Fate/Grand Ordar The lost memory 作:カラクリヤシキ
出会いとは『必然』なり
「これは…」
十分に休めることが出来た体を起こして、昨日会った女性の元に向かうためにまた生命力を察知した時だった。
あの女性を察知は出来たが、気配が少し荒れている…誰かと戦っていますね……
「彼女と似た強い生命力が一、二…七つも感じますね」
おそらく、その者達と交戦している可能性が高い。本来彼女のような強い生命力を持つ人等は、せいぜい二人か三人集まるだけでもすごいというのに、それが七つ?…いや、違うところからも似たような生命力が二つやってきて合わせると九つに…
「異常事態ですね…」
それに、彼女の近くに小さい生命力と少し変わった生命力を感じる。まさかそれを守りながら戦っているのでは…昨日より
「なんにせよ急がなくては…」
黒煙が青空に向かって上る。
建物と呼べる殆んどのものは壊れ、崩れて、まだ燃えているところもある。崩れた石壁には血がベットリと付いているものがあり、人の悲鳴はもう聞こえない。
この街、ラ・シャリテにはもう生きた人間は、一人もいない。生きていた人間は、物言わぬ冷たい体になってそこらの地面に倒れている。
そんな街中を私達は、歩いている。
「ランサー、私達もそろそろ違う街を探しましょう?」
「そうするとしよう。選り好みは出来ぬが我々には、血がなによりも必要なのだからな」
私の隣に立つ白髪の男性、ヴラド三世は、人の血を吸い生きる吸血鬼。人間の血を吸い生きる存在。私もまた血を欲する吸血鬼。
この街の人間だけでは、私達を満たすことができない。早く次の街を探し新鮮な血を浴びたい…
「少し遅かったですか。それほど遠くなさそうですが…此処も酷いことになっていますね……」
前から人の声が聞こえた。
「あら?」
「む?」
少し離れたところに人間がいた。
これには、私とヴラド公も少し驚く。この街は私とヴラド公、そしてさっきまでいた黒のジャンヌと率いていたバーサーカーと化したサーヴァント達で皆殺しにしたからだ。
だとするとこの人間は、別の街か村から来たことになる。なんとも間抜けな…
「この街にはもう生者はいなかったはず…わざわざこんなところに人間が来るとはな…」
「丁度いいではありませんか、こちらから行くことなく食事が向かってきたんです」
街を見ていた人間も私達に気づき、こちらに顔を向ける。
「…その気配から察していますが、念のために聞きます。この街をこのような惨状にしたのはあなた方ですか?」
人間如きにと少し癪に障るが内心で少し感心する。血と焼け焦げた肉の匂いがする
どうやらただの間抜けでもなさそうだが、それでも愚かな人間だ。サーヴァントの気配を察しても逃げないのだから…
「ほう…ただの人間が我々の気配を見抜き、そして怖れぬか…いかにも、これは余とこのカーミラ、そして他のサーヴァント達でやったことだ」
「ランサー、勝手に私の真名を出さないでくださる?」
「先程、名乗りを上げた方が良いといったのは貴様だ。別に構わんだろう」
真名をばらされたことに不満を言うが流される。
別にバレたところで問題なんてないし、名乗った方がいいと言ったが、やはりそれは、自分から名乗りたいモノ…もしかして、さっきの連中に真名をバラしたことを根に持っているのかしら…
「他…他にもあなた方のような方々がいるのですか…」
「それは、貴様には関係のない話だ」
「えぇ、それに聞いたところで意味などありませんわ。なぜなら…」
笑う、嗤う、目の前の哀れな人間を、これから食べられる人間を見て――――
「貴方は、今から血を抜き取られて殺されてしまうのですから」
杖を人間に向け
「光栄に思いなさい。貴方の血と肉が、私の美しさを更に輝かせるための礎になるのですから」
そう、これは、狩りと食事。恐怖して逃げる人間を殺し、血を糧とする。
恨むのなら私達に会ってしまった運の悪さと、こんな街にのこのこと来た間抜けな自分を恨みながら死になさい。
「ふむ、貴様が血を取るのならば、やはり私は魂だな!」
ヴラド公が手に持つ槍の切っ先を地面に向けて刺す。
ズッ
それと同時に地面から赤黒い杭が次々と突き出る。これがヴラド公の宝具の一端。任意の場所に杭を出現させ敵を全て串刺しにするもの。それをあの人間に向けて放った。
