イッセーと黒猫の恋物語   作:kue

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第二十九猫

翌日の放課後、俺たちオカルト研究部は厳重に封印されている部屋の前にいた。

以前、部長はアーシア以外にビショップがもう一人いると言っていた。

部長のお兄さんでもあるサーゼクス様こと魔王様から、封印を解いてもいいと許可が出たので、

その方の封印を解くらしく悪魔になりたての俺たちも率いてその人物がいる部屋の前にいた。

扉に施されている封印は結構、頑丈なもので仙術を使って中の魔力を探ろうにも、

俺が未熟な部分もあるとは思うけど魔力はほとんど感じれなかった。

ここまで厳重に封印をしているとなると……どれほど凶暴なやつなんだ。

部長が扉に手を翳すと扉に描かれていた魔法陣が一つ、また一つと消えていき、

全ての魔法陣が消滅した直後、少しだけ扉が開いた。

「ひと先ずイッセー、先に入ってみて」

「はい」

俺は若干、警戒心を持ちながらも封印が解かれた部屋のなかに入ると、

中は薄暗い……が、扉にあった重苦しい雰囲気とは全く逆の雰囲気を放つピンクのカーテンや、

可愛らしいぬいぐるみなど女の子っぽい装飾がふんだんに施されているのは若干、分かった。

……ほ、本当にこんなところに封印されるほど凶悪な奴が眠っているのか?

「……何故に棺桶?」

部屋に入ってすぐの所に棺桶が置かれているのが見えた……いや、これはきっと、

凶悪な奴を封印するための特殊な……棺桶でもなさそうだ。

特に棺桶からは特別な何かは感じないし……でも、棺桶の中には何かいるな。

俺がその棺桶を開けた瞬間―――――。

「ぎゃぁぁぁ!」

「うぉ!」

いきなり聞こえてきた叫び声に思わず、二歩三歩後ずさってしまった。

な、なんだなんだ!? 破滅の音でも流れ始めたか!?

「出たくないぃぃぃ! 誰にも会いたくなぁぁぁぁい!」

……破滅の音にしてハニートの心の中の叫びを聞いているような叫びだな。

出たくない、会いたくない……もろに引きこもりニートが思っているようなことじゃねえか。

「ひゃぁぁぁ! う、浮いた!」

俺は棺桶の中にいる金髪が生えている頭を鷲掴みにして引き上げてみるとそれはそれは、

とてもかわいらしい女の子だった。

……うん。これはこれでなんだかほんわかするような可愛さだな……だが、

白音よりかは下だな。あいつの癒しの可愛さには誰も勝てんよ。

順位を付けるならば一位は白音、次点でアーシア、次にこいつってとこだな。

「イッセー、降ろしてあげて」

部長に言われ、女の子を降ろすと凄まじい速さの身のこなしでシュパパッ! と棺桶の中に、

もぐりこんで、バタンと扉を閉じてしまった。

「“彼”もまたセイグリッドギアを持っているのですがはまだ完全に扱いきれず時々、

暴発してしまうので大公およびサーゼクス様の命でここに封印していましたの」

「この子のセイグリッドギアは視界にある者の動きを止めるんだけど、

この子が興奮すると無差別に時を止めてしまうのよ」

ふむふむ、朱乃さんと部長の説明でだんだ……彼?

「あ、あの朱乃さん」

「はい?」

「い、今、彼って」

「ええ、そうですわ。この子はこの学園の一年生で転生前は人間とヴァンパイアのハーフ。

そして、イッセー君と同じ男の子ですわ」

……沈黙が流れる。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

俺は眼から濁流の如き量の水を噴き出した!

それを見た白音以外の部員が若干、ドンビキしているように見えるがそんなもん知るか!

な、なんで……なんで!

「なんであんな可愛い子が男の子なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

その後、五分ほどかけてギャスパーを部屋から連れ出し、部室へと戻ってくることが出来た。

時計が進んだ時間は五分だが、実際の時間的には五分以上経過している風に感じる。

その理由はすぐにギャスパーがセイグリッドギアを発動して全員の時間を止め、

たたびにあの部屋へと戻り、また連れだしては時間を止めての繰り返しだった。

今は段ボール箱の中でお茶をちびちび飲みながら落ち着いている。

「とにかく私と朱乃、そして祐斗は少し出かけるからその間のギャスパーの教育はお願いね」

どうやら三組織の会談の準備諸々を手伝う必要があるらしく、部長と朱乃さん、

そして木場の三人は出かけてしまった。

ちくしょう、あいつだけ美人で巨乳

「し、白音。コップ、割れてるぞ?」

「これは失礼。フフフ」

あ、相変わらず俺の秘密は筒抜けですのね……私! 泣いちゃう!

