Fate/Grand Ordar The lost memory 作:カラクリヤシキ
森から歩いて朝になり、リヨンに行く途中にまだ襲われていない街を見つけて情報をマリーが持ってきてくれて、その情報を話終えた頃…
「お役に立てず…すみません」
「気にしなくていいよ!言葉が分からないんだもん。しょうがないよ」
私は、謝る黒猫さんにフォローする。
どうやら黒猫さんは、街で情報を得たかったけど言葉がわからなくて一緒に行けなかった事を気にしているようだ。
しょうがないと思う。言葉がわからないんじゃ情報を手に入れるのなんて難しいなんてもんじゃないよ。
「そうよ。それにせっかくいい情報を手に入れたんです。もっと喜んで!ね?」
「…はい」
頑張ってくれたマリーにも言われたからか、黒猫さんは、自分に納得させるように言う。
どうやら持ち直した感じ、大丈夫っぽいね。…でも
「情報通りだと、リヨンがもう滅んじゃってるんだよね…」
「ええ…でもそこにサーヴァントがいる可能性が高い情報もあったので、悪い話だけではありません」
マリーが持ってきてくれた情報にリヨンには、滅ぶ少し前にワイバーンや骸骨兵を倒していた守り神みたいな人がいたらしい。でもその街に複数のサーヴァント達が襲ってきてその守り神は行方不明になって、守り神がいなくなったリヨンは――――
頭を左右に振る。
「先輩?」
「ううん、なんでもないよ!」
いけない、いけない。嫌なことばかり考えすぎだね…もっと前向きに考えないと!
それに、助けたいって思っている人は、私達だけじゃない。もう一つの情報に生前のジャンヌと一緒に戦っていたジルという人もフランス軍と共にリヨンを取り戻そうとしているらしい。私も頑張らなくちゃ…
「……」
「黒猫さん?どうしたの?」
黒猫さんが私をじっと見ている。どうしたんだろう?
「あまり無理はなさらないでくださいね」
……
一瞬、心臓が止まったんじゃないかと思った。
「…え?」
「いえ、なんとなくそう思っただけです。お気になさらず」
「そっか…うん、ありがとう!でも無理はしてないから平気だよ」
なんとなく思ったことを言っただけらしいけど私には、
「…ん?ちょっと待った」
そんな話をしながら街から出て歩いている時、アマデウスが皆を止める。どうしたんだろう?
「あの兵士たち、やけに殺気立ってないか?
戻ってきた風には見えないぞ」
前を見ると、少し離れているところに兵士たちが見える。
たしかに遠目からでも戻ってきたような雰囲気じゃない。それにみんな剣を抜いている…
「…どうやら賊に堕ちた兵士たちのようですね」
街や一般人を守る兵士が賊になって街を襲う…こんな状況にもなれば大抵の人は、壊れちゃうよね。
「この街に被害は出したくありません。私達で彼らを拘束しましょう」
「生け捕りですか…それなら私もできますね。でしたら彼らの相手は、私がしましょう」
黒猫さんが前に出る。サーヴァントでもない黒猫さんに任せるのは少し気が引く…でも黒猫さんの力も今の内に確認したいのもある。
「10人くらいいるけど大丈夫?」
「ご心配せずに、それに立香さんは、まだ旅に慣れていないのでしょう?このような場所で体力を使うよりも大事な時に使った方がいいですよ」
少し驚いた。
「…」
「私も彼なら大丈夫だと思います」
私が黒猫さん一人に任せるか悩んでいるのがわかったのかジャンヌが黒猫さんなら任せられると言う。ジャンヌは、間近で黒猫さんの戦いも見ているからなのか、どこか信頼している感じがする。やっぱり話に聞いた通り凄いのかな……よし
「…わかった。黒猫さんに任せます。あ、でも無茶はしないでね?危なかったらすぐ加勢するから!」
「念のため、私が盾になる準備もしておきます」
マシュは、いつでも動けるように盾を構えてくれている。
「ありがとうございます…ですがその心だけで充分です」
そう言って黒猫さんは前に見える兵士たちに近づく。兵士たちは、近づいてくる黒猫さんに気づいて歩いていた足の速度を上げて接近する。黒猫さんのことを殺そうとするのが離れてる私にも伝わる。走ってきた兵士たちが持つ剣の間合いまで黒猫さんに近づき、そして持っている剣を大きく上げて――――
パコンッ ゴチンッ
振り下ろそうとした時、突然何か硬いものがぶつかったような音が何回も鳴り響いた。
その音がして間もなく、黒猫さんの前にさっきまで襲う気満々だった兵士たちが全員倒れた。
……え?
