イッセーと黒猫の恋物語   作:kue

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第三十猫

次の休日、俺は朱乃さんに言われて、彼女が巫女さんを務めている神社に向かっていた。

なんでも俺にしか話せないことがあるらしく、珍しく俺の隣には白音はいなかった。

何回か隣にいないことはあったがここまで長い時間、隣に白音が居ないのは今日が初めてだ……つい、

数か月前までは一人でいるのが普通だったんだが今じゃ隣にいないとなんか変な感じがする。

「いらっしゃい、イッセーくん」

神社の入り口が見えるとともに朱乃さんの姿も見え、小走りで近づいていくと、

巫女服姿の彼女が入口付近に立っていた。

おぉ! たわわなあれが帯に乗っかってる!

「お待たせしました!」

「ふふふ、そんなに待ってないですわ。さあ、行きましょうか」

朱乃さんの案内のもと、俺は彼女が巫女を務めている神社の中を歩いていく。

神社に来るのも悪魔になってからなかったけど……なんか、改めて来てみると、

どこか神聖な感じがする……ん?

突然、前方から強い何かを感じ、そちらのほうを向いてみると向こうの方に光の輪を頭に、

浮かべている若い青年が立っていた。

…………あの強い聖なる力にあの頭の輪……とんでもなく強い天使だ。

若干、警戒をしながらもじーっと見ているとあっちも俺たちに気付き、

笑みを浮かべながら俺たちに近づいてきた。

「初めまして。私は天使の長をしていますミカエルと申します」

そら、あれだけ強い聖なる力を感じるわけだ。

「では、イッセー君もミカエルさまもこちらに」

初対面の挨拶もそこそこに朱乃さんの先導のもと俺とミカエル様は神社の本殿に向かった。

朱乃さんが全く警戒していないし、ミカエルっていう人からも闘争心みたいなものはまったく、

感じられない……三種族は争っているんじゃなかったっけ?

そんなことを考えながら本殿に入るとそこにはでかい柱が何本も立っていて、

本殿の中央には大きめの剣が立てられていた。

その剣を見た途端、一気に俺の全身に悪寒が走った。

『ほぅ。まさかあれがあるとはな』

ドライグの喋り方も普段とは違うし、今俺が感じているのも……おそらくあれは。

「あれ、聖剣ですか?」

「ええ、よくお気づきで。これはゲオギウルス……聖ジョージと言えば伝わりやすいでしょうか。

彼が持っていたドラゴンスレイヤーのアスカロンです」

…………全く分からん。ドライグ、おバカな俺にもわかりやすいようにその大きなお口で、

噛み砕いてから俺に説明しておくれ。

『簡単にいえばドラゴンという種族を殺すための剣だ。あれで切られれば、

使用者の強さにもよるがドラゴンの硬い鱗すら一瞬で切り裂ける代物だ』

にゃるほどね……ていうか、なんでそんなものがここに。

「ご心配には及びません。これには特殊な儀礼を施していますので悪魔であっても、

ドラゴンの力を持つ貴方ならば使うことは可能です。

むしろ籠手に同化させるといった方がよろしいでしょうか」

ていうか、あの剣って俺にくれるのかよ。てっきりゼノヴィアか木場かと思った……あ、

そうなると二人のどっちかが来ないとおかしいことになるか。

そう考えながら、剣に近づいていき持ち手の部分を握ってみるが手に傷がつくこともなく、

何か気持ち悪いものを感じるわけでもなく、ただただ……言うなら、

木場の作った刀を持っている感覚がする。

腕に籠手を出現させ、アスカロンを近づけていくと籠手に埋め込まれている宝玉が淡く輝き、

それに同調するかのようにアスカロンも同じ色の輝きを発しながら、

光の粒子となって宝玉の中へと吸い込まれていった。

「どこか気分が悪いとかはありませんか?」

「ええ、ありません」

「そうですか……っともう時間ですね。そろそろ私は行くとしましょう。

今回の会談で三種族は和平を結ぶはずです。もう罪もない人たちが死ぬこともなくなります。

さっきの剣は天界側から悪魔側への……人間界の言葉でいうお近づきのしるしです。それでは」

そう言ってミカエルさんは外に出て、金色の翼を羽ばたかせて空へと飛んでいった。

……争いがなくなるのか。

「イッセー君。よかったら」

「喜んで!」

「あらあら。何も言っていないのに」

朱乃さんは小さく微笑みながら巫女服のまま、どこかへと去っていった。

その後、俺は朱乃さんと三十分ほどお茶を飲みながら楽しくお話をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか。兄様は強くなったんですね」