そんなわけで部室には俺、アーシア、ゼノヴィア、白音、そしてギャスパーの五人が残った。

こいつを鍛えるつってもなかなか難しいぞ……エロ方面なら俺が師範と呼ばれるレベルまで、

鍛え上げることはできるんだが……流石にセイグリッドギアを鍛えるのは無理だ。

「私に任せてもらおうか」

そう言い、ゼノヴィアはおもむろに立ち上がると段ボール箱に紐を括りつけてそのまま、

引っ張って校庭へと出ていった。

……あれが、ギャスパーが最初に入っていた棺桶でゼノヴィアが赤いマフラーを首に付けていて、

ある言葉を叫んだら思いっきり被るんだけどな~。

そう思いながら俺たちもゼノヴィアの後に続いて校庭へと向かおうとしたときだった。

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「こら逃げるなギャスパー!」

ギャスパーとゼノヴィアの叫び声が聞こえ、慌てて校庭へと行くとブゥゥン! と、

デュランダルの聖なる波動で空間を揺らしながらギャスパーを追いかけ回していた。

まさか、あいつ気の弱さを直すにはまずは精神面から鍛えようと考えたのか……いくら、

なんでも一瞬で消滅する可能性のある方法で行くなよ。

「お~やってるやってる」

と、そこに生徒会メンバーのやつが来た。

格好はジャージに花壇用のスコップ。

「ぷふっ。良い格好ですな~」

「いつもいつもエロい妄想をしているお前とは違って、俺は会長からの直々の、

任務をこなしてるんだっつうの! それにこの格好は……しょ、勝負服だ」

どういう場面での、どういう目的での勝負服だよ。

「ふん。妄想の素晴らしさを理解できぬ貴様と話す意味はないな」

「どうせ、お前の脳内メーカーはエロ、エロエロエロエロエロなんだろうな」

直後、俺と奴の間で火花が散った。

「そう言うお前の頭の中は会長会長会長なんだろ!」

そう言うと奴は一期に顔を赤くした。

「な、な、ななななななんで知ってんだぁぁぁぁぁ!」

ふん! 仙術をちょこっとあっち方面に応用すれば誰がどいつにどういう思いを、

抱いているかなんて余裕で分かるんだい! 

「お前ら、なに低レベルな争いをしてんだ」

声が聞こえ、後ろを向くと先日の深夜にあった時とおなじ恰好の堕天使の頭が俺達の後ろにいた。

っ! この距離まで近づかれて気づけないのかよ……俺もまだまだだな。

途端、他の奴らが一気に闘争心をむき出しにした。

「ちょ、ストップ! 俺達が束になっても勝てないし、こいつはなにもしねえよ」

「……兄様がそう言うのなら」

そう言い、白音が拳を下げるとゼノヴィア達も己の得物を下げた。

「そこに隠れているヴァンパイア」

木の陰に隠れているギャスパーはやつにいきなり話し掛けられて肩を大きくあげて、

ビクビクしていた。

そこまでビクつくことか?

「停止世界の邪眼の持ち主なんだろ? そいつは使いこなせねえと害悪になる力だ。

神器の補助用具で不足している要素を補えばいいんだが……そう言えば悪魔は、

神器の研究はあまり進んでいなかったんだったな」

ギャスパーの顔……というよりも目を覗き込むようにして見ているアザゼルに、

ギャスパーはガクガク震えていた。

……一組織のトップという一面だけではなくセイグリッドギアの科学者という一面も持つ男……。

すると今度は匙の方を指さした。

「それ黒い龍脈だろ。そいつをこいつの神器に接続して余分な力を散らせろ。

そうすれば暴発の危険性はグンと下がるぞ」

「お、俺の神器ってそんなこともできんのか?」

それを聞いたアザゼルは大きくため息をついてあきれ果てていた。

「これだから最近のセイグリッドギア所有者は自分の力をろくに知ろうとしない。

己の力を知らない状態で使えば大切なものまで傷つけるぞ? 

それとそこの赤龍帝。お前の血をこいつに与えれば恐らくだが数分はこいつの意のままに、

セイグリッドギアを操れる。ま、頑張れや若人よ」

そう言ってアイスを口に頬張りながらスタスタとどこかに行ってしまった。

……勝手に現れては勝手に俺たちにアドバイスをしていく……やっぱり、良く分からない。

「ひとまずさっきの人が言っていたこと実践してみようぜ。その後で花壇を手伝ってもらうからな」

こいつの言葉で始めるのも癪だが……実際にやってみる価値は十分にある。

そんなわけで俺達はアザゼルからのアドバイスをもとにギャスパーの特訓を再開した。




とりあえず、このお話は以前も言いました通り、
三種族の会談をした後、オリジナルの展開をしまして完結となります。
それにしてもガイム面白いな~。
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