イッセーと黒猫の恋物語   作:kue

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第三十一猫

黒歌がいつもとは違う雰囲気のまま帰った次の日の真夜中、

誰もいない学校のグラウンドで俺とギャスパーは特訓をしていた。

内容は投げたボールを空中で停止させること。

かれこれ20回ほどやっているが暴発したのが十回、残りは成功半分で失敗も半分だった。

「先輩、何か考え事ですか?」

「……俺、そんなに思いつめたかをしてるか?」

ギャスパーにそう聞くと首を上下に何度も振った。

……後輩にまで心配されるくらいに俺は思いつめていたのか……今まで元気の塊みたいに、

毎日はしゃいで生活してきたからな……ハァ。

俺達はいったん、修行を切り上げて近くの太い木にもたれかかった。

「なあ、ギャスパー。もしもお前の大好きな人が急に雰囲気が変わったらお前はどうする?」

俺の質問にギャスパーは首をひねり、うんうんと唸りながら数分ほど考え始めるが結局、

答えは出なかったのか何も言わずに俺の顔を見てきた。

……なんで俺、出会って数日しか経ってない後輩にこんなこと聞いてんだか……いや、

俺は誰かに聞いてほしいんだ。それで応えて欲しいんだ……あいつが……黒歌が、

なんで今までにない雰囲気のまま俺のもとを去ったのか。

「今日の会談にはギャスパーは行けないから留守番頼むぞ」

「はい……ぼ、僕暴走しない様に健闘します!」

「大丈夫だって。お前が隠れているところには三種族のトップの人と、

オカルト研究部の奴らしか知らないから」

そう。ギャスパーのセイグリッドギアの力を悪用しようとする輩のことを考え、

こいつが潜んでいる場所はごく僅かな人たちしか知らない。

そして懸念されることがもう一つ。それは和平を結ぶことに反対している連中が、

この学園を襲撃に来る可能性がある。

まあ、その可能性に関しては警備を厳重にすることで被害をなるべく少なくしようとしているし、

警備を担当する連中は相当の手誰をどの組織も任せている。

それにこっちには俺たちもいるんだ……もし、襲撃してきても追い返してやる。

ふと腕に付けている時計を見ると集合時間の五分前を指していることに気づいた。

「そろそろ俺は行く。お前も戻ってろ」

「はい! 段ボールの中でリラックスしておきます!」

「…………それと旧校舎の床に穴があいてるだろ」

「はい」

「その穴をふさいでいる奴は絶対に取るなよ。良いな」

何やらギャスパーは知りたそうな顔をしていたがそこは先輩の威厳とやらで抑えつけた。

ギャスパーが戻ったのを確認した俺は小走りで集合場所へと向かい、

皆と合流してから三種族の会談の会場である職員室へと向かった。

「ほとんどは私が話すと思うけどイッセーと祐斗は何か聞かれるかもしれないから、

その心の準備だけはしておいてね」

部長がそう言ったのを聞きながら会場へと向かっていると警備の人なのか、

甲冑を着た悪魔が何人も壁沿いに横一列に並んでいて、俺たちの姿を見るや否や全員が頭を下げた。

部長は周りの光景をもう慣れた感じでスタスタと歩いていくが僕とアーシアは、

なんか俺たちも頭を下げないとだめな感じがしてずっと会釈しながら歩いていった。

やっぱり、部長は普段から召使の皆さんにこうやられているんだろうか……俺も、

将来上級悪魔になったら女性悪魔の皆さんにキャーキャー言われたい!