「そう言われても実感はないんだけどな。おっ! そこ!」

その晩、ベッドの上で白音のマッサージを受けていた。

白音はルークの駒で転生したおかげで力が凄まじいことになった。

その力でいつも俺のエロエロ妄想タイムをぶち壊されているものの、

白音のマッサージが究極進化して凄く気持ちがよくなった。

おかげでマッサージを受けた翌日は体が異常に軽い。

「にゃにゃ。お邪魔にゃ~」

「く、黒歌!?」

突然、窓が開いたかと思えば俺の部屋に黒い着物を着た、

心の底から愛している俺の恋人が入ってきた!

俺は慌てて部屋の壁に貼り付けているカレンダーを確認してみるが黒歌がやってくる日には、

到底遠いしここに来たのだってまだ、つい数週間前のことだ。

「ちょっと、イッセーに会いたくなってきちゃったにゃ~」

そう言いながらだらしなく表情を緩め、俺の胸に飛び込んできた。

その光景を見た白音は何も言わず、そそくさと一階へと降りていった。

俺はまだ少し、戸惑いながらも胸に顔をうずめている黒歌を思いっきり抱きしめようとすると、

スルリと俺の腕を避け、隣に座った。

「聞いたにゃ~。三種族で会談をやるんだってにゃ~」

「そうだけど、なんで知ってんだ?」

「私のレーダーは広いにゃ」

まあ、仙術のレベルが既に達人の域を超えている黒歌ならそこら辺の奴らから、

情報収集することくらいできるか……俺もできたらな~。

「どこでやるにゃ?」

「駆王学園でやるらしくってさ、毎晩その準備に追われてるんだよ」

「大変ニャ~……ところであの女装少年君は出席するのかにゃ?」

「いや、あいつはまだセイグリッドギアがうまくコントロールできてねえから、

部室で待機だってさ。サーゼクス様みたいなめっちゃ強い人たちにはギャスパーの力は、

届かないみたいなんだけど念のためらしいぞ」

「その能力は?」

……なんか、今日の黒歌との会話が弾まないな……なんか、質問を受けて俺がそれに答えたら、

また黒歌が質問をする……。

「黒歌。何かあったのか?」

「どうしてにゃ?」

「いや……なんかおかしいって言うか」

「イッセーの頭はいつもおかしいにゃ」

あ、相変わらず俺のマイスイートハニーは綺麗な顔をしてひどいことを言うぜ……まあ、

妹の白音も同じことなんだけどさ……。

「で、能力は?」

「ああ。なんか時間止めるらしい。俺も数回受けたんだけど、全然気づかねえんだよ。

目の前にギャスパーがいたと思ったら後ろにいたりするしさ」

「それでイッセーはその子を手駒にして私にあんなことやこんなことを」

「そうそう……って、な、なんてこと言うんですか黒歌さん!」

畜生! せっかくギャスパーの力を使っていろいろなことしようと思ったのに!

そんなことを思っている時、ふと彼女の目が普段会う時よりも潤っている気がした。

例えるなら……欠伸をした時や目にゴミなんかが入った時みたいに……。

「黒歌?」

「……大丈夫にゃ。じゃ、今日は帰るにゃ」

「お、おい」

黒歌はそっけなくそう言うと窓に足をかけてそのまま外へと飛び出ていってしまった。

俺は窓から顔を出して周囲を見渡して見ると既に辺り暗く、黒歌の服も黒一色なので全く見つからず、

黒歌はどこかへと消えてしまった。

……いつもなら帰り際に笑って俺のことを見るのに……。

開いている窓から入ってくる心地いい風が動けないでいる俺の頬を撫でていくことすら、

気にもならないくらいに俺は大好きな人が消えていった方向をただただ、眺めていた。




おまたの金平糖まる!
今月中には無理ですが三月中には絶対に完結させます!
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