ドッドッドッドッド――――
無数の杭が次々と地面から突き出しながら人間の元に迫る。杭の勢いは衰えることなく人間の足元まで地面から抉り出て…
そして――――
「――――――――そうですか」
グシャッ
生者がいなくなった町にまた一つ鮮血が舞った…
「ごめんねタラスク…まったく、次はちゃんとした召喚であってほしいものね…」
そう言ってマルタは、消えた…
黒いジャンヌから離脱して街から離れた場所にある森で野宿している時、敵のライダー、聖女マルタが亀のような竜を連れて私達を襲った。
マルタの竜の突撃をマシュが疑似宝具で防いで、その時にできた隙をついてジャンヌが旗でマルタをなんとか倒すことが出来た…けれど…
「…いい人そうだったね」
マルタには、狂化というものが施されていたらしい。マルタが言うには、意識を強く持たないと話の途中でも私達を殺してしまいそうになるっていうくらい強力なものだとか…
「はい…きっと元はとても素晴らしい聖人だったのでしょう…」
私もそう思う…だってそんな状態でも意識を保って話したり、消える前に私達に敵の切り札?に対抗できる竜殺しがいる場所を教えてくれた人だよ…いい人だと思う。
もしかしたら、さっき私達と戦ったのも多分これから戦うことになる竜の強さを少しでも教えるためだったのかも…
それは、マルタにしかわからないけどーーーー
「もし、マルタのような人が狂化されて暴れているのなら止めてあげたいな…」
「…そうですね」
戦って救えたらいいな…
『!みんな気を付けて、そっちに誰かが向かっているよ』
「うん、僕の耳にもやっと聞こえるぐらいの音になってきたよ。とても静かな足音だね…」
モニターからロマンが誰かが近づいていることを私達に伝える。
私にはまだ見えないし足音も聞こえていないけれど、ジャンヌ達には誰かが近づいているのに気づいているようだ。でもアマデウスの耳でもやっと聞こえたってことは…サ-ヴァントじゃないのかな?
『でもサーヴァントの反応じゃない…え?嘘だろ!』
「どうしたの?」
『人だ…間違いなく人間がそっちに来ているよ!』
「私と同じ人が!?」
この特異点に来てから砦や街以外で、それもこんな森の中に人がいることに驚く。
アンデットやワイバーンが外にいるかもしれないのに何で此処に…避難でもしてたのかな?それとも…
「敵なのかな…?」
「いや、多分違うと思うよ。さっきの連中のような嫌な音なんて聞こえないからね」
アマデウスは、音で色々なものを聞き分けることが出来る。聞こえすぎて逆に困るけど…そのアマデウスが敵じゃないって言ってるってことは…
月の明かりが来た人の姿を照らす。
其処には、灰色の着物を着た男性がいた。
肩まで伸ばした黒い髪が、黒い羽織が風で小さく踊る。
とても柔らかい雰囲気を持った人…そう思った。着物ってことは、日本の人なのかな?
「貴方は!」
「昨日ぶりですね。無事でよかったです」
「はい!貴方も無事でなによりです!…本当に良かった」
彼の姿が見えた時、最初に反応したのはジャンヌだった。
凄く嬉しかったのか、来た男の人に駆け寄ってその人の手を両手で掴んでブンブンと振ってる…え?
「ジャンヌの知り合い?」
「はい、前に立香とマシュに話した私を助けてくれた方です!」
「この人が!?」
この人がジャンヌを助けてくれた人…もっとごつごつな鎧を着てたり、漫画に出てきそうな筋肉がすごい膨れてそうな人かと思ったら全然違った。背は、大きいけど優しそうな人…怖そうな人じゃなくて良かった。
「見つけることも出来ましたし…急いだ甲斐がありました」
男の人は、安堵した表情で言う。
私達を見つけた…どうやったんだろう?
「ねぇ、どうして私達のところがわかったの?砦からでも結構距離があったと思うんだけど…」
「それはあなた方の気配を察知していたんですよ」
「気配?」
「はい、私は、他の方々の生命力を探ることが出来るんですよ。今回は、あなた方の気配がとても強かったので意外と早く見つけることが出来ました」
それで私達のところが…町からかなり離れているこの森でも探すことが出来るのはすごい力…もしかしたらルーラーより探せる範囲が広いんじゃないの?!