そんな欲望を抱きながら歩くこと数分、皆が止まったので俺も止まると、

目の前には先ほどと同じように警備の人がドアの両脇に立っていて、

部長の顔を見るとすぐにドアを開いた。

「な、何だこれ」

ドアの中に広がっている光景は普段、見ている会議室とはまったく違う光景だった。

床には赤いじゅうたんが轢かれ、部屋の真ん中あたりには大きい丸テーブルが置かれ、

天井にはどうやってつけたのかシャンデリアが設置されており、

それぞれ三種族のお偉いさんが中央に円卓を囲うようにに座っており、

壁に沿って会長が先に座っていた。。

「やあ、よく来てくれた。座ってくれ」

サーゼクス様に言われ俺たちは用意されていた座席に座り会議が始まるのを待った。

「よし、全員来たようだし。始めようか」

「ええ」

「俺も良いぞ」

「よし、ではこれより悪魔、天使、堕天使の三大勢力による会議を行う」

サーゼクス様のその言葉が会議が始まるきっかけとなり、

まずはコカビエル達と真正面から対面した俺達の代表として部長がサーゼクス様に呼ばれ、

イスから立ち上がって報告を始めた。

どのように奴らが俺たちに近づいて来て、どのように戦いが始まったのかをこと細かく、

部長が説明していく。

その話に耳を傾けながら時折、ミカエルさま、そしてアザゼルのおっちゃんなんかが、

一言二言発言を挟んでいく。

さらにその報告も終わると俺達が聞いたこともない単語が次々と出されていく。

神が生み出したシステムやらユグドラシルやらなんちゃらで、

専門用語ばかりで頭がこんがらがりそうだ。

「さて、そろそろ俺たち以外に世界に影響を与えそうな奴らに意見を聞こうか。

まずは白龍皇、ヴァーリ、お前は世界をどうする」

アザゼルのおっちゃんに言われて立ち上がったのは俺よりも年下の風貌をした青年だった。

……あいつが白髪神父とコカビエルを持って帰った白い鎧の奴か……あの時は一瞬だけだったが、

今改めてじっくりとあいつを感じてみるとすげえ魔力だ。

俺なんかと比べ物にならない量、質……そして戦闘じゃないにもかかわらず、

発せられているオーラはかなり高圧的な物……にしても何も起こっていないのに、

いくらなんでも高圧的すぎないか?

「俺は強い奴と闘えればいい」

アザゼルのおっちゃんは納得したかのように首を縦に振った。

「だろうな。赤龍帝、お前はどうする」

不意に俺に質問をぶつけられて焦ってしまった。

「お、俺は……どうするも何も襲いかかってきた奴らをこの力と仙術でぶっ飛ばします」

「そういえばお前、どこで仙術なんか習得したんだ?

一般人が普通に生活していて習得できるもんでもねえだろ」

アザゼルのおっちゃんの質問に今まで疑問を胸の内に秘めていた会長や部長達の視線までもが、

俺に一気に注ぎ込まれた。

……まずいぞ。非常にまずい……もちろんあいつのことなんか言えないし、

白音から習ったって言ってもなんかヤバい方向に向かっていきそうだし……。

「それに最近、黒歌らしき人物の目撃証言も上がっているんだ。

なんでも兵藤君の家の方向から来ているのを見たらしい」

サーゼクス様の一言で悪魔からの俺に対する評価がたぶんだけど、

一気にこの場では下がったと思う。

なんせ黒歌は悪魔なら誰もが知っている指名手配されるほどの凶悪犯罪者……として、

名前が広がっているわけだからそんな奴と俺が接触していたとなると、

裏切り行為と取られてもおかしくない。

……黒歌の奴、仙術の扱いが雑になるくらいに何を悩んでいるってんだよ。

「え、えっとそれは」

俺が釈明をしようと口を開こうとした瞬間、丸で全身麻酔をしたかのように、

足の先から徐々に体が冷たくなっていくのを感じた。

直後、俺の腕に赤色の籠手が勝手に出現し、俺の中にある魔力を一瞬だけ、

爆発させ、さっき感じていた感覚が一気に消えた。

慌てて周囲を見渡して見るとどいつも瞬きをしておらず、動いているのはトップの御三方、

グレイフィアさん、レヴィアタン様、木場、俺、部長、ゼノヴィアくらいだった。

さらに追い打ちをかけるかのように職員室が入っている建物が大きく揺れ始めた。

「どうやら襲撃のようですね」

ミカエルさまの言葉を聞き、俺達は慌てて窓の外を見てみると外には大勢の魔法使いが、

校舎めがけて様々な魔法を放っており、誰かしらが張った結界にぶつかって消滅していた。

でも、そんなことよりも一番問題なのは俺達しか動けていないということだ。

「ギャスパーのセイグリッドギアが暴発したのと魔法使いがいるのは、

不自然すぎるわ。でも、なんでギャスパーの場所が」

そうだ。部長の言うとおり問題は何故、ギャスパーの場所がバレたのかだ。

あいつのセイグリッドギアは非常に不安定で厄介な能力だから、

関係者しか話されていない。

あのヴァーリとかいう奴だって知らないし、

ましてやトップ陣が反対勢力に情報を流すなんて考えられない。

じゃあ、なん…………待て……い、いや、そんなはずはない!

