イッセーと黒猫の恋物語   作:kue

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三猫

あれ以来黒歌は来なくなってしまった。

残った白音ちゃんを任せられた以上、俺は何があっても彼女を護る事に決めた。

黒歌……

たった数日会わないだけで俺はかなり参ってしまった。

きっと、またひょっこり現れる……何度、俺自身にそう言っても

黒歌の事を考えずにはいられなかった。

「99!100!101!」

「イッセーさん、やり過ぎです。少し休憩を入れましょう」

「いや、まだいけるさ」

俺は黒歌に言われたとおり、ひたすら体を鍛えている。

朝から晩まで、何セットもこなしていく。

休憩の合間に白音ちゃんの仙術で癒してもらっている間に俺は

今までほとんどしてこなかった勉強をし出した。

これをやってたら少しは気がまぎれるかと思ったゆえの事だった。

……でも、そんなので彼女の事を忘れられるわけもなかった。

「123!」

「終了です。イッセーさん」

白音ちゃんに強制的に腕立てを止めさせられた。

「ハァ、ハァ、ハァ」

「イッセーさん。オーバーワーク気味です。一日二日休んだ方が」

白音ちゃんは俺の事を心配してそう言ってくれてるんだ。

その気持ちはありがたい。

「……なあ、白音ちゃん」

「なんですか」

「黒歌はどこに行ったんだろうな」

「………」

最後に会ったのは5日前だ。

あれから俺は時折、白音ちゃんとともに黒猫を探し回るが一向に見つからない。

いや、少し違うな。クロネコは見つかるんだが黒歌は見つからないの方がただしい。

「…白音ちゃん。行こうか」

「はい」

白音ちゃんは耳と尻尾を隠して既に日課になった黒歌探しに出かけた。

 

 

 

 

「いないですね」

「ああ、いないね」

結果は…いつものごとく見つからずだった。

そりゃ、そうだよな。

……もしかしたら悪魔が棲んでいるっていう冥界にいるのかもしれない。

「にゃ~♪」

「にゃ~」

…まあ、こういう人と猫の会話って

言うのも聞けるのが毎日の楽しみだ。

猫又…か。

「にゃ~♪」

「あ」

一匹の黒猫が俺達の前に姿を現した。

……違うな。

俺はその黒猫を抱きかかえて膝に乗せた。

「なあ、黒歌の場所知ってるか?」

「にゃ~」

「ハハ、知る訳ねえよな」

どうしちまったんだよ俺は。

いつもなら今頃は家で元浜や松田とエロエロビデオを見て熱く語ってるのに

今じゃその誘いも最近は断り続けてるし……本当に俺はどうしちまったんだよ~。

「イッセーさん」

「白音ちゃん?」

白音ちゃんは急に俺の方に近づいてきて目の下あたりを舐めた。

「イッセーさん、泣いてます」

白音ちゃんに言われ俺は手を眼の下らへんに持って行くと確かに

涙が流れていた。

一向にその涙は止まることはなかった。

「ハハ、俺おかしいよな?黒歌に数日間会って

ないって言うだけで泣くなんてよ……みっともないよな」

「そんなことありません」

白音ちゃんは俺の手をギュっと握ってくれた。

「私も……姉様が居なくなって悲しいです。

でも、イッセーさんが傍にいてくれるから私は耐えられるんです」

「なんで俺が傍にいると耐えられるんだ?」

「イッセーさんは…私のお兄ちゃんみたいなものです」

……強いな白音ちゃんは。

他人の俺よりも白音ちゃんの方がショックは大きいんだ。

傍にいた家族が急に居なくなったんだ。

俺だったら不安で押しつぶされるかもしれない。

でも、白音ちゃんは耐えてるんだ。

…俺がしっかりしないとな!

 

 

「白音ちゃん。ありがと、俺、もう悲しんだり

しない。必ずまた会えると信じる!」

「…はい。私も信じようと思います」

白音ちゃんは俺の手を握ってそう誓った。

「貴方が白音ね?」

「「っ!」」

急に第三者の声が後ろから聞こえてきて振り向くとそこには

真っ黒な翼…悪魔の翼を生やした女性が剣を携えて俺たちを睨んでいた。

「誰だよ、あんた」

俺は白音ちゃんを背中に隠して女性に問う。

「誰?…あんたみたいな人間に名乗る気はない!」

「うわぁ!」

ブゥゥンン!

悪魔の女は何の戸惑いもなく丸腰の俺たちに向かって剣を振り下ろしてきた!

俺は白音ちゃんと一気に走りだして剣を避けると芝生に

大きめの穴があいた。

「何で白音ちゃんを狙うんだ!」

「なんで?…そんなの決まってるじゃない!

