キノの旅(✕フーと散歩) -the Wonderful Days- 作:水霧
「わっはっは。絶品ってほどじゃないが、画期的かもしれんな」
そんな風の噂を聞きつけたキノとエルメスは湿原の中にある国に訪れた。男に紹介された宿で出された食べ物とは……。第一話「たべたいくに」など十四話収録。リクエスト:alias様、十六夜の月様。
-Contents-
Short Story
ささげるはなし -Nameless Sound for You-(オリ)
わらにもすがるはなし -Trouble Traveler- by alias(オリ)
なかだちのはなし -Boader- by alias(オリ)
おいはぎのはなし -the Story of the Nightmare- by alias(オリ)
Prologue
信じるということ・b -Be Strong More・b-
第一話
たべたいくに -Eating is Myself!-
第二話
みにくいくに -the Brilliant Cut- by 十六夜の月
第三話
まもるはなし -So, Want to Protect it...- by 十六夜の月
第四話
えらばれたくに -at Random- by 十六夜の月(オリ)
第五話
もどるはなし -Rebirth for Him- by alias(オリ)
第六話
がんぼうのはなし -××× Holic- by alias(オリ)
Epilogue
信じるということ・a -Be Strong More・a-
フォトの日記
だれかのために -Live Hard- by 十六夜の月
うつすくに -Say Peace!- by alias(オリ)
SS1:ささげるはなし -Nameless Sound for You-(オリ)
とある師匠と荷物持ちがオンボロ車に乗って、とある道を通りました。そこにはとある老人が木にもたれかかっていました。
通り過ぎた二人はそのまま走っていきました。が、荷物持ちの一言でオーバーヒートしそうなくらいに戻ってきました。
この方で間違いないですね? 師匠が荷物持ちに話すと、はい、間違いありません、と荷物持ちが言いました。老人はにこりとしてこんにちは、と言いました。
お二人はどうして戻ってきたのかな? 老人が
荷物持ちが、あなたがかつての国王だからです、と答えました。
「実は、私はもう病に伏して先が長くない。なので、最後の頼みを聞いてくれまいか?」
「頼みとは?」
「……この老いぼれに、詩を捧げてほしい。この老いぼれた病人に、どうか鎮魂歌を……」
師匠は二つ返事で、分かりました、と返しました。
その後、男の事情をあれやこれ、
ぱん。一発の銃声を捧げました。
「これで任務達成ですね、師匠」
「そうですね。価値の高い指輪と王冠とその他もろもろいただいていきましょう」
とあるキノとエルメスがとある道を通りました。そこにはとある老人が木にもたれ、青年がすぐ側にいました。
一旦通り過ぎたキノとエルメスは無性に気になり、Uターンして戻ってきました。
こんにちは、ボクはキノ。こっちが相棒のエルメスです。キノが丁寧に話すと、青年は涙を流しながらこんにちは、と返してくれました。
キノさんとエルメスさんはどうして戻ってきたんだい? 青年が嗄れた声で尋ねました。
キノが、どのような状況なのか気になったからです、と丁寧に尋ねつつも答えました。
「私はこの人の息子です。そして国王なのです」
「つまり、あなたは王子なのですね?」
「そんなの当たり前だろ! ……あ、……ごめんなさい……」
キノは数秒してから、いいですよ、と返事しました。
その後、老人たちの事情をあれやこれやと伺い、
ぱん。一発の銃声を捧げました。
「依頼とはいえ容赦ないなあ。でもこれで豪華な食事と部屋ゲットだね、キノ」
「そうだね、エルメス。あと、弾薬と燃料とその他もろもろもらおう」
