イッセーと黒猫の恋物語   作:kue

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第二十六猫

「そ、そんな……有り得ない……反発し合うものが合わさるなど」

バルパーが僕の聖魔剣を見て、驚きの表情を浮かべてブツブツと何かを呟いていた。

そうだ、まだこいつがいた。聖剣計画の主任、バルパー・ガリレイ。

こいつを倒さない限り僕の役目は終わらない。

「そうか! 分かったぞ! 先の大戦で聖と魔のバランスが

崩れているならば説明がつく! 魔王だけではなく神も――――!」

バルパーが何かを言いかけた瞬間、彼の腹部を光の槍が貫き彼は地面に倒れ伏した。

「バルパー、お前は優秀だったよ。優秀だったが故にその結論に至ってしまった。

貴様がいなくてもこの計画は進んでいたのだよ」

僕はすぐに倒れ伏した彼に近づいて確認をするが既に絶命していた。

コカビエルがその高度を下げていき地に足をつける。

その途端に僕たちを圧倒的なプレッシャーが襲い掛かる!

こ、これが古から存在している幹部の強さか!

聖魔剣を握っている手から汗が溢れ出しカタカタと震えあがっていた。

「さあ、俺を楽しませろ!」

「祐斗! 離れなさい!」

僕は後ろから聞こえた部長の声に従いその場を退くと、僕の視界に

とてつもない大きさの消滅の魔力の塊があった。

「はぁぁ!」

部長は今まで貯めていたのか先ほどよりも遥かに特大の大きさの

魔力を球状にしコカビエルにぶつけた。

「カーハハハハハハハハハ! 貴様もサーゼクスに負けず劣らずの才能の持ち主だ!」

サーゼクスは両手でその魔力を止めているけどただでは済んでいなかった。

止めている両手は鮮血が溢れ出しローブは所々、魔力に当てられ消えていた。

「雷よ!」

朱乃さんが雷をコカビエルに落とすけどコカビエルは翼を一回大きく

羽ばたかせるだけで一瞬にして雷を消し去った。

「邪魔をするか! パラキエルの力を宿すものよ!」

「っ! 私をあの者と一緒にするな!」

朱乃さんは激昂し雷を何度も彼に落とすが全て翼に薙ぎ払われていた。

パラキエル、堕天使の名前だ。

『雷光』の二つ名を持つ雷の使い手。

単純な戦闘能力では堕天使総督であるアザゼルにも匹敵すると聞く。

そして朱乃さんはパラキエルの……

僕の聖魔剣がどこまで通用するか分からないが!

僕が駆け出すのと同時にゼノヴィアさんもかけだしていた。

「同時に仕掛けるぞ」

僕たちは同時に剣をコカビエルにふるった。

「ふん! こんなもの!」

先にコカビエルは片手で光の剣を創造しゼノヴィアの剣を止めると

開いている手から波動を放ちゼノヴィアの体を宙に浮かせると

その腹部に蹴りを入れた。

「がぁ!」

ゼノヴィアさんは苦悶の声を洩らしながら蹴り飛ばされた。

「吹き飛ぶがいい!」

コカビエルの全身から魔の波動が放たれ、僕たち全員が吹き飛ばされた。

「フハハハハハハ! 貴様らは使える主を亡くしてまでよく戦う」

「どういう意味だ!」

ゼノヴィアさんはコカビエルに怒鳴り散らした。

「どうせ貴様らは死ぬ、教えておいてやろう。先の大戦で魔王どころか

神までもが死んだのだよ! この世に神は存在しない!」

ッッ! な、なんだって……

僕たちはコカビエルが叫んだ内容に驚きを隠せずにいた。

「そ、そんな……神は存在しない」

ゼノヴィアさんはそう呟きながら力なく膝を落とした。

今まで神をあがめて心の支えにしていたんだ……

その心の支えが無くなればこうなるのも無理はないか……

「それがなんだって?」

後ろから声が聞こえてくる……振り向かなくてもわかる……

僕を助けてくれた恩人で……この卷族のかなめともいえる人物。

 

 

 

 

