翌日、以前から予定されていたスポーツ大会が開催された。
種類はたくさんあるが一人、一種目は必ず出なければならず、
俺はオカルト研究部としてドッジボールにでなければならなかった。
「あぁ~ダリィ~」
「……兄様は仙術のオン、オフが出来ないので面白くはないと思いますが
そこは兄様の根性でどうにかしてください」
「そうは言ってもよ~」
俺はドッジボールが行われる時間まで部室のふかふかソファで寝ようとしたのだが
その前に白音に首根っこを掴まれて、部長が会長とテニスで勝負しているという
テニスコートにまで引っ張ってこられれてしまった。
「ね、ねえ。あれ兵頭先輩じゃない?」
「ほ、本当だ! テニスを選んでよかった!」
周りにいる一年生の女の子たちのオーラがどこか柔らかいものに変わり
男子どものオーラがどす黒いものへと変化して俺に集中していた。
あ~そういえば前に白音が俺は一年生にモテてるっていってたな。
「今の状況はどうなってるんだ? 白音」
「どうやら会長が少し、点数では優っているようですが実力はイーブンです」
「ふ~ん……これが超次元サッカーならぬ超次元テニスか」
俺の目の前では部長が空高く跳びあがり、空中で半回転してその回転力を
利用してテニスボールを会長のコートへたたき落とすのが見えた。
さらに会長は一発目のサーブで部長のコートへと打ち込むが、そのボールが
一切バウンドせずに部長を過ぎ去って行ったりした。
「やるじゃない」
「そちらこそ」
何やら二人の間で熱い何かが交換されているらしく
二人は笑みを浮かべながら超次元テニスを行っていた。
二人の超次元テニスから時間が少し経ち、部活対抗の時間になった。
俺達がやる種目はドッジボール……まあ、オンオフのできない俺にとっては
目隠ししてでも当てられない自信があるんだがな。
だが、そんなブルーな気持ちの俺に一人……いや、二人の天使が舞い降りた!
そう! その二人とはアーシアとマイシスターである白音だ!
しかも二人ともブルマ姿と来た!
「うおおぉ! アーシアも白音もこっち向いて! 今すぐ写真撮るから!」
「イ、イッセーさん……恥ずかしいです」
「……と、撮るなら……早くしてください」
二人とも恥ずかしそうに顔を赤くしながらもしっかりとカメラ目線で
満面の笑みを浮かべて写真を撮らしてくれた。
むぅ! 不穏な輩の気配を感知!
後ろを振り向いてみれば俺と同じ行動をしている男子がいた。
「ごらあぁぁぁぁぁぁ! そこの元浜と松田ぁぁぁ! 俺のアーシアと
マイシスターをパシャパシャ撮りまくってんじゃねえぞ! ゴラァぁぁぁ!」
「良いじゃねえかよ! お前ばっかりずるいぞ!」
「そうだそうだ!」
「てめえらが二人の写真を撮っていいと思っているなら
まずはその思考をぶっつぶす!」
俺はどっかの主人公が叫んでいそうなフレーズを叫びながら元浜と松田を追いかけまわし
奴らの携帯を没収してメモリの中から二人の天使の写真を削除してやった。
「む、無念」
「ふん!」
俺は屍となった二人に携帯を返してからコートに戻った。
「イッセー。お願いだからその気合いをゲームに生かしてね?」
「もちろんっす!」
もちろんレーティングゲームで手を抜く気はサラサラないし、このゲームも
手を抜くことはしない……多分だけどな。
相手はうちの野球部の連中だ。
審判により、ボールがあげられ木場が飛んでボールをこちらの陣地へ
弾き、俺の手に渡った。
「おいおい、てめえらまさかこの俺にこの前ホームラン競争で
負けたことを忘れてんじゃねえだろうな」
そう、実は一週間ほど前、俺の運動神経に才能を見出した野球部のキャプテンが
入部してくれないかと誘われ、俺がホームラン競争を条件に出して勝負してやった。
まぁ、ことごとく俺の勝ちだったけどな。
あ、ちなみに仙術はフルに使わしていただきました。
「ああ……覚えているさ」
野球部のキャプテンの男が悲哀に満ちた声でそういった。
「だがな! この時のために我らはこいつを用意したんだ!」
キャプテンが指さした方向を見ると俺よりも何倍もガタイが大きい男がいた。
体格を見るからキャッチャーと言ったところか。
「はっ! だがなんだ?」
「実はな。こいつはお前に恨みがあるのさ。なあ?」
「そうだ! 俺はてめえに」
―――――バゴォォ!
「山田ぁぁぁぁぁぁ!」
俺は一人語りをキャッチャーの奴が始めた瞬間に
奴の顔面めがけて思いっきりボールをぶつけてやった。
本来ならルール上セーフだけどこの大会のルールとして顔面ヒットもアウトになっている。
ボールが相手の顔面に当てられた衝撃で俺の手に戻ってきた。
「知ってるぜ? てめえらうちの妹によからぬことをしようと考えていたらしいな」
「ち、違う! ただ単に俺はデートに」
「バ、バカ!」
――――――ダアァァァン!
