魔法陣の光が消え、目の前に映ったのは旧校舎にある部室ですぐ目の前に、
椅子に縄で拘束されたギャスパーとローブを着た人たちが何人もいた。
……今は黒歌のことは頭の隅にやってこのことに集中だ!
「っ! まさかここに来るとはね!」
「悪魔が!」
俺達が飛ばされたのは普段使っている部室なんだが、
今は不気味なローブを着た魔法使いに占領されていた。
まったく、俺様の桃色の花園がまさかこんなエロを全く、
分かっていないテロリストどもに占領されるとは…………俺が隠していたエロ本は無事かな~?
視線を下にして周囲の床を見渡して見るとぽっかりと空いている穴が目に入った。
……ま、まさか。
「ギャ、ギャスパー殿。れ、例の物は」
俺は目に涙を浮かべながらも冷静を装い、ギャスパーに問いかけると奴は、
申し訳なさそうな表情を浮かべながら視線を反らした。
俺はまさかと思いながらも雑誌の無事を祈り、ギャスパーが視線を向けた先を向いてみると、
そこには見るも無残な姿の雑誌があった。
表紙は無造作に踏まれたのか泥がベッタリと付着するとともにグチャグチャになっているし、
その近くには裏表紙がビリビリに破れた状態で落ちてあった。
『Boost!』
「無駄よ! この子がどうなっても」
俺は迷うことなくギャスパーの首筋に刃物を近づけている女性にダッシュで近づくと、
相手のおデコに思いっきり頭突きをかました。
相手はまさか俺が突っ込んでくるとは思っていなかったらしく、綺麗にデコに直撃し、
そのまま意識を失って倒れてしまった。
「あらまあ」
「許さんぞ……許さんぞ貴様らぁぁぁぁぁぁ!」
『Boost!』
俺の怒りの咆哮とともに籠手から倍加を示す音声が流れると俺の中にある魔力が増大し、
籠手の宝玉から魔力が放出され、旧校舎がギシギシと悲鳴を上げ始めた。
「な、なんだ!?」
「部長! ギャスパーをお願いします! それとプロモーションも!」
俺は部長の許可を聞き届けるとすぐさまナイトへと駒を変化させ、
高速で魔法使いの連中に近づくと一人は顎に頭突き、もう一人は腹に頭突きをかまし、
あっという間に一人を残してノックダウンを奪った。
「バ、バカな! こ、こんなあっけなく!」
「よくも星野淳ちゃんの初巻頭表紙という偉大な雑誌をめちゃくちゃにしおって!」
「た、高々エロ本だ!」
「エロ本は宝なり!」
ナイトの速度で姿勢を低くしながらそのままの速度で相手の鳩尾に頭突きをかましてやると、
相手は口から何かを吐きだしながら鳩尾を抑えてそのまま動かなくなってしまった。
「エロは世界を救う!」
「部長。前が見えません」
「ギャスパー。貴方は見てはいけない世界なのよ」
俺が籠手を装着されている腕を高らかに上げながら素晴らしい名言を発する後ろで、
何やら心外な会話が交わされているような気もするがそれは放っておこう。
あぁ、やはりエロは世界を救う! 俺はエロ神様になる!
「イッセー。とりあえず皆のもとに行くわよ。まだ魔法使いは残っているだろうから。
ギャスパー、貴方の力もかして頂戴」
「が、頑張ります!」
「うっす!」
エロという素晴らしいもので俺は気合というエネルギーをフルチャージし、
ギャスパーと部長と一緒に旧校舎を抜け、皆が戦っているグラウンドがすぐ目の前と思った瞬間、
突然、俺達の目の前に何かが地面にたたきつけられて目の前に砂埃が舞った。
「わっ!」
「きゃっ!」
砂ぼこりのせいで視界が悪いので仙術を使って俺達の目の前にいる人物のオーラを、
確認してみるとそれはアザゼルのおっちゃんであり、
さらに俺達の上空にヴァーリとかいう奴のオーラともう一つのオーラを感じた。
「こんなところで反旗か? ヴァーリ!」
おっちゃんがそう叫ぶとヴァーリはさも当然のような顔をしながら隣の女性とともに、
地面へと降り立ち、俺たちと対峙した。
「そうだよ、アザゼル」
ヴァーリの周りから発せられているオーラも凄いんだが……その隣にいる美人な女悪魔さんも、
それに負けず劣らずのオーラを発している。
……上級……いや、最上級レベルのオーラだ。
「もしかして彼が赤龍帝?」
「ああ、そうだよ。俺のライバルだ」
「そう。私の目的はアザゼル……貴方です。貴方には死んでもらいます」
女性が発したその一言で俺は分かった。
この人も悪魔至上主義の考えの持ち主で悪魔以外の種族に関しては最悪なくらいの印象しか、
持っていないし死んで当然とかいうイカレた思考の奴だ。
「おいおい馬鹿を言うな。今まだ神器についての研究が山ほどあるんだ」
「安心してください。新世界では神器などというものは作りません。
いずれは北欧のオーディン達にも動いてもらいます」
にんまりと口角をあげた後、アザゼルのおっちゃんは女性が言った言葉を、
バッサリと切り捨てるとともにポケットから一つの短剣を手の中におさめた。
お、おいおいおい! 何なんだあのスゲエ強いオーラを発している短剣は!
