさん。よく頑張ったな」
「マシュ!」
「先輩・・・っ!?」
私はマシュに勢いよく抱きついた。
「あ、あのどうしたんですか?」
「マシュが頑張ってくれたおかげで助かったよ!本当にありがとう!」
「!いえ、私こそ先輩に助けられました。ありがとうございます」
それを見ていたキャスターがこほんと軽く咳をする。
「仲良くしてるとこ悪いが、とりあえずあんたらが何でこんなところに居るのか話してくれねぇか」
「ああ、ごめん。えーっと移動しながらで良いかな。あっちにも一緒に来た人が居るんだよね」
私はここまで来た道を指差す。
キャスターはそっちを見ると、しばらく考えていたが「大丈夫だ」と言った。
移動しながら、私達は情報交換をした。
とうとう出番すら無くなってしまった・・・
次回はオリ鯖がメインにします