ソードアート・オンライン ~幼い心は強く~   作:紅風車

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第十五話

ただひたすらに、強くあろうとした。

それこそが俺の存在意義だと思えたから。

人の技を真似て、模写して、共感して、経験を想像する。

それが俺の得意なことであり、並外れた身体能力が不可解な異業を成し遂げる。

例えば()()()は一人の剣豪が暇を持て余し、飛び回る燕を()()()竿()と呼ばれる長刀を用いて一呼吸の間に3つの斬撃を放つ。

 

だが、その剣豪は存在しない。

その名を持つものは居たのかもしれないが、改竄・偽装された剣豪だったのだ。

嘘でも語り継がれた剣豪としての名はあり、ただ真似ることしか出来ない俺よりも遥かに強いのだから。

それと同時に一人の少女にも興味があった。

俺よりも2歳ほど上だろうその少女は、誰よりも生きることへの渇望が強く、決して死ねないという確固たる意思があった。

今まで俺を理解しようと、見ないようにとしていた人間にも物好きは居るもので、その少女は俺の理解者になろうとしていた。

それが怖くなりその場から逃げ出した俺は臆病者だろう。

心のどこかでは理解してくれる人が欲しかったのにそれを俺は自ら手放した。

 

でもまた会ったときその少女は、あの時よりも違った強い意思を持っていた。

彼女に少し身体を委ねただけで俺の抑えていた何かが少し漏れるほどに。

暖かかったそれは一つの希望を見出だした。

この少女ならば、俺を受け入れてくれるのかもしれないと。

人の感情には鋭い自信もある。

少女が向けて来る好意が親愛から異性のものだと分かっていた。

だから今度は逃げずに、真っ向から言おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ユウキ」

 

「えっと・・・」

 

目を覚ますと、何故かユウキの顔が俺の目の前にあった。

目を見てみると視線がキョロキョロと動いていて如何にもなにかしようとしていた事が分かる。

 

「お、おはよう?」

 

「・・・何しようとしてた」

 

「う・・・」

 

言えないような事をしようとしていたのか、躊躇っている。

どことなく顔が赤くなってもいるけど。

 

「ん・・・そういうことしたいなら、先に言ってほしい」

 

さすがにこの状況は何をしようとしたか分かる。

だけど何も言わずにされるのは嫌だ。

 

「えっと・・・ね。ボクは・・・・・・うぅ・・・」

 

「・・・言おうか?」

 

「だ、だめ!ボクが言う!」

 

「ん・・・」

 

俺が言おうとするとユウキは焦りながらも、深呼吸をする。

呼吸を落ち着けると俺にしっかり向き直った。

 

「ねぇ、ユキ」

 

「ん・・・?」

 

「ボク、君が・・・ユキが好き」

 

いつもは天真爛漫で元気のユウキもこういうときは不安な表情。

それでもこうして言葉にしてくれただけで嬉しい。

俺もユウキには同じ感情を持っていたから。

 

「そっか・・・うん」

 

ユウキになら、大丈夫。

俺のちゃんとした姿を見せても怯えないと信じれる。

ローブを脱いで普通の装備だけの状態になると長い黒髪がふわりと解放される。

現実通りのこの身体は俺の蒼い瞳も再現して、それがユウキを見つめる。

 

「こんな・・・僕だけど、それでも・・・良いのなら」

 

「・・・良いよ。そんなユキだから好きになったんだから」

 

「・・・す、好き・・・だよ・・・ユウキ」

 

「・・・ぅん・・・!」

 

嬉しそうにはにかんだ彼女は抱き着いて来ると俺の唇が重なった。

柔らかい感触と更に自分のでは無い舌が少しだけ舐める。

 

「ぁ・・・ん・・・ぅ・・・」

 

「はむ・・・」

 

お互いに重ねているそれは数秒が数時間のように感じれるほど早く思えて、何かが満たされるような満足感があった。

それと同時にもっと彼女に甘えていたいという気持ちも出てきてしまって、抑えていた分まで委ねることにした。

 

「ぷは・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・ん、ユキの美味しかった・・・♪」

 

「ゆうきぃ・・・」

 

俺がそう呟くとユウキの表情が変わった。

それは何かにかられるような物で、荒い吐息が抑えられていなかった。

 

「ユキ・・・ユキ・・・」

 

これが女性が持ちうる本能・・・というものなのだろうか。

抵抗する気力も無い俺はユウキに何されようが構わないが、些か暴走気味のような気もする。

 

「もう・・・良いよね・・・?」

 

それは恐らく最後までということだろう。

リアルの身体を再現しているSAOは倫理コードさえ解除してしまえば、その行為も可能だったりする。

 

「・・・ユウキの好きなようにしていいよ」

 

「あは・・・♪」

 

今の色欲に従って動いているユウキに何を言っても無駄だろうし、止めても寝ている隙にということもあるから大人しく従う方がいい。

それにユウキとなら嫌じゃないし・・・。

 

 

 

そのまま俺はされるがままユウキと過ごした。

嬉しそうにしていて寝ているときは俺を動けないように足も絡めていて、これが素のユウキなのかなと思った。

俺よりも年上ではあるけれど、幼いことには変わりなく甘えたりしたいのだろう。

俺も甘えたいのと一緒で、これほどまでに許しあった相手がいなかったのかもしれない。

《絶剣》という異名はある意味、人との関わりに距離が出来てしまう。

自分達よりも上の存在と認識してしまい、崇めたり拝む者までいるのだからこういった関係は無いだろう。

おかげで俺はユウキを独り占め出来るし、意外な一面とかも知れた。

 

「・・・ユウキ」

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

「・・・ありがと」

 

幸せそうに寝ているユウキの表情は見ていて癒される。

守るものが増えても俺は構わない。

ただその優先度が変わっただけなのだから。

誰よりもそれは変わらず、ただ彼女の為に俺は居続ける。

それが俺の新たな存在意義なのだから。

 

 

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