とあるシズが陸とティーを乗せたバギーで、とある道を通りました。そこにはとある老人と青年が木にもたれ、優男がすぐ側にいました。
一旦通り過ぎた二人と一匹は無性に気になり、Uターンして戻ってきました。
こんにちは。私はシズです。シズが手を差し伸べると、優男が涙を流しながらこんにちは、と返してくれました。
シズさんたちはどうして戻ってきたんだい? 優男が
シズが、どのような状況なのか気になったからです、と丁寧に尋ねつつも答えました。
「私はこの人の息子です。そしてこの人は国王で、隣が兄なのです」
「つまり、あなたは第二王子なのですね?」
「そんなの当たり前だろ! ……あ、……ごめんなさい……」
シズは数秒してから、いいですよ、と返事しました。
その後、老人たちの事情をあれやこれやと伺い、
ざく。一筋の剣撃を捧げました。
「市民権を得るためには仕方がないとはいえ、心苦しいものがありますね、シズ様」
「そうだな。長い旅だったが、これでようやく落ち着いた生活を送れそうだ」
「ばくだんはもういらなくなるのか?」
とあるダメ男とフーがとある道を通りました。そこにはとある老人と青年と優男が木にもたれ、あどけない男がすぐ側にいました。
ダメ男は彼の所へ寄りました。
こんちは。ダメ男が軽く挨拶をすると、あどけない男が涙を流しながらこんにちは、と返してくれました。
一体どうしたんだ? ダメ男が不審がって尋ねました。
「実は父上と兄上たちが殺されてしまって……」
「ってことはあんたが王子様ってわけだ」
「そんなの当たり前だろ! ……あ、……ごめんなさい……」
ダメ男はいいよいいよ、と返事しました。
その後、老人たちの事情をあれやこれやと伺い、
なるほど。フーが声を上げました。
「あなたのお父上が悪政を
「でも、父親が悪いんであって子供のあんたは別に悪さはしてないんだろ?」
「は、はい……」
「……なら戻ろう。父親の代わりに心を入れ替えて全力で謝罪すれば、きっと許してくれるよ。遺体は後で
とあるハイルがクーロたちを連れて、とある道を通りました。そこにはとある老人と青年と優男が木にもたれ、あどけない男は近くの木に吊るされていました。そのすぐ側に精悍な男がいました。
ハイルは彼の所へ寄りました。
こんにちは。ハイルが明るく挨拶をすると、精悍な男が涙を流しながらこんにちは、と返してくれました。
どうしてこんなことに? ハイルが心配そうに尋ねました。
「分からない。だが、暗殺者に殺されてしまったようだ……くそ……! 親父、兄者たち……!」
「お兄さんはご遺族なんだね?」
「そんなの当たり前だろ! ……あ、……ごめんなさい……」
ハイルは気にしないで、と返事しました。
その後、老人たちの事情をあれやこれやと伺い、
そっか、とハイルが男に触れました。
「実はね、その国の人たちにあなたを捜して殺すように頼まれたんだ。でも、心から反省してるのを感じたから……見逃すよ。ぼくはこのまま見て見ぬふりをするから、ご遺体を弔ってあげて。そのままじゃかわいそうだよ」
「お、お前は大丈夫なのかよ……?」
「大丈夫。見つけられないんじゃ殺しようがない、そうでしょ? それじゃ、お元気で……」
とあるディンがナナとおててを繋いで、とある道を通りました。そこにはとある老人と青年と優男が木にもたれ、あどけない男と精悍な男は近くの木に吊るされていました。そのすぐ側に普通の男がいました。
ディンたちは彼の所へ寄りました。
こんにちは。ディンが柔らかく挨拶をすると、普通の男が涙を流しながらこんにちは、と返してくれました。
良い光景というわけではなさそうですねぇ。ディンが険しい顔で言いました。
「父さんや兄さんたちが誰かに殺されてしまったんだ」
「しかし銃殺刑に吊るし刑とは、なんとむごいことをしたものですねぇ。彼らの関係者、ご遺族ですか?」
「そんなの当たり前だろ! ……あ、……ごめんなさい……」
ディンはいえいえ、と返事しました。
