第二次月戦争の跡 少年編   作:まぐねたー

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成り立ち

 戦争が起きたら恋人が、家族が、友人が、戦争に駆り出される。そして死ぬ。だから戦争は悲劇なんだ。代わりに死ぬ為に、戦う為に、無人戦闘機が暴走しない様に、僕達は造られた。元々は純粋に優れた人間を造るつもりだったらしい。例えば整った顔立ちとか体格とか免疫力とか。けど、いきなり方針が変わった。失敗作の臓器を売ってたら悪い奴に目を付けられたから、排除する為にそうなったとか言われてるけど、兄は言った。

「その前に研究中の代表とその場にいた兄弟が突然何者かに殺されて、補佐が代表になってから「これからは誰にも殺されない人間を作りましょう」と言ってさらに強さの限界を引き出そうと方針を決めたんだよ。資金使いも荒くなって、臓器や人身売買もするようになった。俺達の研究は誰にもバレちゃいけないって言うのに。人間が人間を造るなんて許されない事なのに。」

 そう言った。じゃあ僕らの存在は間違ってるの?でも僕は戦争が起こったら市民の代わりに戦うってヒーローみたいでかっこいいと思う。戦う為に産まれた訳じゃない人達を寄せ集めても死なせるばっかりで、戦う為に産まれた僕達が戦った方が遥かに勝率も高いというのも頷ける。だから自分には誇りを持っていたけど、外の世界は人間が人間を造る事を許さない。二度とそんな事が出来ないように徹底的にここは潰されるだろう。外の世界の人達の為に造られたのに。

 ある日、敵の暗号が解けるように辞書で外の世界の物を調べていた。

 お父さん、お母さん、記念日、花束、結婚式…どれも意味を調べるうちに羨ましくなった。こんな物がある社会で暮らしてみたい。

 僕らにはお父さんとお母さんと呼べるものがない。みんなクローンだし、産みの母はお姉ちゃんだし、クローンの元になった人とももう遺伝子的にかけ離れてる。僕らは2歳になったら姉から引き離されて、男子寮に入って、スパルタ教育を受ける。

 記念日には美味しい物を食べたり、プレゼントをしたり、遊びに行ったり…そこには色取り取りの綺麗な花も飾られているかもしれない。

 結婚式は女の人が白いドレスを着て、男の人はスーツ?よく分かんないけど見てみたい。他の兄弟もよく分かってなかったけど、ご馳走が出る事には関心を持っていた。他の兄弟もよだれを垂らして料理を見ていたので辞書は貸し出し禁止になった…

 いつか僕らが社会に認められて入っていけたらそんな事が出来るのかな?でもここを潰しに来る人間を排除するのは良い戦闘訓練になると上層部が通信で言っていて、全然争いを止める気はなかった。そのいつかは当分先になるだろう。

 攻撃が激しくなって生身で戦えなくなった時、今まで遺伝子改良してきた意味なんてなかったんだと、死ぬ為に産まれた物なんだと思った。だから海から衛星ヒュペリオンを引き上げたのは朗報だった。多くの戦闘機のデータが残っていて、これらを製造、強奪出来れば…ようやく自分達に転機が訪れた。

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