キノの旅(✕フーと散歩) -the Wonderful Days- 作:水霧
赤い柱と屋根で建てられた寺。中には見上げるほどに大きい像があった。その足元で人々が正座で何度も会釈をしたり手をこすりあわせたりしていた。
そこにキノがエルメスを押してやって来た。
「大きい」
「お祈りしてるとこだね」
人々の表情はとても真剣味を帯びている。
横から、
「あなた方は?」
黒い衣服を纏った男がやって来た。
「ボクらは旅人です。キノにエルメスと言います」
「そうでしたか。いえ、何と不遜な態度をした人間だろうと」
「ここは一体どのような所なんですか?」
「この寺院は神様を崇め敬い、祈る場所です」
「まあ想像通りだねえ」
「ええ。私どもはこの神像のお世話をさせていただいている住職です。かれこれ二千年近く、この職を受け継いでおります」
「二千年ですか。皆さん、こぞって希望されているのでしょうね」
「はい。……お二人に不遜な態度と申しましたが、大変失礼な発言だったようです」
「?」
「人は見た目によらないとは言いますが、お若いのにこれほど信心深いとは」
「ボクはそれほどではないのですが、旅人によっては就寝前に祈りの言葉を捧げる人もいるそうです」
「どのような?」
「聞いた話なのですが、今日も一日無事に旅をさせてくれてありがとうございます、とかでしょうか」
「なるほど」
「あとはいただたきますとかごちそうさまでしたとか、いたっ」
「ボクのことだろそれ」
ゴツンとエルメスを叩く。
しかし、住職は感激していた。
「神様は一人ではないのです。例えばその腰に携えているパースエイダー」
「!」
キノが取り出した。
「これにも神様が宿っています。大切に扱うほど長持ちするのは、神様がお力添えをしてくださっているおかげなのです」
「へえー。それも教えの一つなの?」
「そうですね。だから物を大切に使っていますよ」
「ところで、ここにいる方々は何を祈っているのでしょうか?」
「それは様々ですよ。というより信じているという方が正しいのかもしれません」
「? どういうことですか?」
黒い衣服を纏った男、住職は彼らの方を見た。
「信じるということは、自分の望む方向へ歩んでいることなのです」
「……」
「キノさんだって何かを信じてきたから、これまで生きてこられたのでしょう?」
「ボクは人生とか一生とかを振り返られるほど年が深くないですから」
「そんなことは関係無いですよ」
「?」
「大切なことは、信じる心です。信じれば身体に力が漲り、脳みそがフル回転して活力や気力が充実してくるのです。対象は誰であっても構いません。自分だっていいしパースエイダーだっていいし、相棒のエルメスさんでも」
「照れるなあ」
「!」
何か不穏な気配を察知したキノ。振り返ると、厳つい男たちが襲ってきていた。
「彼らは?」
「あの盗賊どもめ! またこの寺を襲ってきたのか! バチ当たりな!」
くすりと笑うと、盗賊たちが、