「え?あれ?」
「…あら?あの人達、急に倒れたわ?」
「はい…ですが先程まで戦おうとしていた人達がいきなり倒れるなんて……?」
どうやらマリーもマシュもよくわからなかったようだ…一体何が起きたんだろう?
「これで暫くは、目は覚めないでしょう。皆さん、すみませんが運ぶのを手伝って…どうしました?」
黒猫さんは、何事もなかったように私達に兵士たちを運ぶのを手伝ってと言うけど、今何が起きたのか分からなくて混乱していてそれどころじゃないよ…黒猫さんに聞いてみよう。
「黒猫さん…どうやってこの人達を?」
「?彼らの頭にげんこつを当てただけですが…」
「げんこつ?」
…あぁ、よく子供が悪戯をして親に叱られる時に頭に拳をぶつけるアレかぁ。心なしか倒れている兵士の頭から小さい煙が上がってるように見える……あれ?げんこつってそんなに早いものだったっけ?
「マシュ、今の見えてた?」
「いえ、まったく…」
「まさかただのげんこつだったとは…昨日もですが、改めて見ても殆ど何も見えませんでした…」
マシュもジャンヌも見えてなかったようだ。
…いくら経験不足なマシュやサーヴァントになったばかりのジャンヌでも英霊、私より何倍も強い身体能力を持っている人達が見えなかった…?
ジャンヌの言ってた通り、凄く強いんだ…
賊たちを縛り上げて街の役人に引き渡してからリヨンの街に向かって
「誰もいないね…」
街の中に入ってみると、そこには人が一人もいない。あるのは崩れた建物だけ…やっぱり生存者はいないのかな……
「ドクター、生体反応は――――」
マシュも気になりロマンに通信を繋げる。
だけどいつものように映像が映ることがなく。ただ雑音だけが聞こえる。そういえば朝から一度もあっちから連絡が来てなかった。調子でも悪いのかな…
「繋がらないね…」
「…はい」
ロマンにも繋がらないとなると、自力で探すしかないか…でも結構広い街だから探すのは一苦労だ。
「じゃんぬさん達のような強い反応は見当たりませんね…」
黒猫さんが辺りを見渡して言う。どうやら私達を探した時に使っていた能力?で探してくれてたようだ。強い反応がない…もう此処にいないのか…それとも弱い反応でわからないのか…よし
「ここは二手に別れてマルタが言っていた竜殺しのサーヴァントを探そう」
「はい、私もそれが一番最善だと思います」
「どちらが先に見つけるか競争ね。私とアマデウスは西側を選びます」
「私とマシュは東側ですね」
マリーとアマデウスが西を、ジャンヌとマシュが東を探すことになった。私は、どうしようかな…此処は、付き合いの長いマシュ達の方にしよう。
「じゃあ私は、ジャンヌとマシュの方についていくよ。黒猫さんはどうしますか?」
「そうですね…人数も丁度半分になるので、まりーさん達についていきます」
たしかに私達の方に黒猫さんが加わったら4人になっちゃうね…ちょうど3人で分けられるし、バランスがよさそうだ。
「決まりだね。それじゃあ行こっか!」
「黒猫さん、マリー、アマデウスまた後でねー!」
立香が東側に行きながら手を振っているのを見て、私も手を振り返す。
「さぁ、私達も行きましょう!」
「はい」
「うん、行こうか」
黒猫さん、アマデウスと3人で西側へ向かう。少し歩いたけど、やっぱり誰もいない。静かね…そうだ
「ねぇ、何かお話しながら探さない?」
黒猫さんとアマデウスに話ながら歩こう。崩れてる街で無言で歩くのは少し居心地が良くない。せっかく3人で行動するんですもの。探しながらでも話がしたい。
「そうですね…私は、御二人の生前が知りたいですね」
「私達の?」
黒猫さんは、私とアマデウスの生前が聞きたいらしい。名前は、知られてると思ってたけど…
「僕を知らないのかい?世界でも結構知られているはずなんだけどね」
「すみません…」
「いや、責めてなんていないよ。うん、僕の生前は、音楽家だよ」
「音…
「うーん日本のとは少し違うけど、まぁそれで合ってるよ」
どうやら黒猫さんは、私とアマデウスのことがわかっていない様子。そういえばダヴィンチちゃんっていう人が何処かの世界に巻き込まれたって言っていたような…もしかしたら私達が生きてた頃よりも前の時代にいたのかしら?
