Fate/Grand Ordar The lost memory   作:カラクリヤシキ

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もう少し過去にお付き合い下さいませ…




薄桜の想い

私は、小さく息を吐く。

刀の柄を握り直す。何度も、確かめるように。

 

 

「沖田、頼んだ」

 

「はい」

 

 

私は、白い(かみしも)を着て座る山南さんの横で刀を構える。

頼まれる前から私の決意は変わらない。今からすることを頼んだのは、他でもない山南さん本人なのだから――――

 

 

 

 

――――そして私は、

 

 

 

 

山南さんの首に目掛けて刀を振り下ろした――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日のお仕事はこれで終了ですね…」

 

見回りも終わり、他の隊の方達も帰って各々で自由に休んでいる。

私も夕飯までの間、自由なので普段なら体の具合が悪くてすぐ寝込んでいるんですが、今回は町中を散歩している。

何故ならー!

 

「今日は、体がとても軽くて素晴らしいー!」

 

そう、今日は体の調子がとても良い。しかも仕事中、一度も血を吐く事もなかった。

思わず大きな声を町中(まちなか)で叫んでしまった…周りにいた人達が変な目で見てくるが気にしないことにしよう…

 

 

 

「沖田さん、此処にいましたか。探しましたよ」

 

「黒さん?」

 

黒さんが少し離れたところから早歩きで向かってくる。

どうしたんでしょう?こんな町中で会うなんて珍しい…。それに背中と手に大小の包みを持ってますね。

 

 

「沖田さん、いきなりですがこのあとお暇ですか?」

 

このあと?

 

 

「予定は特に何もありませんが、どうしました?」

 

「いえ、少し付き合ってほしくて…一緒に来てくれませんか?」

 

ほんとに、いきなりなお誘いです。

ですが、黒さんと二人だけでどこかに行くなんて滅多にないのでちょっと嬉しい(・・・)

 

 

「いいですよ!何処に行くんですか?」

 

「少し早いお花見です。すぐそこの山道を歩いたところにあるんですよ」

 

山道ですか…まぁ、今は体が調子が良いので問題ないでしょう。

 

 

「お花見ですか…あ、だとするとその包みって」

 

「はい、お弁当ですよ。少し多めに作ってきました」

 

「おー!」

 

そう言って手に持っている包みを見せる。

中身は、わかりませんが黒さんの手料理です。結構楽しみですね…そういえば

 

 

「近藤さん達の夕飯は大丈夫なんですか?」

 

「それなら土方さんが用意してくれるようなので大丈夫ですよ。近藤さんからも行くのなら遅く帰ってもいいと言われましたよ」

 

へぇ、土方さんが料理を…あれ?土方さんって料理出来ましたっけ?

…まぁ、大丈夫だと言っていたらしいので気にしないでおきましょう。

…って、あれ?

 

「それ、私が行くこと前提で話してるじゃないですかー!」

 

話を聞いていると、私が行くことが決まっているような感じで進められていた事に気付く。

 

 

「話そうとは思っていたのですが、その時は、沖田さん寝込んでいたので…」

 

話せなくて申し訳ないと黒さんが言う。

……あー、たしかに最近は、具合が悪かったらすぐ寝てましたからね…それで話す機会も少なくなってましたし…気遣ってくれたんでしょうね…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、その刀は?」

 

山道に入って少し歩いた頃に黒さんの腰に差されてる刀を見る。

 

「それが出掛ける時に近藤さんが丸腰で行くのはいただけないと言われまして…」

 

なるほど、それで刀を差してから来たんですね。最近は、夜道を襲う輩なんてざらで物騒ですからね…

しかし、黒さんが刀を差してるところなんて初めて見たかもしれませんね。

ーーーー竹刀を持っている所ならいっぱいありますけどね…それはもうたくさん……思い出さないでおこう…

 

 

 

 

 

 

「あれは、桜?」

 

