「本当に誰もいない・・・」
周りを見ながらそう呟く。
この光景を一言で表すなら間違いなく地獄絵図なんだろうなと思った。
が、さすがに不謹慎過ぎるのですぐに頭の中から消し去った。
今現在、私達はキャスターの言ったセイバーの居る、山の鍾乳洞まで、移動している最中だった。
ただ、特に話す事もないので、私達はもくもくと歩いていた。
すると、所長が「ちょっと」と言って肩を叩いてくる。
「どうしたんですか?所長」
聞くと所長は、んっとマシュを指差す。
「マシュが何か?」
「何か?じゃないわよ、彼女明らかに落ち込んでるわよ」
言われてよく見ると確かにマシュの顔は暗く、元気がなかった。
「あ・・本当だ」
「アナタ一応マスターなんだから話ぐらい聞いてきなさいよ」
「あっ、はい。わかりました」
頷くと、私はマシュの近くに行く。
「どうしたの?なんか元気無さそうだけど」
「!先輩・・・。いえ少し考え事をしていただけですから、大丈夫です」
微笑みを返してくれるが、それが嘘の笑みだということは誰の目にも明らかだった。
「考え事って何の?」
それを、聞くとマシュの顔はまた暗くなる。
「先輩・・・。私はセイバーに勝てるでしょうか」
「それは・・」
マシュからの問いに私は言い淀んでしまう。
「私はあのランサーにすら、一人では勝てませんでした。それに私にはサーヴァントにとって当たり前に使える宝具すら使えません」
それを近くで聞いていたキャスターは驚いた顔をする。
「嬢ちゃん、宝具が使えないのか?」
「はい。私と融合した彼は真名を告げる前に消滅してしまいました。なので、私は自分がどんな英霊なのかわからないんです」
「ふむ、そうか・・・」
キャスターは顎に手を当て何か考え出した。
《うーん。でもそこは一朝一夕でできるものじゃないと思うよ?》
《だって宝具だし。英霊の奥の手を一日二日で使えちゃったらそれこそサーヴァント達の面目が立たないというか》
ロマニが久しぶりに通信をしてくる。
「ロマニ、久しぶりに喋ったね」
《うぐっ!い、いやこっちも結構忙しくてね、なかなか通信する暇が無かったんだよ。ハハハ。》
「ふーん」
何故そんなに焦っているのか不思議だったが、あっちも忙しいのだろうなと思い、特に言及することはしなかった。
「それは無いな」
バーサーカーが先ほどのロマニの言った事を否定する。
「宝具とは簡単に言えば、その英霊の伝説の様な物だ。
まぁ・・いろいろ種類があるのだが、どれにしても宝具を使えないサーヴァントなどいないだろう」
「そいつの言う通りだ。嬢ちゃんがデミだろうと何だろうとサーヴァントになった以上、宝具は使えるもんなんだよ」
サーヴァント二騎からの否定。
ロマニは小さく《知ったかして、すいませんでした・・・》と言って喋らなくなった。
「さてっと、マスターの嬢ちゃん少し休憩してもらっても良いか?」
「うん。良いよ」
その後近くの学校まで移動し、そこで休憩することにした。
「これが学校というものですか・・・!」
「マシュ、学校見たこと無いの?」
「はい。今までカルデアから出たことが無かったので」
目を輝かせながらマシュが言う。
それを見ているとさっきまでの暗い顔から変わって良かった。
そう心の底から思った。
屋上にて
「もうそろそろだな・・・」
キャスターが呟く、その目は山の方をじっと見据えていた。
次の瞬間、私達の耳に爆発音が響いてきた。
オリ鯖のクラスをアヴェンジャーからバーサーカーに変えました。急な変更、誠に申し訳ございませんでした。