俺たちオカルト研究部は大急ぎで学校へと向かうと既に部長から連絡を受けていた
会長たちが学校にいた。
「リアス。学校の周りはすでに結界で覆っています。滅多な事がない限り外には漏れません」
何やら部長と会長、そして朱乃さんたちが話し合っているが俺は正直そんなのどうでもよかった。
イリナ……なんで一人で行ったんだ。
俺の頭の中は既に幼馴染のイリナのことで一杯一杯だった。
イリナを傷つけた屑ども……白髪イカれ野郎と二人の爺の堕天使……どうやって、潰そうか。
『……憎しみだけには飲まれるな。もしも飲まれれば……セイグリッドギアの
中にいる歴代所有者たちの怨念に捕まるぞ』
頭の中でドライグが俺に注意を促してくる……ワリィな。それを約束できるほど
今の俺は冷静じゃないんだ。
「良いみんな!? 私達が戦おうとしているのはコカビエルよ!
ライザーの時とは違って死線にはなるわ! でも、みんなで生きて帰るわよ!」
部長の叫びとともにみんなの気合いの入った声が俺の耳に入ってきた。
そのまま俺たちはグラウンドに向かうと中央のあたりで光り輝いている
魔法陣の上に初老の爺が座って何かの作業を行っていた。
「今、エクスカリバーの統合を行なっているのだよ」
上から声が聞こえ、見上げると空中に立っている堕天使の姿が見えた。
……見つけたぞ……殺す標的。
「はっ。いい殺気を向けてくれるな、ガキ。おれがそんなに憎いか」
「……イリナを傷つけたのはてめぇか」
俺がそう尋ねると殺す標的は気味の悪いニヤケ顔を浮かべた。
「ああ。貴様はあいつの男か何かか? だったらあいつを犯せばよかったか?」
「――――――っっっ! コカビエル!」
俺の沸点は完全に通り過ぎ、目の前の相手をただの殺す標的としてしか見えなかった。
憎しみの染まりあがった俺の魔力が全身から放出され、あたりの地面にヒビが入り
近くにいた白音とアーシアの顔色が悪くなっていた。
「ほぅ。本当に貴様は下級悪魔か? 俺と魔力量は同じくらいじゃないか」
『Boost!』
俺はブーステッドギアを装着しコカビエルに殴りかかった!
『グルァ!』
しかし、俺の拳は三つ首の獣の体によって防がれてしまった。
「ケルベロスだ。そいつとでも遊んでろ」
『グオオォォォォォォォォォ!』
「……耳障りだ」
獣は夜空に向かって遠吠えを放つが呑気にそれを聞いている俺ではなく、
その隙をついて相手の眼球に手をぶっ刺してやった。
『ギャアァン!』
目からどす黒い色をした血液を放出して痛みにのたうち回った。
「部長。あの獣は任せます」
「ええ、任せて頂戴」
後ろにいた部長たちは臨戦態勢を取りケルベロスに向かっていった。
「仕方がないな」
コカビエルは呆れたような顔をしながら光のやりを作り出し、俺に向けて投げてきた。
「―――――っ!」
でも、その光の槍は俺に届く前に砕け散った。
俺は籠手で投げられてきた光のやりを一撃で砕くと
コカビエルは非常に驚いたような顔をして俺を睨んできた。
「気をつけろよ。今の俺は」
俺は籠手が装着されている拳に仙術オーラを纏わせながらコカビエルに向かって走り始めた。
「抑えがねぇぞ!」
俺が振り下ろした拳をコカビエルは危険だと判断したのか翼を羽ばたかせて
上空へ回避すると、避けられた拳はグラウンドへと落ちていき固いはずの
グラウンドに大きな穴をあけて、砂埃を辺りに散らばらせた。
「……どうやら、本気で行かねば俺が死ぬらしいな」
「―――――っっ!」
コカビエルからさっきよりもどす黒い殺気と魔力が俺に向かって放たれ、
いまにも俺の肺を潰そうと圧してきた。
す、すげぇ……体が震えてやがる……それでもやらなきゃならねぇんだ! イリナのために!
『Boost!』
「行くぞ! コカビエル!」
俺は何度目かの倍加が行われた瞬間にコカビエルに向かって走っていくが
コカビエルは自分の周りにいくつもの光のやりを作って俺に投げてきた。
「おっと! 分かる分かる! てめえの攻撃がくる場所なんざ丸わかりだ!」
俺は走りながら首を傾けたり、籠手で砕いたりジャンプしたりなどして
全ての光のやりを避けつつコカビエルの方へと向かっていく。
「部長! プロモーションします!」
「ええ!」
「プロモーション! ルーク!」
『Boost!』
俺が叫ぶと同時に倍化と駒の性質の変化が行われ、腕の方に力が行くのが分かった。
「どりゃぁぁぁぁぁ!」
俺は思いっきりコカビエルに向けて拳を振り下ろすがコカビエルは翼を羽ばたかせて
中へ舞って俺の拳を避けるとそのまま俺に向けて光の力を球状にしたものを投げてきた!
「喰らうかってうおぉぉ!」
俺が光の球体をその場から離れて避けた瞬間に後ろからすさまじい殺気を感じて
うつむく感じで首を下に向けるとそこを光のやりが通過していった。
「あっぶね!」
俺は慌てて後ろにいたコカビエルに向かって籠手から魔力弾を放つが
奴も先ほどと同じ光の球体を生成して魔力弾にぶつけて相殺した。
「死角からの攻撃だったんだが…………そうか、貴様。仙術を」
「おうよ! 仙術のおかげでお前のやることは丸わかりだ!」
『Boost!』
今ので十回目くらいか…………ドライグ! みんなに譲渡はできるか!?
『できることはできるがその場合は十倍じゃなくなるが』
十倍じゃなくてもいいさ! この場合は二倍されれば十分だ!
『Trnsfer!』
「皆! これでケルベロスなんか消してやってください!」
「朱乃!」
「ええ!」
空から大量の落雷がケルベロスに向かって降り注ぎ、動きを止めた瞬間に
巨大な部長の消滅の魔力がケルベロスに直撃し跡形もなく消滅した。
「きゃっ!」
「―――――っっ! アーシア!」
向こうの方からアーシアの叫びが聞こえて振り返るとそこにはもう一匹の
ケルベロスがアーシアを睨んでいた。
くそが! もう一匹いやがったのか!
「待ってろ! いまおれが」
「敵に背中を向けるとは嘗められたものだ」
「―――――しまっ!」
極太の光のやりが俺の肩を貫き、全身が焼かれるような激痛が俺に襲いかかった!
「ぐあぁぁ!」
「兄様!」
『グアァァ!』
俺が傷ついたことに冷静を失った白音のすきをついて、標的をアーシアから
白音に変えたケルベロスがその鋭利な
牙を振り下ろし、白音を斬り裂こうとしていた!
「白音ぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
『ギャァァン!』
しかし、俺の耳に聞こえてきたのは肉を斬り裂く音と
ケルベロスらしき獣の断末魔だった。
肝心のケルベロスを見てみると全身のありとあらゆる箇所に剣が突き刺さっており
今でも肉が焼ける音が聞こえてくる。
な、何が起こって…………この魔力は
「遅くなってごめん」
「助太刀に来たぞ」
骸となったケルベロスにゼノヴィアと木場が立っていた。
こんにちわ! 大学は楽しいっすね!