山道を登ること四半刻(30分)くらい経ち、(ひら)けた場所に出ると其処に桜を咲かせた木があった。

でも、まだ咲くには早い月なのに見事に咲いている。

 

 

「はい、ここの桜の木だけ早く咲いていたんですよ」

 

「珍しいですねぇ」

 

てっきり桜じゃない花を見るんだと思っていたから、少し得をした気分だ。

 

 

「早咲き桜とでも言うのでしょうね」

 

黒さんがそう言って桜の木の影の下まで行き、背負っていた布の中から敷物を出し広げてその上に黒さんと一緒に座る。

 

 

「こちらが沖田さんの弁当、そしてこっちが私ですね」

 

「ありがとうございます」

 

包みを広げて弁当を取り出して敷物の上に置いていく。

 

 

「そして、最後が…」

 

黒さんがゴトンっと白色の大きい容器を置く。

その容器の真ん中辺りに酒という字が書かれてある。

これは、徳利…ということは

 

「黒さん」

 

「はい」

 

「それ、お酒ですよね?」

 

「そうですよ」

 

やはり、中身はお酒ですよね…まぁ容器にも堂々と書かれてありますし…

 

 

「私、そんなに強くないんですが…」

 

「少しは飲めるのでしたら大丈夫ですよ。ちなみに私はとても弱いです。下戸ですから」

 

……え?飲めない?

 

 

「なんで、下戸の人がお酒を勧めてるんですか?!というか飲めないのになんでお酒なんて持ってるんですか?」

 

「それが、土方さんや他の隊士の方々が腹を割るんならやっぱりこれが一番だと言って手渡されまして…」

 

土方さーん!隊士の皆さん、変なこと教えないでくださいよぉ…!

いや、それより

 

 

「腹を割る?ですか」

 

「ええ、沖田さんにお話ししたい事がありまして…その前に」

 

そう言って、黒さんが懐から封筒を取り出して私に渡す。

 

「どうぞ」

 

小さい封筒…手紙かなにかでしょうか?

 

「これは…?」

 

「山南さんからの手紙です」

 

 

 

 

「――――え?」

 

体が一瞬硬直する。

黒さんは、今、山南さんが書いた手紙って…

でもそれはあり得ない。

何故なら山南さんは、私が…

 

 

「どういうこと…ですか?」

 

「山南さんが新選組から出る数ヶ月前に私にその封筒を渡したんですよ…」

 

「…それじゃあ、これは私ではなく黒さん宛の物じゃないんですか」

 

手紙を私に渡すならわかるが何故黒さんは、その封筒が私宛だなんて言うのかがわからない。

 

 

「私も最初は、そう思っていました…ですがあの時、山南さんが私にその時が(・・・・)来るまで、まだ開けないでほしいと頼んでいたんですよ」

 

その時が来るまで(・・・・・・・・)

その時というのは、間違いなく――――

 

『沖田、頼んだ』

 

 

「…」

 

「渡された時は、その意味が全くわかりませんでしたが…あの脱走の事を聞いた瞬間にわかりましたよ。あれがその時(・・・)だと…」

 

……

 

 

「もちろん、知らせを聞いたときにこの手紙のことを思い出して、急いですぐに開けようと思いましたが…山南さんが妹のように思っている沖田さんのことを何も書かれていない…なんて思えませんでした」

 

そこで思ったんですと言って黒さんが私を見てから封筒に指をさす。

 

 

「この手紙は、私だけではなく。沖田さん、貴女と一緒に読むべきものだと…そう感じました」

 

…それで封筒がまだ開けられてなかったんですね。

私は、封筒を切り手紙を取り出す。出てきたのは折り畳まれた二枚の手紙だった。

 

 

「…読みます」

 

折り畳まれた手紙を広げて黒さんに伝える。黒さんが小さく頷くのを確認して、読み上げる。

 

 

 

「黒猫殿へ。この手紙を見ているころには俺はもう捕まっているか死んでいる時だろう」

 

 

