「・・・で?後ろの男は誰なのよ」
合流できた私達に所長は聞いてくる。
後ろの男とはもちろんキャスターの事だ。
「俺か?俺はキャスター。簡単に言うとアンタらの味方だな」
キャスターの答えに所長は頭を抱える。
「一応聞くけど真名は?」
「絶対に言わん!」
「なんでよ!全くどうしてこうサーヴァントは真名を隠したがるのかしらね」
所長はキャスターとバーサーカーを交互に見る。
キャスターはよくわかっていない様だが、バーサーカーは明らかに目を逸らしている。
「まあ、良いわ。それで?ここで何があったの」
「あー。なんつうかな」
所長からの問いにキャスターは困った表情をする。
「ここで聖杯戦争があったのは知ってるな?」
「ええ。ですが、いくら聖杯戦争でもこんな惨状にはならないはずです。」
「普通ならな。だがーー」
キャスターは言葉を続ける。
「俺達の聖杯戦争はいつの間にか別の物にすり替わっていた。」
「街は一夜にして燃え、サーヴァントだけを残して人間は消え去っちまった」
「なっ・・・」
あり得ないといった反応をした。
だが、実際に起こっているのだから認めざるを得ない。
すると、さっきまで黙っていたバーサーカーが喋りだした。
「待て。だとしたら何故貴様はまだ消滅していない」
「あっ、そういえば」
サーヴァントは普通ならマスターが死んだ時点で消滅するのだがキャスターはまだ生きている。
例外も無いことには無いのだが、おそらくキャスターはそれに該当しないだろう。
「さあな。俺にもわからん。ただ、何かに繋ぎ止められてるのは確かだ」
「そうか・・・。すまなかったな」
そう言うと、また黙ってしまった。
キャスターは彼女の雰囲気に何か来るものがあったのか、しばらく彼女を見ていたが、すぐに話を戻す。
「そんな中真っ先に聖杯戦争を再開したのがセイバーだ」
「奴さん水を得た魚みてぇに暴れだしてよ、次々とサーヴァントを倒していきやがった」
「残ってんのは俺だけだ」
セイバー
バランスの取れた能力から、聖杯戦争では「最優」と称される。
それならば勝ち続けるのも理解はできるのだが、あんな奴らを五騎も倒すとは一体どんな奴なんだろうか。
想像してみるも、思い浮かんでくるのは剣を持った恐ろしい怪物の姿だけだった。
しかし、そこで一つ疑問が浮き出てきた。
「あれ?じゃああのサーヴァント達は何?」
「あれが、セイバーに倒されたサーヴァント達だな」
「奴に倒された後、真っ黒い泥に汚染され奴の手駒になっちまった」
「つっても、泥でなんとか形を保ってるだけの骸だな」
それでもあんなに強いのか・・
一瞬不安になったが、大丈夫だと自分に言い聞かせてなんとか気持ちを切り替えた。
「それでは、キャスターさんがセイバーを倒せば・・・」
「この街の聖杯戦争は終わるだろうよ」
「だが、いかんせん戦力が足りなくてな」
「・・・わかりました」
ここまでの話を聞いた所長が、判断を下す。
「マシュ、立香よく聞きなさい」
「この聖杯戦争を終わらせる事は、特異点の解決に必要不可欠だと判断しました」
「キャスターに協力して、速やかにセイバーを排除しなさい。」
「はい!」
「了解しました。所長」
格好いい・・・
やっぱりこう言う時は頼りになるなー。
「そんじゃあ、早速セイバーの根城に殴り込みにいくか」
キャスターは前方の大きな山を指差す。
「それに多分、特異点とやらの原因はあそこだろう」
「この土地の心臓、大聖杯だ」
また喋らなくなった・・・