「なあ、《絶剣》さん。一緒にパーティー組まない?」
「い、いや・・・ボクは待ってる人居るからさ」
今ボクはナンパをされています。
どうしてこうなったかといえば、一度ボクとユキが別行動をして後でまた集まろうと今待って居るのだけど・・・。
少し待っていると見知らぬ男性からパーティーのお誘いが来て断っている、これを何回か。
「良いだろ?待っている人にも後で誘えば」
「そういうわけには・・・」
「ったくよぉ、異名持ちは偉そうに」
「ぅ・・・」
SAO内では先頭に座すけれど、ボクだってまだまだ幼いと思ってる。
こういう勧誘は何度もあったけど自分と大人では体格差がありすぎてその膂力は未だに怖い。
それを表にはださないけど、いつも怖くて誰も居ないとこで泣いていることもあったから。
「・・・ユウキ」
「ぁ・・・」
今も怖くて早く来てほしいと思っていると、幼い風貌で長い黒髪にボクを見つめる蒼い瞳の男の子。
それがボクが一目惚れして、告白しあって結婚も交わしたユキ。
「ん・・・誰」
「す、すみません。待ってる人が来たので」
「あぁん?てめぇ、俺が誘ってんだ。餓鬼だからって調子乗るなよ」
「・・・そっちこそ先約なんだけど。先駆け止めてくれる」
「あぁ?」
どうしようかと思っているとユキがボクの前に出て男性を威圧する。
ボクよりも小さい身体なのに、誰よりも強くあろうとしたこの子。
幼くても男の子なんだなあ、と思うし守ろうとしてくれるそれが堪らなく嬉しい。
「餓鬼が揃って粋がんじゃねぇよ!決闘だ!決闘で勝ったら諦めてやる!俺が勝ったらてめぇのアイテム全て寄越せよ!」
『なっ・・・!?』
それはある意味プレイヤーの全てを奪うことであり、ユキの身につけているものには指輪もある。
周りで物見遊山のプレイヤーはその発言に驚きを隠せず、ユキを心配する声が多かった。
「どうだ!怖じけづいたならとっと失せろ!」
「チッ・・・ユウキ。少し離れてて」
「で、でも」
決闘を受けるのだろうユキは被害が無いように離れるように言ったんだと思う。
でもボクは心配だし、怪我をしてほしくない。
だけどそれはすぐに掻き消された。
「だぃ・・・じょうぶ」
ボクの耳元で小さく囁かれたその声は聞けば誰もが魅力されるような麻薬みたいに聞こえた。
いつからこんなにユキに対して弱くなっちゃったんだろうと思う。
今までならただ強いという理由で惚れていただけなのにどうしてだろう。
不思議とユキには惹かれる物があって、それが堪らなく愛おしい。
「ぁ・・・うんっ」
ボクが信じた男の子。
ユキがすぐに負ける訳も無いし、攻略組よりも強いんだから何を不安に思っていたのだろう。
ボクが信じてあげなきゃ、誰がユキを信じるのだろうか。
「それじゃぁ・・・行くぜぇ?」
「・・・お好きに」
決闘のカウントが0になった瞬間。
勝負が一瞬でついた。
《初撃決着モード》の敗北条件を満たしていながら、更に追撃をかける徹底。
ユキの武器・・・霊想刀が男性のHPをレッドゾーンに追い込みながらも武器を破壊した。
「・・・終わり。まだやるつもり」
「ぐっ・・・お、おぼえてろよ!」
霊想刀を納めたユキはすぐにボクの元に来ると少し地面から飛んで抱き着く。
見た目が女の子だから、ぱっと見は姉妹に見えるし大丈夫なんだけど・・・。
「す、すげえ・・・」
「見たか?剣が全く見えなかったぞ」
「《絶剣》の妹なのか!?」
「まさか・・・でも有り得るぞ、姉妹に見える」
「ボクとユキ、噂されてるね」
「ん・・・♪」
ボクに甘えるように頭を擦り付けて来るユキに少し顔が緩んでた気がするけれどここは人の目がある。
人嫌いのユキには少しきついところだから、とりあえず宿屋に入ろう。
「ありがとう、ボクのために」
「別に」
「嬉しかったよ」
「・・・うん」
こうして一緒に居ればユキの事も段々と分かって来る。
人からの好意・・・ボクのかな?