『何故そんなことをしたのか?聞きたいことも色々あるだろうが、そこは聞かないでほしい。この手紙は、貴殿に感謝を込めて書かせてもらった手紙だ。無粋なことは書きたくはない』

 

『感謝することは、食事や稽古など、様々あるがやはり沖田の事だな。あいつは、自分のことを只の人斬りと唯々ひたすらに敵を斬ることしかできないと言っていた。そして、病に倒れる姿を見ていると、俺は、まるで「幽鬼」のように見えていた』

 

『だがそれを貴殿は変えてくれた。只の人斬りを人に、女性にしてくれた。病の苦しみからずっと支えてくれた』

 

 

『「ありがとう」。その一言に尽きる』

 

一枚目を読み終えて、もう一枚の手紙の移る。

 

 

『そして、もしこの手紙を沖田が読んでいるのなら伝えたいことがある』

 

私に…

 

『「生きろ」。病で長生きができないのは知っている。ならばせめて自分は、今、生きていると(・・・・・・)、悔いのない人生を歩んでくれ』

 

『それが、俺の願いだ』

……

 

「…終わりです」

 

辺りに静寂が流れる。黒さんもただ静かに座っている。

手紙を読み終えて、空を見上げる。既に日が傾いて夕日が辺りを照らしている。

 

 

「山南さん。私は、貴方を捕まえて…そして斬りました。そこに未練はありません」

 

何度見ても綺麗で幻想のようで…

 

「でも」

 

とても静かで、心がとても落ち着くような場所で…

 

 

「こういう夕陽を見たりして、また他愛もない話をしたかったですよ…」

 

俯いてそう呟いた…

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

俯いて見えた手紙の端に小さく何か書かれているのがわかった。

何でしょう?

 

 

『追伸、これは黒殿ではなく沖田へ、もしお前が見ているならこの紙の裏を読め』

 

紙の裏?ペラッと裏に返して読む。

 

 

『お前も、()(とし)なんだから、そろそろ身を固めたらどうだ?兄貴分としては心配だったが、お前のことを嫁として貰ってくれそうなやつが来てくれたから少し安心だ。お前の病も嫌な顔を一つもせずに看病してくれる奴だ…逃がすんじゃねぇぞ?』

 

 

……え?身を固める?嫁って…祝言(しゅうげん)のことですよね……来てくれたって、そんな人は…それに嫁に貰ってくれそうで、私の病を看病を嫌な顔一つしない人なんて……

 

 

『助けていただきありがとうございます』

 

そんな人なんて…

 

『気分が悪いと思ったら私に言ってください。出来る限りの力を尽くしますから』

 

そんな人…

 

『ーーーー二人でどこかに行くなんて滅多にないのでちょっと嬉しい(・・・)

 

 

 

 

 

「ーーーーあ」

 

顔が急激に熱くなっていくがわかる。

え?この貰ってくれそうな人って、まさか、いや、そんな、確かに看病するときも一緒に居てくれて、いつも側にいてくれると安心するというか、近くにいると胸が高鳴ってしまう時もあって…でもあれは、熱ではなくて…

 

 

 

それを理解した瞬間(・・・・・・・・・)、顔だけでなく体が火照っていくのがわかった。

 

 

 

今更気付いた……

…私、黒さんのことが

 

 

 

「?まだ何か書いてあったんですか」

 

「わ――――!!?な、なんでもありません!ありませんから!!」

 

黒さんが見ようとしてきたので咄嗟に後ろに隠す。あ、危なかった。もう少しで見られるところでした…

 

「そうですか?」

 

「気のせいです!黒さん、それよりも早くお酒飲みましょう!」

 

「は、はい」

 

「沖田さん飲みますよ――――!!!」

 

もうこうなったら自棄(やけ)です!飲みます。今日は飲みますよぉ――――!!

