Fate/Grand Ordar The lost memory   作:カラクリヤシキ

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始まりをここに…

人理焼却が完了する前の昔話を少し…


予告の章
始まりの予告


「私は一体…」

 

目を開けるとそこは、見知らぬ部屋でした。

何故このような場所で布団に寝ているのかが全く心当たりがなく

少し混乱しながらも辺りを見渡すとすぐ近くの襖が開かれる。

 

 

「あ…」

 

襖を開けてきたのは、髪が肩より少し下まで伸びた

銀髪の少女だった。

 

 

 

 

私のことを呆然と見ていた少女が少しして

驚いた表情になって声を上げて父上、母上と呼びながら

その場から走り去って少しして、少女が父と母と呼んだ人を連れて部屋に入ってきた。

 

 

 

「私は倒れていたのですか…」

 

 

少女の父と母から聞くとどうやら私は、道に倒れていた所を少女が見つけて家まで運んでくれたようだ。

 

 

「助けていただきありがとうございます…」

 

助けていただいたことに3人に、特に

私を運んでくれた少女に頭を下げる。

頭を下げなくてもいいと3人に言われました…

優しい方々だと思う。

 

 

「御体は大丈夫?」

 

少女が私の体を案じてか心配そうな表情で

私に訪ねる。

 

「貴女のお陰でなんともありませんよ」

 

「本当?よかったぁ…!」

 

少女は、嬉しそうに安堵の表情で言う。

見ず知らずの私にここまで嬉しそうに言う少女は

とてもよい子なのだろう。

助けられたことに心から感謝してもしきれない。

 

 

「貴女の御名前を是非御聞きしたい…何というのでしょうか?」

 

 

「巴です!貴方はなんていう御名前ですか?」

 

 

 

巴、これが私と少女『巴』との出会いで

 

 

 

「私は…?…私は…」

 

――――誰なんでしょう?

 

記憶喪失の私が何10年以上もの間、巴と共に歩むことになる始まりだった。

 

 

 

 

ーー数年の時が過ぎた頃

 

 

 

「私は…鬼なのです…」

 

ある出来事の切っ掛けで巴が私の前で

鬼の角を出してしまった。

鬼の力は、とても強く、大の男でも出すことが出来ないほどの膂力を発揮していた。

 

 

「貴方にだけは見せたくなかった…」

 

 

どうやら巴は、その力を見て私が恐れてしまうと

思っていたようだ。

(それ)のせいで離れてしまうのが嫌だと顔を俯きながら掠れた声で言っていた…

 

 

「とても嬉しいです」

 

「…えっ?」

 

「巴にここまで想われて私は、嬉しい…

そう言ったのですよ」

 

 

まさか私がここまで巴に想われているとは思ってもみませんでした。

 

 

「…ですが私には!」

 

「鬼の血が流れているですか?私から見れば

その力は、とても強く美しく見えましたよ」

 

「…っ」

 

巴は、とても優しい人だ。

鬼の力が強いことを誰よりも巴自身が知っている。

それ故に、鬼の角を、鬼の力を堂々と出すことを避けていた。

家族のために、

 

 

 

そして私のために…

 

 

 

「額の2つの黒曜石のような黒い角も長く繊細そうで、まるで巴の心を写しているようです」

 

そんな人を、力があるという理由だけで忌避することなど、私には出来ない。

したくもありませんよ。

 

 

――なにより

 

 

「それに」

 

「…」

 

この数年で巴という人は、私にとって掛け替えのない存在となっているのですから…

 

 

「私がその程度で巴の事を嫌いになる事などあり得ませんよ」

 

「ーーー■様っ」

 

 

 

私は巴の事を好いている。

この程度で嫌いになる筈がないんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

――――それから十年と余りの年が過ぎ――――

 

巴の秘密を知ってからの数十年の時が過ぎる間に

様々な出来事があった。

 

巴との仲は、鬼の力以来、前よりも仲がより親密になった。

 

私が作った遊戯で遊んだり

 

他愛もない話をしたり

 

馬鹿なことをしてしまったり

 

戦で共に駆け巡り

 

喜び合い、怒ったり、哀しんだり、楽しく笑い合って共に時を過ごしてきた。

 

 

 

とても充実した良い日々だった…

 

 

 

「っ…はぁ…はぁ…こふっ」

 

「■様ぁっ!」

 

口から血が止め処なく吐き出される。

致命傷にはならない筈の一撃がまさかここまでの

力を持っていたとは思ってもみませんでした…

 

「■様っ…!」

 

巴が倒れている私に駆け寄る。

とても必死な声が耳に響く。

重い瞼を開けてうっすらと、ぼやけたものが写る。

 

「…巴…いるか?」

 

「はいっ、御側(おそば)にいますっ…」

 

 

あぁ…今見えているのは巴なのか…

 

 

 

「…!……!!…!」

 

 

 

巴が何かを必死に言っている。

頭が熱く、心臓の音が酷く煩くて苦しくて

何を言っているのかがわからない…

 

 

「…!!……!嫌…」

 

 

…少しだけ、巴の顔が、声が

聞こえて…見えて…

 

 

「なんて、酷い表情(かお)をしているのですか…」

 

「っ…」

 

やっと見えたと思えば、最初に見たのが涙を堪えて今にも泣きそうな顔をした巴だなんて…

庇った意味がないではありませんか…

 

 

「笑ってください…私は、その笑顔(かお)が一番見たいです…」

 

「■……」

 

 

体がさっきよりも軽く感じるのにとても眠い…

 

 

「――――――」

 

 

もっと、巴と色々なものを見てみたい…

語り合いたいのに…共に過ごしたいのに…

 

 

ですが…

 

 

「――――あぁ…いい笑顔(かお)ですね…」

 

 

 

眠る前にその笑顔(かお)が見れてよかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、目が覚めましたか!」

 

「…?」

 

目を開けたら桜色の髪の女性がいました…?

 

 

 

 

 

 

 

―――――人理焼却―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが新しい特異点かぁ…」

 

辺りを見渡すカルデアのマスター

 

「はい、とても空気が澄んでいていいところですね先輩」

 

マスターと呼ばれている少女の横に立つデミサーヴァント

 

 

「おお!()い色の紅葉じゃな。此処は日本かの…?」

 

「油断しちゃ駄目ですよノッブ…確かに日本っぽいですね」

 

「うん、良いところだね。お弁当作っといて正解だったかな」

 

「ふむ、こういうのを風流というんじゃなかったカナ?」

 

マスターと共に特異点を修復しに来た英霊(サーヴァント)達。

 

 

「?どうかしたのインフェルノさん」

 

人里どころか人の気配がない山道をしばらく歩いている時だった。

 

「あ…いえ、声が聞こえまして」

 

「声が?」

 

全員が耳を澄ましてみる…

 

―――― ―――― ―――――――――

 

確かに、微かにだけど声が聞こえる。

 

 

「この特異点の人がいます。行ってみましょう先輩」

 

「うん、皆行ってみよう!」

 

声のする方に駆ける。

 

 

「これは…」

 

「歌…かな?」

 

 

カルデアのマスターと英霊達は、歌声の主を見つける。

この出会い(Fate)が全ての命運を決める始まりだった。

 

 




やぁ、初めましてカラクリヤシキです。
初の小説投稿、間違っていないか少しドキドキしながら書かせていただきました。
御感想は、頂けると嬉しいです。
褒められると伸びるタイプだと思うので、そういった感想を頂けるだけで今後のこの小説の励みとなります!
あ、この小説の続きをどうなるかは活動報告に書かせてもらってます。
御読みになられる方々、どうぞこれからよろしくお願い致します。

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