素直に言えばこうして頷いてくれる。
不器用なだけなのかもしれない。
「ん・・・ユウキ」
「どうしたの?」
「・・・本当に、ずっと・・・居てくれる・・・よね・・・?」
どうしてそんなことを今更聞いたのだろう。
ボク自身はユキ以外には好きだと思う気持ちが無い。
それでも聞いてくるのはどうしてだろう。
それが気になってボクは聞いた。
「なんか・・・あったの?」
「・・・何も」
「・・・本当?」
「・・・ユウキの所に行く途中ね。親子が居た」
「ユキには・・・居ないの?」
それを聞くとユキは静かに頷いた。
今思えば・・・ボクとユキは似ているのかもしれない。
「小学3年の時に捨てられた。義理の姉と妹も居たけど両親と一緒に消えた」
「っ・・・親戚・・・とかは?」
「俺は・・・孤児だから。親族なんていない」
「そっか・・・」
「ユウキは・・・いるの?」
「ん・・・姉ちゃんが一人。お父さんはボク達を捨ててどっかに行って、お母さんは病気で亡くなったよ・・・」
「・・・病気?」
ユキの質問はボクや姉ちゃん、お母さんにも関係する物だった。
もしかしたらこの病気のせいで嫌われるかもしれない、学校の時みたいになるかもしれない。
それでもボクはユキを信じたかった。
「・・・AIDSって、分かるかな」
「AIDS・・・後天性免疫不全症候群。今は特効薬があるから治るね」
「ボク達はそれに罹ってたんだ。お父さんはそれを恐れて逃げ出したんだけどね」
「・・・何故今頃になって出たんだろうな」
確かにそれは思った。
あんなに安価で大量生産できるというそれは既に出ていても良いかと思ってたから。
でもそれが出なくて不治だったのに。
「漸く、確信した。なんでユウキには警戒心が薄いのか」
「・・・どういうこと?」
「紺野木綿季。それがリアルの名前・・・」
「っ・・・!」
紺野木綿季、それはボクの現実世界の名前だ。
SAOのユウキもただカタカナにしただけでそのまんま。
でもなんで名前を知っているのだろうと思った。
「そっか。ちゃんと助かったんだ」
「・・・ユキ?」
「ちゃんと・・・話すよ。木綿季には知っておいて欲しい」
「・・・うん」
「とりあえず・・・俺の名前は、村雨優紀。覚えてる・・・かな?」
その名前はボクにとってとても大切な物。
唯一ボクに対して偏見を持たず、平等に接してくれた男の子。
あの時はあまり容姿を気にしなかったけれど、今思えばある程度特徴はあったんだ。
「うん・・・うん・・・」
「・・・遅くなって、ごめん」
小学生の何年だったか、優紀はボクを助けてくれると言ってくれた。
それを信じてずっと待ってたけど、一向に来なくて。
それでも諦め切れなくて、待ってた。
でももう・・・良いんだね。
ユキがそうだったんだから。
「遅いよ・・・馬鹿っ・・・」
「・・・うん」
たくさん待った。
優紀がいつ来るのかなって。
元気になったボクの姿を見てほしかったし、一緒にまた学校に行きたかった。
SAOだって姉ちゃんが当てた物をくれたからやっただけで、優紀を待ってるつもりだったのに。
「迎えに来たよ。木綿季」
「うん。ずっと、ずっと待ってたよ。ゆう」
もう会えないと思ってたからこそボクは涙が抑えれない。
今までボクが一目惚れした人こそが好きだった人で。
どんな偶然なんだろうと思ってても、今こうして真実が分かった。
優紀の事、その過去と育った場所や家族の事。
一つ一つがボクにとっては壮絶で、想像が出来なかった。
それでもボクは優紀を愛すると決めたから。
絶対にボクだけでも優紀からは離れないと誓ったから。
そう思っていると優紀がボクの隣に座ってマジマジと見つめて来る。
優紀の蒼い瞳はなにもかもを吸い込みそうで、ボクまでその綺麗さと美しさで見惚れてしまう。
「んっ・・・」
「・・・ぁ」
すると優紀がボクの唇を重ねた。
小さな舌が出てきて少しずつ舐めるように。
ボクも優紀のと絡めるようにした。
「んぁ・・・むぐ・・・」
「あむ・・・れろ・・・」
こんなに積極的にしてこなかったからだけど、優紀は隠れSだ。
ボクに対してだけのみ出してくれるそれは執拗にしてきて、段々とボクの思考が纏まらなくなる。
もっと優紀と重ね合いたいという思考だけが頭の中を埋め尽くす。
前のように色欲に飲まれると優紀は抵抗もせずただボクに好きなようにされるだけ。
そんなの嫌だ。
「ぷはっ・・・」
「頭が・・・ふわふわ・・・すりゅ・・・」
「・・・ん、これだけ。続きはお預け」
「・・・ぇ・・・?」
恐らく今のボクは凄くだらしない顔になっているんだと思う。
優紀からはどうやって弄ろうかといった雰囲気が出ていて、お預けと言われた瞬間ボクはしてほしいと考えてしまった。
「ん・・・ふふ。したいんだ・・・?」
「・・・ぅん」
「どう・・・しようかな♪」
「・・・して、ください」
「何を?」
「うう・・・」
「もっと・・・してください・・・」
本当に優紀はどこまで堕としてくるんだろうか。
それでも嫌とは思えず、逆にもっとしたいという欲望だけが強くなる。
今思えばあの時の優紀も同じだったのかな。
「ん・・・良いよ」
よく男性は女性に尻に敷かれるって言われるけど・・・ボクと優紀は逆でボクが敷かれるというか怒られているかもしれない。
今までの会話を考えると優紀は主導権を握るのが得意だと思う。
まさか営みもそうだとは思わなかったけれどね。
「・・・優しく、するね」
それでも優紀は相手を気遣ってくれる。
嫌悪を抱く相手には容赦が無いけど、裏を返せばとても純粋なんだ。
ボクが不安そうにしていれば何かしらしてくれるから、それに甘えることしか出来ない。
だけど支えてくれる人が居るだけで凄く強くなれる子だから。
「木綿季」
「はぁ・・・はぁ・・・何・・・?」
「大好き」
「ボクも・・・優紀の事大好きだよ・・・!」
絶対に優紀の事は守る。
守られていても精神面でも良いから支えて守りたい。
じゃないとすぐに脆いそれが壊れちゃうから。
「ぎゅむ」
「えへへ・・・」
そのまま寝る前に抱きしめた優紀の身体は暖かくて安心できるもの。
ボクが欲しかった温もりで、絶対に離さないと誓う。
だって君のことが好きで仕方ない、独占欲が強い女の子だから。
どうでしたでしょうか?
甘い二人の関係なのですが、書いていてブラックが欲しかったです。
それで今後なのですが、一次創作(オリジナル作品)を書いてみたいなと考え始めました。
まぁ色々と手をつけて完結させてないくせに何をいうかと感じですが、やる気の問題です、あればすぐに書けますから(最低作者)
そのうち投稿すると思うので、良ければそちらも読んでいただければ・・・と思います。