 

 

「――――ぷは、黒さん!もう一杯!」

 

「はい。ですがそんなに早く飲んで平気ですか?もう少しゆっくりでも…」

 

「大丈夫です!これぐらい早くても問題ないですよ!」

 

「そ、そうですか」

 

困った顔をしながらお酒を注いでくれる黒さんを見つめて……

 

 

山南さん、最後の最後で余計なことを……

貴方のせいで――――

 

 

 

「――――自覚しちゃったじゃないですか(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

「沖田さん?」

 

「なんでもありませんよ。さぁ、黒さん、じゃんじゃん注いでください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ~…沖田さん、だいしょーりー…」

 

「沖田さん、飲み過ぎですよ…」

 

 

私は今、沖田さんを背中に背負ってゆっくり歩いている。

まさか沖田さん一人でほぼ全て飲み干すとは思いませんでした…

ただ酌をして終わってしまいましたね…

 

 

「……」

 

「完全に寝ちゃいましたね…」

 

後ろで小さく寝息を立てる音が聞こえる。あんまりお酒に強くないのにあれだけ飲めば当然ですね…

しかし、肝心の腹を割って話すことが出来ませんでしたね…まぁ、今すぐ言わなくてはならない程のものではないので良しとしましょう。

 

 

 

「…」

 

夜道を歩きながら先程の手紙を思い出す。

もし、あの時に手紙をすぐ見て貴方を止めていればこのような事にはならなかったのだろうかと思った…答えはもう分かりきってますね…

 

 

「…きっと止めても無理だったのでしょうね」

 

この手紙を書く前から覚悟していたのでしょう。

 

 

山南さん、私も貴方とはもう少しだけ話をしたかったですよ…

 

 

 

『黒殿が頼みに来るとは珍しい。あぁ、今晩なら空けても大丈夫だ。楽しむといい…あと夜に帰るのなら刀を持っていきなさい』

 

 

『あの一件で沖田の奴が腑抜けるとは思えねぇが、念のためだ。この酒でも使って羽目でも外してこい。夕食は任せとけ…ところで、沢庵は何処にある?』

 

出掛ける前に聞いた近藤さん、土方さんの言葉を思い出し、そして…

 

 

 

 

『沖田のこと、頼んだぞ』

 

 

 

「沖田さん」

 

寝ているから、返事は返ってこない。

それでも続ける。もし、いつか言うことがあれば起きているときにもう一度言いましょう。

 

 

 

「――――貴女は、とても人に恵まれてますよ」

 

そう、私も貴女のことを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――出てきてはいかがですか?」

 

前方にある塀で死角になっている曲がり角の手前で足を止めて言う。

 

 

「……」

 

しばらくして、刀を腰に差している男が数名で私達を囲む。

 

「…あなた方は?」

 

「貴様は、確か黒猫とか言われている奴だな。今すぐ背中に背負っている奴を此方に渡せ…」

 

「いきなりですね…」

 

大人しく沖田さんを渡せですか…。顔に見覚えは、ありませんがおそらく新選組に敵対している方々だというのは言わずとも伝わる。戦闘になることは、間違いありませんが…今は、いけませんね(・・・・・・)

 

 

(それ)を今の彼女に向けないでください」

 

「何?」

 

引き渡せと行ってきた人が刀を抜こうとしていたのを見てそれを拒絶する。

 

 

「戦場は、命のやり取り。負ければ大抵は死にます。

だから私は、その場に立つ皆さんには、死を覚悟して挑んでいると思っているんです」

 

ゆっくりと、前に歩く。

沖田さんも新選組の方々も自らの意思で戦場に出ている。

 

 

 

「故に、其処に己の意思で立ったものには『酷』ですが、死んでしまったのならばそれは、仕方ない…自己責任だと、そう思っています」

 

だから、新選組の皆さんにもそれ相応の覚悟があると思っている。故に戦場で死ぬのならばその者達に悔いはないと…私は、思っている。

 

 

 

後ろから刀を抜こうとしているのが伝わる。いや、此処にいる人全員か…

 

 

 

「時代が変わろうとも戦の根本は変わりません。恨み、悲しみを生む事も重々承知しておりますーーーーですが」

 

腰の刀の柄を握る。

彼らが刀を抜く……

 

 

その刹那――――

 

 

 

パキンッ

 

彼らの持つ刀の刃を、提灯(ちょうちん)を全て斬り壊す(・・・・)

地面に折れた刀の破片と木片が音を鳴らして散らばる。

 

 

『…?!』

 

 

 

「今の彼女に(それ)を向けるのでしたら私は」

 

 

 

 

――――あなた方を一人残らず滅ぼし尽くしても構いませんよ?

