朝起きるとユウキの手が俺の手に絡み合うように繋がれており、背中に手が回されていた。
昨日の時に分かったけどユウキはこの年にしては発育が良い方・・・なのかもしれない。
胸に押し付けられたときも柔らかい感触があって心地好かったし。
「んぎゅ・・・」
ただ、今俺が困っているとすれば起き上がれない事だろう。
ステータス的には俺のが勝っているが何故か押しのけれない。
SAO内では強くても俺の身体自体は幼い。
力比べなら確実に負けるからこそ、それを補う技術があったのだけど。
「ふへへ・・・ユキ~・・・」
寝言を呟くユウキは幸せそうな表情で俺を抱きしめている。
しかも顔がユウキの胸に押し付けられており、足も絡まっていて動けないようにされていた。
嫌ではないのだけど、お腹も空いたし何よりユウキが起きていないから少し暇だ。
こんなに幸せそうに寝られていると起こすのもあれだし、もう少し見ていたいというのもある。
だがこれからを考えると寝過ぎることは良くないが今日ぐらいは良いかと、頭を埋めてまた寝はじめた。
「ん・・・?ユキ・・・?」
だがその動作で目が覚めたようでユキが顔をあげた。
「お、おはよ」
「ん~おはよ~・・・」
ここSAOでは男女の行為をしても子が出来るわけではないが、その欲は満たされる。
ユウキの場合は今まで抑えていた物がなくなって我慢していたからあれほどだった。
それを覚えているのだろうユウキはユキの顔を見て段々と顔が赤くなっていく。
「え、えと・・・」
「ん・・・?」
「ご、ごめん・・・よ?・・・昨日・・・は」
「ん・・・大丈夫」
「うう・・・」
「それよりも、ご飯食べたい」
ユウキにとっては大きな出来事でもあり、抑えきれなかった自分の落ち度なのだが、そんなことは気にしていない風にユキは空腹を訴える。
その表情は幼いユキに合っており、前髪に隠れているが蒼い瞳がユウキを見つめる。
「・・・うん。分かった」
対称的に赤い瞳のユウキはその綺麗なユキの瞳に魅入られていた。
冷酷さを引き立たせるような蒼色だが、それが自分の前ではそれがない。
それどころか美しさすら覚えるそれがとても好きでユキの美しさを引き立たせてもいる。
「・・・綺麗だね、ユキは」
「ん・・・別に。ユウキのが綺麗」
普通ならばこういうことは恥ずかしげに言うのだろうがユキにはそんなものはなく、素直に言うためにユウキはまた顔を赤くする。
「うう・・・」
「ふふん・・・♪」
ユウキを辱めれて少し満足したのか、ユキが上機嫌になっていた。
「性格悪いなあ・・・ユキは」
「・・・楽しいもん」
元々ユキはSっ気があり、信用しているユウキの前でのみ出てくる。
当然ながらそんなことを知らないユウキは新しい一面も知って浮かれていたりもする。
「む~・・・それで今日はどうしよっか?」
「ん・・・ユウキの好きなように」
元々ユキは単独プレイヤーであり、誰かと一緒にいることのが珍しいぐらいだったので何をするにしてもどうすれば良いのかが分からない。
「ん~じゃあ、とりあえずアスナの所でもいいかな?」
「っ・・・なんで」
ユキが単独を貫いていたのは人と関わる事が嫌いだったからだ。
ユウキ以外の人は一部を除き信頼も信用もしていない。
過去に同じ人に利用され実験体にされていた為に警戒心も強い。
アスナに対しても信用まではしていないのだ。
「ボク自身がアスナとは親しいからね。それにユキの事も心配してたから安心させるため・・・ってのもあるかな?」
「ん・・・」
「それにね・・・アスナには言いたいんだ、ボクとユキが付き合ったことを」
「・・・SAO内で交際していることを証明する方法は?」
「う・・・」
SAO内では交際していてもそれを第三者に証明する物がなければ何かしらアプローチがかかる。
ユウキとしてはユキ以外に有り得ないが、人嫌いのユキがそれで安心するかといえば不明だ。
「・・・ユウキはさ、現実世界に戻ったらどうする?」
「・・・戻ったら・・・かぁ・・・」
ユキ達が過ごすこのSAOは0と1で作られたデータの世界。
結局は現実世界に戻ることになり、SAO内での関係がどうなるかも個人次第だ。
「うーん・・・リハビリして君に会いに行くかな?一人にしてたら不安だからね」
「・・・そう」
「それにボクはこの世界だけの関係は嫌なんだ。ユキとは現実世界に帰っても・・・その、付き合いたいよ・・・」
「ん・・・」
「・・・なら、これ・・・」
恥ずかしそうにユキがユウキの目の前で出したのは小さな箱。
中身の検討がつかないユウキはそれを受け取って開けてみると、中には紫色の指輪と蒼色の指輪の二つがあった。
「ユキ・・・?」
「ぅ・・・」
今までにないほどユキの顔が赤くなっていることに気づくと漸くこの指輪の意味を理解する。
それはユキが自らの《鍛治》スキルで作った指輪で輪の裏側には名前が彫られていた。
「い、いいの?」
「約束・・・現実世界でも一緒って」
ユキもユウキと同じくこの関係をSAOで終わらせたくなかったのだろう。