ゼノヴィアとかが使っている強力な聖剣とかいうわけでもなさそうだし……いったい、
あの短剣に何があるってんだよ。
「それを聞いてお前らの目的にますます反吐が出そうだ。
ヴァルハラ!? アース神族!? 横合いからオーディンに掻っ攫われるつもりかよ。
というよりもな俺の楽しみを奪う奴らは……消えろ」
するとアザゼルのおっちゃんがポケットから取り出した短剣を両手で握り締めた途端、
凄まじいオーラを発し、光り輝きながらその形を変化させ始めた。
カテレアと呼ばれた女悪魔はその輝きを見て驚きの表情で顔を染め上げた。
「アザゼル! 貴方まさか!」
「バランスブレイクっ!」
一瞬の閃光が俺達の視界を完全に奪い去り、思わず腕で目を覆うが数秒経つとすぐさま光は消え去り、
腕を退けて目の前を見てみるとそこにいた者は金色の装甲を身にまとっていた。
バサッと漆黒の12枚の翼が展開され辺りに黒い羽が散らばる。
す、すげえオーラだ……まるでドラゴンに黒い翼が生えたみたいだな。
その隣にいるヴァーリはアザゼルのおっちゃんのその姿を見て、
まるで幼い子供が面白そうなものを見つけた時のように笑い声をあげた。
「はははははは! 流石はアザゼルだ!」
「行くぜ? カテレア」
「なめるなっ!」
特大のオーラを纏ってカテレアがアザゼルのおっちゃんに突っ込んでいくが、
おっちゃんは手に持った太い光の棒を手に持ったまま、その場から一歩も動かずにじっと、
立ち止まっていた。
……これは一瞬で決まる。
俺がそう思った瞬間、二人が交差したかと思えばカテレアの背後の地面に凄まじい衝撃が走り、
深い亀裂が地面に入ると同時にカテレアが口から血反吐を吐いて地面に膝をつけた。
「堕天使ごと気にこの私がっ! タダで死ぬと思わないでください!」
そう叫ぶと女性の腕が触手の様に変化してアザゼルのおっちゃんの腕に何重にも硬く、
結ばれておっちゃんを拘束した。
「あ? なんだこりゃ」
アザゼルのおっちゃんは腕に巻きついているものを槍で刺したりしながらはずそうとしているが、
触手は一向に切れる気配を見せるどころか奇妙な文字の羅列が浮かび上がり、
青白い光を発し始めた。
「あれは自爆用の術式よ! アザゼル事自縛する気よ!」
部長の言ったことに俺は驚きを隠せなかった。
自分の命が惜しくないのかよ!? そこまでして何で新しい世界を作ることに執着するんだ!
「とにかくここから離れるわよ!」
部長が慌ててギャスパーの手を引き、
空いている手で俺の肩をもって一刻も早く、少しでも遠くへ離れようと走り始めた。
「心配すんな。爆発なんかさせっか」
そう言っておっちゃんは真顔のまま光の槍で自分の右腕を肩から切断した。
切断され、地面にボトッと落ちた腕は塵となって消えていった。
う、うげぇ! ま、まじかよ! あんたもあんたで凄いよ!
「じ、自分の腕を!」
「研究ができなくなるよりかはマシだ」
そう言いながら光の槍を思いっきり女性めがけて投げると凄まじい速度で女性に接近し、
僅か数秒足らずで腹を貫通した。
カテレアは何故? とでも言いたげな表情をしながら、
一瞬塵となって俺達の目の前からもこの世からもその存在を消滅させた。
「流石はアザゼルだ」
そう言いながらヴァーリは一歩、一歩ゆっくりとおっちゃんの近くに歩み寄っていった。
「俺はお前と片腕でも戦えるぞ」
「いや、今はそんな気分じゃないんだ。兵藤一誠、君と話がしたい」
「な、なんで俺と」
「まあ、君が聞きたくないというのならば別にいいんだよ……俺は、
君と彼女のことについて話したいんだけど」
……………こいつなら、何か黒歌について知ってるかもな。
それにあいつから戦いたいという戦闘意欲がさっきと比べて全く感じられないし、
オーラも会談が始まった当初のような高圧的な物じゃない。こいつは本当に、
俺と話したいんだ。
「部長。少しこいつと話させてくれますか?」
「……分かったわ」
そう言い、部長はギャスパーとともに少し俺から離れてくれた。
「さて、まずは何について話そうかな」
「なんでお前達がギャスパーの居場所を知っていたんだ」
「それはもう気づいているだろ?」
「違う! あいつが……あいつが俺を裏切るはずがないんだ!
だって俺はあいつの恋人であいつは俺の恋人で……そんな……俺を裏切るわけ」
「でも、君は居場所を話したのは彼女だけなんだろ?」
違う……違う!
「裏切るにはまずは味方から」
違う! あいつがそんなことするはずがないんだ!
あいつは本当は優しくて………………
――――――――あいつの言葉によって徐々に俺が彼女に抱いていた信頼が疑念へと変わっていく。
「ハニートラップっていうのは知っているだろ?」
「違う違う違う! そんな……そんなはずは」
―――――――――疑念が確信へ
「もう、彼女はお前の傍には帰ってこない」
「違う……違うんだ」
考えたくなかった真実が俺の頭の中で完成し、体を支えることができなくなって地面に膝をつけ、
目から次々と流れ出る大粒の涙によって地面が濡れていく。
そして奴の背後に一つの転移魔法陣が展開され、そこから誰かが出てくる。
違う……俺は何か何違いしているんだ! あの魔法陣から感じるオーラはあいつじゃないんだ!
「紹介しよう。カオス・ブリゲード一の小悪魔。純血の悪魔よりも悪魔らしい黒歌だ」
「よろしくにゃん」
―――――――――――変わった。
とりあえずタグに原作設定無視って入れようかなと悩んでいるKueです。
それとガイムの二次なんですが……これを完結してからにします。それでは!