『え、気配が分かるって一体どんな…ちょっと待った。ここから朝行った町でも20㎞は軽くあるんだけど…まさか此処まで走ってきたのか!?』
「?ええ、少し遠かったですが問題はありませんでしたよ…今の声は何処から……」
『あ、ごめん。僕は、其処にいる人達をサポートをしているロマニ・アーキマン。長かったらロマンって呼んでくれていいよ』
ロマンも驚いているけど仕方ないと思う。あの砦のところからでも結構距離があると思うんだけど…そこから走って来れたってことは、見た目よりも凄く鍛えられているのかな…すごいなぁ…
「えーと…皆、何の話をしているのか私達にも教えてくれないかしら?」
「うん、僕もよくわからないところがあるから教えてほしいな」
アマデウスとマリーが教えてくれと頼む。
そうだった。二人は会ったばかりだからジャンヌの話を聞いてなかったんだった…
「えっとね、この人は、私達と会う前のジャンヌを助けてくれた人なんだよ」
「はい!じつは――――」
「まあ、そんなことがあったのね!ジャンヌを助けてくれてありがとう!」
「いえ、そんな大層なことは…」
ジャンヌが前に私達に言っていたことをマリーとアマデウスに教えるとマリーが凄く目をキラキラさせて彼に近づくてお礼を言う。彼の方は、そんなマリーの勢いに少しびっくりしてしまっているようだ。
うん、今日会ったばかりだけどマリーは、色々と勢いが凄い人だよね…さすが王妃…
「マリー、少し落ち着きなよ。彼、君の反応に驚いているから」
「ああ、ごめんなさい。でも凄くうれしくってつい…」
「いえ、大丈夫ですよ…それより」
マリーが落ち着いて彼から離れた後にジャンヌを見る。
「あなたに聞きたいことがありまして」
「私にですか?」
ジャンヌに聞きたいことがあるらしい…なんだろう?
「この国に何が起きているのかを知りたくて…何かご存知ではありませんか?」
「…それは」
どうやらこの人もジャンヌと同じで、この状況がよくわかっていないらしい。ジャンヌが説明するのは辛そうだし…うん、私もまだ全然わからないところがあるけど私が説明した方がいいかな…
「実は」
『それは、私が説明しよう』
通信が繋がる。だけど今度は、ロマンじゃなくてダヴィンチちゃんになってる?
「また虚空から…先程の男性の声とは違いますね」
『ロマンにちょっと交代させてもらったんだよ。私は、レオナルドダヴィンチ。ロマンと同じくカルデアからサポートをしている天才さ。ダヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ』
「だう゛ぃんちさん、ですか…」
彼が少し言いにくそうに名前を言う…もしかして横文字が苦手なのかな?
『では、早速、この世界に何が起きているのかを説明するとしよう。まずはカルデアからかな』
そこからは、私達が行っている事、サーヴァント、カルデア、そして今この世界で何が起きているのかをダヴィンチちゃんが説明してくれた。
さすが自称天才。説明が分かりやすかった気がする。
「…まさか、世界がそのようなことになっていたとは…そして昔の偉人や伝説に出てくる方々がさーう゛ぁんと?という存在になっているんですね…」
「そうだよ、それで今此処にいる私と貴方以外の人達がそのサーヴァントなんだよ」
「私は、マリー・アントワネット。気軽にマリーってお呼びになってくださいな!」
「僕は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。僕も軽い呼び方で呼んでくれていいよ」
マリーとアマデウスが彼に名前を教えてくれた。真名を教えてくれたってことは、どうやら二人は、彼の事を警戒してないようだ。マリーは、ジャンヌの事でもう警戒なんてないだろうけどね…
「私は、先輩のサーヴァントのマシュ・キリエライトです。少し他のサーヴァントとは違いますが宜しくお願いします」
「あの時は、名前も言わずに申し訳ありません…私は、ジャンヌ・ダルクです。よろしくお願いします」
マシュとジャンヌも教えてくれた。ジャンヌは、昨日会ってたからね。マシュも問題なさそう…
あ、私、最後になっちゃったけど…まぁいっか!
「それで最後が私、藤丸立香!マシュのマスターをしていて、最後のマスターをしてます!」
「これは、皆様ご丁寧に…私は、黒猫と呼ばれております。どうぞお好きなようにお呼びください」
彼が私達に名前を教えてくれた。…黒猫?それってあの猫の?
「黒猫ですか…?」
「黒猫さんですか」
『ロマンから聞いたジャンヌの話を聞くと、すごいギャップな名前だね…』
マシュとダヴィンチちゃんは、ジャンヌの話を思い出ていたようだ。
うん、私もアンデット達を倒した人が…って思ったけどそれ以上に思ったことがある…
それは…
「すごく可愛い名前だね!」
「ええ!立香の言う通り、とても可愛らしい名前ね!」
マリーも同じ気持ちだったようだ。男の人に可愛いって言うのもあれだけど羽織が黒いのもあるのか、この柔らかい雰囲気もどことなく猫っぽく感じる…私だけかな?