あの女の――――――黒歌の妹だからよ!」

っ!?そんな理由で襲われてたまるか!

「ふざけんな!何で黒歌の妹だからって事で襲われんだよ!」

「あの女はね!主を殺したのよ!」

こ、殺した?黒歌が?

「嘘つくんじゃねえよ!」

「嘘じゃない!あいつはいきなり私の主を殺したんだ!

主を殺した悪魔は殺さなければならない!きっとその

女の妹も危険な存在になる!だったらその前に種を狩るのよ!」

把握しきれねえけど今はどうでもいい!

ひと先ず白音ちゃんだけでも逃がさないと!

「死ねぇぇぇぇ!」

女は鬼の形相で俺たちに斬りかかってきた。

えぇぇい!男、兵藤一誠!腹くくるぜ!

 

 

 

「必殺!真剣シラハドリ!」

パシィィィィィン!

俺はテレビでやってるようなシラハドリをやると運が良かったのか

刀の刀身を上手く両手で挟むことができた。

おぉ!成功したぜ!…このお姉さんのおっぱいの揺れも中々良いな。

Dか?いや、Eか?

「この人間風情がぁぁぁぁぁぁ!」

「ぐうぇ!」

俺は腹に蹴りを入れられてそのまま飛ばされてしまった。

「イッセーさん!」

な、なんだよあの蹴り。あんな細い脚にどれだけの力が入ってんだよ!

「げぼぉ!」

うぇ!口から血、吐いちまった。

な、内蔵がやられたか?

「イッセーさん!」

小猫ちゃんは仙術で俺の傷を治そうとしてくれるけど今はそんな場合じゃない!

「逃げて白音ちゃん!」

「いやです!イッセーさんを置いて逃げられません!」

もう女はそこまで来てるっていうのに!

「良いから行くんだ!あいつは俺が何とかするから!」

「いやです!一緒に逃げましょう!」

ああもう!

「白音!」

「っ!」

俺は初めて彼女を呼び捨てで呼んだ。

「良いから行くんだ。俺も後で行く」

白音ちゃんはかなり迷っていたがこの場から走り去ってくれた。

良かった…ありがとう、白音ちゃん。

俺はズキズキする体に鞭をうって立ち上がった。

 

 

 

「なっ!人間風情がルークの攻撃で立ち上がるなんて!」

ハハ、日々の特訓の成果が少し出たのか?

つってもまだ2週間ちょいしかしてねえけどさ。

「こっから先は行かせねえ。何が何でもな!」

「人間風情が!調子に乗るなぁぁぁぁ!」

バキィィィ!

俺は顔面を思いっきり殴られた。

「がっ!」

っ!なんつう威力だ……意識が飛びそう……だ。

「あ?こんな……ものかよ」

「そ、そんなバカな!」

バコォォォォン!

「がはっ!」

今度はボディブローを入れられた。

っ!ほ、骨が折れるのが分かったぞ!

「おうぇ!げぼぉ!」

口から大量の血反吐を吐いた俺はもう体が限界だった。

いや、もう既に限界なんて超えてるんだ。

相手は悪魔、それに比べて俺はただの人間。

闘ってどっちが勝つかなんてそんなの考えるまでもなく…悪魔だ。

「うぅ」

俺はそのまま倒れ伏してしまった。

「ハ、ハハ!人間風情が調子に乗ったバツだ!」

女は俺を汚いものでも見るような眼で見下しながら

白音ちゃんを追いかけようとする。

 

 

 

させねえよ!黒歌に任されたんだ!白音ちゃんを頼むって!

「ま、まだそんな力があるの?」

俺は女の足を残っている力全てを使って掴んだ。

「ぜ、絶対に!……行かせねえ!」

「汚いしみっともない」

ああ、そうさ!今の俺は鼻水たらして血反吐はいて地面に這いつくばってるさ!

みっともないなんて最初から分かり切ってんだよ!

「例え汚くても!…どんなに汚くても…護りたいものは護るんだよ!」

ザシュッ!

「うぎゃあぁぁぁぁぁ!」

女は何の戸惑いもなしに足を掴んでいる腕に思いっきり刺してきやがった!

「離せ!」

ザシュッ!

「ギャァァ!!」

「離せ離せ離せ離せ離せ!」

そう言って何度も女は刀で俺の腕をさしてくる。

俺は激痛に見舞われながらも絶対に足を掴んでいる手だけは離さなかった。

「ハァ、ハァ、ハァ!!離せって」

「もう止めてください!」

声がした方向を見るとそこには息を荒くして、目に涙をためた白音ちゃんが立っていた。

「し、白音ちゃん!」




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