あ、あいつが……あいつが!

「どうしたのイッセー君。顔色が悪いけど」

「あ、あぁ。なんでもない……と、取り敢えず外の連中を何とかしないと。

そ、それにギャスパーだって心配だし」

「そうだな。リアス、旧校舎の部室までの移動手段はあるかい?」

「はい。まだルークの駒が残っていますので」

サーゼクス様、部長、グレイフィアさんが集まって旧校舎までの移動手段を、

確立していっている傍でアザゼルのおっちゃんによって外の魔法使いの対処が考えられていた。

「取り敢えず、ヴァーリ。暴れて来い」

「了解した」

そう言い、ヴァーリとかいう奴はバランスブレイクを発動させ、白い鎧を身に纏うと、

光となって校舎の外へと向かった。

「取り敢えず剣士の二人も行って来い」

二人は頷き、たがいに武器を持って外へと向かった。

それと同時に移動手段が確立したのかサーゼクス様、グレイフィアさん、

部長が俺のところへと近づいてきた。

「決まったわ。旧校舎にあるルークの駒を使ってキャスリングを行うわ」

キャスリング――――それは王と戦車の位置を瞬間的に入れ替えることができるもの。

確か旧校舎には最後の駒である戦車の駒が残してあるって聞いている。

こんなことを予想していたらしいけど……。

「よし、じゃあグレイフィア。私の魔力方式で何人飛ばせるかな?」

「ここでは簡易術式でしか展開できそうにありませんので、

お嬢様と後もう一方が限界かと」

「なら俺が行きます」

俺は真っ先に手をあげて名乗り出た。

「ふふ、だろうね。分かった、君とリアスに任せよう」

よっしゃ! 待ってろよギャスパー! このエロの権化たる、

赤龍帝様の俺がすぐに助けに行くからな!

『できればエロの権化に放ってほしくないものだがな』

とりあえず頭の中に響くドライグの悲しみがこもった声を俺は無視することにしたが、

いつにも増してあいつの声は悲しそうだった。

「おい赤龍帝、これ持っていけ」

「兵藤一誠です」

そうは言いながらも俺はアザゼルのおっちゃんが投げてきたものを受け取って見ると、

それは指にはめるようなリングだった。

「それは神器の力を抑える力を持つ。お前の血とそれがあれば安定した状態で、

セイグリッドギアが使えるはずだ」

「了解です」

グレイフィアさんの術式が完成するのを待っている間、

サーゼクス様とアザゼルさんが俺達とは離れたところで話しこんでいた。

「アザゼル、神器を集めて何をしようとしていた」

「ん? ああ、備えてたんだよ。つっても、

お前らからの攻撃じゃねえぞ。とある組織からの攻撃だ」

「その組織とは?」

「カオスブリゲード。簡単にいえばテロリストだ」

どの時代にもテロリストはいるもんだな。

「そして最も厄介なのはその組織のトップだ。そいつは最強の龍だからな」

『そう、彼がカオスブリゲードのトップです』

アザゼルのおっちゃんがそう言ったのと同時に室内に見たことがない模様が、

描かれた魔法陣が展開され、室内に誰かの声が響いてきた。

……う、嘘だ。あ、あいつは確かにカオス・ブリゲードに所属しているけど、

飄々と自由にやってるって……黒歌。

「グレイフィア! すぐに二人を飛ばすんだ!」

「はっ! 二人ともご武運を!」

グレイフィアさんの焦りの色が隠れていない声が聞こえた瞬間、

準備された術式が発動され、俺達の視界が輝きによって塗りつぶされた。




よくよく考えたらこの小説って原作設定ガン無視だよね。
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