イッセーと黒猫の恋物語   作:kue

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第三十五猫

列車に揺られること40分、既に出来るトランプのゲームはやれるだけやったんだが、

未だに列車は走り続けていた。

神経衰弱、ババ抜き、ダウト、ジジ抜き、大富豪などを一通りやった。

まあ、楽しかったから時間が過ぎるのはあっという間なんだけどそれでもちょっと、

ほんのちょっとだけだが飽きてしまった。

「イッセー、そろそろ着くわよ」

「あ、はい」

ようやくか。あ~流石に四十分も座ってると腰が痛くなるぜ。

部長に言われてトランプを片づけていると列車の速度が緩くなって、

ガクンと前のめりになった。

ふと、窓の外を見ると何やら甲冑を身に纏った連中がホームの目の前で集合しているのが見え、

思わず二度見したが気のせいでも何でもなかった。

……なんだあれ。まさか反乱軍とか? 和平に対するな。

「みんな、降りるわよ」

俺たちは荷物を持って列車から降りて駅のホームに降りた瞬間―――――。

『リアスお嬢様! お帰りなさいませ!』

銃を持った兵たちが空に向かって発砲して楽隊が音楽を奏で始めた。

空を見上げてみると輪イバーンのような生物に乗って大きくグレモリー家の家紋が描かれた旗を、

大ぶりに降っている者の姿も見えた。

……やっぱり規模が違うんだろうな。

「お帰りなさいませ、お嬢様」

「ただいま、グレイフィア」

一列に並んでいる召使たちの中からグレイフィアさんがこっちに歩いてきた。

……一体何人召使を雇ってるんだよ。パッと見でも三十人以上はいるぞ。

「馬車を用意しております。こちらへ」

グレイフィアさんの案内で部長、俺、アーシアで一台の馬車に乗って

残りのメンバーは適当に馬車に乗って部長のお家へと向かった。

俺、人力車には乗ったことあるけど馬車に乗ったの初めてだわ。

馬車が動きはじめ、ゆっくりと景色が動き始めた。

「すげぇ。あんなでっかい建物とか初めて見たぞ」

「あれは私の別荘の一つよ」

部長に言われ、もう一度見てみるが作りも豪勢だし外からじゃ詳しくは分からないけど、

少なくとも五階以上はある建物だぞ。

しかも地下だってあるだろうから下手したら人間界に立ってるそこらの建物よりも、

高さ的には高いぞ。

……別荘であのくらいだったら本邸はいったいどうなるんだよ。西洋風のお城か?

それともどっかの石油王みたいに小高い丘に建ってるのか?

そんなことを考えながら外の景色を見ているとひときわドデカイ建物が見えるとともに、

馬車もそのドデカイ建物の近くで止まった。

「さ、降りるわよ」

部長に言われて馬車から降りてすぐ、目の前にズラーっと横一列に並んだ召使達が見えた。

さっき、駅の前にいたのはごく僅かというのか。

この数の召使の人たちを見て人件費やらなんやらが凄まじいんだろうなと思った俺は、

貧乏性な人間なんだろうか。

大きな門が大きな音を立てながら開くと目の前にお城と言っても言いすぎではないくらいの、

大きな家が建っていた。

これ絶対、王様とか皇族の人たちが住むような家だって。

『お帰りなさいませ! リアスお嬢様!』

「ただいま、皆」

部長や朱乃さんなどオカルト研究部の古株は特に気にも留めていない様子だが、

ゼノヴィア、俺、アーシアなんかの最近新しく入ったメンバーは、

その桁違いの規模に呑まれかかっていた。

だって、本邸らしき目の前のお城の最上階なんか見上げないと視界にすら入らないんだぜ?