鼻を押さえながらキャッチャーの奴が離そうとしたのを仲間が止めようとした瞬間、
俺は思いっきり床にボールをぶつけて派手に音を立てると野球部の奴らは
ビクっと肩をあげて驚いていた。
「ひとまず……逝っとくか」
「許してくれたりは」
「許すかぁぁぁぁ!」
とりあえず全員の顔面にボールをぶつけてアウトにしてやった。
結局、ドッジボールの試合は俺達が圧勝し内野が外野になるということはなかった。
ただし、木場だけは除いて。
「祐斗。今日一日の貴方の態度は何なの?」
今、部室で部長が木場に説教をしている最中だ。
当然、この部屋に充満しているオーラは非常に重苦しいものであり、
それだけみんなの機嫌がすこぶる悪いということだった。
「もうスポーツ大会も終わったので帰っていいですか? 後、数日
部活動は休みますので。それでは」
そう言って木場はスタスタと部室から出て行った。
「なんか嫌なことでもあったのかねえ。ほい、フルハウス」
「……そういえば兄様はまだ、知らないんでしたね。ロイヤルストレートフラッシュ」
「ハァ。また負けた……あいつ、何か過去にあったのか?」
そういうと白音は部長の方に視線を向け、部長とアイコンタクトを
一瞬だけかわすとまた俺の方へ顔を向けた。
なんだなんだ?
「実は祐斗先輩は聖剣計画という被験者の一人です」
それから約十分ほど、悪魔になりたての俺とアーシアに木場の過去が
白音の口から語られた。
聖剣計画―――――何やら堕天使の頭の狂ったおっちゃんが人工的に
聖剣を扱うことのできる者を作ろうとしたらしく、その中で大量の
被験者が罪も何もないのにもかかわらず、実験での失敗作の烙印を押されて
殺されてしまったらしい。その計画の被験者の一人が木場だと。
「そんな……神に仕える人がそんなひどいことを」
アーシアはあまりにショッキングな話に目元をうるわしていた。
「ふ~ん……でも、それと今の生活は別だろ。何、あいつは過去の
経験と今の生活をつなげてんだ。ちょっくら拳骨してくるわ」
そう言い残して俺は部室から出て行った木場を追いかけにいった。
「イッセー君の言い方は少し酷い気がしますわ」
「…………姫島先輩。兄様はかなり不器用な人です」
さてさて、木場の魔力を辿っていくこと約五分。
ようやく木場に追いつくことが出来た。
「ちゃお。木場」
「何か用かな」
木場は冷たい言い方で俺を睨みつけてきた。
あ~あ、結構イライラしてんだな……まあ、あんな
ひどい過去があれば仕方がない部分もあるけど
今の生活にそのイライラをぶつけてどうするんだ。
「部長に対して八つ当たりしてんじゃねえよ」
「八つ当たりなんかしてないよ」
「……実は俺さ、ある人から仙術っていうのを教えてもらってるんだ」
俺がそういうと木場は少し、目元をひくつかせた。
どうやら、こいつも部長に八つ当たりしていたという自覚は少なからずあるらしい。
「へえ、驚いたね」
「今のお前のオーラというか、雰囲気は憎しみが大部分を占めているんだよ。
聖剣に恨みを持っているとかそんなのはどうでもいいんだよ。今の生活に
過去の憎しみをぶつけて、他人を心配させてんじゃねえぞ」
「……君に何が分かるのさ」
――――――――ビチャッ
「あ?」
突然、後ろから水が滴り落ちる音が聞こえた。
この気配……まだ、あいつここにいたのか……でもなんか、
すごいものを持ってるみたいだな。
さっきから俺の皮膚をチクチクと刺してきやがる。
「よう、イカれ白髪神父。確か名はフリードだったっけ?」
「ありゃりゃ? なんで後ろを向きながらわかっちゃうの? もしかして俺ッち
悪魔たんに惚れられちゃってるんすか?」
「んなわけあるか。できればさ、その剣仕舞ってくんない? 俺の同級生が
凄まじい殺気を向けてそいつを睨んでんだわ」
俺の背後にいる木場の雰囲気が既に憎しみだけになっていた。
となると、あいつが持っているのは聖剣関係ってことか。
「まあ、神父狩りももう飽きちゃったわけですしぃ! このエクスカリバーで
悪魔たんをギチョンギチョンのズタボロのぞうきんにしちゃうDETHE!」
「おい、木場」
俺が後ろを振り向いた瞬間、木場は憎悪で顔を歪めたまま魔剣を
作り出して、フリードに斬りかかっていった。
「聖剣エクスカリバー。こんなにも早く会えるとは思わなかった!」
木場はそう言ってフリードに何度も斬りかかっていく……でも、明らか
あのエクスカリバーッっていう代物の方が勝ってるな……冷静を失った
木場じゃ到底勝つことなんてできねえぞ。
「木場! 一旦引くぞ!」
「どうして!? 目の前に僕の仇があるんだ!」
そう言って俺の制止も聞かずに木場は斬りかかろうとする。
仕方がねぇ!
「とう!」
「ちょ!」
俺は木場を後ろから抱く感じで背負い、フリードから遠ざかった。
「じゃあな、イカレ神父! 今度会う時がてめえの最後だ!」
そう言い残して俺はイカれ神父から遠ざかった。
更新が遅れてしまい、すみません。大学生活がなかなか慣れなかったもので