「ほぅ。貴様は主がいないのはどうでもいいと?」

「ああ、俺にとっちゃどうでもいいね。魔王が

死のうが神が死のうがどっちでもいい……でも、ゼノヴィアや

アーシアみたいな奴らは違う。今まで心の支えとしていたものがいないんだ……」

そう言い、俺はガックリと項垂れているゼノヴィアのもとへと近寄り、彼女の手をとった。

「ゼノヴィア。お前の希望が失われていたのなら……俺がお前を支える」

「……はっ。神の代わりなど」

「神の代わりなんかじゃねぇ」

俺がそういうとゼノヴィアは驚いたような表情を浮かべて俺の顔を見てきた。

そもそも、悪魔が神の代わりなんかできるわけねぇしな。

「お前の心を支える希望になるって言ってんだ……絶望するな……すぐに片付ける」

俺はゼノヴィアの頭を何度か撫でてからコカビエルの方へと向いた。

ゼノヴィアの最後の希望になるっていうなら……こいつの目の前でコカビエルを

倒さなきゃ話しに何ねぇよな。

『Boost!』

傷を回復してもらっている間に倍化を進めていたから結構、魔力があるぜ。

「コカビエル。お前を倒す!」

「青二才が!」

コカビエルは光のやりを作り出して、俺めがけて投げてくるが俺はその槍を

籠手で砕き、ナイトにプロモーションして高速移動であいつとの距離を詰めた。

「うおらぁぁぁ!」

「――――――ぐぅぉ!」

コカビエルが反応する前に俺の拳があいつの顎を捕らえて、殴り飛ばした。

殴り飛ばされたコカビエルはそのまま、壁にぶつかり大きな穴をあけた。

「さっきの俺は冷静を失っていた。幼馴染を傷つけられたせいでな……

でも、もう俺は冷静を失わねぇぞ。頭も冷えたしな」

「ぬぅ!」

コカビエルは自分の上に乗っかっていた瓦礫を魔の波動で吹き飛ばし、顔を

ボッコリと腫れさせて俺を睨んできた。

おぉ~怖。

「貴様は俺が殺す!」

コカビエルはそう言うと空中に何本もの光の槍を出現させた。

それも十や二十じゃない……何本作ってんだあいつは!

「いくら貴様が仙術を身につけていようがこの数は避けきれん。死ね!」

コカビエルが腕を振り下ろした瞬間、俺めがけて凄まじい数の

光の槍が飛んできやがった!

「喰らってたまるか!」

俺は仙術をフルに活用して、体制を前へ後ろへ右、左に傾けていき槍を

避け、かわしきれない物は籠手で砕いたりしていくが徐々に数に押されていき

肩や足などに掠ってきやがった!

『相棒! 俺を使え!』

そうさせてもらう!

『Expliosion!』

「行くぜぇぇぇぇぇぇぇ!」

今まで倍加してきた魔力を半分だけ魔力弾に変換して一気に爆発させて、光の槍の雨の中を

爆発によって得た推進力で突き進んでいく!

「貴様! その力は!」

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

雨の中を進むことによって俺の体にはいくつもの傷が増えていく!

イテェ! 痛すぎるけどここで止まってられるかぁぁぁぁぁぁ!

「ぐらぁぁぁぁぁぁ! 全部消えちまえぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

俺は今まで下に向けていた魔力の爆発を

むちゃくちゃに振り回して光の槍をうち落としていった!

「なっ! や、槍が全て!」

「おおぉぉぉぉぉ! 黒歌直伝! 仙術」

「嘗めるなよ! 青二才がぁぁぁぁ!」

「パァァァァァァァァァァンチィィィィィィィィィ!」

コカビエルの極太の光の槍が俺の腹部を貫くと同時に、あいつの魔力が

流れている気脈に俺の拳が突き刺さり、魔力が離散した。

「がっ!」

「イッテェェェェェェェェェェ!」

 

 

 

「兄様!」

「イッセーさん!」

俺の叫びを聞いてアーシアと白音が俺のもとへと近寄ってくる。

「二人とも離れてろ!」

『Explision!』

俺の中に残っているもう半分の魔力の全てを爆発させて籠手の先に

巨大な魔力弾として表に出した。

それを防ごうとコカビエルは手のひらを俺の方へ翳すが何も出現しなかった。

「バ、バカな! ま、魔力が錬れんだと!? 貴様! その仙術をどこで!」

そりゃそうだろ! 気脈に気を纏った拳を叩きこんだんだ!

あの黒歌に教えてもらったんだ!

「これで木場の復讐と! このすべての戦いに終止符だ! コカビエル!」

「青二才がぁぁぁぁぁぁぁ!」

巨大な魔力弾をコカビエルに叩きつけ、地面にめり込ませても俺はやめなかった!

「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

さらに魔力弾の塊を俺は地面に大きな穴があくまで抑え続け、魔力弾が大爆発を起こした!

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……」

腹に槍を突き刺したまま俺は籠手を直すとコカビエルは全身から血を流して

地面に開いた大きな穴に横になっていた。

「うげぇ! ぐぼっ!」

俺は腹に刺さっている槍を無理やり、ひっこ抜くと激痛が襲いかかってきて

大量の血反吐が口から吐き出された。

「ハァ……楽勝だ。古の堕天使」

「兄様!」

穴から出てきた俺に向かって目から大粒の涙を流した白音が抱きついてきた。

イッテ……たっく、何を泣いてんだか。

「泣くなって。俺は生きてんだから」

そうは言いつつも俺は白音の頭を撫でた。

その後、アーシア達も俺に寄ってきて治療を始めてくれた。

「あ~今回はマジで死ぬかと思った」

「むしろ生きている方がおかしいですわ」

朱乃さんの一言にオカルト研究部の全員が苦笑いを浮かべていた。

まあ、そりゃそうか……腹に極太の光のやりが突き刺さったしな……俺って不死身?

「……これは驚いたな」

あ? 誰の声だ?

突然の第三者の声に俺たちは怪訝な顔を浮かべながら辺りを見回すと

上空から一筋の白い光がまるで流星のように降ってきて、地面に着地した。

「まさか、コカビエルを倒すとは……アザゼルが聞けばさぞ驚くぞ」

声からして男か? それもあまり俺達とは年が離れていないな……

さっき、アザゼルって……確か堕天使の総督の男の名前だったはずだ。

「まあいい。おれのライバルも順調に成長中らしいからな。

コカビエルとフリードは俺が連れていく。お疲れさん」

そう言ってコカビエルと白髪神父を担いで空へと消えていった。




おはようございます!
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