 

 

 

次はない。そう念を押して伝える。

これは、警告だと。

 

 

「…っ、引くぞ」

 

「ですが…!」

 

「引けと言っているっ!!」

 

「…っ!?」

 

男の指示に従い、全員その場から早足で去っていった。

 

 

行きましたか…

あちらの方にまともな目を持っている方がいて助かりました。沖田さんも起きなかったのでよかったです。

 

 

再び歩く。

 

「――――どうか今日だけは大目に見てあげてください。山南さんと沖田さんが語り合った(・・・・・)。大事な日なのですから…」

 

また静かになった夜道に一人で呟いた。

 

 

 

 

 

 

「これでよし」

 

部屋に戻り、沖田さんを布団に寝かせる。

あれ以降は、何事もなく戻れてよかったです。

 

 

 

 

私は、部屋を出て縁側に座り、今日の事を思い出す。

 

 

「任せた…ですか」

 

襖の間から寝ている沖田さんの顔を遠目で見る。

今は、とても穏やか…いえ、笑ってますね。()い夢でも見ているのでしょうか?

 

 

「沖田さんの病、不治の病…本当に治らないのでしょうか……」

 

初めて病を聞いてからずっと引っ掛かっている。やはり、記憶が失う前に労咳(これ)と似たような事があったのだと思う。

 

「――――っ」

 

…また酷い頭痛がする。額を手で抑える。それは、前よりもさらに強くなっているのがわかる。無理に思い出そうとすると、いつもこの痛みが邪魔をする。

 

 

(思い出せば、もしかしたら治せるのでは…)

 

いつもならもう少し無理をせずに思い出していくところですが、その可能性があるのならばやる意味があるかもしれない。

 

(何を…忘れている…っ!)

 

それに沖田さんの病は、いつ死んでも可笑しくないもの。最近寝込む回数も増えてきている…もはや悠長に待ってなどいられない…

 

(今は、労咳(それだけ)の記憶だけでもいい…だから――――!!)

 

………

……

 

 

 

 

 

「…」

 

――――それは、突然だった。

 

 

 

 

 

 

「――――」

頭痛も体の熱も嘘のように消えて――――

 

 

そして…

 

 

 

 

「――――一つだけ……思い出せました…」

 

 

 

過去の一部分を思い出せた。

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝に目を覚ました沖田は、掛け布団で顔を隠して何を思い出したのか顔を茹蛸のように赤くして二日酔いで頭を押えながら『沖田さん大敗北、沖田さんのだいはいぼく…黒猫さんのばかぁ…うぅ……』と、独り言を呟いていたのはまた別の話…

 

そして、土方が任せろと言って作った夜食の9割が沢庵であったせいなのか、隊士たちが沖田と黒猫の早い帰還を望んでいたそうだ。

 

 




撤退をした者達の会話


「本当に撤退してもよろしかったのですか?沖田総司が弱っている絶好の機会だったのですぞ」

「愚か者、確かに沖田総司を容易く殺すならあの場が最高だったのだろうな…だが、『アレ』がそれを許す訳がない」

「奴…あの男ですか」

「一瞬…ほんの僅かなあのやり取りで理解した。あの男に挑むのは蛮勇そのものだとな。お前もあの場にいたのだから薄々気付いているだろう?」

「…」


「黒猫と言われている男…あの者は、沖田総司とはまた違う…いや、全く別の」


ーーーー怪物だーーーー
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