「次は私ね。私の生前は、お姫様をしてました!」
「え?姫ですか…」
黒猫さんが少し硬直してしまう。何かまずかったかしら?
「これからは、まりー姫とお呼びした方が…」
…あぁ、呼び方の事で悩んでいたのね。
「もう、駄目よ。全然ダメよ黒猫さん!そんな窮屈な言い方はなし!何時ものようにマリーってお呼びになって」
「僕もマリアも堅苦しいのが苦手だからね。いつも通りに接してくれればいいよ」
「…わかりました」
全部は言い切れないから私もアマデウスも少し掻い摘んで生前の話をした。まだまだ話したいことは、あるけどまた次に話すときのために取っておくのも大事なこと。
「今度は、黒猫さんのーーーー」
話を聞こうとした時、黒猫さんが立ち止まる。どうしたのかしら?
「東の方…立香達のところで何かあったようですね」
「うん、僕にも聞こえるね。嫌な音だ。急いだ方がいいかも…げっ」
「どうかしたの…あぁ」
どうやら黒猫さんは、何かを感じ取って止まったようです。立香達のところで何かがあったらしい…アマデウスも何か聞こえてるようだったけど、凄く嫌そうな顔をして前を見ている。
理由は、すぐにわかった。
「本当に嫌だよ、この音は…敵意しか感じない空気を切る翼の音、リズム感なんて一切ない足音」
私達の前にリビングデッドが何体も歩いてきている。そして、遠くにワイバーンが飛んできているのがわかる。
「全く急がないといけないというのに…こういう時って大体こんな感じで邪魔が入るよね」
「そうね…でも駄々を
「この数を相手にするのは少し時間が掛かりそうですね…仕方ありませんね」
黒猫さんが、近くにいるアンデットを殴り倒して道を開ける。
「まりーさん、あまでうすさん、先に行ってください」
「え?」
「この数です。まともに相手などしていれば時間を取られてしまうでしょう。ですので御二人は、先に立香さん達の所に向かってください」
黒猫さんが私とアマデウスを立香達の所に早く行けるように此処にいる敵を引き受けると言う。私の見る限りでもアンデットの数は、15は軽く越えている…それに向こうからワイバーンが何体も来ている。この数を一人では…
「でもそしたら貴方が…」
「問題ありません。それより早く立香さん達の所に…あなた方と似た反応もあるようなので急いだ方がよろしいでしょう」
黒猫さんが立香達のいる方向を見て言う。確かに彼方にはサーヴァントの戦闘が行われているのが魔力の余波で伝わる。でもいくら黒猫さんが強いとわかっていても生身の体。一つ間違えれば…
「マリア、此処は、彼に任せよう」
「アマデウス!」
「何も考えなしで言ってる訳じゃないさ。立香達のところでも戦ってる音が聞こえてる。彼の言う通り急いだ方がよさそうだ…それにリビングデッドを簡単に倒せているし、多分大丈夫だと思うよ」
…たしかに、
…それなら
「……わかりました…でも黒猫さん、一つ約束しましょう?」
「約束?」
「ええ、とても簡単なことよ。無事に戻って私に貴方のお話を聞かせてちょうだい!」
「私のですか?」
「はい、それが私との約束です。守ってくれますか?」
多分これが今できる私の最大の行動。無事に戻って来てくれることを約束してもらう。こんな形でお別れなんて嫌ですもの。
「わかりました。無事に戻れるよう善処します」
「約束よ!行きましょうアマデウス!」
「うん。黒猫、くれぐれも無茶はしないでくれよ。僕もマリアと同じで君の無事を願っているよ」
「…はい」
アマデウスも彼の事を気にかけてくれてる。私もくよくよしていられない。黒猫さんに約束をしたんですもの…死なないよう頑張らないと!