だからこそこの指輪をユウキに見せたのだから。
「・・・うん」
箱に入っている蒼色の宝石がついている指輪を手に取るとユキの左手の薬指に嵌めた。
「よし、次はユキの番ね」
箱から紫色の宝石がついている指輪をユキに渡すと自身の左手を差し出す。
同じように薬指に嵌められると、ユキが画面を表示させる。
それは、結婚の有無の画面でSAO内で結婚が出来るということだった。
「ユキ」
「ん・・・?」
「大好きだよ」
「・・・僕も大好き」
この瞬間、ユキとユウキはSAO内で結婚したという事であり象徴としてお互いの左手の薬指には指輪がある。
SAOの結婚は、《アイテムストレージの共有化》《配偶者のステータス》《常時追跡》など色々あり、大きくしているのはステータス共有化。
結婚を交わしたユキとユウキのアイテムストレージは全て共有され、お互いに取り出しが出来る。
隠しているものまで看破されるために《SAOの結婚》は重みがある。
「やっほー、アスナ」
ユウキは一番の親友に伝えるべくアスナの所へと向かった。
ユキの姿は隠されておらず、幼い見た目でありながらユウキと歩いている為に注目を集めていた。
「ユウキじゃない。それにユキ・・・君だよね?」
「ん・・・」
「とりあえず私の家に行きましょ。すぐ近くだから」
見た目は女の子のユキは一緒に歩くユウキといるために姉妹のように見える。
だが人々はユウキの薬指についている指輪を見逃さなかった。
「お、おい《絶剣》って結婚したのか・・・?」
「指輪あるよな・・・誰となんだ」
誰なのか分からなかった男共にユウキを独占したユキは少し嬉しそうにする。
「どうしたの?」
「ん・・・なんでも」
「そう?嬉しそうだけど」
「だってユウキ独り占め」
今は幼いユウキだが、成長すればと考えるプレイヤーは多く、交際を何度も申し込まれている。
当然ながら全て断っており、ユキ以外は興味を持っていない。
そんなユキが自身を好いてくれる事とこうして一緒にいれることがユウキにとって嬉しく、夢にまで見ていた一つだ。
「着いたよ、二人とも入ってたらゆっくりしてね」
「ん・・・」
「はーい」
ユウキが座るとその膝の上に座るようにユキが乗った。
「そうだ、アスナ」
「どうしたの?」
「ボクね、ユキと結婚したんだ」
「・・・え?」
「結婚。ユキと」
「・・・えええええええええええ!?」
いきなり告げられた事に衝撃を隠せなかった。
ユウキとユキの薬指には指輪が嵌められており、ユキがこれほどまでにユウキに心を許している感じで真実だと分かる。
「んにゅ」
「ユキ君がこんなに懐いてるのなら・・・本当なんだね」
「あはは・・・」
「仕切直して・・・あのあとどうなったの?」
「えっとね・・・」
ユウキがあの後どうなったかを分かりやすく、細かく話す。
その間にユキはお人形のようにユウキの上で座っており、少しすれば寝てしまっていた。
「それにしても、ユウキがねぇ・・・」
「えへへ・・・」
「私もね居るのよ。気になる人」
「そうなの?」
「いわないでね?・・・その、キリト君なの」
「アスナが気になるなら良いと思うよ?」
「最近良く一緒になるのだけど・・・七十四層の攻略がね・・・」
「んー・・・お邪魔にならなかったらボクとユキも行こうか?ユキが嫌がったら無理だけど・・・」
「本当?でもユキ君ってどうやって攻略してるの?」
「・・・ユキが先頭に立つとね、やることないかな」
以前に一緒にペアで攻略したユウキはユキの出鱈目さを知っており、方法もしっている。
危なさがあるものの、致命的な物を受けていないためにユウキも何も言えない。
「とりあえずもうしばらくは大丈夫。ユウキももっといろんなことしたいでしょ?」
「・・・うん。SAOでも出来るんだっていうことが分かったし・・・」
「・・・?どういうこと?」
「その・・・あれだよ。その・・・行為?」
「・・・」
「ユキがやったんじゃないよ!?ボクが我慢できなくて・・・」
アスナもそこは分かっており、ユウキがやらかしたのだろうと察していた。
だが未成年で幼い二人がそれを経験するのは少しまずいのではと思っている。
「ん・・・ゅ・・・き・・・」
「可愛いね」
「うん・・・って、あげないよ!」
「そんなことしたらユキ君に嫌われるわよ」
「でも・・・ユキってあれなのかな」
「あれって?」
「その・・・女たらし?」
「・・・聞かれてたら泣かれてそうね」
「だってこんな容姿だけど、引き付けられるというか・・・魅入られるっていうか・・・」
「私もね。今はユウキがいるから安心してるけど、それまでは心配で仕方なかったもの。弟みたいでね」
「む~、アスナでもユキはあげないからね!」
「だから盗りません。弟みたいには思えるけどね」
ユウキに必死に抱き着いて寝ているユキの姿は甘えている弟のような感じなのだろう。
だが、二人の薬指についている指輪がそういう関係だという証明。
「羨ましいなぁ・・・」
恋する少女のアスナは二人の幸せそうな雰囲気が妬ましくは思えず、自分もこうなれるのかと思想するのだった。