「ーーーー」
でも自分の名前が可愛いと言われている黒猫さんは、何故か呆然とした表情で固まってしまってる。
「どうかしたの?」
「いえ、ただ少し前の撤回を…可愛いと呼ばれるのに慣れてなくて…」
どうやら前にも言われたことがあるらしく、慣れていないのか少し気恥ずかしそうにしていた。
心の中でそれが少し可愛いと思ったのは内緒にしておこう…
「それで皆さんは、これからどうするかは、もう決まっているのですか?」
皆の自己紹介が終わって一区切りしたときに黒猫さんが私達に次の目的地を聞く。
たしか次の街は…
「うん。これからリヨンっていう街に行ってみようと思ってるんだ」
「これからですか…急ですね…その街に何か重要なことがあるんですか?」
「そこにジャンヌ達と同じサーヴァントがいるらしいんですよ」
マルタの話の通りなら其処に目的のサーヴァントがいるはずだけど、まだいるのかはわからない。
「敵ではないのですか?」
「まだわからないけど、どうやらその人が敵のジャンヌの切り札に対抗出来るらしいんだ」
「敵の切り札ですか」
「はい。ですが、私達もそれぐらいしかわからなくて…まだ敵の戦力がどの程度のものなのかもまだ…」
「そうですか…」
マシュの言っている戦力は、私も気になっている。マルタの言う『究極の竜種』っていうのがどれぐらい強いのかもわからないし敵の数も不明だし…もうわからないことだらけ…そういえば
「黒猫さんは、これから何処か行くところとかあるんですか?」
「特にありません…気づいたら此処に居たので…」
気づいたら此処に居た?どういうことなんだろう?
「それはどういう…」
「私もそこがよくわからなくて…寝てしまったのは覚えているのですが…その後は……」
黒猫さんは、本当にこの場所が何処なのかも分かっていないようだ。起きたらいつの間にか別の場所にいたなんて…って普通は、考えにくいけど、もしかしたら世界がおかしくなってるからなのかな?
「黒猫さんは、やっぱり日本人だよね…この時代にも日本の人っていたっけ?」
『服装からしてもやはり日本人だね…この時代に黒猫なんていう人がいたなんて聞いたことがない。…もしかしたら人理焼却のせいで何処かの世界で巻き込まれたのかもしれないね』
「巻き込まれた…ですか……」
ダヴィンチちゃんも詳しくはわからないらしい。でも人理焼却で世界がめちゃくちゃになってるから、こういうことも起きる可能性だってありそう…だとすると黒猫さんは、知っている人なんていないこの国でたった一人で行くことになっちゃうよね…
…そうだ!
「ねぇ、私達と一緒に来ない!」
「あの…よろしかったら貴方も一緒に来ませんか?」
ハモった…それも盛大に…まさかジャンヌもそう考えているとは思わなかった…
「私ですか…よろしいのですか?」
「うん!こんなところで一人にさせるなんてできないからね」
黒猫さんは、誘われるとは思っていなかったのかキョトンとしてるけど、そんな状況になっているような人を置いていくなんて、一人にさせるなんて私には出来ないよ。
「私も賛成です。昨日も話しましたが、やはり一般の方を一人にするのもよくありませんし、味方が増えるのはとてもありがたいです」
『私も特に言うことはないかな。話していて悪い人でもなさそうだし、ジャンヌの言う通りなら、かなりの戦力になるはずだ』
「私も大賛成よ!旅はやっぱり出会いが大事ですもの。それに人が増えればいっぱいお話が出来るわ!」
「僕もいいと思うよ。マリアの話相手が増えるのは喜ばしいことだし、雰囲気もとても僕好みだからね」
皆も黒猫さんを連れていくことに賛成してくれた。よかった…
「…どうでしょうか?」
ジャンヌがまた聞き直して黒猫さんを見る。黒猫さんも私達の事を見る。
…ちょっと緊張する。もしかしたら断られるんじゃないか…
そう思った時
「ーーーー私でよろしければ、どうぞ宜しくお願い致します」
私達に頭を下げて一緒に来ると言ってくれた。
やった…断られるんじゃないかって思ったよ…って!
「頭なんて下げなくていいからー!」
頭を下げるなんて思わなかったから思わず声を大きくして言ってしまった…
ーーーー黒猫さんを仲間に出来ていい感じだと思ったのに最後の最後で…恥ずかしい……
やぁ、こんばんはー!なんとかマスターとの出会いを書くことが出来ました…結構大変でしたが書けてよかったです。マスターの立香ちゃんのところに黒猫がサポートキャラとして参戦しました…という感じでなんとか終わらせましたがいかがでしたか?
次回の投稿予定は、また活動報告にて書かせていただきます。時間がありましたらどうぞゆっくり見に来てくださいませー!
ではー!