家じゃなくて高層ビルを見上げてる感じだ。

「お帰りなさい! リアス姉様!」

「ただいま! ミリキャス!」

そんなことを考えているさなか、声が聞こえてそっちのほうを見ると赤色の髪の少年が、

部長に抱きついていた。

……なんかすんごく誰かに似ているような気が……誰だ。

「ぶ、部長? この子は」

「あ、ごめんなさい。この子は兄様の息子のミリキャスよ。

私の甥にあたるわ。ミリキャス、自己紹介して」

「はい! こんにちわ! ミリキャス・グレモリーです」

「あ、兵藤一誠です」

サーゼクス様の子どもということは……既にサーゼクス様はご結婚なされていて、

サーゼクス様の嫁さんの女性悪魔がいるってわけだ。

感じから見るにこの子も純血の悪魔っぽいから純血の悪魔なんだろうけど……魔王と、

結婚できるなんて相当の勝ち組じゃねえか。

まあ、そんな感じで玄関で度肝を抜かれた俺だが家に入るとさらに衝撃を受けた。

天井にはいくつものシャンデリアが付いてあり、床は大理石みたいに高価な物を使用しているのか、

俺たちの姿が反射してみる。

それに、大変高価そうな絵画とか壺だとかが大量に並んでいる。

……あれ全部売ったら俺、人間界で一生暮らせるのかな。

「すぐにお部屋はお使えになられますが、どうなさいますか?」

グレイフィアさんが手を挙げると壁際で待機していたメイドさん達が一歩、前に出てきた。

おぉ! 流石はグレイフィアさん! あれだけ綺麗な人がさっと手を上げただけで、

メイドさんが出てくるなんてすげえカッコイイ!

「先に、お母様に挨拶をしたいわね」

「旦那様はただいま、外出中でございます。夕宴の際がよろしいかと」

「そうね、今は部屋で」

「あら、帰ってたのね、リアス」

部長の話をさえぎって聞こえてきた、綺麗な声。

俺はその方向に視線を向けるとそこには綺麗なドレスを着て、

部長を亜麻色の髪にしたverの女性が立っていた。

「お母様」

俺はその一言を聞いて驚いた!

ま、まじで!? どう見ても同年代にしか見えな……あ、そうか。

確か悪魔は年齢を重ねると自分の容姿を魔力で自分の好みの姿に変えられるんだったな。

ていうことはあの人もやっぱり俺が姿だけで思った年齢よりも倍……いや、

下手したら十倍以上長生きしてるってことか。

「あら、リアス。その方が兵藤一誠君ね」

「そうですわ、お母様」

「私はリアスの母、ヴェネラナ・グレモリーですわ。よろしくね、兵藤一誠君」

「は、はい!」

どこかやさしい雰囲気も感じ、厳しい雰囲気も感じられる人だった。

この母親にこの娘ありって感じだな。まあ、そりゃ部長だってかなり美人だから、

母親も相当美人なのは当たり前だよな!

「皆さんもお疲れのようですし、夕食の時間までお部屋でゆっくりしてもらったらどう?」

「わかりましたわ、お母様。じゃあ、皆。夕食の時間になったら、

呼びに行くからそれまで部屋でゆっくりしてて頂戴」

そう言われ、メイドさんについていくと一人ずつに宿泊用の部屋が用意され、

中に入るとこれまた、人間界の超高級ホテルの一室みたいな部屋に案内された。

ベッドもここまででかいか……いざ!

「ダァァァァァァァイ」

「とう!」

「ぎゃん!」

ホテルに入れば誰しもがやるであろうベッドダイブをやろうとベッドめがけて飛び込んだ瞬間、

背中に凄まじい衝撃が走り、そのまま床に顔からダイブしてしまった。

……もう顔なんか見なくても衝撃から分かるぜ。

「し、白音よ。何故、やらせてくれぬのだ!」

「ここがホテルならば私も止めません……が、ここは部長のお家です」

「で、でもここって俺たちに充てられた……分かった! 分かったから、

その骨パキパキ言わせるのはやめて!」

とりあえず俺は白音を退かし、普通にベッドに座り込んだ。

座り込むだけでも凄い弾力なのにダイブが出来ないなんて……悲しいぜ。

「……さっき、部長から聞きましたがどうやら悪魔主催のパーティーがあるみたいです」

「…………安心しろ。これは俺がケリをつける」

白音の頭を優しく撫でてやると白音は気持が良いのか目を細め、俺に抱きついてきた。

こいつだって俺と同じくらい……いや、それ以上のショックを受けたんだ。

俺のためにも……そして白音の為にも絶対にケリをつける……もし、

ケリをつけられないんだったら俺はそこまでの男だ。

俺は白音を抱きしめながら、改めて決意した。




最終話も投稿しちゃいます。
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