「あれなら無事に合流出来そうですね」
まりーさんとあまでうすさんが、立香の元に行くのを目の端で確認する。あれならすぐに追いつくでしょう。
「さて」
「ガァア!」
ベキャッ
突進してきた竜の胴体を殴り、動く屍を巻き込んで建物の壁に叩きつける。竜も来ましたか…脆く容易く倒すことが出来て、まだ数は五体とそんなに多くのはないのですが…
「数は…三十、いえ増援の如く増えてきて五十はくだらないですか」
街の外から竜達の気配が
「ガァ!」
バキョッ
胴体を殴り付けて石壁にぶつける。
「
それに、立香達の方に今までの敵よりも強い生命力が一つ、それにじゃんぬさんと似た気配もしますね。急いで向かいたいですが…
「このまま走って向かえばこの竜達を立香さん達に押し付けてしまう可能性が非常に高い…街の外から感じる竜達も然り」
それが一番避けたいもの。行く宛がない見ず知らずの私を拾ってくれた人達に、そのような迷惑はかけたくない。
…ならばやることは一つ
ーーーー西側の外から来る竜も
東側を探しているときに遭遇したワイバーンとリビングデッドを倒していた時に新たなサーヴァント、
「ああ、激しい攻撃だ、とても、とても…」
「この!」
「はぁ!!」
それをジャンヌとマシュが私を守りながら倒そうと頑張ってくれている…だけど攻撃を全て避けられてしまう。
「攻撃をたくさん避けてる…けど」
あのサーヴァント、あまり積極的に攻撃はしてこない…もしかして時間稼ぎ?
何回か攻撃はしてくるけどそれをマシュが盾で防いでその隙にジャンヌが旗で横薙ぎをするけどギリギリで避けられて届かない。これじゃあ、いつまでも戦闘が終わらない…オペラ座の怪人の弱点は…
「横から失礼するよ!」
後ろから声が聞こえた時、とても大きい音が辺りを響かせる。この音は、前の街で聞いたアマデウスの…ということは
「マリー!アマデウス!」
後ろを向くとマリーとアマデウスがこっちに向かって走って来ていた。さっきのはやっぱりアマデウスの攻撃だったんだ。
「!?ぐっ」
オペラ座の怪人もアマデウスの攻撃が予想外だったのか避けられずに受けてしまい地面に手をついて動けないでいる。これなら!
「ジャンヌ!今がチャンスだよ!」
「はい!はぁあ!!」
「ガっ!!」
ドッ
ジャンヌが勢いよくオペラ座の怪人に向かって駆け、その勢いを殺さずに旗を振りかぶりオペラ座の怪人にぶつけた。
今度こそ決まった…!
「霊核を破壊しました!」
ジャンヌがオペラ座の怪人の霊核を破壊したことを伝える。サーヴァントにとって現界を保つのに必要な心臓とも呼べるような器官を破壊できたってことは…
「私の歌は、ここで終わりか…」
オペラ座の怪人の体が金色の粒子になって消えていく。どうやら本当に倒せたようだ。
「あぁ、竜が来る。邪悪な竜が…恐怖と絶望をお前達に与えに来る……」
「邪悪な竜…?」
ファントムは、仰向けに倒れたまま最後にそう呟きながら消えていった。邪悪な竜…もしかしてマルタが言っていた究極の竜種のことかな?
「間に合ってよかったわ」
マリーが安心したようにほっと息を吐く。マリーとモーツァルトも無事でよかった。それに加勢してくれたお陰で早く倒せたよ…
「助かったよ…あれ?黒猫さんは?」
「彼は、僕達を先に行かせるためにまだ西側で戦ってる筈だよ」
だから此処にいないのか…やっぱり西側もリビングデッドやワイバーンがいた感じだったのかな……って?!
「え!?それじゃ今すぐ助けに行かなきゃ!」
『やっと繋がった!皆無事かい!』
「ドクター!?」
通信がやっと繋がったようだ。やっぱり通信の調子が悪かったのかな…
『無事みたいだね。よかった…あれ?黒猫さんがいないけど…』
「今から戦ってる黒猫さんのところに行くところだよ!」
『えぇ!黒猫さんと離れて戦っちゃってるの!?…ってそれも大事だけど待って立香ちゃん!そっちにサーヴァントを上回る生命反応が向かって来てるんだよ!』
「え!?」
サーヴァントを上回る生命反応なんて…もしかして、究極の竜種?!