ナナがディンにぎゅっとしがみつきました。
普通の男は“良い”光景を見つめています。
「とは言え、あなたもこれで満足でしょう? 晴れて国王第一候補になれますからね」
「……知っていたのか」
「いえ、とんでもない」
「ではなぜ?」
「あなたの心情が顔に現れていますよ。まるで憑き物が落ちたかのように、とても清々しい笑顔です」
「……」
その笑顔を二人に向けました。
「権力争いの成れの果てだよ、旅人さん。しかし、民が血筋の遠い僕を選んでくれたんだ」
「第五王子では、とても国王にはほど遠いですからねぇ。住民の話では、一番平和を愛するお人だとか」
「父さんや兄さんたちもそうだったけどね。……醜い争いや競い合いなんて、くだらなすぎる。間違ってるんだよ」
「私もそう思います。できれば争いたくはありませんねぇ」
ディンはナナを普通の男の前に出させました。
「ちなみにその国民から一つ、祝言があります」
「? なんだい?」
ナナが、
「平和をやめて、一方的に蹂躙したいそうです」
放射音を捧げました。
「しくじりましたか」
「ですね、師匠」
「まさか、兄弟が他にもいるとは思いませんでした」
「ただ、報酬の一部をもらえただけでも良かったですよ。タダ働きはごめんです」
「欲を言えば、指輪ではなく王冠が欲しかったですね。あと、綺麗な服と燃料と金目の物と弾薬と食料と、」
「いくらなんでも欲張りすぎですよっ」
「予想外だったね、キノ」
「まさかもう一人、弟がいたとは」
「どうして誰も教えてくれなかったんだか」
「さぁ。せっかくの柔らかいベッドと豪華な食事が一日だけになったのが残念だ。他の物は一応揃えられたけど」
「何のために旅をしてるんだか、わからなくなる発言だね」
「ボクはボクのために旅をしてるだけだよ、エルメス」
「まいったな」
「はい。まさか、標的が一人だけではなかったとは」
「せっかくのいい国だったのに、もったいないことをした。教育水準も生活水準も高く、生活するには困らなかったのに」
「惜しまれていますね、シズ様」
「それだけいい国だったってことさ。なぁ、ティー」
「いい。それよりつぎ」
「珍しく乗り気だな」
「きっとばくだんをつかうから」
「……」
「ダメだったか……」
「当たり前です。亡命しようとした国王一族を、誰が好き好んで受け入れようと思いますか」
「でも、オレの言ってることを理解はしてくれてたよ」
「生け捕りにしてくれた借りがありますからね。強く言えないのを察してください」
「そっか……」
「本当に甘くなりましたね。だから何回も死に損なうのですよ。前だってあーだこーだそーだ……」
「どうなったのかな? あの人」
〔正直、良い結末にはならないとは思いますが〕
「でも、わたしたちに頼んだくらいだから、あの人すごく強いんだよ。きっとどうにかして生き延びられるよ」
〔しかし、なぜあの男を見逃したのです?〕
「……いくら悪人でも、家族の遺体を弔えないなんてつらすぎるよ。それに今度こそちゃんと立ち直れると思うから」
〔今一度、その機会を与えられたわけですね。上手くいってくれると良いのですが……〕
「これで最後の一人ですね」
「だね! これでたべものとほうせきいっぱいくれるよ!」
「えっと、ナナさんは何がいいですか?」
「チョコレートとぉ、アイス!」
「そればかりじゃないですかっ」
「いいの! ナナがいいことをしたごほうびなの! あとはよろしく~! えっへへ」
「仕方ないですね。代わりに私が弔いましょうか。……すみませんねぇ。ナナさんの甘い物好きのために、あなた方が殺されることになってしまって……。まぁ、チョコ一つくらいならお供えしても怒られはしな、」
「だめ~。だれにもあーげないっ」
「……本当にすみませんねぇ」
あるがままに生き、あるがままに死ぬ。そしてあるがままに生まれていく。
-I Have a Dream. I Had the Dream. I Will Have No Dream.-