『しかも今、サーヴァントが三騎も向かっているのも感知した!今すぐ黒猫さんを連れて其処から離れるべきだ!』
しかもサーヴァントが三騎も…たしかに此処は、ロマンの言う通り撤退が一番なんだろう。だけど、もしその生命体が話の通りなら…
「ーーーーいや、残るよ」
『立香ちゃん!?』
「此処で逃げちゃったらその強いやつを倒せるかもしれないサーヴァントを置いていっちゃうことになるんだよ!」
「たとえ逃げれたとしても此処にいる可能性がある竜殺しを見つけることがもうできないと思います。ここは探しましょう!」
ジャンヌが賛成する。此処で逃げれてもその竜が倒せなければ私達には勝ち目がない。たとえ危険でも探した方がいい。
「それにまだ黒猫さんが私達のために戦ってくれてるんだ!引けるわけない!」
「私も残ります。サーヴァントを上回る生命体が相手になるのならば竜殺しが絶対に必要になるはずです」
『……あぁ!もう時間がない!わかったよ!こっちもその方向でサポートするよ。えっとこの街に君達以外のサーヴァントは…』
「…!この先の城から僅かにですがサーヴァントの気配を察知出来ました。おそらくそれが」
「竜殺しのサーヴァント!」
ジャンヌがルーラーの能力を発揮して即座にサーヴァントの居場所を特定してくれた。さすがジャンヌ!早い!
『その先の城からサーヴァントの反応がするって早!?流石ルーラー…久しぶりに僕が活躍出来たと思ったのに……』
「あ、すみません…」
「ジャンヌさん、平気ですよ。今はドクターよりそのサーヴァントの回収を優先しましょう!」
『マシュ、ちょっとスルーされるの僕的に結構くるものがあるよ…たしかに遊んでる場合じゃないけど』
ジャンヌがロマンの仕事を取っちゃったことに謝るけどそんなことは二の次という感じで建物の中に入る。ロマンがズンと落ち込んでるのを映像で見て心の中で苦笑する。
時間がないからね…うん…黒猫さんもう少しだけ頑張って…
それから数分掛けて、マシュとジャンヌが目的のサーヴァントを見つけて連れてきてくれたから西側に行きたかったけど…
「…何をしてるかと思えば、瀕死したサーヴァント一騎ですか…」
やっぱり間に合わないよね…
黒いジャンヌが想像よりも遥かに上回る大きさの邪竜の背から私達を見下ろす。あれがマルタの言っていた竜…ワイバーンが赤ちゃんのように感じる程の大きさ、存在感…手が震えるのを抑える。
「しかし信じられませんね。その戦力であの2人が殺られるとは……」
黒いジャンヌが私達を見ながら心底分からないと言う。あの2人が殺られた?一体何の事を言ってるんだろう?
「何の話?」
「今更惚ける必要がないでしょうに、全く忌々しい。あなた方がバーサーク・ランサー、そしてアサシンを倒したのは分かってるんですよ」
ランサーとアサシンが!?たしか昨日戦ったヴラド三世とエリザベート・パートリーのことだよね…あの二人も強かったけども…
「私達じゃないよ!それに、その人達って前の街で戦ってからまだ会ってもいないよ」
「訳のわからないことを…あなた方以外に
本当にやってないのに…でも確かに、私達以外だとすれば一体誰なんだろう?
「それにランサーとアサシンが宝具を使ったのも知ってます。宝具を使う…つまりそれ程の相手だったということ…あなた方以外にいるとは思えません」
「宝具を使った?」
たしかにサーヴァントを二人倒せるなんて、それも宝具を使わなきゃいけなくなるなんて、サーヴァント同士の戦闘じゃないと考えられない…でも私達は、本当に知らない。
だとすると、他に召喚されたサーヴァントが?
「…長話もここまでです。諸共に滅びなさい……!」
いよいよ黒いジャンヌが邪竜に命令を出そうと動きだす。まさかあの竜の攻撃が来るの!?
「私が出て防ぎます!」
「何を言ってるの?!」
マシュが盾を使って防ぐと言ってるけど限度がある。あんな大きな竜の攻撃を防いだらマシュでも無事かどうか…
「私もマシュさんと合わせて防ぎます!」
ジャンヌがマシュと一緒に前に出る。二人で宝具を発動して防ぐつもりだ…
「灼き尽くせファブニール!」
黒いジャンヌが邪竜に命令する。私達を焼き殺せと、私でもわかる。あんな竜が放つ炎なんて当たったら文字通り消し炭になってしまう。
「仮想宝具…」
「
マシュとジャンヌが私達を守るためにお互いの宝具をいつでも発動出来るように構える。
そして、邪竜の攻撃が放たれーーーー
………
……
…ん?
「…………あれ?」
身構えるも、一向に攻撃が来ない…来てほしくはないけど…どうしたんだろう?
「あの、先輩…邪竜が攻撃してきません」
「そうだね…それに私達の事を見てないよね」
何故か邪竜が攻撃してこないのもあるけど、あの邪竜、何で明後日の方向を見てるんだろう?…
黒猫さん、大丈夫かな……黒猫さんも凄く気になるけども今は、邪竜の方に集中しよう。
「どうしたというのですファヴニール!?」
黒いジャンヌも想定外だったのか、さっきまでの余裕が嘘のように消えて、少し焦りだしている。
あっちのジャンヌも予想外だったんだ…何であの竜は、攻撃してこないんだろう……あれ?よく見たらあの竜、なんだか
「すごく
「はい、私もそう見えます…ですが何故?」
マシュとジャンヌもそう見えるようだ。あの大きい竜、ファヴニールだっけ?何だか体を縮み込んで後退りしている…何かに
「ファブニールが怯えるなんて…まさか竜殺しが
竜殺し?あれ?でもそのサーヴァントってジャンヌとマシュが連れてきた人のことじゃ…
「何故攻撃してこなかったのかは、わからないがお陰でわずかだが魔力が回復した」
さっき連れてきた負傷したサーヴァントが大剣を前に構えてる。そして、持っている大剣に魔力が集まりだしていくのがわかる。もしかして…宝具!?
「久しぶりだな、
「ッ
向こうの黒いジャンヌもそれを察したのか直ぐにその場を引くためにファヴニールに指示を出す。あの巨体でも、もう飛ぶ準備が出来てる!?
「蒼天の空に聞け!我が真名はジークフリート!汝をかつて打ち倒した者なり!宝具解放……!
『
負傷したサーヴァントが宝具をファヴニールに向けて放つ。青と緑が混じった衝撃波が地面を抉り大気を震わせながらファヴニールに迫る。だけど、間一髪の所で攻撃を空に飛んで
惜しい。あの宝具が当たっていれば多分倒せたと思うのに…
「外したか…離すことは出来たが、今ので限界だ…」
「大丈夫ですか!」
宝具を放ったサーヴァントが手に持つ大剣を落とし、地面に膝をついてしまった。マシュがその人に近寄る…もしかして、さっきの宝具で傷が悪化したんじゃ…
「先輩、此処から離れましょう!」
「うん、西側に向かって黒猫さんを連れてこの街から離れよう!」
マシュが倒れたサーヴァントを肩で支える。幸い黒いジャンヌの方は上空に離れて警戒してくれてるからか攻撃は、来ない。多分今がチャンス…
「まさか竜殺しのサーヴァントを拾ってるなんて…これでは迂闊にファヴニールが出せない…アサシン、バーサーカー!私は、城に戻ります。貴方達は、あの者達を追いなさい!」
「わかりました」
「…urrrr」
黒いジャンヌが邪竜と共に街から離れる。それと同時に黒い靄で姿が見えにくい全身を鎧に覆われている人と白髪の男性が私達の行く手を阻むように前の道に現れる。
そうだ…まだあと二人サーヴァントがいたんだった…負傷している人もいるのにサーヴァントが二人も…怖いけどしかたない!
「マシュは、その人を守って!ジャンヌ、マリー、アマデウスは、2人の相手を!」
「了解!」
「はい!」
「ええ!」
「いいよ。僕の見間違いじゃなきゃ、あのやろうには強い音で退場させてあげるよ」
皆がそれぞれ構え目の前のサーヴァントの戦闘を始まる。
ごめん黒猫さん…まだそっちに行けなさそう。
……え?敵にアマデウスの知り合いがいたの!?
やぁ、こんばんは…
やっと書けました…やりました!書けて嬉しいです。間接的な黒いジャンヌとの出会いという形まで行けました。
活動報告に第8話の報告を書かせてもらっていますので、時間がありましたらどうぞごゆるり見に来てください…!
ではー!